第1部:資本の生産過程
第5篇:絶対的および相対的剰余価値の生産
第15章:労働力の価格と剰余価値との大きさの変動
第1節のはじめに「労働の強度」と「労働の生産力」について整理してみたが、この節のはじめにマルクスが、「労働の強度の増大」と「労働の生産力の増大」について、丁寧な解説をしている。
労働の強度の増大は、同一時間内での労働支出の増加を意味する。それゆえ、強度のより大きい労働日は、同じ時間数の強度のより小さい労働日よりも、より多くの生産物にみずからを体化する。[547]
機械経営において、労働の強化は具体的に次のような仕方で行なわれる。
機械の速度の増大と、同じ労働者によって監視される機械設備の範囲または労働者の作業場面の範囲の拡大[434-5]〔第13章第3節C 労働の強化〕
生産力が高まる場合にも、同じ労働時間内に生産される生産物の総量はもちろんより大きくなる。この場合、個々の生産物価値はより小さくなっている。それにたいして、労働の強度が増大する場合には、個々の生産物に費やされる労働量は以前と変わらない。すなわち個々の生産物価値は以前と変わらない。生産物の総量が大きくなるのは、同じ労働時間内に支出される労働量が増えるからだ。
したがって、時間数が同じままであれば、強度のより大きい労働日は、より高い価値生産物にみずからを体化し、したがって、貨幣の価値が同じままであるならば、より多くの貨幣にみずからを体化する。[547]
この「第二のケース」では、労働日と労働生産力は不変であると前提されているから、労働日の必要労働部分と剰余労働部分の比率が変わらないまま、その労働日に生産される生産物の価格が増大しうるわけだから、
この価値生産物の二つの部分、すなわち労働力の価格と剰余価値とが、程度が等しいか等しくないかはともかく、同時に増大しうるということは明らかである。[547]
ただし、マルクスはこの「労働力の価格の増大」について、次のように注意を促している。
労働力の価格の騰貴は、労働力の価値以下への低下をともなうことがありうる。労働力の価格の騰貴が、労働力の速められた消耗をつぐなわない場合には、このことはいつでも起こる。[547]
剰余価値の大きさの変動をめぐって、労働の強度の変動には、生産力の変動による剰余価値の大きさの変動にはない特徴を、マルクスは次のように指摘している。
労働の「外延的大きさ」と「内包的大きさ」という言い回しをめぐって。少々混乱している。この章の導入部での使われ方と、ここでの使われ方とは、ニュアンスに違いがあるようだ。はて?