縮刷版99年5月下旬号


【5月31日】 千葉県民で良かったと思える日曜深夜or月曜早朝のアニメ「To Heart」は、「大運動会」のいっちゃん辺りからどうも関西弁の役が増えてるよーな気がする久川綾さん演じる委員長が主役となった文化祭に付き物のクラスの対立と奮闘と和解の物語に、似たよーなことがあったよーな記憶があるよーな気がしないでもない我が高校時代を思い出して涙ぐむ。皆が一生懸命頑張って体育祭用の人形を作っているのを知りながらさっさと帰った事とか、部活動の文化祭のために古い写真を引っぱり出す手伝いをしたとか。思い出すとなーんだ僕ってこの頃から不調和で自己中だったんだ。

 展開も落とし所も分かり切っているにも関わらず、ハッとしたりホッとしながら見てしまうのがそれが否定的であれ肯定的であれ経験的に共有し得る物語の”定番”だからなんだろー。例え二番煎じだパクリだありがちだと言われたところで”定番”には逆らえないのだ人間の気持ちは。来週はフツーだった学園ラブラブ物語に突如として最新鋭の科学技術が注ぎ込まれたメイドロボット「マルチ」が登場、原作的にはオッケーでいずれはそーなると決まっていたとは言っても、初めて接した素人目には突拍子もない展開でやっぱりちょっと驚く。さてどーゆー筋立てとなることやら。長靴下とモップの定番スタイルが来週の夜の目をきっとウルウルさせてくれるでしょー。

 文藝春秋の中間小説誌「オール読物」の6月号掲載は酒見賢一さんによる300枚書き下ろしの「周公旦」をやっとこさ読了。いやここんとこセガだとか中古ソフトだとかの問題山積みな仕事でちょっぴり読書的神経が病んでいたんで目の前にありながらも読めなかったんですよ、でも漫画はしっかり読んでたけどね、杉崎ゆきるさんの「女神候補生」の第3巻とか。で酒見さんのえっと「語り手の事情」以来になるのかな「陋巷に在り」以外の作品ってことで期待も十分に読み始めたら半分くらいはなかなかに難渋。それは孔子から遡ること500年の殷を滅ぼした周がなんとかして地盤を固めていく春秋時代の歴史をざっくり歴史書みたいにおさらいしていく文体に、不良学生だったわが身の不徳が思い起こされてショゲショゲになってしまったことと実は無関係ではないけれど、半分は人モノじゃなくって感情の置き所がなかったからってことですか。

 それでも太公望呂尚の策謀と周公旦の礼にのっとった忠義心がわが身を痛めつけても周を救おうを働きだしてからの後半になると、その巡らされるはかりごとの深みとか、人心のつかみかた天下の転がし方など学べる部分が多く出てきて面白味が湧いてくる。さらに周を出奔して楚へと逃げた周公旦が礼をもってピンチを切り抜け中国を何とか大乱から回避しようと頑張る姿に、今の乱世のごちゃごちゃのなかで漁夫の利をせしめようとばかりするチンケな政治屋のみすぼらしさが対比となって浮かび上がって目を醒まさせてくれる。南蛮を旅する周の冒険譚だけでも澁澤龍彦の「高丘親王航海記」にも並ぶ幻想の物語が紡げそうな気もしていろいろと読む人にヒントを与えてくれる基調な短編。本人へのインタビューも掲載されててファンなら探して出ても買いだね。豊橋の「むぎとろ」って記憶にないなあ。どこだったっけ?

 届いた日販の週報を見ていたら6月の下旬に森岡浩之さんの新刊「月と炎の戦記」がスニーカーブックスで発売とか。「星界」書かんでこーゆーのをと思う「星界」ファンも山といよーが日本の神話を題材にした神話ファンタジーっぽいあらすじは魅力たっぷりなんでちょっと期待。あと津原泰水さんの「蘆屋家の崩壊」(集英社)なんてタイトルに含みたっぷりな新刊が6月25日とか、森博嗣さんの何時の間に書いていたのか新潮社ミステリー倶楽部から新刊「そして二人だけになった」が16日とか有栖川有栖さんや恩田陸さんらが参加してのアンソロジー「大密室」が新潮社から28日とかいろいろミステリー関連な人には楽しめそーな月になりそーだけどうーん、金が……足りん。ソニー犬の発売も明日だしさてさてどーしたものかいな。


【5月30日】 ひれほろはらひれと牧野修さんの新作「偏執の芳香 アロマパラノイド」(アスペクト、1800円)を読む。17ページで「炬燵に入ったまま眠るように死んでいた」はずの主人公の母親が36ページだと「二カ月前、病院で息を引き取った」となっているのはもしかしてとてつもなく深い伏線なんだろーかと考えこんだけど結局最後までよく解らず。どーゆーことなのか是非とも作家さん編集さんに聞いてみたいものだねー。それはさておきお話の方は過去あるいわゆる”電波系ホラー”の領域に近いものの使われているのは一部は”電波”ながら本筋はこれとは違う”香り”であって、それが人間を狂わせ操る展開はさしずめ”芳香系”それとも”臭気系”と言ったジャンルのホラーに仕上がっていて読む目に新しい。嗅ぐ鼻にも新しいはずなんだけど詰まり気味なんでそっちはよく解りません。

 人智の範囲でちょっとばかり優れた人間が影でこっそり操り惑わす展開だったら今この現実の社会でも起こり得る事態として身に迫る恐怖を感じたかもしれないけれど、どこか人智を越えた存在の登場はお話をとたんに”電波系”の高みへと押し上げて恐怖よりもむりそ畏敬へと読後感を変えてしまう。だったらSFかと言われれば「OKAGE」とどこか共通する前提もあって排撃派を招きかねない恐れもあるからここはこれで括れば何だってオッケーな「ホラーファンタジー」とかって曖昧にお茶を濁しておくのが正しいのかも。「SFマガジン」のレビューでさて誰のコーナーで取りあげられるかによってレッテルが決まりますんで皆さん領地拡大の為に獲得・講評に邁進しちゃって下さい(でも「SFマガジン」にレビューが載るなら広義にはSFか)。

 タフじゃないけど気候も宜しいようで適当に寝てちゃんと朝の8時には起きてとりあえず「おジャ魔女どれみ」を見てからついでに「日曜美術館」の草間彌生さんへのインタビューに一気に眠い目を覚まして(日本の画壇批判が直で飛び出すとは)それから支度をしてまず会社へ。途中サラ・ゼッテルの「大いなる復活のとき」(冬川恒訳、上760円、下720円)を読み始めて眠らされた女性を巡る宇宙を巡った争奪戦ってな設定に「こりゃアウトロースターか」と一瞬思う。ちなみに「虚ろな穴」の文庫本裏表紙のアウトラインを読んで思ったのは当然のことながら星新一さんのアレですが。どうやは相当に奥深そうな設定の上で繰り広げられる大冒険は、登場人物の多さにややもすれば辟易とさせられそーだけど、めくるめく宇宙空間のビジョンには期待もできそー。後は主人公の性格活躍あたりにかかってくるんで哲学的に悩むなんてことはせずにゲシゲシ行っちゃって頂きたい。くれてるのかな?

