登山NO.0055 早 池 峰 山( 早池峰山:1,917m ) 1995.9.9登山


 小田越大鳥居より早池峰山( 1995.9.9 )

【早池峰山登山記録】

【早池峰山登山データ】

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NO.55 早池峰山登山記録

新幹線を中心とした交通網のお陰で、私の百名山日帰り山行の範囲もかなり拡大しており、上越線では越後駒ヶ岳 (小出駅) 東海道本線では伊吹山 (近江長岡駅) そして東北本線 (新幹線) ではこの早池峰山 (新花巻駅) までが日帰り圏内になっている。

早池峰山への日帰りを可能にするには、花巻駅から早池峰山の麓の河原ノ坊までの直通バスに乗ることが必須条件であるが、 9月に入ったある日、 何気なく時刻表をめくっていて、 9月の10日までこのバスが運行されており、 しかも朝一番の東北新幹線やまびこ号に乗れば バス始発の花巻駅は無理でも、 次に停まる新花巻駅にてバスに乗ることができることを発見し、 おもわず興奮してしまったのであった。

早速、その週の土曜日、瀬谷駅4時55分発の相鉄線に乗り、横浜経由にて東京駅へ行き、朝一番の東北新幹線に飛び乗って 新花巻駅に向かった。

河原ノ坊行きのバス停は殺風景な新花巻駅前の右はじにあり、すでに数人の登山者が待っていて、 最終的には 20人位の登山者の列ができたのであった。

バスを待っている間に交わされる会話も、新幹線を使って早池峰山への日帰りが可能となったことや、 9月15日の敬老の日までバスを運行すべきだ といったことで、 皆同じことを考えるのだなあと 変に感心してしまった。

バスは1時間20分程の長旅で、途中大迫町での休憩を夾んで岳へと向かい、岳の部落を過ぎてからは狭い山道を登って、 終点の河原ノ坊に着いたのは 10時40分であった。

右奥に見える早池峰山をカメラに収め、一旦河原に下りてからコメガモリ沢沿いの道を登っていったのだが、 上を見上げると ずっとなだらかに道が続いていて、 この時点では空も青く、 なかなか気分の良い登りとなった。

沢沿いの道も、頭垢離 (コウベゴウリ) と呼ばれるところからは水も見えなくなって、ゴツゴツした岩場の稜線歩きとなり、 傾斜も徐々に厳しさを増してくるようになって、 少し息が切れるようになった。
少し疲れて後ろを振り返ると、 早池峰山とは道路を挟んで対峙する薬師岳が、 大きな裾を左右に拡げてなかなか堂々とした姿を見せていた。

晴れていた空も、傾斜がキツクなるにつれてガスが発生し始め、打石 (ブツイシ) と呼ばれる大きな岩の横を通った時には、 完全に周囲の視界を隠してしまい、 またそうかと思うと その先でガスはスッと引いたりと、 そういった状況の繰り返しであった。

東北地方ともなると森林限界がかなり低いのであろうか、高度としては低いが周囲はハイマツと高山植物の世界に変わっており、 大きな岩の間を縫って進んで行くと、 やがて早池峰頂上であった。

何か呆気ないほどの頂上到着であり、おまけに頂上では遠足なのか、小学生の集団が輪になって弁当を食べていたので 少々ガックリきてしまった。

頂上は、早池峰山の標識と早池峰神社奥宮がある平らな所を除けば、大きな岩が堆積しており、人混みを避けるため その大岩の上を飛び渡って、 反対側の斜面の方に行き昼食にした。

反対側の斜面の方は、アオモリトドマツの木なのだろうか、なだらかな緑のスロープが気持ちよく下まで続いており、 また右奥にはかすかに釜石方面の海が見え、 左には低くたれこめた雲の下、 形の良い姫神山がうっすらと見えていた。
しかし、 岩手山などの山々は霞んで全く見えず、 少々物足りなさを覚えた次第である。

食事の後、頂上避難小屋の横を下って、御田植場方面に進んだが、赤や黄色に色づき始めている葉や、 赤くなった実を抱えた木々が 所々にあって、 山頂付近は完全に秋の気配を見せ始めていた。

また、この辺は、アオモリトドマツを始めとする木々や草、そして岩とで造られた庭園のようになっており、 途中 胎内岩などのユニークな岩の洞穴もあって 目を楽しませてくれる場所であった。

御田植場の木道を進んで、やがて右に折れると、後は下り斜面であったが、ここから見下ろす斜面はなだらかで広々としており、 緑色の斜面に岩が転々とする中、 先ほどの小学生団体の紺色のジャージが映えて、 なかなか面白い眺めであった。

頂上まではシャカリキになって登ってきた私であったのだが、この雄大な山腹を見ているうちに、この山はのんびり ゆったりとした登山が似合っている山であり、 あくせくしてもしょうがないと思えるようになり、 風景を楽しみながらゆっくり下ることにした。

途中八合目の鉄梯子もあまり大したことはなく、何か牧歌的雰囲気の漂う中での下降であり、特に五合目付近から見上げる山腹は ハイマツの緑が映えて 大変明るい感じであった。

広々とした斜面の中の道もやがて、樹林帯の中の下降となり、溝のように掘られた道を進んで行くと、 徐々に道も平坦になってきて、 大きな木の鳥居をくぐると 河原ノ坊へと続く車道であった。

振り返ると早池峰山の穏やかな姿が、ようやく差し始めた日の光を浴びて輝いており、身体的には物足りなかったが、 精神的には なかなか爽快な気分にさせられたのであった。

河原ノ坊へは車道を右にいくのであるが、水を補給すべく一旦道を左にとって小田越山荘へと向かい、 湧き出る水に喉を潤した。

再び元の道を戻り、先ほどの鳥居を通り越して河原ノ坊へと向かったものの、まだバスの時間には十分余裕があったので、 さらに先の岳部落まで進むことにした。

舗装道路の道ではあったが、自然林の中で気持ちよく、木々の中を眺めていると今にも鹿などが現れそうな雰囲気があり、 途中2つの滝 (鳴想の滝、青廉の滝) などを眺めながら のんびりと歩いた。

やがて峰南荘という旅館兼食堂の前に着くと、そこには入浴可と看板が出ていたので、早速風呂に浸かって汗を流し、 バスを待つ間、 風呂上がりのビールで喉を潤した (食堂は5時までだったのが残念)

帰りのバスが途中、乗用車と接触事故を起こして時間をロスするというアクシデントがあったものの、 何とか新幹線の時刻に間に合うことができ、 無事家路につくことができた。

往復の時間の方がはるかに長い登山であったが、 こういったのんびりとした雰囲気もたまには良いものだと しみじみ思った山行であった。


早 池 峰 山 登 山 デ ー タ

上記登山のデータ登山日:1995.9.9 天候:曇り時々晴れ単独行日帰り
登山路:河原ノ坊−頭垢離−打石−早池峰山−御田植場−鉄梯子 −竜ヶ馬場−三合目−大鳥居−小田越小屋−大鳥居−河原ノ坊−鳴想の滝−青廉の滝−岳
交通往路:瀬谷−(相鉄線)−横浜−(東海道本線)−東京 −(東北新幹線)−新花巻−(バス)−河原ノ坊
交通復路:岳−(バス)−新花巻−(東北新幹線)−東京 −(京浜東北線)−横浜−(相鉄線)−瀬谷


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