男の自宅介護

介護用品自作のススメ 楽しく介護するコツ:創意工夫する<前編>


私は要介護5の妻を在宅介護する中で、様々な介護用品を自作してきました。自分で作れば費用が抑えられることはもちろん、市販品にも勝る妻にぴったりな介護用品ができます。



自作すれば、市販品に勝る介護用品が手に入る

介護用品は便利とはわかっていても、高くて手が出ないことが多くあります。

でも自作すれば、材料に木材などの安価な素材を選ぶことができ、市販品の流用や単純構造にすることでも費用を安く抑えられます。

自作は「安く」つくるのが第1目的ですが、それだけじゃありません。
自分好みの色や柄にできるうえ、小型化や軽量化、高精度にすることもでき、市販の介護用品に勝るものを作ることができます。
なにより本人の体に合った、世界に一つしかないものが出来上がります。

さらに使いながら便利な機能を追加したり、不具合を改善したりして、より良いものに進化させられます。

まずはマネをしてみる、時にはお蔵入りも

カタログを見ていると、介護用品の中には「なるほど」というアイデアがあります。
それをもとに、まずは「マネをして作ってみる」というのが私の介護用品自作の第1歩でした。

在宅介護をスタートして最初に作ったのが、車いすの「車輪カバー」でした。
車いすを室外から室内に持ち込むときに、室内が汚れないように車輪に取り付ける布製のカバーです。
ネット購入でも3,000円ほどします。

レンタル会社からお試しで借りたものを採寸して、まったく同じ寸法で手作りしてみました。



今にして思えば、もうちょっとかわいい柄にすればよかったのですが、当時は市販品と同じものを作ることから始めました。

当初から近くの公園に散歩はよく行っていたので、これは使えると思いましたが・・。
結局、妻を乗せたままでは車輪へ装着するにも手間取り、「雑巾で拭いたほうが速い」ということでお蔵入りになりました。
現在は、室内用と室外用に車いすを専用に使い分けたことで、雑巾で拭く作業もなくなりました。

他にも、作ってみたけれど効果がなかったり、他に良いものが出来たりで使わなくなったものも多数あります。


まず「車いす日よけ」。あまり効果はありませんでした。



現在は車いすに、ビーチパラソルを着脱できるようにして、休憩時の日よけにしています。
楽しく介護するコツ:創意工夫する<中編>にて紹介)


「顔ミラー」は車いすで移動中でも妻の顔色がわかるように、自転車のバックミラーを流用して取り付けました。



これも、人力車型の車椅子の記事で紹介済みの「対面ハンドル」を作ってからは使うことがなくなりました。

普通の車いすに自作の「ヘッドレスト」を取り付けました。



これも、車載用車いすを購入したため不用になりました。

使ってみるとメリット・デメリットがわかってくるので、上記のような自作グッズはお蔵入りとなりましたが、その問題点については次の新しい工夫につながっていきます。

介護のあらゆる場面で改善点が見つかる

介護が必要な場面は、食事、衛生、入浴、ベッドでの寝起き、車いすでの移動、散歩など多くあります。

こうした場面で介護用品を活用する目的は、介護をする人が介助しやすくするためだけではありません。
介護を受ける人が快適に過ごせるための「生活のバリアフリー」をかなえる目的もあります。

ですが、オーダーメイドの介護用品でもない限り、不備は必ずあるものです。
そうした部分に目をつぶらず、日頃から「どうしたら介助が楽になるか、快適に過ごせるか」という問題意識を持てば、改善点がどんどん見つかります。

「介護パジャマ」「食卓用テーブル」「改造シャワーキャリー」「車いす体重計」「車載用車いすと車載しやすい環境づくり」「人力車仕様の車いす」といった、これまで自作した介護用品については別の記事でご紹介済みですが、これ以外にも創意工夫を凝らし、手を加えてきたものはまだまだあります。

次回の「楽しく介護するコツ:創意工夫する<中編>」では、服薬・衛生面、ベッドまわり、車いすまわりなど介護生活の様々な場面で実際に行ってきた創意工夫と改善策の数々を、ざっくりとかいつまんでご紹介していきます。

リンク:楽しく介護するコツ:創意工夫する<中編>

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