王岳・鬼ヶ岳( 王岳:1,623m ※ ) 1999.2.20 登山

(※:縦走路中の最高峰は 鬼ヶ岳 1,738m)

  鬼ヶ岳頂上から見た王岳( 1999.2.20 )

【王岳・鬼ヶ岳登山記録】

【王岳・鬼ヶ岳登山データ】

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再登山


王岳・鬼ヶ岳登山記録

山の雑記帳に書いたように富士山周辺の山、御坂山系の王岳に登ってきた。
王岳という名の由来は未だ調べていないが、「王」 の一字だけが付けられているところに何となく惹かれるものがある。
前回十二ヶ岳、節刀ヶ岳、鬼ヶ岳を登った際に、 縦走路の延長上にその名を見つけ、そのまま足を延ばそうとしたのだが、体力的 ・ 時間的理由から断念してしまったので、 いつかは登ってみたいと思っていた山だったのである。

今回の山行では、ここのところ何回か続いていた列車によるアプローチを止め、 久々に車によるアプローチを試みたのだが、前日に東京や横浜で降った雨は、 中央自動車道周辺では雪に変わっていたらしく、一面の銀世界に若干ビビリながら河口湖ICに向かったのであった。
途中、河口湖方面への分岐点を見過ごしてしまい、勝沼ICまで行ってから再び戻るという失態を演じたこともあって、 西湖の辺 (ほとり)、根場 (ねんば) 民宿村の登山口に着いたのは 8時を過ぎるという状況であった。

登山口標識横の薬明大神の前に車を止め、8時20分に出発。
暫く林道を歩いた後、山に取り付いたのが 8時38分
この道は、前回十二ヶ岳に登った時に下りに使った道で、鍵掛峠までは同じ道を辿ることになるのだが、 下りの時と登りでは印象が全く違い、前回通ったにもかかわらずほとんどその特徴を覚えていなかったことから、 新鮮な気持ちで登ることができた。
また有り難いことに、この河口湖、西湖付近では前日は雪ではなくて雨だったらしく、周辺にはほとんど雪がない状態であり、 林道から山に取り付いた後も鍵掛峠まではあまり雪を見ることはなかったのだった。

途中、樹林越しに鬼ヶ岳と思われる山が見えたが、さすがに頂上付近は雨ではなく雪が降ったらしく、 茶色の木々が樹氷となって、山頂付近は白い花が咲いているようである。
また、王岳と思われるズングリとした大きな山も左手にチラリと見ることができ、そこまでの遠さに少々驚かされてしまったのだった。
小さな石碑と石仏が置かれている御座石と呼ばれる大きな岩の横を過ぎ、明るい日差しの中を進んでいくとやがて鍵掛峠で、 右に進めば鬼ヶ岳、節刀ヶ岳、十二ヶ岳方面であり、左が目指す王岳である (9時35分着)

鍵掛峠付近は、旧登山道が崩れたようで、今は少し旧道より右 (東) の方で尾根上に飛び出すようになっており、 そこには 鍵掛峠頂上 という標識が置かれている。
左に道を取るとすぐに本来の鍵掛峠で、そこは展望が良く、目の前に大きな富士山がどっしりとした姿を見せており、 その下には西湖、そして根場の家並みが広がっているのを見ることができる。
尾根上に出てからは雪がかなりあり、それも登山者が踏み固めているものだから結構凍りついていて滑りやすく、 2つほどピークを越えるまではアイゼン無しで頑張ったものの、これ以上アイゼンを付けずに進むのは効率が悪いと判断し、 少々休憩も兼ねて軽アイゼン装着することにする。

王岳に登り着くまで 4つほどのピークを越えねばならず、それぞれのピークは結構目の前に立ちはだかっているように見えたものの、 意外と苦労することなく越えることができる。
また途中、いくつか見晴らしの良い場所があって、既に逆光になっているとはいえ富士山の雄姿を堪能することができたので、 結構気持ち良く進むことができる。
道は雪の上にしっかり踏み跡がつけられていたので迷うことは全くなく、また登山道のそこかしこに大きな岩がみられたので、 これはもしかしたら富士山からの火山弾がつきささったのではないかなどと想像しながら、 凍りついた雪の上をアイゼンをきかせながら楽しく、快調に飛ばす。

最後のピークを越え、暫くササの中を進むと、目の前に例の 山梨百名山 の標識が現れ、 10時53分に王岳頂上に到着。
王岳頂上は、この周辺にある山梨百名山 (節刀ヶ岳、十二ヶ岳) と同様に南側が大きく開けていて、 富士山の好展望台となっており、 明るい日差しの中で雄大な景色をサカナにノンビリと昼食をとる。
頂上を独り占めして喜んでいると、20分位して登山者が 1人登ってきたので言葉を交わしたところ、同じ登山口から登ってきたとのことで、 これからこのまま先に進み、精進湖の方へ下るとのことであった。
その人は精進湖からタクシーを使って戻ると言っていたのだが、どう考えてもタクシーがありそうには思えず、 また王岳から先の縦走路はあまり魅力的に思えなかったので、私は鍵掛峠まで戻り、 そのまま今度は鬼ヶ岳に登ることに決める。

