登山NO.0044 岩 手 山( 岩手山:2,038m ) 1993.8.1登山


 盛岡市郊外から見た岩手山( 1993.8.2 )

【岩手山登山記録】

【岩手山登山データ】

再登山


NO.44 岩手山登山記録

今年の東北地方は冷夏の被害を被っており、まともに太陽が照りつける時が少ないと聞いていたが、 私たち家族が東北旅行をした4日間も ほとんど雨か曇りという天候であった。

1日目に岩手山北西の松川温泉に宿泊し、2日目は我が儘を言って、私は岩手山登山、妻と子供達には小岩井牧場にて遊んでもらう という日程を組み、 8月1日の早朝、 登山口の焼走りまで車を走らせた。

広い駐車場に車を止め、軽井沢の鬼押出しをスケールアップしたような焼走溶岩流を暫く家族で見学した後、 妻と子供達は車で小岩井牧場へと向かい、 私は岩手山へと向かった。

天候はどんよりとした曇り空で、山の上方はガスがかかっていて全く見えず、些か不安になる出だしであった。

岩手営林署・西根町の手になる焼走り溶岩流についての解説が書かれた立て札を横に見て、左手の溶岩流に沿って暫くは平坦な道を進み、 やがて雨による流水でえぐられたのか、 溝となって岩も飛び出している歩きにくい道をひたすら登っていった。

途中から心配していた雨が降り出し、傘をさしながらの登りとなってしまい、その上、溶岩流の噴出口までは樹林帯の中の単調な道で、 展望を得られない上に結構坂がキツク、 ツライ登りであった。

噴出口からは樹林も切れてやや明るくはなったが、本来楽しめるはずの展望も雨とガスのため全く視界が得られず、 例の如く黙々と登るしかなかった。

足元も土混じりの道から完全に火山砂礫の道に変わっていて、そのためにやや滑りやすくなっている坂を登りきると、 やがて斜面を横に突っ切る道の両側に コマクサの群落が見られるようになった。

不勉強であったが、コマクサはアルプスのような高いところにしか見られないものだと思っていたので、 岩手山にあること自体に驚くとともに、 こんなに大量のコマクサが 薄いピンクの花を咲かせている光景を見たのは初めてだったので 少々の感動さえ覚えた。

コマクサの群落を過ぎると、道はまた樹林帯に変わり、ツルハシと呼ばれる上坊からのコースとの合流点を過ぎて、 やがて小さな祠と錆びた剣がある三十六童人に着いた。

ここから先は樹林帯の中のキツイ登りとなって、雨でややモラールが上がらない中、喘ぐようにして登っていくことになったが、 やがて 右側に大きな壁のような岩峰がガスの中にボンヤリと現れ、 その左下に茶色の洒落た小屋がある場所に着いた。 平笠不動である。
小屋は新しく、 中にはいると10人くらいが休んでおり、 みな雨のためかなんとなく元気がないように見えたのは 気のせいであろうか。

小屋で簡単に腹ごしらえをした後、ハイマツの中を頂上に向かって登って行くと、雨とともに風が強くなり始め、 結局途中で傘をあきらめ、 レインウェーアのみで登っていかねばならなくなってしまった。

また、普段なら目の前に見えるはずの岩手山頂上がガスのために全く見えず、ハイマツが途切れて火山砂礫の道となっても どこを歩いているか分からず 何となく不安であった。

山頂の一部らしき所に飛び出すと、すぐに石仏や祠、岩などが無造作に積まれている場所があり、そこに岩手山山頂と書かれた標識があった。
しかし、 視界は全く得られず、 お鉢になっているはずの火口跡も見られない、 何とも情けない登頂であった。

そのまま時計回りにお鉢巡り (とは名ばかりでガスの中をただ歩いただけ) を行ったが、ほとんど視界がきかない中を歩くのは 大変不安を覚えるもので、 そのまま一周することができると分かっていても 何となく怖かった。

その不安が高じたのか、先ほどの頂上から約半周して不動平へ下りるつもりでいたところ、また先ほどの頂上へ戻ってしまい、 頭が一瞬パニックになってしまった。

実は、まだ一周しておらず、その少し先が不動平への下山路であったのだが、視界がきかないため似たような雰囲気の場所を 先ほどの頂上と思いこみ、 下山路が分からないまま一周して元に戻ってしまった と思い込んでしまったのである。

たまたま、不動平へ下りる人と会ってすぐに誤解は解けたのであるが、これがこのようにシンプルな道順の山でなかったらと考えると ゾッとしてしまった。

私が焦った理由はもう一つあって、私がこれから向かう御神坂駐車場に妻が迎えに来ることになっており、 どうしても 約束の時間までに着かないと問題が大きくなる 可能性があったからである。

単独行で制約が無ければ、また焼走りに戻っても問題はないのであるが、場所と時間を決めて待っている人がいる場合、 その地点にいつまで経っても私が現れなかったら、 遭難騒ぎまで持ち上がることも考えられ、 そういった色々なことを想像して パニックになったという次第である。
やはり気ままに、 自由に登る方がズッと楽である。

不動平には不動平休憩舎があったが、中は多くの人でごった返していて、座る場所を確保することも難しそうだったため、 そそくさと飛び出し、 そのまま下山することにした。

しかし、ここでも失態をおかしており、御神坂駐車場への標識が見つからなかったため、地図も見ずに勝手に判断して 柳沢コースをドンドン進んでしまい、 道の先に八合目小屋らしきものが見えてきたのでおかしいと気づいて 慌てて戻ったという次第である。

御神坂駐車場へは、一旦鬼ヶ城尾根への道を進むべきであり、それに気づいたのは不動平休憩舎に戻ってもう一度地図を見てからであった。
やはり勝手な判断は危険であり、 慌てている時こそじっくり落ち着いてことに対処する必要がある と思った次第である。

御神坂駐車場への下りはかなりの急坂で、雨が降る中を一気に駆け下りたのでほとんど状況を覚えていないというのが実状である。
途中、 2人ほどこのコースを登ってきた人とすれ違ったが、 ここを登るのはよほど足に自信がある人であろう と思った記憶があるから、 かなりの道だったということなのであろう。

道が平らになってくるとやがて広い駐車場に飛び出し、5台しか車が駐車していない中、私の車が約束の時間よりも早いにもかかわらず 停まっているのが見え、 これには正直本当にホッとした。
駐車場のトイレで簡単な着替えを済ませ、 そのまま、今夜の宿である網張温泉に向かい、 温泉に浸かって汗を流した。

網張温泉の湯船に浸かりながら、 天候にも恵まれず、 また色々失敗もあった岩手山だったので、 是非とも捲土重来を期したいと誓ったのであった。


岩 手 山 登 山 デ ー タ

上記登山のデータ登山日:1993.8.1 天候:曇り後雨単独行前日泊
登山路:焼走り−噴出口−五合目−三十六童人− 平笠不動小屋−岩手山−(お鉢巡り)−不動平−御神坂駐車場
交通往路:松川温泉から車にて焼走りまで。
交通復路:御神坂駐車場から車にて網張温泉へ。
温 泉:網張温泉
その他:家族旅行の途中、私のみ登山。家族は小岩井農場へ。
7月31日松川温泉泊。翌8月1日岩手山登山。1日は網張温泉泊。
その他の岩手山登山焼走り−噴出口−ツルハシ−三十六童人−平笠不動避難小屋−岩手山−(お鉢巡り)−(往路を戻る) (2006年10月14日 : 快晴)
    こ こをクリック


山のメインページに戻る   ホームページに戻る