■FR−006■
太平洋・錦江湾・桜島・瀬戸内海  大阪→志布志航路・垂水→鴨池航路・桜島航路・宮崎→大阪航路  大隅半島横断
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写真 黄昏の大阪南港かもめ埠頭に停泊中<さんふらわぁえりも>

1999年 真冬 厳冬に春の気配を求めて・・・ちょっと南九州へ

●航海 往路・紀伊水道→太平洋 途次・錦江湾 復路・太平洋→紀伊水道
@★★★★☆ 往路 大阪→志布志 ブルーハイウエイライン<さんふらわぁえりも>特等室 夜行便
 総トン数:11,272.00 旅客定員:634名 航海速力:20.0ノット 就航:1989年3月
A★★★★☆ 途中 鹿児島湾横断:垂水→鴨池航路 南海郵船フェリー<第六おおすみ>
B★★★★☆ 途中 鹿児島:桜島航路 桜島フェリー<第十五桜島丸>
C★★★☆☆ 復路 宮崎→大阪 マリンエキスプレス<おおさかエキスプレス>特等室 夜行便
 総トン数:11,933.00 旅客定員:690名 航海速力:25.0ノット 就航:1997年7月

●旅程 船中一泊+船中一泊 二泊三日
第一日目 京都→大阪南港かもめ埠頭18:00→
第二日目 →10:00志布志港→志布志バスターミナル→垂水港→鴨池港→鹿児島港→桜島港→鹿児島港→鹿児島→宮崎→宮崎港19:10→
第三日目 →07:30大阪南港かもめ埠頭→京都

 

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 またまた思い立っての船旅。ちょっと沖縄へと思ったものの往復船中四泊五日はつい二週間前、<きたかみ>で苫小牧往復をしたばかりなのでちょっと気が引け、二泊三日で我慢することになりました。で、四日前にブルーハイウェイライン、マリンエキスプレスに電話で様子を伺えばどちらもやはり今時期はゆったりしている様子。で、一晩考えを巡らせた後、往路は大阪→志布志、復路は宮崎→大阪で落ち着いて早速予約。どちらの航路のどの就航船も最上級船室には特別室やスィートルームなどの類はなく特等室が最上級船室とのことで特等室をゲット!
 束の間の南九州上陸は折角の機会と、志布志から野生馬の楽園、都井岬に遊ぶかそれとも垂水へ向かい鹿児島湾を連絡フェリーで横断してと迷いながらの旅立ち。

 

【第一日目】

 風強し煙なびく、波高しか・・・。大阪南港の黄昏時は強い季節風の西風に見まわれて工業地帯の煙突から立ちのぼる煙は真東へとなびいていた。遂に今回は海の女神様に見放されたのかと半ば諦め気味で南港フェリーターミナルビル前のバスストップからかもめ埠頭への連絡バスに乗車した。お客は数人、西の空を赤く染めた夕焼けも美しい南港の景色もいいものである。間もなくバスはかもめ埠頭ターミナルビルに到着。夕日に染まる<さんふらわぁえりも>をカメラに納めてから窓口で乗船手続き。待つこともなく入手した乗船券は大きな紙片で背景にさんふらわぁの船影が描かれていた。既に時刻は定刻三十分前、多くの乗客は乗船しているのであろうか、人影は疎ら。
 この船では十二室ある特等が最上級船室となっている。大阪南港かもめ埠頭発18:00→翌日10:00着鹿児島志布志港580kmで十六時間の航海となっている。今回は、大阪南港フェリーターミナルではなく、かもめ埠頭からの出港になるので、ターミナルビル前から17:00発の無料連絡バスを利用。昨日からの寒波の名残りか昼間にはみぞれ混じりの氷雨もぱらついていたこの日、外でバスを待つ間にもコートの襟を立てるほどの寒風で北海道より寒い、バスにはたった数人の乗客。
 バスに乗り込むと程なく発車、かもめ埠頭のターミナルビルに向かった。十分足らずで到着。乗船手続きをして渡された乗船券は、これまでになく大きく、背景にさんふらわあ(船名不明)のモノトーンの写真があるという洒落たものだった。定刻三十分前、ターミナルビルを出て乗船通路へ向かう。途中に船の横で岸壁から海面を覗き込めば大きく上下していて港内だというのに、海面には白い波頭が・・・。今日はとうとう大揺れ必至かと脳裏を過ぎる微かな不安、小生には思い立ってからと言うものひたすらベタ凪の幸運に恵まれてきたツキも遂に海の女神さまに見放されたのかと半ば諦めの心境でタラップへ。

