乾徳山・黒金山( 黒金山:2,232m ) 2000.05.06 登山


  乾徳山頂上から見た黒金山 ( 2000.05.06 )

【乾徳山・黒金山登山記録】

【乾徳山・黒金山登山データ】

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乾徳山 初回登山、   黒金山 (敗退編)、   黒金山 再登山


乾徳山・黒金山登山記録

乾徳山はこれで 3回目の登山である。
最初は 1990年の正月で、途中の広々とした国師ヶ原の姿やそこから見上げる乾徳山の惚れ惚れするような三角錐、 そして頂上からくっきり見えた富士山甲武信岳の姿に感激したのであった。

2回目は 1996年の夏、家族との登山であったが、この時は草ぼうぼうで荒れ放題を感じさせる国師ヶ原の姿に失望し、 また頂上ではガスに囲まれてほとんど展望を得られずとやや不本意な登山であった。ただ、慰めはブツブツ文句を言いながら付いてきた子供達が、 頂上が近くなり大きな岩の間をすり抜けたり、鎖場を登ったりすることが多くなるにつれて俄然元気になり、 嬉々として岩に取り付いていたことと (もっとも最後の鎖場はさすがに小さい子供には荷が重く、 巻道を登った)、頂上で作ったカップラーメンに大喜びしてくれたことである。

そして今回 3回目の登山であるが、今回はこの乾徳山登山が目的というよりもそのさらに北に位置する黒金山が目当てである。 この黒金山は第 1回目の乾徳山登山の時にも登ろうとしたのであるが、その時は乾徳山より先の登山道に雪が多かったため、 まだ山の初心者として、かなり慎重であった私としては単独で先に進む勇気が湧かず、 黒金山への分岐となる水ノタルからそのまま下山したのであった。
そして今は初夏。季節は申し分ない訳で、10年ぶりの黒金山を目指すべく このゴールデンウィーク中の 6日、 車で登山口のある徳和に向かったのであった。
道はゴールデンウィーク中にも拘わらず空いており、混雑を心配した中央自動車道も順調で、 勝沼ICで自動車道を降りて道を北上し、徳和に着いたのは 6時半であった。

前回と同じく、徳和の村落を抜け、林道脇にある駐車広場に車を止めたのだが、 多くの人はもっと手前の舗装された駐車場に車を止めていたようである。
駐車場を出発したのは 6時40分。林道を暫く進み、乾徳山登山口と書いた標識があるところから山に取り付く。 この登山口は来る度に立派になっているので驚かされる。
林道の方はまだ先まで延びており、そのまま進めば大ダオに至る訳で、本日の登山が順調ならば下山時にはこの道を帰ってくる予定である。

道の方は過去 2回の登山と同じルートを歩いたため結構周囲の風景が頭に残っており、 途中で横切る林道に放置されていたトラックのことや、水の流れが細い銀晶水、駒止めの様子、豊富な水量の錦晶水など、 草木の生え具合を除いてはほとんど記憶通りであった。
但し、国師ヶ原までの登りが思ったより緩やかであったことには少々驚かされた。1回目の時のことはあまり覚えていないものの、 2回目は長く辛い記憶があったからである。ただ、もしかしたらこれは一緒だった子供達の視点に立っての記憶だったのかもしれない。

錦晶水で喉を潤した後、少し歩けば国師ヶ原で、 そこは 2回目に来た時程ではなかったにしろやはり荒れた感じであった。どうも第 1回目の良い印象が強すぎるようである。
さらに、国師ヶ原に立つと見えるはずの乾徳山の姿もこの日は薄曇りの上、 ガスが山頂付近にかかっていたため見えず、これは 2回連続して天候に恵まれないなと思っていたところ、 草地の中を進むにつれ徐々にガスが晴れだし、ついには樹林越しに乾徳山が姿を見せてくれたのであった。
こうなると見慣れた山とは言えやはり嬉しい。

扇平を過ぎると後はコメツガやシラビソといった樹林帯の中の登りで、 やがて大きな岩が至る所に現れ始める。
前にはなかった気がするが、特徴ある岩には雨乞岩などの名前を記した標識もぶら下がっており、なかなか楽しめる。
やがて、岩の間を縫うような道となり、鎖場も連続し始めるが、難易度はそれ程高くない。
しかし、ペンキ印を見落として進んでしまうと、行き止まりになって立ち往生というようなところもあり、 なかなか侮りがたいところもある。

岩場歩きや鎖場を楽しみ、なかなか見晴らしの良い岩場を過ぎると、 やがて最後の鎖場 天狗岩で、そこには 10m程の鎖が待っていた。
途中、足をかけるところがあまりないために腕力と登山靴の摩擦を頼りに登らねばならないところもあって、結構楽しめる。
気合いを入れて鎖を手繰り、登り着いた所が乾徳山頂上で、まだ 9時5分というのに、 そこには既に 10人ほどの人々が憩っていた。
頂上には大きな岩が累積しており、岩の上には祠も立っていて、その横にはあの 山梨百名山 の黄色い丸太も立っている。

展望の方は花曇りのような感じで、富士山は全く見えず、 これから目指す黒金山とその後の国師岳だけがよく見えている。
腹ごしらえをし、暫く休んだ後は、頂上をそのまま突き抜けて反対側に下り、黒金山を目指す (9時40分発)
乾徳山から見る黒金山は、その名の通り黒々とした山の色と 真ん中の乳首のような盛り上がりが特徴的で、そこまで続く山並みを見るとかなりの距離を感じさせる。
しかし、実際歩いてみると大した登りもなく、意外と簡単に登りつけることに驚かされたのであった。