 中古問題関連の記事をチェックした後で渋谷は「ブックファースト」で開かれたとり・みきさんのサイン会へ。待望な「遠くへいきたい」の第3巻が河出書房新車から刊行となっての記念イベントで、始まる2時半ほど前に書店へと着きまだ整理券余ってるかなーと心配顔でレジに本を差し出してもらった番号が「21番」。をいをいあと2時間半でこの番号はないだろーと長年のファンとして怒り心頭に達したものの、残念ながら現実的には一般少年マンガ誌で連載をしている訳でもなければ記念館が作られたり野球の解説をしたり政治経済の話を語るってな、おっさん兄ちゃん姉ちゃんらをキャッチするだけの印象に乏しいのもまた事実。やっぱりニューカレへと逃げずに「たまねぎパルコ」を続けておけば良かったのにと、1億年前に死んだ原始生物の歳を数えるよーな気持ちになって悔やむ。バラエティーで競演してた鶴ちゃんみたく”藝術家”になるとか。

 ところがそんな心配をよそに始まってみたら間近になって購入した人が集まり始めてそれなりにそれなりな行列が出来て嗚呼世の中まだまだ捨てたもんじゃーねーやと、根強いファンを持ち続け広げ続けているその活動の真価を見る。ちなみに開始を予定していたサイン会が15分ばかり遅れたのは娘さんの運動会が若干伸びたからとゆーのが書店の説明。かつてニューカレまでアイドルを追いかけていった人がと思うと、人として人を愛する真っ当な人生を誰でも歩んでいくものなんだなーと深い感銘に身を震わせる。お客さん待たせてそれはないよとゆー人がいたら言ってやるぞ。アイドルと客と娘さんの運動会のどれが大事って決まってるじゃないか1番娘で2番がアイドル3、4がなくて5にお客。いずれアイドルとしてデビューした娘さんがニューカレへとロケに行って昔馴染みな人がこぞってカメラを持って飛び、「TVブロス」の連載も初の”作者急病につき”となるなんて事態を再び見られる日が来くるか。

 「遠くへいきたい」は何年か前に池袋で開かれたサイン会であれは1巻だったっけ2巻だったっけ、覚えてないけどサインをもらった記憶があってこれで2冊をゲット。「石神伝説」の刊行時にも行けなかったけどサイン会を開いていたからここのところ新刊が出ればサイン会が常態化しているのかな。なにせ3年分が溜まってよーやく1冊単行本が刊行できる気の長い連載。今回で98年夏までの分が収録されているから次に出るのは2001年か2年っていった辺りでその時は運動会の娘さんが三つ指ついて「お世話になりました」とゆー時だから(んな訳ない)サイン会が開かれるのかどーかは微妙な情勢。けどまあ続きそーな気もしてますんでサイン会もいずれきっと開かれるだろーと信じてその時も行きますとここに宣言しておこー。白髪頭に禿頭で向かいあって「やっとかめだなも」と言える日が来ることを信じてますがや。


【5月29日】 我破れたり。まー最初から半ば諦めていたとはいえ朝も7時に起きて8時前には家を出て原宿のキディランドに到着したのが8時40分。開店までは1時間以上もあるから余裕で買えるだろーと思っていた今日が初お目見えの日本語版「ファービー」は、けれどもすでに表参道へと続く道の半分くらいの、ちょうど「ポールスチュアート」のショップがある辺りまで伸びていて日本語版の購入はそこら辺では難しいとか。英語版の新柄を購入するって手もまだあったけどそこはほれ、初物を初日に手に入れてこそ他人にも自慢が出来るってものだから英語版だと「なーんだ」と言われるのがオチだと自らを納得させ、行列に並ぶのをやめてその場で体勢を取材へと切り替える、ってお前さん一体何しにいったんだい? ブンヤのくせして。

fabi1  待っているとデカ「ファービー」=写真右=が登場してよたらよたらを道を歩いていたので何枚か写真をパチリ。そのアメリカーンな容貌が日本人に受け入れられるのかって心配が発売前にはあったけど、登場した着ぐるみを見た周囲の反応はそれしか言葉が無いのか無いんだろーなの「かわいい」がいっぱい。子供も大人も近寄っては一緒に写真をこれも他に無いんだろーなのピースサインで撮りまくりで、中には開いた口に手を突っ込む剛の者、背中を殴る乱暴者も見られたけれどこれとて愛情の裏返しだと言って言えないこともなく、第一印象は悪くても雰囲気仕草で日本人は結構コロコロ参ってしまうもんだと、その変わり身の速さになるほど日本が世界にこっそりしっかり蔓延っていける理由を見たよーな気がする。並ぶと160センチもなさそーな体長だけど中に入ってるのは女性なのかな? それとも子供? とにかく重く辛そうだったけど開店時まで頑張ってピーアールしてたなー。これから夏だけど「だんご」みたいなアッと出てパッと消えるブームにしないよーに汗疹気にせず頑張りましょー。

 30分繰り上げての開店で登場した「ファービー」は日本語版はともかく英語版に噂のキリン柄、シマウマ柄、ダルメシアン柄がちゃんとあってしまったこれなら並んでおけば良かったと一瞬だけ思うものの、見ているとすでにフクロに包装された「ファービー」をランダムに渡していく売り方では柄を選ぶのも不可能みたいで、既に持ってる柄も含めた最初のバージョンが当たったら気も萎えること必定なんで、見送って良かったとここでも無理矢理わさわさと立ち上る欲求を抑え付ける。けどキリン柄のシマシマ「ファービー」はまんま「阪神柄」と言っても通用しそーな色柄形で、これに旗とか帽子とかメガホンをセットにして関西で売ればホンマ絶対売れまっせ。100コ位集めて今から頑張って六甲おろしを唄うよーに仕込んでおけばもし仮に、万に1つの可能性(未だに信じてないんだよ、まだ5月だもん)で優勝でもしたらその時は阪神柄「ファービー」をアルプススタンドに並べて一斉に唄わせるんだ。やりませんかトミー、「人生ゲーム」阪神版の向こうを張って。

fabi3  切り上げて今度は新宿高島屋へと転戦。なるほど1階のロビーに特設コーナーを作っての販売に群がる人々の数およそ無量大数、は嘘としてもマジに新宿駅にまで届いていそーな長蛇の列に、前日電話した時に聞いていた日本人にはウケるか本当に客は並ぶのかといった不安が全然杞憂に終わったことをとりあえず喜ぶ。しばらく見ていると「キディランド」でも見た巨大な着ぐるみ=写真左=が登場、けど一緒に移動しなければ来れる時間じゃなくもしかしれ「ファービー」あの腹にフクロでもあってあの声で「どこでもドアーっ」とか言ってぐにょーんと取り出すことが出来るのか、なんて事を思って聞くとなーんだってな答えが広報の人からかえって来た。「2つ作ったんですよー。ミッキーマウスじゃないから2つ同時にいてもいーんです」。ごもっとも。

 よく見ると原宿のにはなかった額のセンサーが新宿のにはちゃんとあって目の色も青と茶で違う。足の形も原宿は肉厚で新宿は扁平と、どちらかってーと原宿のほうがフックラ可愛く仕上がっているよーな気がする。とりあえず初日の様子を見るにつて、「ファービー」の着ぐるみを2つ作っても全国で引っ張りだこの人気だけは獲得した感じ。夏はやっぱり大変だけど冬も大変だって思えるくらいに長い人気となるといーな。でないとほら、持ってる自分が情けないやんか。

 会社へ上がって原稿にして突っ込んだ後は夕方の仕事までとてつもなく時間が余ったんでとりあえず神田神保町をフラフラ。太田忠司さんのサイン会があるとか聞いていたけれど見ると午後の5時で次の仕事に重なりそーだったんで重複して「銀扇座事件」を買うのはやめて近所の本屋をのぞいてみたり。明石散人さんの「謎・ジパング」は2刷がかかっていたのか良かったよかった初版で終わってしまったらあるいは自分に責任でもあったかと僭越にも思ってしまうところだった。あるいは2刷で止まっているのかもしれずこーゆー場で解説はともかく本文はとっても勉強になると重ねて喧伝して10刷20刷のロングセラーとならんことを願い訴え求めよー。

 別の本屋ではギュっとしたい人が少なからずいるとかゆー「ちびムーン」こと郡司あやのちゃんの写真集「えにっき」(バウハウス、2800円)を熱にうかされたよーに買ってしまう。安達佑実だ吉野紗香だと言っているうちはまだ良かったよ何故ってあやのちゃんまだ10歳だもんな次はヒトケタしか残ってないぜ、って思ったのは頭のほんの表面だけで海馬体やらの本能を司る部分が実は本を手に取らせレジへと運ばせたことは客観的に見れば明々白々だったりするんだけど。ほんとギュっとしたい。

 キネマ旬報から出ている「富野由悠季全仕事」なんてド重い本を買ったりして背中に詰めるとまるで山上りでもするよーな重さにディパックが達して足はフラフラ。そこを我慢して歩くことが成人病と中年太りからわが身を助けると認識し、テコテコと小川町経由で秋葉原へと赴き、ヴォークスに海洋堂にラオックスにT−ZONEにほかあちらこちらを覗いてから地下鉄で今度は銀座へ。諦めたとはいえ実はしつこい性分が博品館をのぞかせるもやっぱり当然のことながら日本語版「ファービー」は売り切れでガックシ。折角なんで上を覗いて「ハローキティ人生ゲーム」が売っているのを発見するけど、すでに煉瓦を10コは詰めたかの如き重要の鞄を背負っていた関係で、ここにたとえ軽くても大きな荷物が加わるのはタマランと今日のところは見逃してやる。次こそは、っておいおいお前ついに「キティ」にまで手を出すのかよ。