●往路 大阪→ ブルーハイウエイライン<さんふらわぁえりも>
 太陽マークの上端あたりにある乗船口から5甲板に乗船。エントランスホールは、受付と売店と階段しかない質素な作り。鍵を受け取り6甲板右舷の106号室に向かった。船室配置は、これまでの船と異なり特等室が船の中央部にあり前部が一等室になっていた。6甲板の後部はレストラン。周囲に外部甲板がめぐらされているので、室内を覗かれるのかと思いきや柵があり外に出ても船室の前には行けないようになっていて一安心。
 特等船室(定員三名)は、居住空間として感じる広さは約十畳ほど。HPには浴室部分を含め約十四畳と説明されていた。セミダブルとシングルのベッド、エキストラベッドとなるソファ、小さいチェア一つ、テーブル。ロッカーは一人一個となるように三つに仕切られていた。ベッドとベッドの間にはナイトテーブルが配されスツールがひとつ。それにテレビ、ビデオ、空の冷蔵庫、受付に通じる電話。持ち帰れるアメニティは歯ブラシ、石鹸、シャンプー、リンス、櫛に剃刀、ハンドタオルは入っていない。バス・トイレ付だがドライヤーはない。浴衣・タオルは客室備え付け(持ち帰らないようにわざわざご丁寧に注意書きの張り紙)。窓は大きいサイドビューがひとつ。前述通り外は甲板だが多少潮で汚れていて残念。柵を乗り越え外から綺麗に拭いておけば良かったのかも。電話は案内所直通。ところがこれは受話器を持ち上げても音沙汰なし。何処へも通じない。後で案内所で
 「あの部屋の電話は何処へ通じるの? 音沙汰なしだけど・・・。」
 と尋ねたら
 「すみません、スイッチ入れるの忘れてました・・・。」
 とおおらかなもの。(^^)
 船室には、これまでの船になかったレターセットと<さんふらわぁえりも>の絵はがきの入ったボールペン付きのスティーショナリセットがライティングデスクに置かれていた。案内所ではバスローブを無料で貸し出す旨の案内表示があり電話の件の問答の後、バスローブを借りて来てリラックス。空の冷蔵庫ではあまりにも侘びしいのでミネラルウォーター、ジュース、ミルクなども売店で入手しキープ。バスローブはブルーハイウェイラインのロゴがなかなかカッコイイ。売店では10,000円余りで販売していた代物。
 レストランは和洋折衷のバイキング方式で、夕食1,500円、朝食1,000円。夕食時には持参したウインナソーセージやサラミ、チーズなどでリラックスして船室で済ませたので朝食だけを利用。どれもこれも味付けは明らかに九州風、甘まい卵焼き、甘い煮物、都育ちの小生にはいまひとつ好みに合わない味付けにうんざり。レストランは夕食時は、まず大型トラックのドライバーの時間があって、一般乗客は後回し。そりゃそうだろう大型トラックの方が特等船客より遙かに大枚を落としてくれる船会社にとってはありがたい上客様に違いないと変に納得。
 パブリック施設には一応、展望浴室があるということなのでちょっと覗いて見たもののあまり広くなく眺めも今ひとつの様子で入らずに部屋に戻った。入浴は船室のバスでのんびりゆったりがいい。自動販売機のコーナーにはインスタント麺やアイスクリーム、飲み物などがあり酒類の販売機には焼酎が入っているのが鹿児島航路の船らしいところと感じた。
 この船では最も居心地のよいところは、6甲板最前部のラウンジだろうか。フロントビューの窓は、出港時にはカーテンに覆われていたが翌朝には開かれていた。ブリッジとほぼ同じ景色をゆったりしたソファに座って堪能できた。左舷側がファミリーラウンジと称してぐるりとソファが取り巻き可愛いペンギンといるかのぬいぐるみが鎮座していた。(^^) 右舷側はまことにゆったりとした背もたれの高いソファが前方に向かって並びフロントビューの窓際には肘付き椅子が並べられていてサイドビューの窓際にもスツールが置かれている。入り口間際からの廊下にはアウトサイドの一等室が並び特等室に通じている。一等室ならすぐ近くなので自分の居間のような感じでより便利に活用できそうである。ただし夜十時〜翌朝(確か八時迄)閉鎖される。(一等室は5甲板前部〜中央部のアウトサイドにもあるので乗るなら6甲板のラウンジ近くがいい)。6甲板の客室部分は一等船客と特等船客の専用で静かな環境を保たれている。ちょうど<ほわいとさんぽう>の特等ラウンジのような感じだった。
 ところで女神様から見放されたかと懸念していた揺れは、最初の一時間ほどは若干感じて今日は揺れるぞと覚悟を決めていたところ、紀伊水道を抜ける頃には白い波頭もなくなり、船体の中央部の船室ということも幸いしたのか、またまた穏やかな揺れなし航海。やはり今回も海の女神様に見守られる光栄に浴することとなりました。余程日頃の行いのが良い証と自ら勝手に納得。途中、夜中に目が覚めるほど大きな衝撃とでも言うべき揺れが一回あったのは驚かされたものの、一回だけで、大きな船の航跡でも横切ったのかも知れないとこれまたひとり納得。

