十二ヶ岳・鬼ヶ岳( 鬼ヶ岳:1,738m ) 1998.3.29 登山


 鬼ヶ岳頂上から鬼の角と十二ヶ岳( 1998.3.29 )
【十二ヶ岳・鬼ヶ岳登山記録】

【十二ヶ岳・鬼ヶ岳登山データ】

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再登山


十二ヶ岳・鬼ヶ岳登山記録

2月の杓子山・鹿留山以来、 1ヶ月ぶりの登山である。
山の雑記帳にも書いているが、プライベートが忙しかったり、 天候が悪かったりで、3月は登れないのではないかという危惧があっただけに、29日に駆け込みで上ることができたのは嬉しい限りである。
登った山は、2月と同じく富士山周辺の山から選んだ 十二ヶ岳、節刀ヶ岳、鬼ヶ岳という、河口湖の西、西湖の北側に壁のように連なる山々で、高さは最高が鬼ヶ岳の 1,738mと、 冬から春にかけては手頃な高さの山々である。
そこまでのアプローチは、電車の場合、富士急行の河口湖駅、あるいは富士吉田駅から西湖民宿行きのバスに乗り、 途中の根場 (ネンバ) 民宿近辺で下車すればよいのだが、バスの時間が分からなかったため、 今回は車を使用することにした。

横浜の家を出たのが 5時40分。八王子ICから中央高速に乗り、 大月ICを過ぎてから河口湖へと進路を変えて河口湖ICで下車。そこから河口湖方面へと向かい、途中 西湖・本栖湖方面へと進路を変えて、 文化洞トンネル手前の空き地に駐車したのが 7時半であった。
文化洞トンネルの前の空き地には車は 1台もなく、静かな山旅ができることを期待させてくれたが、 肝心の視界の方は薄くガスがかかったようになっていてハッキリせず、 今日の目玉である富士山の姿は期待できないかも知れないというイヤな予感がする。
登山口はトンネルの横、駐車した空き地の奥に立派な看板が付けられていて、いきなり雪の斜面を登らねばならなかったが、 雪はそこだけで、毛無山までの間は完全に無雪状態であった。

登山口から暫く登ると、道は丁字路となる。右が目指す毛無山、 左は足和田山となっており、足和田山の横には ( ) 書きで 「五湖台」 と書いてあったことから、 頂上から富士五湖全てを見ることができるのかもしれない。
暫く平らな尾根道を行くと、左の樹林越しに西湖、右の樹林越しには河口湖が見え始める。そして、登りがやや急になってくると、 やがて真っ赤に塗られた四等三角点のある ミネ山 頂上であった。但し、頂上に標識らしきものはなく、展望も全くきかない状態である。

ミネ山から暫く緩やかに下り、また登りが始まる。斜度はそれ程急登というわけでもないものの、暫くぶりの登山のせいか、 ふくらはぎの下の部分が突っ張って痛く、足がほぐれるまではかなり負担に感じられたのだった。
やがて、長浜からの道と合流し、樹林を抜けて展望の良いカヤトの原に出ると、眼下には河口湖、登ってきたミネ山を隔てた向こうには西湖、 そしてそれらを見下ろすような富士山が真っ正面に見え、その構図の素晴らしさに思わずカメラのシャッターを何回も切る。
しかし、朝の予感の通り、天候は晴れているにもかかわらず、春霞というのか、全体にモヤがかかったようで、富士山も薄ぼんやりとしか見えず、 写真には写っていないのではないかと思われるような状態である。

やがて登り着いた毛無山頂上も南面が開けているため、 河口湖、富士山、西湖を眺めることの出来る絶好の展望を持っていたが、やはり景色はボンヤリとしていて今一つの状態である。
ただ、西方にはこれから向かう十二ヶ岳が下の西湖からググっと立ち上がって大きな壁のようになっており、 さらに所々に残る雪が山の格を一段と高いものに見せてくれていて、登高意欲を十分にかき立ててくれる。
毛無山から十二ヶ岳へと向かって西へと進路を取ると、 暫く先で 「一ヶ岳」 と書かれた、その場には似合わない白い標識が現れ、その後 十二ヶ岳まで順番に 「二ヶ岳」、「三ヶ岳」 と標識の置かれた起伏のある尾根道が続くことになる。
雪も徐々に多くなり、四ヶ岳への登りにあるロープも雪に覆われ、七ヶ岳などの登りも雪で苦労させられた。 しかし、何といっても圧巻は十一ヶ岳、そして吊り橋を渡ってからの本峰 十二ヶ岳への登りである。
特に十一ヶ岳から見た十二ヶ岳は、残雪が多いせいか、 岩壁のようにそそり立って見え、とても登れるようには思えないほどで些か怯んでしまう。
しかし、雪に埋もれたロープや鎖を握り、木の根や露出した岩を掴みながら頑張ると、結構 登っていけるもので、 苦しいけれどもかなり楽しい思いをさせてもらう。
ただ、雪が腐っており、足を入れるズボッと踏み抜いてしまうことが多く、これが一番スタミナと時間をロスさせてしまうことになったので、 些か参ってしまったのだった。