 新橋からお台場へと向かう「ゆりかもめ」内に「逆A」の金刺繍入りの赤い野球帽を被った富野監督を発見。向かうは同じ「ホテルメリディアン」で目的はアスキーの「ファミ通」が募集した「第1回ファミ通エンタテインメント大賞」の授賞式への出席、と言っても向こうは選考委員でこっちはただの取材者と身分はレティクル星(いや牧野修さんの新作読んでる最中なんで)と地獄の底との違いがあって会場でも広井王子さんを初め有名なクリエーターに囲まれている富野さんを横目で眺めながら発表が進むのを見守る。

 ドラマ企画部門ではこの両名にコミック部門では大貫健一さんと近藤るるるさんが登壇して講評を述べていき、さあイラスト部門だと思って見ていたら選考委員の松下進さん、水玉螢之丞さん、美樹本晴彦さんの3人が3人とも欠席で受賞者ともどもちょっと腰砕け。横に立っていた富野さんが「誰も来ないのはねえ」と言っていたのがこの部門の選考委員を指してのことなのかは確認はとってないけど選べれた人があるいは選んで頂いた人に会ってお礼が言えるかもと期待していたにも関わらず、誰もいないのはちょっぴり寂しい気がしたねー。

 もっとも会ってなれ合うのも厳しさが足りないと言うのか富野さんは自分が選んだ人と握手をと視界の人に言われて「握手はだめ。そんなことしてちゃ勝てないよ」とあっさり拒否。クリエーターは3歩離れれば皆ライバルってな認識を常に忘れないのがいつまでも第1線で活躍し続けていられる原動力なのかも。逆に小説部門では選考委員の久美沙織さんが「かがみのうた」で佳作に入った沖縄県出身のペンネーム「神野オキナ」(!!!!)さんの剃り上げた頭に”チュウ”をしたのはすでに相手をプロを認めてともに研鑽していこーとゆー意志の表れかそれともスキンヘッドに”チュウ”をするのが癖なのか。後者だったら今はまだ岩の苔みたく残っている我が髪をすべて剃り上げてお顔の前に差し出す覚悟ですが如何でしょうか。甘いのがお好きでしたら毎日砂糖を擦り込んで磨きますよって。あっと”チュウ”な部分をたぶん撮ったよーな気がしますんで出来たらそーですね「神野オキナ」さん家に送りましょう。

 大賞だったら400万円のところだったけど今回は該当作がないため最優秀賞が最高。それで見事100万円を獲得したのは小説部門に「ボディガード」で応募した荒井千明さんで背広姿の真面目そうな姿と34歳の年齢のホント良かったねって気になる。「ほんとに良いなー」とゆー目で遠くからその巨大小切手を眺めていたのは誰あろー先行委員の中村うさぎさん。いわずと知れた浪費と借金の女王で稼げども稼げども我が借金減らずじっと督促状を見るな生活をすでにギャグへと変えてこーゆー場でも笑いをとろーとする、その玉砕スタイルに作家たるもの着飾るくらいなら尻見せろなポリシーを強く感じとる。

 会場には小説部門の選考にアドバイスっぽい仕事で参加していたらしー福井健太さんがでっかい花付きリボンを下げて歩いていて意外に思っけど向こうもこっちがいて意外だったかも。だから本業なんですってアスキーは。日本語版「ファービー」は買いか否か、ソニーの「AIBO」は欲しいが金がないんで夏の長野に期待しよー、ってな話をひとしきり。朝松健さんは知ってるのと聞いて返って来た返事にそーだったホラーの業界には謎が山ほどあるんだったと気付いて反省。そーだよな。そこうしているうちに持っている全仕事本にサインを欲しいなーと思っていた富野さんが返り広井さんも帰り場のひけてしまったんで帰宅。知ってる人がいたりいた人が知ってる人だったりしてなるほど世の中は広い王子、じゃない広いよーで狭くはないけど繋がっていることを知る。とにかくスタートしたばかりの人ばかりなんで頑張って頂きたいもんですね。応援もちゃんとしてやってね経営苦しくたってアスキーさん。


【5月28日】 忙しくも悩ましく仕上げた「中古ゲーム訴訟」の記事が表の新聞に載ってなかったのは編集していた人間が原稿を載せるのを忘れてしまったかららしく、決して負けた試合を報道しない御用新聞だったからではありません。けど落とすかねえ他の新聞がまがりなりにも1面なり社会面で報道しているニュースをさ。まあ良いさしょせんは記者は記す者であって載せる者じゃないんだから。しゃーないんで月曜日付けにおおきく取りあげるためにホームページを漁って色々な人の意見とか過去の「パックマン訴訟」の判例とか著作権審議会の議論とかを集めて資料作りをシコシコ。それなりのロジックを立てて一気呵成に原稿を書き上げ今度は載せろよ落としたら椅子振り回すだけじゃ済まないぜ、自分がグルグル回ってやるぜ「D4」プリンセスも吃驚なドリルを付けてクルルンルンをしてやるぜ、と心の中だけでどやしつける。僕って意外と小心者。

 どちらに見方しても語弊が有りすぎるんで記事は両論併記な「ナリチュウ」系。まあ実際大阪の訴訟で「映画の著作物」にゲームが当たるか否かがどう判断されるかは興味のある所で、その上で1歩踏み込み「頒布権の消尽」にまで言及されてたとしたら今度は本当に「画期的な判決」と言って堂々と紙面で紹介しちゃう。東京訴訟ではゲンを担いで髭を伸び放題にしていたコンピュータソフトウェア著作権協会の久保田裕専務理事が敗訴の朝に剃った時に傷を負ったか絆創膏をしていた姿を見るにつけ、大阪訴訟ではゲン直しに今度は頭をツルツルにして臨んでくれるんじゃないかと勝手な期待をしてみたりもするけれど(パンツ買えないとかってのは止めてね)、実のところは大阪の裁判に取材に行かせてもらえるかどーかって肝心な部分が人手不足に出張費不足で不透明なこと仕切り。判決が出そーな秋まで自分が保つかそれより以前に会社が保つかってな瀬戸際にあったりするかもしれないんで、ツルツルな頭を期待しつつも今はとりあえず足下固めをしておこ。

 東京証券取引所でセガ・エンタープライゼスの決算発表会。記者には会わないけれどもこーゆーハレ(でもないけどね、あの業績じゃ)の場には出てきて喋る入交昭一郎社長の言葉は「セガはピンチであります。数字が物語ってます」と実に殊勝でどこか儚げで、あるいは足下が僕以上に揺らいでいるのかしらんと立場は北極星とブエノスアイレスほど違うけど、外見はフツー以上に人への辺りが良さそうなんで残ってはいて頂きたいものですせめてセガがF1に参入する日まで(しないしない)。発表なった役員人事では中山会長は退任で特別顧問になって代表権を持つ副社長の2インは「サイゾー」が大フィーチャーした廣瀬禎彦さんも含めてただの取締役副社長へと降格。「サイゾー」に出れば飛ぶってジンクスが1発目から付いた以上は次に出る人も同じと見て、さて誰が出るのかと来月もちゃんと出そーな「サイゾー」の「ボス」コーナーに興味津々。降格なんてナマなくらいの派手なすっ転び方を見せて欲しーねー雑誌の為にも。

 しかし懲りてないのか確信があるのか今でよーやく100万台に達した「ドリームキャスト」を日米欧の3曲で今年度だけで400万台売る計画とか。タイトルだって200も出してホントに一体何が出るの? な疑問が頭にムクムク来たけど本質は20が200であっても1本でミリオンを達成出来るソフトが有るか無いかって辺りだから、そんな社会を揺り動かすだけのソフトがあるのかどーかが今はとりあえず関心のあり所。やっぱ「シーマン」か、オヤジな人に妙に評判良いんだよね、あの投げ遣りな口調が。ちなみに6月1日にお台場だかで開かれる「DC」絡みの発表会で、日米欧を包み込むよーなネットワーク絡みの発表があるとかで、どうやら今年のセガはここにかけている節があるから、それが実態のあるものか無い物かはホントに直ぐに解りそー。あと聞いてやったのが値下げの話で、これも「6月1日に明らかにします」ってんだから何らかの判断が出そーだね。日本でも199ドルで売るか、外為法の改正もあったからドルでいーじゃん、とか言って。

