【新型コロナ対策】国税の納税が猶予される「特例制度」

■納税を猶予する「特例制度」

新型コロナウイルス感染症の影響を考慮して、令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来する国税について、一定の要件を満たせば納税の猶予を受けられる「特例制度」が新設されています。
通常時でも、納税を猶予する制度には、「納税猶予」や「換価の猶予」といったものがありますが、新設された「特例制度」では、より有利な条件で猶予を受けることができます。
具体的には、税額に「延滞税」(納税が遅れることによって税額に上乗せされる"利息"のような税金)がかからない上、担保の提供が不要といったメリットがあります。

■「特例制度」の具体的な内容

対象となる税目

所得税、法人税、消費税等、ほぼすべての税目が対象になります。
たとえば、令和元年分の所得税や個人事業主の消費税、令和3年1月31日までに納期限が到来する法人の法人税や消費税などが対象となります。
なお、法人事業税や法人住民税など、自治体の税金についても同様の対応が行われていますので、それぞれのホームページ等でご確認ください。

猶予される期間

原則1年間の納税が猶予されます。
その間の任意の時期に一括納付をすることもできますし、分割納付も可能です。

「特例制度」を利用できる事業者の要件

「特例制度」を利用できるのは、次の要件を満たす事業者になります。
・令和2年2月1日以降の任意の期間(1か月以上)において、事業等に係る収入が前年同期と比べておおむね 20%以上減少していること
・一時に納税することが困難であること
・納期限までに申請すること

「一時に納税することが困難」とは、納付すべき国税の全額を一時に納付する資金がないこと、又は納付すべき国税の全額を一時に納付することにより納税者の事業の継続若しくは生活の維持を困難にすると認められることをいいます。
出典:「国税の納税の猶予制度FAQ」(問16)
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/pdf/0020004-96.pdf

■通常の「納税猶予」「換価の猶予」との違い

もともと国税には、新型コロナウイルス感染症とは関係なく、納税が難しい場合に利用できる、「納税猶予」や「換価の猶予」という制度を利用することができます。
いずれも原則として1年間の猶予が認められます。
延滞税がかかる点や、原則、担保の提供が必要な点で、「特例制度」ほどのメリットはありません。
しかし延滞税の税率は、通常より低く設定されていますので、何もしないよりは、現行の制度を利用した方が得です。
「特例制度」には収入の減少要件等がありますので、要件にあてはまらず利用できないときも、現行の制度の適用を検討しましょう。 詳しくは、税務署や顧問税理士などにご相談ください。


2020年07月28日