 

【第二日目】

 目覚めると船窓からは宮崎市街が? かすむ陸地が遠望できた。日南海岸沿いを南下、暫くの後、都井岬沖を滑るように航行。流れ行く景色を楽しみながらレストランで朝食、都井岬には野生の馬は発見出来ず。(^^) 天気は雲ひとつない快晴。朝食後は千歩のラウンジでくつろぎながら束の間の九州所陸の行動を思案、都井岬にするか、桜島にするか、最後まで迷いに迷いながら結局、鹿児島湾横断フェリーの誘惑に乗って大隅半島横断+鹿児島湾横断+桜島見物と決定。
 程なく船は左へ緩やかに航路を取って前方に志布志の街並みが視界に入って来る。間もなく志布志港入港を船内放送が告げる。ラウンジからの入港の眺めが美しい。
 定刻10:00志布志港に入港。

 志布志駅までの連絡バスはターミナルビル前の駐車場の中から10:15の出発。少々の時間があるのでターミナルビルの中を一回り、発券窓口が並ぶが人の気配はなし、向かい側には土産物ショップ。のんびりしている。
 バスストップに戻るがまだバスは来ないかと見回せば丁度近づいてくるところ。眼前に止まるが行き先表示は志布志駅ではなく坂本と記されている。乗車口で志布志駅へ行くことを確認すれば運転手さんはにっこりうなずく。乗客は小生のみ・・・、直ぐに発車。十分も掛からなかったように思う志布志駅へ到着。念のために垂水行きのバスは何処から出るのかの尋ねると、ここ志布志駅前からではなく町中の鹿児島交通のバスターミナルからだと言う。志布志駅前のメインストリート? を町中へ向かい一つ目の信号を右へ約100m。ただし運転手さんの答えはひとつ目の信号左手へ約50mとのことだったので小生はおかげさまで志布志の町中をのんびり右往左往(笑)とにかく無事、垂水行きバスの時刻の十五分前にバスターミナルへ到着。
 志布志から垂水(たるみず)まで大隅半島横断のバスは、景色はつまらないし、お年寄りと学生が乗っては降りで、生活路線そのもの。いい加減退屈してウトウトして目覚めると、突然視界に飛び込んできたのは、鹿児島湾の絶景でした。左手に開聞岳、右手にうっすらと噴煙をあげる桜島、対岸には指宿の温泉街。さらに三十分ほど海沿いを走って、約二時間半のバスの旅(1,200円)はようやく終り。疲れた・・・。

