男の自宅介護

介護スタイルに合わせた車椅子テーブル:介護用品をつくる<1>


在宅介護がスタートしてから、要介護5の妻が寝たきりならないように食事はベッドではなく居間で食べさせていました。でも当初使っていた車いす用のテーブルは横長で、妻の横から食事介助したり、2人で一緒に食事するには使いにくいものでした。


使い勝手がイマイチな車椅子用のレンタルテーブル

在宅介護が始まる前の療養型病院では、妻はベッド上で体を起こした状態で食事をしていました。
しかし在宅介護の生活が始まってからは、車いす用にテーブルをレンタルして居間で食事を全介助していました。

要介護5の妻が寝たきりにならないようにするため、リハビリもかねたものでした。
ベッドから居間まで朝・昼・晩の1日3回、車いすに乗せて往復していました。
この習慣は今も変わらず続いています。

レンタルしたテーブルはベッドでも使えるタイプのもので、横に長いものでした。
そのため、横から私が全介助するにはやりにくく、一緒に食事をするには狭いと感じていました。

他にもレンタルできるテーブルはいくつかありましたが、1人分の食事が乗るサイズしかなく、思い通りのサイズがありません。

テーブルは買うとなると6万円ぐらい。
介護保険のレンタル1割負担なら月300円。年間にすると3,600円です。

それならば、妻の横から介助しやすく、2人分の食事が乗せられるサイズのテーブルを自作しようと思い立ちました。

介護スタイルに合わせたサイズに自作する

材料は、スノコと角材を使いました。
材料費は1,500円ほどです。
使い勝手のよくないテーブルのレンタル代に換算すると、半年で元が取れます。

自作テーブルのサイズは、妻の車いすがちょうど入る高さと幅の77×85cmに決めました。
奥行きは、横から介助できて、2人分の食事が乗せられるサイズです。

完成当初は、スノコの板7枚で奥行き48cmのテーブルでした。
しかし使っていくうちに狭く感じてきたので、スノコ2枚を追加し、9枚で奥行き62cmに拡張しました。

使いながら、追加加工できるのも自作のいいところです。

一番強度が弱くなるのは、天板と足の連結部です。
木ねじだけでは横に押すと倒れてしまいます。

そこで、本棚などに使う大きめのL金具を足4か所に取り付けて補強しました。
L金具は100円ショップにも売っています。
近所のホームセンターよりも安く買えました。4個で432円です。

弱くなるのはもう一ケ所、床面に対する足の角度です。
しっかりと垂直を保てるように、下のほうにベニヤ板を打ち付けて補強しました。

また、足の床部分にはキャスターを取り付けました。
テーブルの位置を車いすに合わせて微調整する目的もありますが、横の力を逃がしてくれるので、テーブル自体が壊れにくくなります。
これも100円ショップで買いました。4個216円です。

使いながら「使いやすさ」を追加

在宅介護がスタートして3か月目で作成したテーブルも、今年で7年目を迎えました。
今も毎日、使い続けています。

途中、体重がかかってしまって木材が割れたりしましたが、補修して使い続けられたのも自作ならではの良いところです。

妻の右側から介助しやすいように、写真のような介護用品も配置しました。



・薬ケース
朝、昼、夕の3回、「1日分の薬」が入るように、ペットボトルを加工して作りました。
 薬は2週間分を壁掛けに入れて用意してあり、毎朝1日分の薬をここに移し入れます。

・ほうきかけ
パンくずなど食べこぼしを掃除するほうきを掛けられるようにしました。

・はさみケース
薬袋を開封するときに必要なはさみ用のケースも、ペットボトルで作りました。

・トイレットペーパーホルダー
ペーパーが必要な時に、必要な長さだけ手元から引き出せるので、とても重宝しています。ティッシュ代わりに鼻水やこぼれたものを拭きとります。

・筆記具差し
トイレットペーパーホルダーに穴を開けて作りました。差した筆記具は、トイレットペーパーのストッパー代わりにもなります。
介護に使うわけではありませんが、私がこのテーブルで新聞チェックをするときに、ここから赤鉛筆を抜き取って使っています。

他にも、改造は発展していきました。

・スノコの凸凹を平坦にするためと防水を兼ねて、厚手1.4mmの透明シートを天板に取り付けました。

・天板の裏には、私の薬が3週間分入るケースを出し入れできるようにしました。

・このテーブルのサイズに合わせて、テーブルクロスとエプロンを一体にした「介護用エプロン」兼「食卓テーブルクロス」を作成しました。これには防水加工をほどこしてあります。

使いながら「使いやすさ」を追加していけるのも、自作の良いところです。


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