 しつっこく粘っこくチクチクと。親会社が珍しく新製品を出したとしてとりあえずは快調に売れていてそれはそれで結構な話なんだけど、子会社も含めたグループ会社の幹部が集まった時に親会社の幹部連中がみぃんな頑張ってその商品を売りましたって話をしたんで傍系の子会社の幹部は居心地他悪かったのか発憤して、自分の会社に帰ってそこいらにいる社員に親会社の製品を売ってこい、でないとボーナス査定に関わるぞって衆人のいる中で得々と言ってはばからない、これを果たしてグループ上げてのエイエイオーと見るかそれとも上を向いて歩こうby坂本久と見るかは人によって様々だけど、自分ん所の製品でもないのに売った売らないの成績が給料ボーナスに関わってくるって事態をはてさて皆さんは理解が出来ますか。集英社の「少年ジャンプ」を売らない白泉社の社員はボーナスが下がるとかって感じの事態を常識良識の範疇で。やっぱりまだまだ世界には7つ以上の謎が残ってる。

 いよいよ29日はトミーが今年の7つの「ナンバー1」と自慢するものの1つ、タイガーエレクトロニクスの「ファービー」が日本語を喋るよーになって登場する日できっと朝からあちらこちらの玩具屋で、長の行列が見られてテレビなんかでもガンガンと放映される事だろー。玩具と言えばいつも取りあげられる原宿の「キディランド」には聞くと山ほどのテレビやら取材やらが詰めかけそーな話。新宿高島屋にも着ぐるみが登場するらしく絵にもなりそーだけど、前回は銀座の「博品館」に並んだんで今度は本場原宿へと出向くか。並ぶかどーかは未定だけど、これも聞くと日本語版のほかに英語版の新柄ファービーも並ぶそーなんで家で寝てばっかりいる未だ名前の解らない我が「ファービー」の話し相手に1つ出来れば所望したいところでありまする。新柄はダルメシアンとかキリンとかがあるって話。関西向けに虎柄なんて出したら絶対に売れると思うけどどーです、名前だってタイガーエレクトロニクスなんだし、帽子も付けて法被も着せれば売れまっせ。


【5月27日】 1日置いてなおも引きずる例えばな話。ここんところ業績不振で役員がバシバシ首切られてる会社が多くって身近な会社だとそーだね「たまごっち」が溜まりっち(ベタすぎ)で沈んだバンダイが会長に名誉を与えて社長は引退して経理の得意な新社長が登場して引き締めに入ったし、セガ・エンタープライゼスも「ドリームキャスト」がイマイチなんで責任者が何人か降格の憂き目にあっている。兼松は役員全員のクビが飛びそー。単純に減益くらいならこの不況下で仕方がなくむしろよくぞ利益を出したもんだと株主から見限られなくっても済みそーだけど、赤字続きだったら流石にヤバいと思って株主だって騒ぐだろーし、ましてや債務超過の一歩手前にまで追い込んでしまたとしたら見限って当然。そんな状況に経営者だってことほどさらに居座ろうなんて普通一般常識的な神経の持ち主だったらカケラも思わない筈で、新聞雑誌だって責任問題を追究して辞めて当然と書き立てるだろー。

 で繋がりが悪いけど91年に「損失補填」って問題が起こって、例えば本当に知らないうちに補填されていたにも関わらずリストに載ってしまった企業も含めて新聞雑誌が大糾弾したことがあって、けれども中に当のマスコミが含まれていたからややこしい。最初はうんすん言って逃げよーとした雰囲気もあったけれど結局は「言ってることとやってることが違うやんけ」とか「どーせおたくもやってんでしょ」ってなことを言われ、取材業務に差し障りが起こるからってことで偉い人は退任させられた、んじゃなかったっけ。人のフリ見てわが身を直せ? 違うな李下に冠を正さず?? これも違うかまー良いとにかくマスコミってのは人様の好意を一応は常識良識の下に批判する役目を自認している訳なんで、自分たちの行動には普通以上の常識良識が要求されるって事ですね。で何が言いたいかってゆーとそれは読む人が良心と憶測で考えて下さい。世の中ではとてつもなく不思議なことがまだまだたくさん起こるのです。

 セガが任天堂の「ゲームボーイ」とかバンダイの「ワンダースワン」に自社ソフトを供給していくって発表。デカデカと書いている割には根本的に1月だかの「ファミ通」の流れを外れるもんじゃなく、そう大袈裟にせんでもと思うのは半分はやっかみもあるけれど半分は本音。どうせ書くんなら「ファミ通」騒動(香山騒動とも言う、のかな)の時にセガがホームページなんかにも社長名でデカデカドンドンと乗せた文章の、確か「ドリームキャスト」と繋がることを前提にするなら「ゲームボーイ」向けのソフト開発の自社コンテンツを出しても良いって言っていた部分が今回の交渉話でちゃんと担保されているのかいないかって事をしっかりフォローしておいて欲しかった。

 それはつまり前の時は何が何でも「ドリームキャスト」を前面に押し立てて売っていくんだって意気込みのもとの戦略が統一され、その役に立つのなら、つまりはおそらく「GB」でプレイできるセガ発のコンテンツと「DC」が何らかのつながりを持つが故に「DC」の販売に貢献するのなら供与するんだってポリシーが見えた。けど現時点でのそーゆー繋がるってな担保を任天堂側が認めるって雰囲気をちょっと感じることが出来ず、故にあくまでも「GB」版で出るそーだなやっぱり「サクラ大戦」ってことになるんだろーセガ発のソフトは、「DC」にデータを返すとかってな事に使えるとはちょっと考えにくい。

 それでも敢えてやろーって事はすなわち単純に「DC」が儲からないからソフト資産をタケノコみたいに他のハードへと供給していって食い繋ごうってポリシーに、個人的に見れば一歩後退してしまったのかと言って言えなくもなく、つまりはセガも「DC」が相当厳しい状況にあると深読みすれば「GB」へのソフト供給で儲かるから株も上がるぜってな発想は出てこないだろー。しかるにセガは超絶弱体無名業界紙が半年頼み続けてもまったくナシのつぶてで媒体価値を実に良く判断しているとホメ殺したい気分にさせてくれる社長への取材を日経には認めてこーゆー情報を出して決算発表前の雰囲気を盛り上げよーとする。

 これがすなわち株価操作か否かってのは判断できないし、記事ってのは書いてる側の書き様ってのがどーあるかが基本であって、受け取った情報をどう判断して記事化するかの責任は取材者にある。それでもそーゆー”誤解”を抱かせかねない情報の出し方を選ぶ態度ってのは、蔑ろにされたことへの反発を脇においてもどーしたものかとちょっぴり考えさせられる。ま、媒体に価値が無いんで見くびられよーと蔑ろにされよーと仕方のないこと。後は読み手がニュースをどー読むかって辺りに個人としては期待するしかないんだよね。哀しいけれども資本主義社会は弱者に辛い。負け犬は地下でワンワン遠吠えしてます聞こえねーよな大鳥居にや。

 ゲームソフト販売店の上昇がエニックスを相手に中古販売の差し止めを求めるのは間違いだってことで起こした裁判の判決が出ておおわらわ。まずは上昇とこれに見方るすテレビゲームソフトウェア流通協会の会見にのぞみ裁判が上昇側の勝訴で終わったことを知りちょっと意外な気分になる。とゆーのも事前にあちらこちらから見通しを聞いた話だと、少なくともゲームは映画に類似する著作物との判断が下されるのは確実で、その上でだったら消尽の問題がどーなっていくのかについて初の判断が下されるんじゃないかとゆーのがもっぱらだった。けれども今回の裁判で出た判決は要点だけを言えば「ゲームは映画じゃない」って事。過去に起こった「パックマン訴訟」とはまったく逆で、結論だけを見れば最近の「三国志3」訴訟で「三国志3は映画じゃない」と判断された判決にちょっと近い。