途次 垂水→鴨池 南海郵船フェリー<第六おおすみ>
 垂水港のフェリーターミナルは真新しい新築で驚くばかりの綺麗さ。ただ、屋上が展望台になっていると表示があるのに閉鎖されていて出られなかったのは残念。ここから鹿児島市の鴨池港まで三十五分のフェリーの旅。<14.5km
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写真 鴨池港に到着し桜島を背にした南海郵船<第六おおすみ>
*フェリー<第六おおすみ>(垂水〜鴨池)のデータ 1989.11.28就航 1,196トン 速力15.5ノット 旅客定員 737名 片道350円

 13:00発のフェリー<第六おおすみ>に乗船。フェリーターミナル二階の通路を通り桜島を左に見ながら段差なく直接乗船。モスグリーンの船体色が印象的なフェリー<第六おおすみ>は、窓や開口部が多く外から見ると穴だらでいかにも南国の涼しげで爽やかな印象の船だった。後部に何と「駅そば」ならぬ「船うどん」が・・・。(^^) ちょうど昼時を過ぎても居て程良い空腹感を感じていたところだったので早速のれんをくぐり絶品と見た「特製伊勢海老うどん」を注文。サイドビューの美しい喫茶のボックスで舌鼓。麺は讃岐うどんでコシがあり上々。ツユも合格。海老は冷凍らしく味はいまいちだががっぽり半身をでんと乗せたのは圧巻。たっぷりのワカメに可愛い薩摩揚げまで盛られていて880円には満腹+感激。食後はコーヒーブレイク。コーヒーやサンドイッチを売っているスタンドや公衆電話まであり、たった三十五分の航路にしては、と少々驚き。
 予想どおり<第六おおすみ>から見る桜島の眺めは雲ひとつない快晴の空とあいまって素晴らしいに尽きる。感激のうちに脳裏に浮かぶ欲望。そうだ、行こう! 桜島、とついつい欲張りになってしまう絶景の鹿児島湾横断のひととき。14:50発のJRで宮崎に移動する予定で居たものの船から鹿児島交通へバスの便を電話で問い合わせると、15:07発の高速バスがあり宮崎までの所要時間は二時間半とのこと。鹿児島市中心部の天文館も通るというので、これなら桜島フェリーで桜島往復だけなら時間がありそうと、いつもなら一番最後に下船するのを今回ばかりは一番に下船してタクシー乗り場へ急ぎ、桜島フェリーの出る鹿児島港桜島棧橋に直行。

途次 鹿児島→桜島→鹿児島 桜島フェリー<第十五桜島丸>
 桜島行きフェリーの出るターミナルも、また、近くに出来た水族館の開館に合わせて新築されたらしくピカピカ。乗船券発売窓口はなく「乗船料は下船時に桜島で支払い」ということなでノーチェックでそのままボーディングブリッジから乗船。十分か十五分おきくらいで行き交うピストン輸送で停泊していた<第十五桜島丸>に乗船。たまたま運良く六隻就航している中で一番新しく、一番大きい船で、車両が港から直接上下二段の甲板に乗り込める構造。もちろん、人の乗船も段差なし。
 鹿児島港桜島棧橋14:15→14:30桜島(折り返し)14:40→14:55桜島棧橋 片道4.2km 十五分 桜島町営
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写真 桜島桟橋を出港の<第十五桜島丸>から桜島を背に入港する僚船
*<第十五桜島丸>(鹿児島〜桜島)のデータ 1995.1就航 993トン 速力11.0ノット 旅客定員 738名 片道150円