十二ヶ岳の頂上は、小さな祠と 「山梨百名山」 と書かれた新しく立派な標識、 そして昔からあると思われる大きな標識がおかれている。展望の方は、目の前に富士山、そして眼下には西湖、そして西を見れば鬼ヶ岳が本当に鬼の角のように 2つのピークを持ってそびえている。
十二ヶ岳からは一旦大きく下るが、こちら側は日が当たらないため雪が凍っており、 かなり苦労しながらの下りとなる。
しかし、一旦下ってしまうと後はそれ程キツいアップダウンはない。そして、樹林が切れて雪の斜面を登っていくと、 小さな表札がぶら下がっているだけの金山頂上であった。
私の持っている 9年ほど前の地図では、ここが中節刀ヶ岳 (金山) となっており、 これから向かう節刀ヶ岳北節刀ヶ岳となっているが、 今はそれぞれ金山、節刀ヶ岳ということで定着しているようである。
金山から節刀ヶ岳への道は、 ほとんどが樹林帯のため雪が多く、また先ほどと同じように雪を踏み抜いてしまうことが多かったことから、 思った以上に時間がかかってしまったが、たどり着いた節刀ヶ岳頂上からの展望はこれまた素晴らしく、 この山が 「山梨百名山」 に選ばれているのも頷けるところである。
今まで辿ってきた毛無山から十二ヶ岳への起伏ある山並み、 そしてこれから向かおうとする鬼ヶ岳の大きな姿、そして西湖と富士山が見え、 暫し楽しませて貰う。しかし、一方で、本来 反対側に見えるはずの八ヶ岳などは、 この日は霞んで見ることが出来ない状態である。

一旦 金山まで戻った後、鬼ヶ岳へと向かったが、 こちらは見た目よりも道が楽で、ほとんど苦労することなく頂上に到着。
頂上には鬼の角のような岩があり、これが鬼ヶ岳の由来らしいのだが、 私はむしろ先程述べたように十二ヶ岳から見ると角を 2本 (あるいは 3本) 持った鬼の頭のような姿に見えることから、 その名が由来しているのではないかと思う。
なお、着いた所には標識がなく (あるいは合ったのかも知れないが、何人かのグループが昼食をしていて岩を挟んだ反対側を占領していたので確認しようがなかった)、 ここが頂上という確信がなかったので、もう一方の高み (実はその中間にもう一つ高みがある) に行ってみることにする。
しかし、もう一方の高みにも標識がなく、岩場で昼食をとりつつガイドブックにて確認したところ、こちらは西湖湖畔に直接下る道というだけらしく、 先ほどの鬼の角があるのが頂上だということを確認したのであった。

再び、頂上である最初の高みへと戻り、左に道をとって鍵掛峠へと向かう。 ここは一方的に下るだけではなく、結構アップダウンがあったのと、腐った雪で足をとられることが多く、 鍵掛峠に着いた時には、最早その先まで進む気力がわかず、そのまま根場へ下ることにする。
実は、余力があれば鍵掛峠からさらに足を伸ばして王岳を往復してこようかなどと考えていたのであるが、 目の前に聳える鍵掛が壁のように見え、さらにそこを越して登っていくという気にはなれなかったからである。

根場への下りは、ウラ寂しい樹林の中をひたすら下ることになり、途中 岩の上に石仏があるのを認めた後、 登山道は徐々に拡がってくる。川を何回か渡り返していくと完全に林道歩きとなって、やがて廃屋となった農家の前を過ぎ、 薬師大神の前から完全に車道となる。
根場民宿バス停に着いたのが 14時30分。時刻表を見るとバスは 14時52分発となっていたので、 バスにて文化洞トンネルまで戻ることにする。
西湖の周囲を 1時間程歩いて戻ることも考えたのだが、後でバスから眺めると、道には歩道がなく、その割には交通量が多かったので、 バスに乗ったのは正解であったと思われる。
トンネル手前でバスを降り、トンネルを通って車の所に辿り着いたのが 15時5分であった。従って、本日の登山は 7時間半程かかったことになる。
山の雑記帳に書いたように、もう少し空気が澄んだシーズンに登れば、 富士山もハッキリ見えたと思われ、やや残念であったが、山登りとしては結構ハードな所もあり、人もそれ程多くなかったこともあって、 大変楽しめた山行であった。


十二ヶ岳・鬼ヶ岳登山データ
上記登山のデータ 登山日:1998.3.29 天候:晴 単独行 日帰り
登山路:文化洞トンネル駐車場−ミネ山−毛無山−一ヶ岳・・・十一ヶ岳−十二ヶ岳− 金山−節刀ヶ岳−金山−鬼ヶ岳−鍵掛峠−根場
交通往路:瀬谷−八王子IC−(中央自動車道)−河口湖IC−河口湖−文化洞トンネル(車にて)
交通復路:根場民宿前−(バス)文化洞トンネル前−河口湖−河口湖IC−(中央自動車道)−八王子IC−瀬谷(車にて)

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