 違うとしたら過去の判例が例えば「パックマン」であり「三国志」といった個別タイトルを上げた上で「これは映画」「これは映画じゃない」と下された判断だったことと比べ、今回の裁判は「ゲーム一般」が持つ「インタラクティブ性」、つまりボタンを操作して自分の好みなり判断の上で映像なりテキストなりストーリーなりを出し進めていく形態のコンテンツは「映画じゃない」と判断されている点、だろー。逆を返せば裁判所の裁判官様が「映画ってこーゆーもんだ」と己の考えを示しちゃってくれた判例だとも言える。最初の1コマから最後の1コマまでがビッチリと決まり、「映像全部が著作者により選択・配列され一定の思想・感情の表現として観客に提示される」もんじゃなきゃ映画じゃないってことらしー。

 裁判官じゃないし法律家でもない気分屋として意見を言えば「映画じゃない」と言われればそうかもしれないと考え「映画じゃん」と言われればそうかもしれんと手のひらを返す軟弱者で、正直裁判が最後まで行って確定するか否かに委ねたい気分があるけれど、今回の判決の文章で「本件各ゲームソフトにおいては、プレイヤーの操作に従って画面上に連続して表れる影像をもって直ちにゲーム著作者の思想・感情の表現ということができない」「映画の効果に類似する視覚的効果を生じさせる方法で表された著作者の思想又は感情の表現が存在しない」とされている点には、つまりはゲームクリエーターってのは影像なりテキストなりのパーツを作るデベロッパーであってその思想や感情は1枚のゲームには反映されてないのかってな疑問を抱く。解釈の間違いかもしれないけれど、腑に落ちないんで法律の人と、部品屋扱いされたクリエーターの人たちの意見を聞いてみたいところ、ですね。

 「映画とは」ってな見解をガチガチに規定しまっているのも気になるところ。例えば劇場で観客が拍手を送って次の展開を決める作品は映画じゃないって事になるのか、DVDでエンディングが幾つかあったり途中がマルチアングルになってる作品も映画じゃないのかって疑問も当然ながら浮かんで来る。監督の中にはそーゆー凝ったデジタル時代ならではの作品を撮って新しい映画だと主張した人も出てくる可能性が皆無とは言えないだけに、そーゆーチャレンジをよひょっとしたら制限しかねない要素をはらんでるんじゃないかと思えてしまう。これは映画業界のとりわけ監督さん初めクリエーティブな人の意見を聞いてみたい気がするね。

 何やら画期的な判例が出て販売店側が圧勝したってな捉え方で見られてるし明日あたりの報道もそんな文字が踊りそーな気がするけれど、とりあえず裁判で下されたのは「ゲームは映画じゃない」って判断の1点のみ。裁判所が「中古を売っても良いよ」と判断した訳でもなければ「中古を売っちゃダメ」と判断した訳でもない。ゲームが映画で映画に頒布権があるならゲームにだって頒布権はあるってな論法が前提の段階で立てられなくなっただけに過ぎず、過去の「パックマン訴訟」の判例との齟齬もあるからなおのこと大阪で攻守を変えて行われている裁判での判断を待って考えた方が良さそうな気がする。それより何よりゲームが映画じゃなかったとして、でも再販でCDでも本のように保護もされていないゲームを今後、どう権利が保護されるよーに規定していくのかって所がもっと議論する方が有意義のよーな気がするね。裁判官の”映画観”で左右される中古訴訟なんてもう沢山。


【5月26日】 「雪風」読んだ後に「エースコンバット3」をプレイすると気持ちなんか良さそーだけど仕事の本読みがあって結局は発売日までお預けになりそー、で読んだ本は唐沢俊一さんが監訳を担当した「快楽特許許可局」(ホーグ・レビンズ著、イースト・プレス、1500円)で、その名のとーり性と美って2つの”快楽”に関連した主にアメリカで出された発明やら特許やらを図面入りで集めた基調にして爆笑な中身にホント「必要は発明の母」だってことがよく解る。たとえば立たないオトコを立たせるために手っ取り早くするのがニョードーにピンをぶち込むって方法。見るからに痛そうで仮にこれで立ったとしても仕えやしないと思うんだけど、そこはそれ目先の「立たせてえ」って願望が先に来て痛さも辛さもきっと忘れてしまうんだろー。で発明して試してみてオウチッ、ってことになる。

 女性は女性で小さなお胸をどー膨らませるかに血道を上げるが故に様々な発明がドンドンと。まあ男性ほど奇抜な発明はなく一般的にシリコン入りとか空気ポンプとかって今もありそーな発明ばかりで流石に中にメロンを入れるとか言ったか欲望が先に走る内容のものはない。美は性欲よりもあるいは冷静に判断できる快楽なのかもしれないなー。逆に女性が男性の欲望を妨げるための必要が産み出した発明は女性の安心をひっくり返して100倍はしたかの如き恐怖を男性にあたえて止まない。簡単に言えば中に突っ込んでおいてここに男がオトコを入れると刺さったり切り裂いたりするって寸法の発明品。そこで逆上して殺害されかねないとの指摘もあったのか、発達すると刺さった先から眠り薬か何かが注入されて、一発で犯罪者を眠らせ捕まえることになるらしー。今も健在な器具かどーかは不明だけどヤってる人は気をつけよー。お尻に触ると刺さって眠らせるチカン防止用下着とかって発明になるかな。もう特許出てたりして。

 初台のアスキーで決算内容の説明会。寄りたかったけど最近はよーやく軌道に乗ったそーな「アスキー.PC」の編集部には寄らず地下の部屋で粛々と鈴木憲一社長とかの話を聞く。前3月期の決算で売上が490億円だかで減収にはなったけれどもちゃんと利益を出していて、その前のすっげー赤字が一転しての僅かであっても黒字化を成し遂げた、そこに至るいったい何があったのかを考えるだにすさまじいものが浮かんで来る。夏は冷房冬は暖房をストップして借りていたオフィスは返上して1人半畳のスペースに集約し外注はなく版の差し替えも認めず取り次ぎは使わず直接配本して返品は認めず、ってことをすればあるいは500億円に満たない売上の会社にして1年にして経費を60億円も圧縮できるのかも。ってのは冗談としても、いくら絞ったとはいえそれほどまでに無駄があったのかと言って言えないこともない。

 乾いた雑巾は絞れば粉になる。今年のオモシロそーな戦略だとゲームで登場な「ベルセルク」に期待。もちろんアスキーはCSKでセガ・エンタープライゼスなんで「ドリームキャスト」対応のゲームになるらしく、中身もジャンルも解らないけど名前だけで買うへんしゅーちょーとかいそーだね。海外でも売るそーだけどさて海外でも売れるものなのか。それにしてもEC事業として7月にもスタートするポータルサイトの上であの秋元康さんがプロデュースをするとかゆーインターネット・ドラマの放送も行うとか。これもアスキーがCSKでセガ・エンタプライゼスたる所以だけど、アスキーはホビーにエンターテインメントが得意だからと言ってコンテンツを集めてるにも関わらず、そんなアスキーなりセガのイメージを変えまくっちゃいそーな秋元さんを持って来るあたりに、セガもCSKでセガ・エンタープライゼスな甘さ辛さが見えて来る。さてどーなりますか、天願大助さんの2の舞にはならんよな?

 紙面で大々的に紹介した責任を取る、とゆー実に公明正大な大義名分を胸に阿佐ヶ谷にある「ザムザ阿佐ヶ谷」へと「月蝕歌劇団」の新作公演「少女革命ウテナ 麗人ニルヴァーナ来駕」のゲネプロを見に行く。通し稽古なんで本番には近いんだろーけどきっとダメ出しも幾つかあるだろーからそーだな完成率で8割3分ってあたりになるのかな、それでもいち早く見られるってのは有り難くこーゆー時だけ日記書いてて良かった(?)と強く思う。ありがとーございます制作の人。さて時間までしばらくあって1階のフリースペースで待っていたら小室哲哉さんばりにスラリと細身の長身で茶神なサングラスの兄ちゃんが登場し、ををこれぞ生きている幾原邦彦さんではないかと遠巻きにしてそのアニメ業界にあるまじき扮装衣装に絶句する。

 ちなみにゲネプロの会場では「月蝕」の主宰で演出もやってる劇作家の高取英さんの横に幾原さんが並びその横にアーティストのパルコ木下さんが並ぶとゆー遠巻きに見るにとてもなんとゆーか珍しいビジュアルで、写真を撮りたかったけどこっちも目立ってはお忍び(??)で行っていることがバレてしまうんで、じゃない仕事なんだけど迷惑になるんで黙って静かに眺めるに止める。待合い室では後アメリカ行きを控えているらしー大森望さんがさいとうよしこさんと連れだって登場、今朝の「スター・ウォーズ」には行かなかったみたいだけど誰か行ってるからそのうち感想も聞けるでしょー、堺さんみたく絶賛調ばかりじゃない嫌味な奴もきっと。