 船に乗り込んで間もなく地元の女性らしき人が
 「今、桜島が噴火した。」
 と声をかけてくれた。たまたま通り掛かった船員さんも、
 「三ヶ月ぶりくらいだ。」
 と、慌てて桜島に目をやると、確かに白い噴煙が密度を増して灰色に盛り上がるものの「噴火」という言葉のイメージとはほど遠い感じ。それにしても、何とも奇遇そんなに稀なことが目の前で起こったという事実には感動。気づくと既に船は桟橋を離れ出港していた。
 ここの船はどれもブリッジが二つあり往路と復路で船首が入れ替わる仕様で着岸時に旋回しない。また綱で係留もせず着岸中、船尾?の海面が白く泡立っているので船員さんに尋ねればやはり船を岸壁に押し付けて固定しているそうで単に接触してるだけ。車は、乗り込んだら前へどんどん詰めて、着岸すると、そのまま船を通り抜ける形で下船、うまくできてると感心感心。
 黒い溶岩が海に流れ込んだ荒々しい景色がぐんぐん近づき桜島には十五分で到着。同時に向かいの桟橋に着岸していた船は行き違いに出港してしまうので乗り移ることは不可能で、乗って来た船が十分後に折り返し出港なので仕方なくそのまま船内に止まっていた。というわけで、桜島に接触はしたものの上陸はせず、船賃の支払いをする機会に恵まれず不本意ながら支払いは次の機会に譲ることに。(^^)
 往路は甲板から近づく桜島を見続けて接近遭遇を果たし帰路はちょっと余裕で船内探検。思いの他、綺麗な船で小さいながら、またも「船うどん」があった。特別室は細長く狭いが小綺麗な喫煙室、もちろん喫煙には目のない小生のこと当然そこで一服ぷかぷか・・・。隣には化粧室というのがあってこれはトイレではなく、あくまで正真正銘の化粧室で大きな鏡のついた化粧台が三つ並んだ小部屋。売店の前のラウンジのインテリア・センスもなかなかのものでセンスがいい。きっと内装インテリアデザインは女性の手になるのではないかと細やかな気配りに感嘆。トイレは外部甲板から入る構造になっていたがこれまたシックな雰囲気で掃除が行き届きその綺麗さには驚き。
 僅かに4.2kmの距離だから今の技術なら橋を架けるのも不可能ではないだろうがそれでは雄大な大自然の胎動を彷彿とさせる桜島の雄姿を台無しにしてしまうだろう。何時の日までも、ここ桜島フェリーの健闘を祈りたいものだ。間もなく桜島棧橋に到着。

 またまたタクシー乗り場に急ぎ天文館近くにあると言うバス乗り場へ直行。着いたところは鹿児島交通の長距離バスターミナル。ところが次のバスは16:00発と? バスは西鹿児島を出て天文館を通って行くのではなく、天文館始発で、西鹿児島を経て高速道路に入るとのことで小生は乗り遅れ。JRは西鹿児島発で、東にある鹿児島駅を通り宮崎に向かうからバスも最初は東向きに走るものと思い込んでいたため、天文館は15:15頃だろうと勝手に決め込んでいたのが失敗の元。、発車時刻を聞いていなかった。えびの高原の冬景色をと期待していたバスから見放されら少々がっかり。バスでは宮崎到着時刻が間際になり過ぎるので16:14発のJR特急に乗ることに変更<毎度の行き当たりばったり。
 それでは、せっかくできた小一時間余りを有効に活用して鹿児島ラーメンを食べることに決定、繁華街天文館のアーケード街に向かった。しばらく歩いていると、ラーメン屋が一軒発見、お客は若いカップルと家族連れで、直感は駄目と信号を発していて次へ。次のラーメン屋はお客がひとりも居らずこれまた駄目。三軒目、地元のおっちゃん、おばちゃん風のお客で賑わう繁盛しているお店、ここなら、と確信して味噌ラーメンを注文。こってりした豚骨ベースのスープが麺によく絡み都で食べる九州ラーメンより相当油っこいが味は上々。店で漬けるという大根の一夜漬けが絶好の口直しになるおまけ付き。壁にはたくさんの支店の名前が列挙されていた和田屋ラーメン。満腹で西鹿児島駅へ。
 西鹿児島駅は数十年ぶり。すっかり近代的な駅舎に生まれ変わっていた。みどりの窓口で特急「きりしま」のチケットを、前の売店で揚げたての薩摩揚げをゲットして5番線ホームへ。間もなく入線、特急「きりしま」はグリーンの車体に白抜きで「KIRISHIMA EXPRESS」の文字。シートは黒地に三色のドットを散らした感触のいいモケット地、車内販売のお嬢さんの制服も黒。なかなかシックな列車でした。車内から再度錦江湾越しに桜島の雄姿を遠望しながら錦江湾に別れを告げ一路北上、霧島神宮、都城を経て約二時間で宮崎到着。特急「きりしま十号」の宮崎到着は18:19。ひとつ前の南宮崎の方が早いだろうという判断で、南宮崎で下車してタクシーで宮崎港に向かう。

