「草野球の窓」

第31章
「バント」

 草野球ではバントを行なうことは少ない。バントをしなくても、ボテボテのゴロになる確率が高く、走者を進塁させることが可能なためだ。しかし、バントは重要である。

 第一に、走者を進める確率は、やはりバントの方が圧倒的に高い。特に、二塁から三塁への進塁はバントの方が確実である。無死、走者二塁の場面で、そのまま打たせた時に限って、ボテボテのピッチャーゴロや、サードゴロで進塁できなかったり、内野フライを打ち上げてしまうことは実に多い。一死三塁と一死二塁では相手投手に与えるプレッシャーは全然違うし、一死三塁では攻める戦術も多様である。あー、あの時バントしておけばなーというケースは山のようにあると思う。

 第二に、バントは簡単そうに見えて、実は難しい。練習を積んでいないと成功させられない。つまり、バントで走者を確実に進塁させることができるということは、それなりに普段から練習していることを意味する。このことは、普段余り練習をしていないが、2〜3名上手な人がいてそこそこ強いチームに対しては相当のプレッシャーを与える。バントをしてくるチームに対しては、バッテリーはバントに備えた配球を考えなければならないし、内野手もバントに対応できる守備体制を敷かねばならない。このことは、ヒットゾーンを広げることになる。

 第三には、送りバントが出来るようになれば、スクイズという戦術を採用することも可能である。もっとも、スクイズはバント以上に難しく、ボール球でも確実にころがさなければならない。失敗は許されない。したがって、本当に信頼のおける好打者にしかスクイズを命じることは出来ないかもしれない。
 しかし、ボール球でもころがせるようになれば、これ程確実に1点を取れる戦術は他にない。1点を争うゲーム、特に1点取れば勝てる、この場面を逃したら同点のチャンスは他にないといった展開では、スクイズの効果は抜群である。ヒットで点を取られた場合は、仕方ないと思い、気持ちを入れ換えることが出来るが、スクイズの場合、警戒心のなさが悔しく、あとあとまで尾を引くことが多い。

 第四に、バントは相手内野陣の守備の乱れを誘うことが多い。バント守備に不慣れなチームは思わぬ失策をしてしまう。このことは、連打の確率が低い草野球においては有効な攻撃的戦術なのである。

 かくの如く、バントは極めて有効な戦術であり、練習の成果が最も現れる攻撃である。

 これゆめゆめわすれることなかれ。



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