 さて本番は棺桶に子供時代のウテナが寝ていてそこに桐生冬芽と西園寺莢一がやって来て王子様も来て目覚めさせる有名な場面から幕を開け、鳳学園へと転校して来たウテナが西園寺に虐められてるアンシーに出会い西園寺を倒して薔薇の花嫁をゲットして、ってあたりはテレビのそうだね1話か2話ってところをちょっとだけ振り返る。そこからジャンがなったか捲りが始まりいきなり冬芽とウテナが戦い冬芽は破れてでもって理事長代理の鳳暁生も自分がいきなり登場するくらいの緊急時代といわんばかりに表れて、さてそこからが本編のアニメとはちょっと離れた展開へと向かい、根室記念館とも関わる冥界からの挑戦を敷衍させたストーリーに流れてウテナとの対決そして結末へと流れていく。結末その他の詳しいことは舞台でね。一言でいえばあの39話がちゃんと2時間に収まってるってことでしょー。辻褄はともかく本編知っている人は楽しめます、裏ウテナでも見ている感覚で。

 以下は舞台で気付いたことあれこれ。桐生冬芽の大人を演じた斉藤レイさんの靴の底が剥がれかけてて見ていてハラハラ。影絵少女の場面で懐中電灯を落としたのは誰? 最初の斉藤さんに会わせたのかウテナの靴が一ノ瀬めぐみさんにはブカブカで歩いている様決闘の場面で脱げやしないかと見ていてドキドキ。「新撰組は」「それは言わないお約束」ってのは知っている人には面白すぎるけど知らない人には解らないから説明すると突如決まった「ウテナ」の公演で代わりに飛んだ演題があったってことで説明になるかな。「赤軍派」「魔女っ娘メグ」はちょっと古すぎ。「魔女」なら今はヤッパリ「おジャ魔女どれみ」でしょーせめて「ファンファン・ファーマシー」とか「宅急便」とか。高森美佐世役の麻田真夕さんは綺麗だったねバストのラインが。野口員代さんの姫宮アンシー喋るとそっくりでもらった写真でビジュアル面での不自由さを感じ歯がみした記憶が緩和され最後は吹き飛ぶ。頑張ったね。

 あと「月蝕」っていえば血糊がベッタリで最前列に座るには勇気が必要な劇団だけど、ゲネ見た限りでは血糊はないから安心ですただし。血糊の代わりに着けた蝋燭を鳳学園お制服を来た大量の美少女(美の基準は多様だととりあえず注釈)がブンブンと振り回すものだから、最前列は1列目の人の手足に融けた鑞が飛び散ってそれはもー羨ましいのってなんのって。女王様とはちょっと違うけど制服美少女に垂らしてもらえるなんてこの幸福者めが。希望者はこぞって最前列に座ろう。柱も落ちて来て気持ちがピクピクっと震えるぜ。しかしたった1回のゲネプロで衣装のそこあしこに白い鑞が付着していたのを見るにつけ、最終日にはきっと全員が蝋人形みたくペカペカした衣装で演技をすることになるのかしらん。

 さらに最前列で良いのは、客演な某「SPA!」とか某「噂の眞相」で有名な成宮観音さんが、爆裂お邪魔虫な桐生七実をとてつもなく見事に演じているのを、その大口開けて発する甲高く高慢な笑い声とともに間近で見物できることで、加えて他の出演者たちがしずしずと演技をしたり男って設定なんでパンツをはいてたりするなかで、1人スカート姿を気にもせずクルリときびすを返したり腰を折り曲げたりしてくれる、その一挙手一投足をかぶりつきで見ることが出来る。何が言いたいかってつまり見えるんだよチラチラと。白が。提灯みたいな。いやそれは目の迷いだったとしても、一応は美少女タレントっぽく紹介されている成宮さんの観音様(?)が見られるってことは、たとえ実物があんなんだったとしても(意味深)個人的には嬉しいでした目の保養にもなりました。ってことでこれから行く人でMかつ観音マニアは最前列に陣取って目皿だ血眼だ。熱さなど耐えよさればフォースのお導きにより純白の園へと続く道ぞ示されん。観音様御開帳の日は迫れり。


【5月25日】 「SFマガジン」は神林長平さんの大特集で冒頭口絵にカールへルムな猫シャツ姿の神林さんが登場、うーんやっぱり猫はかわいい。読み切り短編は95年11月臨時増刊号に掲載の「幽かな効能、機能・効果・検出」の後日譚だそーだけど生憎と山の下に埋まってしまってこの雑誌発掘不能、ゆえに記憶を再現することかなわずいまいちノれずに読み終える。なるほど永久読者なSFマガジニスト及びすべての短編を詳細まで暗記しているカンバヤシストなら大喜びだろーけれど、冒頭の特集でこーゆーとっても考えさせる短編を掲載するのってやっぱ”いちげんさん”には不親切なのかなー、とも考える反面、だったら「雪風」の外伝だったらよいのかと言われれば、個人としては諸手を突き上げ大賛成の意を示すだろーけど訳わかんない人への不親切さはなお極まるだろーから、意識についてのありゃこりゃ議論に大学の理不尽と猫のかわいさ炸裂な「請け負った仕事、再現不能」で是としよー。臨増掘らねば。

 こらこらこらこら鷲巣義明さんが巻末の執筆者ひとこと集でイケナイ呼びかけをしててメディア権力の濫用はいかーんとプンプン。何故って鷲巣さん、例の新潮社の文庫キャンペーンで100枚応募券を集めたら無条件でもらえる「Yondaぬいぐるみ」が欲しいと叫んでて、応募券をどなたか持っている人送って下さい住所はココですなんて書いている。編集部気付じゃないところに心底からの「パンダのぬいぐるみが欲しいぃぃぃぃ」ってな叫びが見られてそこんとこへの好感は持てるけど、僕だってたった30枚でもらえる立体人形のゲットに向けて読みたくもない新潮文庫から少しでも琴線に触れそーな作品を発掘している毎日に、応募券だけ欲しいってのはやっぱりズルいよね、ってことで他の執筆者も同様に「Yonda欲しい」発言を巻末で繰り広げてジャマして差し上げてやっちゃー如何でしょー。誰ん所に1番たくさん集まるかって競争やったら人気のバロメーターになって楽しいかも。「SFマガジン」を読む人が「東京異聞」とか「六番目の小夜子」あたり意外の真っ当なラインの新潮文庫を読むかって最大のポイントにはこの際目をつぶろう。まさか今さら星筒井って訳でもないしなあ。

 「72847」なのである。何がって決まってるじゃないか明日発売の我らがなんてフレンドリィなことは言わない「我が」広末涼子様さま様の初のライブビデオ&ライブCDパッケージ15万セット限定版のうちで僕に与えられた番号が、だよ。早売りの山野楽器に山じゃないけと適当に抜いた番号は算数下手だからはっきりと確認は出来ないけれどどうやら割り切れない素数っぽいんでちょっとラッキー、って別に素数が好きって訳じゃないけど限定とは言え15万もあるセットの中からちょっぴり特別っぽい番号を選んだんだからラッキィって思いたいだけなんです。ゾロ目とかヒトけたって滅多なことじゃあ見られないからね。それはともかく別にこれまでファンだと表明もしたことがなければCDだって買ったことのないりょんりょんを何故にビデオだけ? と訝られる方には説明しておこーそれは例えば2曲目に唄う「風のプリズム」の1番の歌詞「とめどなくあふれる」の所で横から低いけどちゃんとあるバストがアップになるから、です。

 ってのは見ながら考えた理由ではなるほどあるけれど、買った本当の理由を言えばテレビでたまたま偶然放映されたビデオの宣伝に流された「summer sunset」の中でカメラに向かって進んで来てクルリと振り向いた時にちょん、と突き出される白いワンピースごしの小さなヒップのたった1カットに悩殺されてしまったからで(同じやねん)、これが例えばDVDだったら繰り返しスローとサーチをかけて何度も見るところだけど、哀しいことにビデオだけでの発売だから改めて見てやっぱり感じた官能はホンモノだったと確認し、以後は家宝としてパッケージ収めて神棚(なんてないよ、仏壇も当然、だってぼくは××じゃないもん)に飾っておこー。けどしかし広末ってやっぱ歌、それなりに上手いしだいちステージ度胸も良いわ、竹内まりやに原由子に椎名林檎に広瀬香美に岡本真夜やらの曲を平気で人前で唄いこなせるなんて、歌手デビューした俳優の中でもピカ1やね。「週刊プレイボーイ」の松下任天堂記事に久々なコメントで登場の先生は何番、ゲットだったんだろー?

