るびりん書林 別館



こちらは旧サイトです。
関連書評などの機能の追加されている新サイト(https://rubyring-books.site/)に順次移行中です。
ぜひ、新サイトをご利用ください。

「秘密結社―世界を動かす「闇の権力」 (中公新書ラクレ) (新書)」桐生 操 (著)(中央公論社 2007年9月)

→目次など

■子孫を残してつながることによってのみ意味を持つ存在が「命」である以上、ヒトだけが例外であるはずはない。ならば、このような本を通じた知識は、ぜひとも要求なのだ。■

秘密結社とはただ一部のもの好きな人たちだけが実態とはかけ離れた虚像を作り上げて騒いでいるだけの存在でしょうか。または社会の片隅でうごめいているだけの、一般人にとっては無縁な存在でしょうか。

本書の範囲を外れますが、人類の歴史を振り返ってみると、人類にとって秘密結社のような存在は、むしろ社会の中核をなす存在であることが見えてきます。

長い歴史を持ち、人類本来の生き方である、広いテリトリーの中を移動しながら、自然界からの恵みをそのまま受け取って暮らしていた遊動する狩猟採集者たちの作っていた社会は、世界各地で共通して「利己主義者たちの作る平等社会」でした。この時点では、社会に中核はありません。

もう少し儀礼や制度が生まれてきた社会の様子を私たちは『ハイン―地の果ての祭典』を通じて知ることができます。そこでは、古代に母系制社会があり、その酷い状態を打ち破って現在の父系制社会ができあがったという神話を作り、それに従った儀礼を行うことを中核として社会ができあがっています。

人が制度を作り上げるときは、制度の根拠となる神話を作りあげてきたのです。この観点から現代社会をみれば、現代社会の制度の根拠となっている神話は、『世界システム論講義』が明らかにしているように、産業革命とともに世界中に輸出されたフランス革命の理念に他なりません。そして、そのフランス革命で大きな役割を演じたのがフリーメーソンでした。

本書では、フリーメーソン、イルミナティ、三百人委員会から始まって、魔術結社(薔薇十字カバラ会、神智学協会など)、政治結社(CFR、ビルダバーガー)、宗教結社(グノーシス派)などが取り上げられています。最終章「秘密結社をめぐる迷宮入り事件」では、ロベルト・カルビ変死事件、モーツァルト変死事件、9.11事件が上げられています。

授業で教わる歴史が、人類の英知を信じこませ、公的な機関の正当性を疑わせないための神話であることは当然ですが、では誰がそのような歴史の教科書を作ったのでしょうか。

本書で取り上げられている秘密結社の情報が正しいかどうかは不明です。実態を見えなくするために意図的に作られた情報も多いことでしょう。しかし、このような本を通じて、現代社会の神話を作り上げている人々の存在を仮定して見ることで、見えてくることは多いと私は思います。

内容の紹介


世界に何かの大事件が起こり、歴史が大きく塗りかえられるとき、必ずそれは裏でフリーメーソンが動かしているのだ。そしてここ数十年間の大事件といえば、やはりベルリンの壁崩壊からはじめる東欧の自由化と、ソ連のペレストロイカと、EC統合ではないだろうか?
  そしてそれら一連の事件を、陰で操っていたのも、じつはほかならぬフリーメーソンなのである。 - 58ページ

たとえば、ソ連も中国もキューバもアメリカも実験国家に過ぎず、共産圈は人々の満足度は高い一方で生産性が低いために、支配者層にとってはうま味が少なかったことから、ベルリンの壁を崩壊させたのだと 見ることができます。遺伝子組み換え食品も、ヨーロッパには入らないようにしていることを知れば、支配者たちの本拠地はアメリカではなくヨーロッパにあると推測できます。そうした見方をしたほうが、リビアやイラクの支配者は殺される一方で、北朝鮮はいつまでも残り、極東の政治を操るために利用されている現状を説明できます。


(三百人委員会が目標とする世界)
各人は、ワンワールド政府の創造物であるという考えを徹底的に注入される。ID番号(身分証明)が各人の肉体に刻印され、いつでもアクセス可能になる。ID番号はベルギー、ブリュッセルにあるNATOのコンピューターにファイルされ、政府の全機関がいつでも検索できる。 - 89ページ

「ワンワールド政府の創造物」などという突拍子もない概念を人々が受け入れることは難しそうに思えるでしょうか。しかし、マスコミの発達した現代では、たやすいことです。むしろ、私たちが民主主義を信じたり、人間の理性や信仰心を信じたり、西洋の市民社会を信じたりしていること自体が、すでに、言葉による価値観の植え付けの結果であって、事実とはまるでかけ離れていたりします。現実には、キリスト教国によって殺された先住民やイスラム教徒のほうがずっと多くても、メディアや教育の力があれば逆の印象を持たせることは簡単です。素晴らしい人々の管理する素晴らしい世界政府があり、人類を含む地球を守るために素晴らしい政治を遂行していると思い込ませる情報を学校教育とマスコミが与え続け、アカデミックな世界もそのように制御すれば、人々は喜んで受け入れるでしょう。現代社会の実態を正しく見れば、そうした未来しか見えてきません。


(CFR)
  現在ニューヨークに本部を持つCFRの資金提供者は、ロックフェラーのチェース・マンハッタン銀行とスタンダード石油で、政治、経済、マスコミ、文化、宗教などの各分野のトップ1500人で構成されている。
  彼らは世界の政治・経済を陰で操りながら、しだいに世界政府設立という目的に向かって突き進んでいる。これまでCFRは、米政府の最重要ポストに五〇〇〇人以上のメンバーを送り込んだという。 - 227ページ

さてはてメモ帳 Imagine & Think!によると、「表の組織、例えば、王立国際問題研究所(Royal Institute for International Affairs:チャタム・ハウス)、ローマ・クラブ、NATO、国連(U.N.)、黒い貴族(Black Nobility)、タヴィストック研究所(Tavistock)、外交問題評議会(CFR)等すべての外郭団体、シンクタンクと研究機関はスタンフォード研究所とタヴィストック人間関係研究所に管理されている。」そうです。
英仏米と対立しているように見えるロシアのプーチン大統領がどのような位置づけにあるのかなど不明点はありますが、世界びっくりニュースによれば「アジアはなんとロシア大統領のウラジーミル・プーチンにおおむね任されているという。“反イルミナティ”の言説が多く“オリガーキー”との対決姿勢を強めているかに見えるプーチンだが、同氏の話から類推すればプーチンはイルミナティの“名誉メンバー”ということにもなる。プーチンもアレックス・ジョーンズのように反イルミナティの立場をチラつかせて情報を撹乱する任務を担っているというのだろうか。」とあります。そのように見ておいたほうが、よいのではないでしょうか。



トップへ

お問い合わせ:

お気軽にお問い合わせください。

サイト内検索:

るびりん

「ルビリン」は東山動物園にいたアムールトラの名前です。土手で出会った子猫を迎え入れ、「るびりん」と命名しました。

neko to hon

書評

書評

書評

書評

書評

書評

書評