男の自宅介護

シャワーキャリーの改善:介護用品をつくる<3>

妻が自宅でシャワー浴をする際は、1人で全介助しています。購入したシャワーキャリーは使いやすくて気に入っていましたが、使っているうちに不便な所も目に付くようにもなってきました。「前からブレーキロックが掛けられない」「不随の右手が肘掛けから外れる」「冬は座面と背面が冷たい」これらを改善したことで、今も大活躍中です。



在宅介護スタート時にシャワーキャリーを購入

6年前の要介護5の妻の在宅介護スタート時は、週3回デイケアを利用して、お風呂に入れてもらっていました。
しかし、こちらの用事があってデイケアが使えなかったり、デイケアがお休みの時もあったりします。
そのため、自宅の浴室で車いずごとシャワー浴ができるように、浴室をリフォームして準備しました。

そして、シャワーキャリー(浴室用車いす)も入手することにしました。

レンタルも考えましたが、介護ベッドを借りていた介護用品レンタル会社に相談すると、
「シャワーキャリーはレンタルがありません」
とのこと。

でも、「介護保険の福祉用具購入の支給を受けて1割負担の購入になります」
ということだったので、購入することになりました。

レンタル会社から2種類を用意してもらい、実際に使ってみて決定しました。
約8万円の1割負担です。

このシャワーキャリーの選定理由は、丈夫な構造でおしりの部分が洗いやすく、フットレストが取り外しできて、水はけがいい、ということです。
この点は、大変満足しています。

在宅介護をスタートしてから4年ほどは、デイケアの入浴サービスが使えないときだけに使っていたので、2ヶ月に1回前後の使用頻度でした。

その後、妻に「不明熱騒動」があって、病院にもデイケアにも行けない状態が8か月以上続きました。
そのため自宅でのシャワー浴が当たり前となり、シャワーキャリーの使用頻度も増えることになりました。

要介護5の妻のシャワー浴を1人で全介助するのは体力が要りました。
しかし8ヶ月続いた「不明熱騒動」が収束してからは、シャワー浴全介助が難なくできるようになりました。

もともとお風呂に入れてもらうのがデイケアの目的だったので、それ以降はデイケアを中止しました。
妻のシャワー浴は自宅で、全面的に私1人でやるようになりました。

ブレーキロックを前からかけられるように改造

購入したシャワーキャリーは気に入ってはいましたが、すぐに使いにくさが出てきました。

シャワーキャリーを固定するブレーキロックは、後輪近くのペダルのみでしか操作できません。
ベッドから移乗するときや浴室で使うときは、介助する私はいつも正面にいます。
そのため、前からではこのペダルには手が届かず、ブレーキロックができませんでした。

当初、ベッドからの移乗時は、正面から後ろに回り込むためのスペースの余裕がなかったため、シャワーキャリーは固定せずに移乗していました。
浴室で使う時は、横に回りこんで手を伸ばしてロックしていました。

この機種に限らず、ほとんどのシャワーキャリーがこうした構造になっています。
2人以上の介助や、施設など広い場所を想定しているためでしょう。

そこで私は、このシャワーキャリーを正面からでもロックが掛けられるように改造することにしました。
前から手を伸ばせば届くところにロック用のハンドルをつけ、ブレーキペダルと連動させることで、ロックと解除を片手で行える、という仕組みです。

材料は、壊れて廃棄予定だった傘の柄と、下ろくろ(傘の柄に通し、開閉時に上下にスライドさせる部品)を使いました。

まず、シャワーキャリーのハンドル部分に下ろくろを固定します。
この下ろくろは、連動部となる傘の柄を上下させる際のガイドにします。
固定には結束バンド(配線などを束ねるための樹脂製の材料)を使いました。

傘の柄の先端の樹脂部分に横から穴をあけます。
そして先ほど固定した下ろくろに通して、ブレーキペダルと先端の穴とを結束バンドで結び付けます。

これで、ブレーキペダルは、傘の手元(持ち手の部分)を上下させるだけで動くようになります。

このように改造したことで、簡単にブレーキを操作できるようになりました。
狭い寝室や脱衣所、浴室でも、妻の肩越しにある傘の手元を上下させるだけです。
現在もシャワー浴全介助のときには大活躍しています。


不随の右腕が肘掛けから外れないように改造

妻の右腕はまったく動かすことができません。
シャワーキャリーの肘掛けは狭いため、腕が肘掛けから外側に外れると腕がぶら下がり、重みで姿勢が傾いてきます。

そのたびに肘掛けへ戻さなくても済むように、腕を包むような形の肘掛けに改造することにしました。

材料は塩ビ管です。
ホームセンターで、外径74mm、厚さ2mm、長さ25cmで172円でした。
これを縦に半分に切って、肘掛け部分に取り付けます。

半分に切った塩ビ管は、肘掛けの取付穴に合わせて穴をあけます。
穴は中心線の位置ではなく、なるべく内側にあけました。
座る部分の幅を広く確保し、肘掛け部分をできるだけ外側に配置させるためです。
そして下の写真のように、穴の脇に切り込みを入れ、熱で柔らかくなる性質を利用して、ガスコンロであぶって変形させます。
これをボルトとナットで肘掛け部分に留めれば出来上がりです。

クッション材を貼ることも考えましたが、水はけ優先で塩ビ材質そのままです。


座面と背面の冬の冷たさを解消するための改善

このシャワーキャリーの座面と背面は弾力のある樹脂でできているので、水はけの良さも気に入っています。
ですが、冬になるとこの部分が冷たいと妻が訴えてきました。

最初のうちはバスタオルを敷いて対処していましたが、ズレ落ちやすいので固定できるカバーを作ることにしました。

材料はある程度厚みのある「足ふきマット」を使いました。
薄いタオルでは、冷たさが肌に伝わってきてしまうようです。

足ふきマットは3つに切って、ほつれないようにミシンで裁ち目かがり縫いをしておきます。
これにマジックテープ付きで伸び縮みするバンドを縫い付け、座面と背面それぞれに巻きつけて固定できるようにしました。
家にあったものだけで作りましたので、材料費は不明です。

マジックテープで着脱が簡単なので、シャワー浴後はすぐに外して洗濯機で脱水できます。



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