 別に怨みがある訳、なんだけどまあ良い謎な会社の続きを1つ。例えばタクシー会社だったとして、夜も午前0時近い終電がなくなり飲んで家に帰ろーとしている客がタクシー乗り場に「乗せてくれ」ってどんとんと来ているにも関わらず、本社が世間様に良い顔をしたい行事を行うからといって運転手さんがこぞってそっちに借り出されてタクシーは一向に走り出すことができず、そんな状況に少なくとも社会的な責任を追わされた業種なんだから行事は行事として本来業務を最優先してこなすべし、とゆー発想になってしかるべきにも関わらず、後でまとめて運べば良いじゃん今は会社に対して良い顔を見せておかないと給料も下げられちゃうかもしれないし、ってな悪しき気分が蔓延して結局タクシーが運転を再開したのは午前も3時を回って乗り場に溜まった乗客も疲れに眠り始めてしまった頃、だったとしたらそのタクシー会社は当然の如く指導を受け下手したら営業免許だって取り消されてしまうんだろーけれど、生憎とタクシー会社じゃなく免許業種じゃないから似たことを堂々をやってしまう、なんて会社が果たして日本に存在するとしたら貴方は入ってみたいと思いますか。世界は謎に満ちている。


【5月24日】 うわやをえぃぃぃぃ。ポール・アンダースンの「天翔ける十字軍」は1カ月くらい前に船橋駅前の近所の古本屋の店頭ワゴンに早川の白背がどっちゃり出てたのを見てまとめて救出した19冊ん中に入っていたのさ。値段はワゴンだから当然ながら「100円」だったさ、って誰に喋ってるんだオレ。一緒に救出したのはちなみに「バーサーカー」と「ベティアン」と「かぶと虫部隊」と「キャプテン・フューチャー」とほか適当。その後のぞいても白背はカケラも無かった所を見るといったいどーゆー条件で並んだのかをあれこれ考えてしまうんだが。近所の古手のSFマニアが死んだ、とかって不謹慎なこととかも含めて。そーいえば2年か3年ほどまえに近所のごみ捨て場に70年代だかの「SFマガジン」が30冊ばかりまとめて捨ててあったのを拾って帰った記憶が。船橋にはSFな謎がまだまだ多く残っているのです。

 きのうの「ワールド・キャラクター・コンベンション」で見たいろいろな物者を思い出した順にいろいろ。舞台に登場したアンヌ隊員ことひし美ゆり子さんが椅子に腰掛けた姿は光さえあれば奥底までクッキリで、ひょっとしたらフラッシュの嵐に見えてる写真が出回る可能性もなきにしもあらずだけど、元アンヌは絶対的に元アンヌであってモロボシ・ダンが告白した当時の美を維持している訳では決してなく、故に積み重なった年月が奥底への興味をスポイルして止まずほぼ正面とゆー好位置をキープしていたものの早々に会場を立ち去る。だから白いか黒いか赤いかは不明。黒かったから見えなかったのかなー。

 タカラのブースでは「To Heart」関連であかりとマルチと芹香のデカ顔胴チビ3頭身人形が展示中。6月末に8800円の発売予定でこれが顔なんかぷにぷにで超グッド。「変身サイボーグ」用の「スペクトルマン」とかコスチュームコレクションの「スクール水着」とかってな物も作っててそっち方面のテイストが色濃くなってく感じに思わず大丈夫かタカラと叫びだしたくなったりして。一方の雄トミーはアメリカで見た時に買っときゃよかったと今後悔な「サウスパーク」関連をいろいろ出して来るみたい。見かけホノボノとした目まん丸なキャラクターなのに聴くと悪逆非道で極悪無比な性格らしく故にトミーが見かけの可愛さだけでライセンスを決めたとしたらいろいろ後でヤバいかも、なんて心配もするけどいーのだどーせ買うやつぁ「かわいーじゃん」の見た目が大事なだけなんだもん。近く発売予定で乞うご期待。

 その「To Heart」は家で2人で試験勉強なんてラブラブコメディーには超ありがちな展開なのにホノボノとした心の交流が交わされるくらいで熱い液体の交流なんてものは一切無縁の展開に、真夜中の頂点に高まったリビドーは行き場を失って懊悩に苦しむ。頻出したアルバムの写真とかポストカードとかの絵の良さにそこまで凝るか(でも静止画なんで楽なのか? でもないのか??)と拍手を3度、さらに部屋の縫いぐるみ類とか調理場面の野菜とか、美術スタッフの凝りようも今まで以上でこんな真夜中のローカルアニメによくぞここまで入れ込むもんだ。あるいはポケモンがビームを発したお陰で休憩に入っていた間にスタッフを注ぎ込んだ故の出来なのか。遂に最後まで顔みせなかったお邪魔虫、声(それも風邪声)だけの演技は素晴らしかったぞ報われない恋だけど。

 「星界の紋章」のDVD第1巻を見る。「SFセミナー」の徹夜で全話総まくり大会ん時は見逃していた第1話をやっと見てその原作と同じっぷりに初見の人が果たして着いていったものかどうかと迷った理由を納得する。だってラフィールでねえんだぜ。まあタイトルになっているロボットが延々出ないアニメも過去に山ほどあるから主人公でもない(のか?)ラフィールが1話に出なくたって粛々と話は進んでオッケーなんだろーし、いよいよ登場の第2話で見せてくれた活躍に後出しジャンケン勝利の方程式も当てはまるもんだ。走るは飛ぶわ投げるわの活躍は本で読むよりも「であろ」と活字で描かれるよりも脳天逆落としな衝撃を与えて余りある、もんね。

 とりわけやっぱり連絡艇の座席に座る時の後ろから眺めたヒップにバストの角度の良さと、正面から見た移動する太股の肉感には参ったまいった、「SFセミナー」の会場で見せられた時に最後まで話を見てなおDVDを購入しよーと思った理由の相当な割合が実んところかここのシーンを我が家の最新型DVDプレーヤーでスチルにジョグダイヤルのスローで見たかったから、とゆーのは案外本気だったりしちゃったり。次巻でやっとこさレクシュさんも登場に踏みつけられたい怒鳴られたいってな気持ちもおそらく膨らむんだろーと予想して、今から後ろ手に縛られるためのロープと垂らされるための蝋燭を買っておこーかと一瞬思うも、縛っても垂らしてもくれるレクシュさんなど自分にはいないってことでここに手広くレクシュさんを募集して縛り垂らしをお願いしたく思いますんでレクシュさん聞いてたらお手紙下さい平面宇宙でもどこで飛んで行きます。

 本来的には休みの日曜日にたまたま別のある部署がイベントを仕掛けたからといって、本来的には無関係な部署がその警備に全員強制的に借り出され、だったら代休がもらえるかってーと元よりギリギリの人数しかいないリストラ進行中な会社だけに、おいそれと平日に休みが取れるはずもなく結局は雀の涙で安働きをさせられたり、大々的に新製品を作るからといって、若手から中堅までを集めた一大プロジェクトチームを発足させて、侃々諤々と議論を戦わせているよーに見えて実はすでに作る新製品ってものの青写真が焼き上がってて、それをストンと下ろされてこーゆー青写真を書くんだとプロジェクトチームは言われてしまい、それでも逆らって議論を続けていたら承認など待たずに新製品の設計図が上がりプロモーション計画まで固まってゴーサインが出てしまい、コケにされたままプロジェクトチームは泣き寝入りをさせられたり、ほとんど電話番的な仕事で日曜日に交替で出てくる勤務に、誰が見るでもないのにみっともないからと背広にネクタイの着用を大の大人が大の大人に言明・強制してみたりする、そんな会社が貴方は果たしてこの世に存在すると思いますか? 世の中に不思議なことなどあるのです。


