男の自宅介護

楽しく介護するコツ:車いすの妻と2人でおでかけ

長い間、病院でベッド生活だった要介護5の妻が自宅に戻ってくる。在宅介護になったとき、自力で座位の姿勢を保てる時間はとても短いものでした。妻が座位姿勢を長時間保てるために、在宅介護でできるリハビリは車いすでの散歩です。お金をかけずに2人で楽しみながらできることですが、近所を散歩するだけでは景色もかわり映えせず、だんだんと飽きてきてしまいました。



在宅介護開始当初は座位20分が限界

妻は脳出血の急性期病院で長時間のベッド生活を送っていたため、お尻に重い褥瘡を患いました。

そのため、お尻の筋肉はすっかり落ちてしまい、あわせて脳出血の後遺症もあって、自力では座位を保てませんでした。

車いすのように身体を囲めるつくりの椅子なら座っていられたので、入院しているときは病院の近所の公園などに散歩に連れて行ったりしました。

しかし病院での散歩は週に1回ぐらいのことです。
そのため在宅介護になった当初は、座位の体勢をとると20分ほどで疲れてしまいました。
座位時間が長いと、失神してしまうこともありました。

要介護5の妻が車いすで散歩をすることは、座位時間延長のリハビリになります。
さらに散歩には「介護される方も介護する方も気分がいい」という効果もあります。

リハビリを兼ねた散歩、福祉車両でエリアが格段に広がる

車いすでの散歩は近所の公園からスタートしました。

自宅から1km以内の徒歩圏の児童公園は11か所ありますが、どこもほぼ同じ作りと大きさなので、何回か通うとさすがに飽きてきます。

しかし在宅介護開始から3年後、助成金を使って車いすごと乗ることができる福祉車両を購入。
これをきっかけに、散歩の範囲は格段に広がりました。

車いすで散歩する公園にも、私たち夫婦の条件があります。

まず、駐車場は無料であること。
無駄な出費をかけずに済むなら、それにこしたことはありません。

そして駐車場は、車いす用のスペースを備えていることは当然で、公園までの道のりに急な坂道や階段、段差がないこと、荒い砂利道でないことも必要になってきます。

こうした条件に合う公園を見つけるために、インターネットの地図や航空写真を活用しています。
駐車場の位置や階段(段差)などが確認でき、下見の代わりになります。
インターネットで得た位置をカーナビに入力すれば、初めての道でも迷わず安心して行けます。


金沢には無料駐車場の公園がたくさん

金沢市内には有名な兼六園や金沢城公園がありますが、20分もドライブすれば15km圏内で日本海へも出られますし、見晴らしのいい山の上にも行けます。
無料駐車場が隣接した公園もたくさんあります。

以前住んでいた大阪では、20分かけても渋滞から抜け出すことすらできませんでした。
駐車場も、無料で車いすが使いやすいところは少なかったように思います。

公園の方に話を戻すと兼六園だけは唯一、入園料がかかるのですが、それは一般の方の場合です。
65歳以上は無料、身体障害者が入園する際は本人と、同伴者も無料になります。

最近は災害意識の向上からも、避難場所や洪水対策の貯水施設として公園は増えているようです。

こうした公共施設では、特に車いす用駐車場の整備が進んでいます。

現在、妻と散歩に行ける公園は、徒歩圏の11か所を含めて99か所あります。
2人で見る景色が最高です。


観光スポット、スイーツの店へおでかけエリアを展開

車いすで散歩する公園の中では、季節の花を楽しめます。
3月の梅を楽しむための公園が9ヶ所、4月の桜が29ヶ所、5月のつつじは5ヶ所。
ほかにもバラ、カキツバタ、キショウブ、花菖蒲、コスモスなどなど。
最近は花を幻想的にライトアップしているところも多く、夜に出かける楽しみもできました。

公園以外にも、海や神社、お寺、繁華街、観光名所、プラネタリウムや美術館など、35ヶ所のお楽しみスポットを見つけ、活動範囲が広がりました。
プラネタリウムなどの公共施設は、身体障害者の入場料が無料になる場合も多いです。

さらに、夫婦で大好きなスイーツのお店にも出かけます。
気兼ねなく行けるお店は42店(ケーキ26店、パン8店、和菓子8店)に増えました。

車いすでも出かけていきやすい条件は、公園のところで記したものに加えて、車いすの人も店内で食事できる環境が整っているかということ。
そして、私たちにとっては禁煙になっているかも妥協できない条件です。
こうしたことはインターネットの情報だけではわからず、行ってみて初めてわかることもあります。

積雪の残る冬とすごく暑い夏、雨の日には散歩やおでかけはできませんが、季節のいい日は毎日のように2人で外出しています。
妻の座位時間も、散歩なら2時間は大丈夫になりました。

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