男の自宅介護

安くてかわいい介護パジャマ:介護用品をつくる<2>

前開きの介護パジャマは、着替えやおむつ交換の時に本人にとっても介護者にとっても負担が軽減されます。でも市販の介護用品はコストパフォーマンスが悪くて、見た目も地味。便利とは分かっていても、なんとなく手が出ません。そこで、市販品を利用して自分で作ってみることにしました。



市販の介護パジャマは地味で高い

要介護5の妻のおむつを交換する時は、妻の腰を何度かひねるようにしながらズボンを脱がしていました。
一人でこの作業をするのは、かなりの力が必要です。

また、上着のボタンも1段ずつずれないように確認しながら穴に通すので、とても時間がかかっていました。

ズボンに前開きのファスナーがついた市販の介護用パジャマがあるのは、カタログなどで知っていました。
前開きなら、おむつ交換のときに介護する方もされる方も負担が少なくて便利です。

でもその分値段は7~8千円と、普通のパジャマの何倍もします。

そこにお金をかけるくらいなら、腰をひねる手間もちょっとのことだから必要ない。
そう考えていました。

それに、こういったパジャマはデザインや色が限られています。
高齢者向けのためか地味なものが多いので、自分好みのものがありません。

そんな時、金沢市の「金沢福祉用具プラザ」で、衣服のリフォームをしてくれる、という情報を耳にしました。
なんでも、パジャマやタートルネックセータにファスナー付けをボランティアでやってくれるのだそうです。

「そうだ、自分で取り付ければいいんだ」と気づいた私は、さっそく妻のパジャマを自作することにしました。

お金をかけずにかわいい介護パジャマができた

自作といっても、布地を買ってきてイチから作るわけではありません。
衣料専門店で1980円とか1480円で売られている、普通のパジャマを活用します。

こうしたパジャマは安価なのに、色や柄は豊富にそろっています。
私が選んだ「かわいいパジャマ」は、妻にも好評です。

この他に、100円ショップでマジックテープとファスナーも購入。
手芸店で購入するより安く買えます。

大丈夫ですよ、男も裁縫できます。
妻が倒れて、はじめて妻のミシンを使うようになりました。

上着の改良
上着のボタンはそのまま残して、ボタンの裏側にマジックテープを縫い付けました。
15cmのマジックテープを5等分して3cmにカット。

1着当たりに使用するマジックテープは、金額にするとたったの54円です。
縫うだけなので30分くらいでできます。

これで、簡単にパジャマの着脱ができます。

特にシャワー浴全介助の時は時短で威力を発揮してくれます。
本当にやってよかったと思います。



<洗濯時に注意>
洗濯の時はマジックテープのテープ面を合わせて洗濯しないと、他の衣類にくっついて布を傷めます。

ズボンの改良
ズボンは写真のように、前面2箇所に大きく切り込みを入れました。
ここにファスナー110cmを少し切って縫い付けました。
ファスナーは1着当たり2本使用します。216円です。

おむつ交換には右足がズボンから抜けると楽になります。
足を抜きやすいように、出来るだけ長く開けるようにします。



<柄合わせに注意>
ファスナーの縫い付けは何度か失敗しました。
注意しないとファスナーの開閉で柄が合わなかったり、左右で長さが違ったり、生地が伸びて縫った後よれたりします。

そこでミシンで本縫いする前に、手縫いで仮縫いをすることにしました。
仮縫いすると4~5時間はかかり、介護しながらでは1日仕事でした。

そのうちミシンに慣れてくると、仮縫いも必要なくなりました。
待ち針でとめるだけでも柄を合わせて本縫いできるようになり、2~3時間でできるようになりました。

こうして理想のパジャマができあがったことで、妻の腰をひねったり、持ち上げたりせずにおむつ交換ができるようになりました。
ずいぶんと負担が軽くなったことを実感できています。

市販の介護パジャマにないアイデアを追加

マジックテープも最初はつけてしまえば見えないところだからと「黒」を使いましたが、100円ショップには色がたくさんあります。ピンクや黄色などバリエーションが出来ます。

段違いにならないように確認しながらつけていたので、マジックテープを色分けしました。

1段ずれ防止なら、2色でいいのですが、かわいいという要素もあって、5色に色分けしました。
5色にすればどこからでもずれずに止められます。

これは、市販の介護パジャマにはないアイデア機能で、かなり便利で気に入っています。

妻に「色がかわいいでしょ」っていうと。「付けてしまうと見えないよ」と・・。
自分ではとてもかわいいとも思っているんですけど・・。

夏用、冬用パジャマ、ポロシャツも改造

パジャマの自作は、冬用パジャマの1枚からスタートして、冬の間に3着を作成することができました。

さらに夏になって夏用のパジャマ3着を作成しました。
今はこれらをローテーションしながら、1年通して使っています。

それにしても、介護用のパジャマや肌着では見たことのあるマジックテープ止めの服も、普段着では見たことがありません。

特に、夏の外出は汗をかくのでポロシャツがいいのですが、ポロシャツの素材を使った前開きの服も見たことがありません。
そこで、夏用に七分袖の外出着シャツ2着と、ポロシャツ3着も前開きにしました。

小さな「負担軽減」ですが、50円や200円でこの便利さを一度味わえてしまうと、元には戻れなくなります。



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