未知の登山道を進む場合は、ペースをどうとってよいか分からないこともあり、結構時間が掛かる場合があるが、 一旦知った道を戻るのは早いもので、11時25分に王岳頂上を出発して、 鍵掛峠に戻ったのは 12時15分であった。
鍵掛峠から鬼ヶ岳まではやはりいくつかのピークを越えて行かねばならなかったのだが、一度王岳登頂という目的を果たしてしまっただけに、 鬼ヶ岳への登りは精神的にきつく、また王岳への登りに比べて凍った斜面も多かったためやや苦労させられた。
特に、軽アイゼンが土踏まずの所につけるだけの簡易型の 4本爪だったため、つま先に力を入れることができずに結構時間が掛かって、 鬼ヶ岳頂上までは地図記載の時間通り、1時間かかってしまった (13時15分着)
特に、鬼ヶ岳の 1つ前にそびえるピークを越えるのは肉体的にも大変キツイものがあり、王岳を出発した時には、 あわよくば節刀ヶ岳までなどと考えていた目論見はすぐに吹っ飛んでしまったのである。

鬼ヶ岳頂上に立つのはこれで 2回目で、前回登った時には頂上に標識らしいものが皆無だったので少々残念な思いをしたのだが、 今回は赤と黄色の地に黒い文字で 「鬼ヶ岳」 と書かれた標識がぶら下がっており、 またそばにあった道標も立派になっていて、鬼ヶ岳から直接根場民宿村へと下る道もはっきり記されている。
鬼ヶ岳の頂上からは、そのシンボルとも言うべき鬼の角のような岩を中心に、その右側には十二ヶ岳、左側には節刀ヶ岳を良く見ることができ、 富士山も樹林にやや邪魔されているもののその姿を眺められるなど 展望に恵まれており、 さらにその堂々たる山容を考えると、この山は 山梨百名山 に選ばれても可笑しくない山であると思われる。

体力・気力の点から節刀ヶ岳への往復をあきらめ、帰路は直接根場民宿村へ下りることにしたのだが、 そう言えばこの道は、前回登った時に鬼ヶ岳のもう一つのピークだと思って途中まで進んだことがある道であった (13時37分発)
アルミの梯子を下り、樹林の中を登り返して、前回まで進んだ場所に着くと、そこから先にも道がはっきりつけられているのが見え、 どうやらこの道も良く使われているらしいことが分かる。
雲に頂上を覆われ始めた富士山に向かって進んでいくと、やがて樹林が切れ、 王岳と同じように南面が大きく開けた場所に飛び出すことになって、そこにあった道標には雪頭ヶ岳頂上と書かれている。
私の持っている 1988年版の日地出版社の地図にはこの雪頭ヶ岳は記載されておらず、また発音が節刀ヶ岳と同じことから、 最近つけられた名前ではないかと思われるがどうだろうか。

雪頭ヶ岳からは斜面を下り、樹林帯の中をひたすら根場民宿村を目指したのだが、 途中の自然林はなかなか素晴らしく、また植林中の、明るく展望の良い斜面があるなど、 なかなか気持ちの良い登山道であった。
最後は薄暗い杉の造林地帯を抜けて涸れ川を渡ると、やがて根場の家並みが見えるようになって林道に飛び出すこととなり、 暫く林道を下っていくと今朝ほど河口湖方面から通ってきた車道にぶつかった。
車を止めた薬明大神へはこの車道を右に進めば良く、14時56分に車の所に戻ることができたのであった。

王岳はその名から来る 「 威厳 」 といったイメージとはややかけ離れた山であったが、 凍てつく雪道をアイゼンを利かせながら気持ちよく歩くことができ、 また逆光ではあったが富士山の雄大な姿を幾度も眺めることができたので、 なかなか満足いく山行であった。


王岳・鬼ヶ岳登山データ

上記登山のデータ 登山日:1999.2.20 天候:晴時々曇り 単独行 日帰り
登山路:薬明大神−御座石−鍵掛峠−鍵掛−王岳−鍵掛−鍵掛峠−鬼ヶ岳−雪頭ヶ岳−薬明大神
交通往路:瀬谷−八王子IC−(中央自動車道)−勝沼IC−(中央自動車道)−河口湖IC−河口湖−西湖−根場民宿村−薬明大神
交通復路:薬明大神−根場民宿村−西湖−河口湖−河口湖IC−(中央自動車道)−八王子IC−瀬谷


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