男の自宅介護

カタログにない最新機種を知る方法:福祉用具レンタルをうまく使う<後編>

3つの福祉用具を2社からレンタルするようになって半年後、介護ベッドの新機種がレンタルされていることを知りました。それはまだカタログにも載っていないものでしたが、機能が上がって使いやすいものでした。



男性介護者の会でベッドの新機種レンタルを知る


要介護5の妻の在宅介護をスタートしてから4年半、3つの福祉用具を2社からレンタルするようになって半年後のある日のこと。
以前の記事でもご紹介した男性介護者の会がありました。

リンク:楽しく介護するコツ:介護者同士、男性介護者の会でつながる

そこで要介護5の奥さんを介護しているという参加者の方が
「妻の介護ベッドは、ベッド全体が傾く最新型です」
と話していました。

奥さんは普段、療養病院で過ごしていますが、毎月2~3日だけこの方が在宅介護をしています。
そのため必要な福祉用具は、毎回半月単位でレンタルしているのだとか。
最新の介護ベッドは「足の位置が下がって、視界も広がるのでいい」と言っていました。

その最新介護用ベッドはメーカーの主力機種で、1年前に発売されていたことは知っていました。
ですが、まだレンタル会社のカタログには載っていなかったので、レンタルできないと思っていました。

当時借りていた介護ベッドには特に不満もなかったのですが、興味もあって改めて詳細を確認してみました。
すると新機種は旧機種と同じように背と膝の角度調節ができるうえ、さらにベッド全体が傾くようになっているので椅子に座った状態に近くなり、姿勢が楽そうです。
リモコンの表示や操作方法も同じであることがわかりました。
ベッドの下はフレーム構造がシンプルで空間も広く、掃除がしやすそうです。

カタログには、「ベッド全体が傾く新しい背上げ機構により、これまでにない視界の広さ、身体の動かしやすさ、 離床のしやすさを実現」と書いてあります。

同額で介護ベッドの新機種を入替


新機種介護ベッドについて、さっそく次の日、レンタル会社の担当者に電話してみました。
すると、「カタログには無いけどレンタルできます」とのこと。
しかも旧機種と同額でレンタルする、ということでした。

それなら借り替えない手はありません。翌月から入れ替えてもらうことを即決しました。
簡単に機種変更してしまいましたが、気に入らなければ翌月、元に戻せばよいのです。
こうしたことも福祉用具をレンタルするメリットのひとつです。

それにしても、これは「男性介護者の会」の大成果です。
レンタル会社からは追加の介護用品の売り込みはあっても、新機種を紹介されることはありませんでした。
そのため介護者の会で情報を得ていなければ、自ら確認することもなかったでしょう。
情報を求める素直な心と、有効な情報に気が付く感性は必要です。

「レンタルカタログに載っていなければ、レンタルもしていない」という思いこみが禁物だということも、この時に学びました。
レンタルのカタログに載るタイミングは、新製品が発売されてからずいぶん後になります。
新機種が出た段階でレンタル会社に問い合わせるとレンタルできるかもしれません。

このとき変更した新機種は、いまも使い続けて1年半になります。
ベッド全体が傾く機能は、ベッド上で長時間座位を保つことが少ないため、結局あまり使う機会がありませんでした。
ですが、ベッド下の広々とした空間には恩恵を受けています。
掃除がしやすく、靴など小物を置いたりすることもできるので重宝しています。


介護レンタルのメリットを使いこなそう

福祉用具のレンタルは、購入する場合に比べて以下のようなメリットがあります。

・半月単位で短期に使える
我が家の場合は、たまにしか使わないリクライニング車いすを短期利用しています。

・機能が向上した新機種へすぐに切り替えられる
上記の介護ベッドや過去の記事でご紹介した体位変換エアマットは、新機種があると知ってすぐに変更しました。
リンク:福祉用具レンタルをうまく使う<1>

高価な介護用品も試せる。
買うとなると40万円はする電動車いすを1週間お試しできました。レンタルなら月額3千円です。
本人も運転できるタイプで外出先での散歩は快適でしたが、かなり重く、使い勝手の悪さもいろいろとわかったため、レンタルはやめました。

・使ってみて目的に合わなければ返却できる。
我が家ではベッドテーブルを在宅介護開始時にレンタルしましたが、妻の体に合わせて使いやすい食事用テーブルを自作したので数か月でレンタルをやめました。

リンク:介護スタイルに合わせた車椅子テーブル:介護用品をつくる<1>

・故障時などはメンテナンス費用がいらない。
 介護ベッドが動かなくなった時、すぐに接続コードを交換してもらったことがありましたが、修理費用はかかりませんでした。

一番のメリットは安さです。
福祉用具をそれぞれ自費で購入した場合、その金額を介護保険の月額レンタル料金(1割負担)で割ると、償却期間は以下のようにざっと20~30年になります。

・介護ベッド 購入金額41,5000円÷月額1100円=31年
・エアクッション 購入金額194,000円÷月額800円=20年
・リクライニング車いす 購入金額212,600円÷月額800円=22年
・ジェルクッション 購入金額27,000円÷月額150円=15年

償却期間中に新機種が出ることも考えると、やはりレンタルのほうが得です。

新機種に切り替えられると、レンタル会社が不利益になるのでは?と考える方も多いと思います。
ですがレンタル会社が得られる料金は、利用者の1割負担分だけはありません。
介護保険からも利用料の9割がまかなわれているので、2~3年もあれば償却できる計算になります。

現在レンタルしている新機種の介護ベッドも、旧機種の発売から5年後に売り出されたものなので、会社としては十分償却できているのです。
ですから利用者が気兼ねなく新機種に切り替えても、嫌がられることはないはずです。

福祉用具レンタル、うまく使うためのまとめ


福祉用具のレンタルについてまとめると、以下のようになります。
・数種類を複数社のレンタル会社から最安値の組み合わせでレンタルできます。
・新機種はカタログに頼らずに探すことで、安くて機能の上がったものが使えます。
・たまに使うものは、必要な時に半月単位でレンタルすればよいです。

レンタルのメリットをうまく生かしましょう。

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