男の自宅介護

会社の仕事と同様、課題を見つけて解決する 楽しく介護するコツ:創意工夫する<後編>


在宅介護生活のあらゆる場面でできるのが創意工夫です。自分自身がより介護しやすく、介護を受ける妻も快適にすごせるように。そこには私が長年会社生活で培ってきた仕事の極意に通ずるものがあるのです。



リンク:楽しく介護するコツ:創意工夫する<中編>

快適な介護生活のための創意工夫:生活空間、住居、福祉車輌まわり

中編では、服薬・衛生面、ベッドまわり、車いすまわりの創意工夫をご紹介しました。
本編では生活空間、住居まわり、福祉車輌まわりに施した工夫をご紹介します。

<生活空間の工夫>
・デジタル表示風の日めくりカレンダー…マグネットシートをカットし、100円ショップで購入したホワイトボードに貼り付けたもの。年月を大きく表示。
妻のベッドから見えるところにおいて、夫婦で日付を覚えるようにするためです。
日めくりを変えながら妻に質問しています。「今日は何日?何曜日?」
・ロングサイズ靴ベラ…モップの柄と100円靴ベラを合わせて作成。立ったままでも使える全長94cm。


<住居まわりの工夫>
・玄関の段差を解消…床材で木製スロープを作成し、上がり框の段差27cmを解消。
・車いす動線を拡大…階段の角をのこぎりでカット。
・車いす仕様のこたつ…こたつの足を木材で延長し、テーブル面を高くして車いすが入るように改造。
・半自動扉…引き戸を釣糸とおもりでひっぱり、自動で閉まる扉に改造。



半自動扉に使用した滑車とおもりです。



・引き戸の取っ手を持ちやすく…既存の取っ手を大きな取っ手に交換。
・障子にも取っ手を…開けにくい障子に木製取っ手をつける。

<福祉車両まわりの工夫>
・顔色が見える車内ライト…車内後部で車いすに座る妻の顔を照らせる天井灯を設置。
・後方確認用モニター…走行中、車いすに座る妻の陰になって確認しづらい後方をモニターに映す
・大傘を取り出しやすく常備…雨天の車いす移動時対策。使用時直径160cmの傘をかけておけるフックを設置。

「楽しく介護するコツ」は「仕事のように創意工夫する」こと

会社生活33年で会得した仕事の極意は「課題を見つけ出し、創意工夫して解決する」ことだと思っています。

一見単純作業に見えることでも、「これでいい」はない。
もっとうまくやる。
早くやる。
安くやる。
楽にやる。

そのために「創意工夫する」。これが仕事の本質だと思います。

無理難題の解決とスキルアップがあって、結果として世の中にないものを創造できる。
これが仕事をするうえでの「やりがい」と「生きがい」になっていました。

こうして私が培ってきた仕事の極意は、介護の工夫にも当てはまることだと悟ったのです。

介護の無理難題を解決すれば、
介護を楽にし、
身体機能を改善させ、
無駄な出費を抑えられる。

給料をいただかなくても、ちゃんとした形で報われます。

シャワー浴全介助や栄養管理といった介護技術の向上も、スキルアップです
ミシンや電動ドライバー、振動ドリルなど、新しく揃えた道具も使いこなせるようになりました。
ここにもスキルアップの実感があります。

介護を報われない単純作業とみれば、そこに「やりがい」を見出すことも難しいかもしれません。
ですが考え方や見かたを変えれば、介護は創造的な仕事に変えることもできるのです。

介護は会社の仕事と比べても「上司や部下への気遣いやノルマもなく気楽に」そして「家の中で家族の傍でできる」魅力的な仕事ではありませんか。

「家のことは妻や母親、他の家族に任せきり」という方々も、いずれは介護に直面することがあるかもしれません。
そうしたときに「仕事のように創意工夫する」ことを意識できれば、「楽しく介護するコツ」をつかめるのではないかと考えています。


<< 前のページに戻る