乾徳山頂上から梯子を下り、大きな岩場を過ぎると 水ノタルで、 ここで左に国師ヶ原への道を分けることになる。
黒金山を指す標識に沿って進むと、ここからは苔むした倒木の多い原生林の中を進むことになり、薄暗い樹林の中には踏み跡が不明瞭な所も何ヶ所か見られる。
しかし、親切にも赤いブリキ板に通し番号を書いた標識が連続して木に掲げられており、これを頼っていけば道に迷うことはない。
40分ほど原生林の中を進み、それから緩やかに登っていくと登り着いた所が笠盛山であった (10時20分)
笠盛山の山頂は狭く、シャクナゲなどに囲まれて展望は利かない状況で、倒れかけた笠盛山の標識がなければそのまま通り過ぎてしまうような所である。

笠盛山を越えてから暫く下り、再び登りがややきつくなる中 後ろを振り返ると、 乾徳山がガスの中に見え、そのなかなか鋭いピラミッド状の姿に少々驚かされる。
山は見る方向によってかなり形が変わるものである。
やがて、樹林の中のやや平らな場所に出ると、そこが黒金山直下の大ダオへの道との分岐点で、この辺になると結構残雪も多くなる。
この分岐点から雪の斜面を 5分ほど登り、樹林の間を抜けると、明るい黒金山頂上に飛び出すことになる。
最初に目に飛び込んできたのは 山梨百名山を示す標識であった (11時3分)

ここからの眺めはなかなかのもので、特に、北西は平べったい岩が敷き詰められたような斜面となってすぐ落ち込んでいるため、 遮るものがなく、正面には堂々として立派な国師岳が谷を挟んで対峙している。
その右手には甲武信岳の姿も見えることは見えたのだが、 かなり霞んだ状態であり、また国師岳の左に見えるはずの金峰山は、 全く見ることができなかったのであった。

暫く休んだ後、先ほどの分岐まで戻って、今度は大ダオへの道を進む (11時23分発)
この道にはかなり残雪があり、また残雪の上の踏み跡もかなり前のものしか残っていなかったため、 やや心細い気がしたのだが、同じ道を戻るのはどうも好きではないことから、敢えて進んでみることにした次第である。
道にはよく見ると、先ほどの赤いブリキ板の標識がそのまま続き番号で続いていることが分かり、心強い限りであった。

腐った残雪に足をとられて苦労しながら斜面を下っていくと、やがて残雪も終わり、 樹林の中のササが煩い道へと変わったが、今度は道が分かりにくい。
テープとともに ササのわずかなくぼみを頼りに進んでいかねばならず多少苦労する。しかし、こういうのが結構楽しいのである。
残念ながらこの楽しみも、樹林が終わり明るく気持ちの良い一面のササ原に出たことで終了である。

この腰まであるササ原が大ダオで、 ササ原の真ん中に標識が 1本立っているのが印象的である (11時59分)
大ダオからは道を左に折れ、ササ原斜面を下っていくのだが、ササに囲まれて足下が見えない中、結構足下がぬかるんでいたり、 岩などがゴロゴロしていたりで大変歩きにくい。
やがて、ほぼ平らな道が続くようになってホッとするが、今度はササやススキなどの草が伸び放題で道が分かりにくく、 テープだけが頼りという状態が何ヶ所か続くようになる。
大ダオ手前で擦れ違った男女 4人のグループが、道が分かりにくいですよと言っていたのが頷ける。

それでも、やがて工事中の砂防提を山の方を巻いて通り過ぎると、 今朝ほどの林道が現れる。後は駐車場まで一本道である。
しかし、この林道は結構距離があり、些か辟易させられる。
右手下には徳和渓谷が見えていたものの景色を楽しむ余裕などはなく、早く車の所まで帰り着きたいという気持ちだけであった。
そして、今朝ほどの登山口を過ぎ、13時39分、駐車場にようやく辿り着いたのであった。

久々の登山であったが、変化に富んでいてなかなか楽しめた。
いつもこうありたいものである。


乾徳山・黒金山登山データ

上記登山のデータ登山日:2000.05.06 天候:晴れ時々曇り単独行日帰り
登山路:駐車広場−登山道入口−銀晶水−駒止め−錦晶水−国師ヶ原−扇岩−乾徳山−水ノタル−笠盛山−黒金山−大ダオ−砂防提−登山道入り口−駐車広場
交通往路:瀬谷−(国道16号)−八王子IC−(中央自動車道)−勝沼IC−塩山−徳和−駐車広場 (車にて)
交通復路駐車広場−徳和−塩山−(甲州街道)−相模湖−厚木−(国道246号)−瀬谷 (車にて)
その他の
黒金山登山
乾徳公園駐車場−徳和峠 乾徳山登山口−道満山−乾徳山(南)林道 接点−(乾徳山林道)−青柳ルート合流点−ササ原下展望台−2,000m付近にて撤退−(往路を戻る) (2015年01月08日 : 快晴)
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円川バス停横 チェーン着脱場−青笹−林道−ササ原下展望台−牛首ノコル−黒金山−笠盛山−乾徳山−扇平−道満山−徳和峠−乾徳公園駐車場(乾徳山登山口バス停) (2015年05月06日 : 快晴)
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