復路 宮崎→ マリンエキスプレス<おおさかエキスプレス>
 港に着くと、ターミナルは人でいっぱい。発券窓口には長い行列。これなら急ぐこともなかったとちょっと拍子抜け。満席で一等以下は相部屋になっていた様子。大阪〜九州間を船で往復する場合、会社が違っても帰路が10%引になるラウンド割引きというのがあり、往路のブルーハイウェイラインで「九州ラウンド割引証明書」を貰っていましたが、割引の重複適用はできないということで最も割引率のいいコムレイドクラブ割引の20%引を適用してもらい乗船券を入手。ターミナル内は案内が不親切極まりなく、乗船口の掲示がなく二階へ上がるとレストランだけ。地上を歩いて行くようなのだが同じような船が二隻停泊しているので、ちょっととまどってしまう(もう一隻は20:00発川崎行き)。ようやく発見した白線でマークしただけの通路を行くと、すぐ隣をやはり白線でマークされた車道? を同じ船に乗る車が通り過ぎて行く。
 なんと、タラップの下にいる係員は、徒歩客と車の両方の切符もぎりをこなしているのではないか。

 この船も特別室はなく、最上級船室は二室ある特等(S-200号室)。案内所で
「階段を上り右の奥です。」
 と案内され、階段を上ったフロアの右手の廊下を左折して奥へ奥へと進めば二等船室を通り抜けて後部甲板へ。で戻ってウロウロ、階段を上って右手の廊下ではなく右へ回り込んで左側の廊下を奥へ、突き当たって左手の奥にS-200号室はあった。つまり左舷側前方の角部屋である。何とも案内所の係員の説明がおかしいのか、聞き手が悪いのかいずれにしても日本語は難しいと実感しながら船室に落ち着いたのは出港時刻直前だった。
 ひとまず熱いコーヒーでも飲もうと持参のインスタントコーヒー取り出してポットの在処を探す。何処にも見あたらずあちこちの扉を開くとライティングディスクの下に茶櫃と一緒に納められていた。電気ポットではなく単なる保温ポット、しかも中は空っぽ。どうやら良くすれば勝手に給湯室で入れて来いと言うことらしい。仕方なく給湯室へ。ところがところが給湯室でまたびっくり。高い位置に給湯器が取り付けられていて下方にビニルホースがぶら下がっている。バルブを開くと熱湯が勢い良くじゃーっとでるがその先へポットの口を差し出すと熱湯の飛沫が飛び散る。熱いっ・・・。まだ停泊中で揺れては居ないから何とかポットに注ぎ終えたもののちょっと揺れてでも居たら危険きわまりない。航海の安全は当然に願いたいものだが火傷しないようにも是非配慮して頂きたいものである。乗り込むタラップ前での車道横断、それにこの給湯器、何ともこの船はスリル満点である。(^^)

