登山NO.0019 常 念 岳( 常念岳:2,857m ) 1990.7.30登山


 前常念付近から見た常念岳( 1990.7.30 )

【常念岳登山記録】

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NO.19 常念岳登山記録

昨年は南アルプスの 2山 鳳凰山甲斐駒ヶ岳 を登ったが、今年は北アルプスに是非挑戦したいと思い、 色々検討した結果、槍ヶ岳を中心としたいわゆる表銀座縦走を試みることにした。

そして、やはりせっかく北アルプスに行くのであれば、1つの山だけを単発に登るのではなく縦走してみたいし、 また日にちをかけて縦走するのであれば、できるだけ多くの百名山に登ってみたいと思い、 少々欲張りではあるが、当初考えていた常念岳と槍ヶ岳の縦走に加え、コースから離れてなかなか行きにくい所にある 笠ヶ岳を追加することにした。

まずは、どのような縦走コースをとるかであるが、 笠ヶ岳から登るよりは常念岳の方から縦走する方が交通の便からいっても効率的であるし、 またできるだけ常念岳へ直登するようにすれば、山で 3泊4日、あるいはうまくいけば理論的には 2泊3日で踏破できることになるため、 前日の夜行にて豊科へ、そしてそこから三股まで行って常念岳に登るルートを選ぶこととした (燕岳をはずすのは少々残念な気もしたが、 限られた時間の中では仕方がないとあきらめた)

予定通り高尾駅から夜行列車に乗ったと言いたいが、実は私が買っておいたグリーン指定券の切符は前日のものであり、 高尾駅を出発する時間には日付が変わっていることをうっかり気づかずに購入したものであった。
幸い、空いた席があったので事なきを得たが、最初からあまり良い出だしではなく、先が思いやられるできごとであった。
それでも私が睨んだ通り、グリーン車両は車両内の明かりは消してくれるし、リクライニングシートであったために寝やすいということで、 かなり快適であった (これこそ贅沢のし甲斐があるというもの)

早朝、松本駅に着いたところで目を覚ましたが、窓の外はまだ暗く、本日の天候を知ることはできない。
降りる支度をしながら、カーテンの隙間から徐々に明けゆく空を眺めていると、天候の方は大丈夫のようであったが、 肝心の山岳地帯は雲に包まれているようであった。大変残念である。

豊科駅から三股まで行くにはタクシーしかないのだが、豊科駅で待っているタクシーの台数も分からず不安だったので、 豊科駅に着くやいなやダッシュして、タクシー乗り場に急ぐ。
うまく同じ目的地を目指す登山者を見つけ、相乗りするという手もあったのだが、 とにかく早く山に登りたいという気持ちと、タクシーを早く確保したいという気持ちが強かったため、 1人で目的地に向かうことにしたが、少々タクシー代がかかることは気にならない。

未舗装の林道を走り、行き止まった所が三股の登山口であったが、既に登山口には車が数台止まっており、 何人かの人たちが登る準備をしている。
空模様は、やや雲が多く、さらに山の方は霧が立ちこめており、折角北アルプスにやって来たのに、 頂上で何の展望も得られなかったらどうしよう などと心配しつつ山道を登り始める。

最初の一歩からどうもいつもと調子が違うような気がしたのであるが、初めての夜行列車による山行のためか、 あるいは北アルプスにとうとうやって来たということで若干舞い上がっていたのか、暫くの間は地に足が着いていない感じであった。
徐々にペースを掴み、黙々と登って行く中、高度を上げるに連れて霧がだんだん濃くなってき始め、 前後に誰もいない樹林帯の中で大変心細さを感じるとともに、我が身の不運を嘆くことしきりであったが、 これも運、あきらめるしかない と自分に言い聞かせながら登っていく。
後で考えると 1人でブツブツ独り言を言っていたようで、これも気を紛らわせるためと、 自分を元気づけるためだったのかもしれない。

しかしである、樹林帯を抜け、岩におおわれた避難小屋のあたりに来たときに、どういうわけであろうか、 霧がスーッと消えていき、目の前に鮮やかな緑と白と茶色からなる大きな山が、青い空とともに現れたのである。
これには思わず、奇跡だ と叫んでしまう程ビックリさせられてしまったのだった。
この景色こそ求めていた北アルプスの姿であり、求めていた天候であるわけで、岩場を歩きながら心が浮き立つ自分を感じるとともに、 頂上に着くまでこのままの状態であることを願わずにはいられなかったのだった。

はやる心を抑えつつ、最後の登りを終え、常念岳の頂上に立つと、頂上にあった祠の向こうに槍穂高連峰が屏風のように連なっているのが見え、 とうとう憧れの北アルプスにやって来たんだという実感がわいて、カメラのシャッターを何回も押してしまった。

30分も頂上にいたであろうか、いつまで見ていても飽きない景色ではあるものの、 先は長いので踏ん切りを付け、常念乗越へ下り始める。
こちら側は、小さな岩をうまく整備して造ってはいるが結構急な道なので、岩を崩して落石を起こさないように配慮しつつ慎重に下っていたところ、 足下に雷鳥が飛びだしてきたので少々慌ててしまった。

常念乗越にある常念小屋でビールを買い、初めての北アルプス登山に 1人祝杯をあげるとともに、 小屋に公衆電話が設置してあったので妻に電話をする。
このような高い所から電話をかけられるとは驚きである。

常念乗越からは再び登りにかかり、今日の宿泊地である大天荘へと向かう。
大天荘までの道は、途中に雪渓があったり、霧が尾根の片側だけにかかるといった自然の作り出す不思議な光景を見ることができたり、 また猿の群に出会うなど、いかにも自分がアルプスの自然の中を縦走しているという気分にさせてくれる楽しいものであった。

大天荘に近づくにつれて再び霧に囲まれ始め、全く視界を得ることができなくなった状態の中を不安のうちに進んでいったが、 ありがたいことに雪渓から水を引くホースが足下に見つかり、ホース導かれるようして午後 2時40分に大天荘に入ることができたのだった。

小屋は 3人に敷きふとん2枚というくらいの混み方で、北アルプスではこれは空いている方なのだそうだが、 今までほとんど混むことのなかった山小屋泊まりしか経験していない私には、少々窮屈であった。
それでも前日が夜行列車泊だったためか、あるいは今日のロングコースのためなのか、これまでの山小屋の中で一番睡眠をとることができたのだった。

以下、槍ヶ岳の項に続く。


常 念 岳 登 山 デ ー タ

上記登山のデータ登山日:1990.7.30 天候:曇り時々晴れ単独行前夜発夜行
登山路:三股−前常念岳−常念岳−常念乗越−横通岳−東大天井岳−大天荘(
交通往路:瀬谷−(相鉄線)−海老名−(相模線)−橋本−(横浜線)−八王子− (中央線)−高尾−(中央本線:車中泊)−豊科−(タクシー)−三股
交通復路槍ヶ岳、笠ヶ岳へ縦走。笠ヶ岳の項参照
その他:7月29日に夜行にて出発、翌30日常念岳登山。30日は大天荘泊。
その他の
常念岳登山
三股駐車場−三股−前常念岳−常念岳−2,592mピーク−蝶槍−三角点−蝶ヶ岳ヒュッテ− 蝶ヶ岳最高点−まめうち平−三股−三股駐車場
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一ノ沢駐車場−ヒエ平登山口−山の神−王滝ベンチ−−烏帽子沢−笠原沢−胸突八丁−最終水場− 第1ベンチ−第3ベンチ−常念乗越−前常念分岐−常念岳 (往路を戻る)
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