「草野球の窓」

第17章
「牽 制」

牽制といっても、守備側の牽制と攻撃側のそれがある。今回は攻撃側の牽制について若干ふれてみたい。

草野球では走者が盗塁してくるかどうか見破るのは難しいことではない。走者の顔つきや素振りが変わるからだ。我がチームもそうである。盗塁のサインがでると、急に離塁が大きくなったり、緊張した顔つきになる。

 逆なのだ。

 サインが出たときこそ何気ない素振りをし、サインが出ていない時こそ離塁を大きくとり、スタートの構えを見せるのだ。投手は1塁走者を背後に感じている。球が手元を離れる瞬間に、走者の走る足音がすれば、コントロールに影響が出る。遊撃手や2塁手は常に1塁走者を目の端に入れているので、スタートをきれば、打球とベースカバーの両方に注意が分散される。それがヒットゾーンを広げたり、失策を誘う場合がある。つまり、実際に盗塁という危険な行動にでなくても、牽制することで「工夫を凝らした」攻撃を展開できる。

 高校野球では、走者が出ると打者がバントの構えをする場面をしばしば見かける。何故だろう。全てのケースでバントをするわけではない。これも牽制である。バントをするかもしれないゾ!という牽制をすることによって、

a.カウントを打者に有利にすることができる。
b.バントや盗塁に備えた守備体制を取らざるをえなくなり、ヒットゾーンが広がり、失策を誘う確率が高まる。
c.捕手の捕球や送球動作を一瞬遅らせることができる(捕手の経験があれば分かることだが、ただでさえマスクで視野が狭くなっているのにバットで目隠しされると捕球しにくかったり、走者の動きが見えにくい)。
d.投手を心理的に疲れさせる、といった効果を生み出す。

 監督がにせのサインを出すのも牽制である。それをいかにも本当のサインがでたごとく振るまうのも牽制である(例えば、1球毎に監督のにせサインをじっと見つめる)。コーチャーが「リーリー!」と叫ぶのも牽制である。ベンチから打者や走者に声をかけるのも牽制である。  何も考えないチームが相手なら、こちらがほんの少し工夫するだけで攻略することができる。相手も考えてくるからこそ、それを上回る工夫が必要になる。

 これゆめゆめわすれることなかれ。



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