 特等室の実感する居住空間は八畳弱。シングルベッド二台、テーブル、チェア二個、テレビ、冷蔵庫、バス・トイレ、ロッカー、浴衣、バスタオル、ボディシャンプー、ヘアシャンプーが部屋に付属する設備。ハンドタオルはロゴ入りのものを持ち帰れるようになっていた。窓はサイドビューで一つ。ちょっと狭めだが室内、浴室ともに掃除が行き届いて綺麗だった。最上級船室らしからぬ点が二つ。ひとつは掛け布団がなくて毛布、それもたたんだままベッドに置いてありメイクされていない。今ひとつは、ポット(電気ポットではなく単なる保温ポット)には湯が入ってなくて、自分で給湯室で入れるようになっていたこと。この作業、湯沸かし器が高所になありぶらさがったビニールホースからネットが出る仕掛けで極めて危険。あのタラップの下の車道と人道の交差といい、この熱湯注ぎといいまことにスリリングである。(^^)
 また一方のベッドの枕は<きたかみ>のときと同じポワポワのスポンジ枕で片方は羽毛枕のような感じで何とも不可解なちぐはぐさ。レストランも展望浴室も開いている時間は短いし、パブリックスペースというのは、他に売店と小さいゲームルームがあるだけ。とにかく徹底合理化が見受けられる船。一方で、大型トラックドライバーには、専用の食堂と浴室があるうえ、一等並みの寝室が用意されているようで非常に優遇されているような感じ。満席ということで、レストランも展望浴室も混んでいたので利用せしていない。レストランの夕食はバイキングで1,500円。
 この船では、あればいいのに、と思っていた情報サービスが実現されていて現在の航行位置を船室のテレビで見られるようになっていた。ロビー設置のテレビに出している船はあったが船室では初めて。思わぬところで楽しいサービスとやっと長所発見。船室左舷のサイドビューの窓は、夜間でも閉じる必要がなくこの晩は昼間撮った写真をパソコンに移して整理したり、窓の外を眺めたりしながら、夜遅くまで起きていた。深夜、四国沖では、大きな船が十隻ほど行列して航行している光が見えたのが印象的だった。瀬戸内海航路では結構間近ですれ違うのだが太平洋はさすがに広く行き交う船の航路が離れていて九州方面に向かう船の群れは、かなり遠くに見える。

 

【第三日目】

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写真 快晴の翌朝、大阪南港に到着した<おおさかエキスプレス>
*おおさかエキスプレス(宮崎〜大阪)のデータ 運賃8,380円(二等)〜21,550円(特等) 今回の特等はコムレイドクラブ割引き20%で大人一名17,240円
 夜更かしのせいで、朝風呂で日の出を見ようという決心は果たせずぎりぎりまでベッドにしがみついているうちに、かもめ西埠頭に定刻07:30着岸。大阪を出るときは真横に流れていた煙突群の煙は、まっすぐに立ち上り、またも穏やかだった海を象徴していた。
 何とも今回の船旅は話題盛りだくさん「四航路制覇」の楽しい旅ではあったがあわただしいことの多い旅でもあった。

 

●余談
 またもやベタ凪続き、海の女神様万歳! それにしてもくどいようですが・・・、スリル満点の<おおさかエキスプレス>

 

■後日追記 2001年 秋 10月中旬
 志布志航路のブルーハイウエィラインは商船三井に航路を譲りましたが同じように運行は続けられているようだ。ところでこの時、桜島で折り返し未だに未払いのままの桜島フェリーの往復乗船料金はお支払に行ける機会がありません。そのうちに行かなければと思ってはいるのですが・・・。(^^)

 

@商船三井  A南海郵船フェリー  B桜島フェリー  Cマリンエキスプレス

 

1998 H10
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1999 H11
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2000 H12
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思い立っての船旅 前世紀・1998-2000