登山NO.0061 伊 吹 山( 伊吹山:1,377m ) 1995.11.19登山


 近江長岡駅付近から見た伊吹山( 1995.11.19 )

【伊吹山登山記録】

【伊吹山登山データ】

フォト


NO.61 伊吹山登山記録

前日、恵那山に登った後、岐阜のビジネスホテルに泊まって今日の伊吹山に備えた。

早朝、岐阜駅で電車を待ったが、天気は快晴であるものの、さすがに11月も半ばとなると風が頬に冷たく、 冬が近づいていることを感じさせられた。

岐阜から伊吹山登山口のある近江長岡まで電車に乗っている間、退屈しのぎに車窓から山々を眺めていたら、 目的地近くなって 堂々とした立派な山が現れたので 思わず腰を浮かせてしまったが、 案の定それが伊吹山であった。

田畑の向こうに見える姿は、俗化したとも言われる山とは思えない、大きくどっしりとした山容で なかなかの風格をみせており、 登高意欲を十分にかき立ててくれるものであった。

近江長岡駅ではバスの発車時刻まで間があったので、売店でパンを買って朝食とした後、駅周辺を散策し、 家並みから少しはずれた所に 伊吹山全体が見渡せる土手を見つけて、 そこで何枚か写真を撮った。
晩秋の田園風景を前に、 朝日に輝き始めている伊吹山は美しく、 その姿に神奈川に住む我々が富士山や大山 (おおやま) を毎日見て親しみを感じているように、 伊吹山も周囲から崇められ、 慕われるている山であろうことが容易に想像できた。

約10分程バスに揺られて終点の伊吹山登山口に着き、正面に伊吹山を見ながら車道を進んでいくと、 やがて 三之宮神社の鳥居に突き当たったので、 そこから道を右に折れ、 少し先で車道から離れて登山道へと入った。

土をえぐって作られた道は意外と広く、杉の林の中を鳥の声を聞きながら登っていくと、やがて道が細まって、 スキーリフト乗り場、 売店などがある一合目へと飛び出した。
後から考えてみると、 樹林帯はここだけであり、 ガイドブックに夏は日差しが強いのでキツイ と書いてあったことが納得できた。

一合目からは、スキー場の斜面を登って行くことになり、明るい草原歩きのようでなかなか気持ちよく、 振り返ると 高度を上げるにつれて先ほどのリフト乗り場の向こうに 近江の町並みが見えるようになってきた。

スキー場の斜面を登り切った所に二合目の標識があって、そこから道はまた登山道に変わって左へと登っており、 やがて道は右に折れ、 緩い坂を登り切ると三合目の標識を見ることになった。

三合目からは、またスキー関係の構築物が現れ、少し登ると左には伊吹高原ホテルも見えたが、同時に伊吹山の全容も正面右に見えるようになり、 その壁のように立ちはだかっている姿に 少したじろがされる程であった。

高原ホテルがある四合目付近は広い台地のようになっており、車道などもあってやや迷ってしまったが、 リフトの終点方面へと歩いていくと、 リフト脇に登山道が見つかり、 やがて五合目の標識がある小さな広場に着いた。

有り難いことに、ここには自動販売機があったのでポカリスェットを飲みながら小休止したが、目の前には先ほどにも増して急峻に見える 伊吹山の斜面があり、 そこを登っていく人たちが豆粒のようになって見えていた。

五合目からの登山道は、急な斜面に対抗するためにジグザグに切ってあり、灌木や草に囲まれた道を喘ぎながら早足で登ったが、 実は、一合目付近で抜いた人がペースを上げて登ってきていたため、 抜かれまいと頑張ってしまったのである。
もっと楽しみながら登れば良かったと後で反省したが、 抜かれるのが嫌いな性分だから仕方がない。

また、気温が上がってしまって、頂上からの展望が霞んでしまわないうちに早く頂上に着きたいという気持ちもあったため、 ジグザグの登山道をショートカットする道 (らしきもの) を登ったが、 これはやはり登山道を荒らすことになり、 やってはいけないことであろう (一応、登山道らしいものがつけられていたが・・・) ここでも反省である。

やがて、九合目の小屋を過ぎ、傾斜も緩やかになると道はT字路に突き当たり、ロープで囲まれたややぬかるんだ道を右に進むと 山小屋が見えてきたが、 そこは日本武尊の像がある頂上であった。

頂上は、横に長く、やや滑稽な (失礼 !) 日本武尊像の他、祠や石仏などがあちらこちらに設置されていたが、 一等三角点は測候所の建物の手前にあり、 今まで登ってきた山と違って立派な解説が傍らに設置されていた (そう言えば、 九州の尾鈴山にも解説があった気がする)

解説には、三角点の設置年度が明治18年と書かれていたが、今から100年以上も前に全国に三角点を設置して歩いた 陸地測量部の人達の業績に驚かされるとともに、 剱岳に初めて登った (実は先人がいた) 陸地測量部の柴田氏 (? 記憶が曖昧) のことを書いた新田次郎氏の小説 「点の記」 を思い出してしまった。

頂上からの展望は申し分なく、これまで登ってきた登路を目で辿ることができるとともに、近江の町並みや琵琶湖の湖面を見ることができ、 また山の反対側では、 重畳する山々が、 紅葉が終わってすっかり茶色くなった状態で 目の前に拡がっていたのだが、 悲しいかな一つとして山の名前が分からなかった。

日差しは優しいものの頂上は風が思いの外強く、一ヶ所にジッとしているのは結構辛かったので、広い頂上をウロウロしたが、 頂上近くまで車道が通じているためであろう、 登山者に混ざって普通の服装の人も多く見られ、 この山がもはや観光地であることを思い出させてくれた。

下山は往路をそのまま戻ったが、振り返ると伊吹山が堂々とした姿を見せており、観光地、俗化などという言葉を簡単に使ったものの、 山としての評価を下げさせたのは人間の所為 (セイ) であって、 伊吹山自身は昔と変わらず泰然自若としており、 伊吹山に対してこのような評価を下すことは筋違いだなあ などと考えながら斜面を下った。


伊 吹 山 登 山 デ ー タ

上記登山のデータ登山日:1995.11.19 天候:快晴単独行前日泊
登山路:伊吹山登山口−三之宮神社−一合目−二合目 〜五合目〜九合目−伊吹山−九合目〜五合目〜二合目−一合目−三之宮神社−伊吹山登山口
交通往路:岐阜−(東海道本線)−近江長岡−(バス)−伊吹山登山口。
岐阜までは、恵那山の項参照
交通復路:伊吹山登山口−(バス)−近江長岡−(東海道本線)−名古屋− (東海道新幹線)−新横浜−(市営地下鉄)−横浜−(相鉄線)−瀬谷
その他:18日は岐阜泊。翌19日に伊吹山登山。下山後帰宅。


山のメインページに戻る   ホームページに戻る