【5月23日】 川原由美子さんの名作って奴を集めたらしー「川原由美子選集 第1巻」(朝日ソノラマ、800円)を買う。最近だと「観用少女」が熱烈的マイフェイバリットな川原さんだけど大昔に「前略ミルクハウス」に凝った割には後のフォローが追いつかず、間10数年がズッポリ抜けてたんでこーゆー選書でまとまって読めるのは有り難い。最近の超絶うまきれ(上手くて綺麗)な画力と昔の前略の頃との間の成長の軌跡もこれで拝めるってもんで、なるほど第1巻に収録された「CLIMB THE MOUNTAIN(クライム・ザ・マウンテン)」は、美麗な絵とギャグの絵の織りまぜも気分良く入って86年あたりはこーゆー雰囲気だったのかってのが解ってべんきょーになるなる。残る「ペーパームーンにおやすみ」「翡翠の森」と来て「ソルジャーボーイ」が4冊に未収録作品集が1冊の都合7冊M揃えよー。裏表紙の紋様にデザインされた女の子の顔が綺麗なんでもっと大きなサイズで見たいなー。

 向かいに座った婦女子のアレが見えてラッキーと思った日曜日を電車に揺られて「ワールド・キャラクター・コンベンション」へと向かう。ゴールデン・ウィーク中に科学技術館で開かれたのと規模こそ小さいながらもほとんど代わらないキャラクターおもちゃの即売会で、会場は昔から最新まで国内が国外までのキャラ物グッズが山と積まれて賑やかで、間をキャラ物命な主に兄ちゃんたちがでかいフクロを下げたり担いだりして目当ての品物探しに懸命になっていた。バンプレストが1000円で絶対に何かは出て来るっちゅー自販機物を設置してて中に会場限定のクリアバージョンがあったんで目指して長蛇の列がズラー。1000円冊を注ぎ込む姿にコソボの難民を思って楽しくなる。平和な国に生まれてどや、うらやましーやろ?(外道)

 今が旬な「スター・ウォーズ」物はすでに「ダース・モール」のでっかい人形なんかも入って来ていて理不尽な値段にどーせ7月にゃー店頭に山だでと思いつつ、これから1カ月以上のある間に評判がどーにかなってしまったら果たして同じおもちゃが入ってくるんだろーか、ってな心配のちょびっと。場内でも流されていた予告編じゃー喋るアミダラ姫のポートマン節入って可愛いかった気もしてそれは映画として見聴きする上で大きな手助けになりそーな予感がしたけれど、造形物としてのアミダラ姫は白塗りおちょぼ紅なおよそ日本的にもアジア的にも「かっわいーっ」の基準からハズレ過ぎてて股間、じゃない心にズッキンドッキン来ないのが難点。鉄のビキニのレイアがそれでオトコ心を刺激した(のか?)よーなブレイクスルーをアミダラちゃんにも期待しよー。3部作出来る間に予定だとそんなに成長もしなさそーだし。

 ようやくにして製品化なった「侍・三船敏郎」はアルフレックスのブースで初市販。見ているうちに1体2体が売れていったんは流石に「座頭市」で全国に時代劇フィギュアファンをしっかと掴んだだけのことはある。今度の「三船」は刀が最大のウリみたく、本当だったら研いでピカピカにして切れるくらいのブツにしたかったよーだけどそれはちょっと無理らしく、それでも金属を抜き出し磨いてピカピカにして束も巻きサヤも塗られたコダワリの小物に仕上がっていて、これに陶器のとっくりもセットで15000円はやっぱり安いと思いつつ、持ち金がなく今日の購入はとりあえず見送る。「JAFCON」あたりで拾おう。

 準備が進んでいた「悪魔くん」の実写版メフィストフェレス兄弟は某ザッパーンな映画会社がキャラ物で鳴る浅草の玩具屋さんへの気兼ねがあるのか版権を下ろさず目下お蔵入りは必至の情勢。なんとかしてやりーとは思うけど、10億円を越えるよーなヒット作が皆無となって自社制作は実質ゼロの状況に追い込まれどん底にまで落ちぶれた映像事業を支えるって意味が版権事業あるのかないか解らないまでも意識はしていそーで、容易に版権を下ろさずなくなく出てこないブツってのが結構あるとしたら仕方がないとはいえ気分は残念。もしもごにゃごにゃゆーとるんが浅草な会社だったらそん時は人前でへたくそな「ハイパーディアブロ」をいかにもつまらないって顔でプレイしちゃうからそのつもりで。

 その代わりっちゃーなんだけどアルフレックス今度が漫画版から「悪魔くん」のメフィストを悪魔くんとセットで制作中で夏過ぎあたりには無事発売の予定とか。藤田まことさんの「中村水主」に和歌山富三郎の劇場版「子連れ狼」と来て予定だとその次あたりに山崎努さん演じる「念仏の鉄」の必殺シリーズ第2段が控えているとか。とくれば緒方拳さんの「梅庵」だけとどーもキャラが鉄と被るからどーかは未定とか。中条きよしの三味線屋はGO! たみたいでこれに三田村邦彦の飾り職人やらが揃えばもう家ん中は必殺パラダイス。大の男が人形あやつり必殺ゴッコに興じる姿が今から目に強く浮かびます。山田五十鈴が入っちゃったらどーしよー? 菅井きんは欲しーよーな気がするなー、もちろん背中を押すと喋るの「ムコどの」って。


【5月22日】 「キリンやが」「そうやがね」。とゆー微妙に訛った会話の果たして九州か大阪か名古屋のどこに相応しいかは生憎と言語学者じゃないから解らないけど、マイク・レズニックの「キリンヤガ」(早川SF文庫、内田昌之、820円)には別に燃えているキリンも脚の長い象も登場しないので悪しからず。いや象はちょっとは登場するかな。ともかくも帯に「ヒューゴー賞」「ローカス賞」ほか山ほどの「SF」の賞を受賞したと今時誇らしげに書いて、果たしてどれだけの一般人に訴求するのかねーと訝りつつも、一般人じゃないのでそこは気にせず買って帰ってペラペラと読む。

 ケニアに住んでるキクユ族が自分らの伝統を取り戻すために小惑星だかに移住してユートピアを作るんだけどやっぱり時代は文明堂、3時のおやつに日本人がカステラを食べるよーになったが如く22世紀の世界では昔ながらの伝統を頑なに守って暮らしていくのは難しく、移住を推進した老祈祷師の努力が次第にカラ回りから浮き上がっていく様が連作によって描かれる。言ってしまえば爺の繰り言「昔はよかったなあ」を突き詰めた老人には安心を、若者には反発を与えかねないものがたりへと仕上がっていて発表がいかな賛否を持って受け止められたかをちょっと調べてみたくなった。

 過去に帰るのは悪くないし昔の暮らしにも知恵はあるけど残念ながら現実は進んで社会は多様化し人は楽を求めて後なんて振り返らない。そーゆー現実に果たしてレズニックは「キリンヤガ」と通して警鐘を送っているよーにも見えるけど、一方では昔にこだわる爺の愚かさを笑っているよーにも見えてなんとも老祈祷師が口にする神様の寓話のよーで判断をつけにくい。老人に組すれば現実を見ない自然主義者と謗られる反面、文明化を受け入れるのも白人の傲慢さに屈するようでしゃくにさわる。

 がそこはそれ、老呪術師がいつも口にしていたよーに答えは寓話を聞いた本人が見つけるもの。ラストの何とも情緒的なシーンはさておいても、現実として進む”総ケニア人化”の中で人が伝統と近代にどう折り合いをつけていくかを、またその困難さを今だからこそ改めて考えさせてくれる意味があるとゆー点で、価値を持つ小説なのかもしれない。未来であったり小惑星であったりする意味が乏しく別に「SFでやらんでも」とゆー思いも一瞬抱いたけれど、老祈祷師がすべてを寓意で語り真実に至る道を聞いた者に考えさせる、それと同じ意味を「SF」とゆージャンルが背負っているのだとしたら「キリンヤガ」はまさしく「SF」である必然を内容した物語であると言えるんだろー。

 よーやっと登場した安倍吉俊さんの画集「an omnipresence in wired」(ソニー・マガジンズ、3980円)を買う。「lain」に関して安倍さんがデザインした設定やら「AX」で掲載された「lain」絡みの連載やらをまとめて収録したビジュアル面での集大成とも言える本。何より「AX」ではテレビの進行の関係で端折られた「layer」の6から12までが一挙収録されているのが有り難く、その多彩なビジュアル・イメージに改めて安倍さんの才の財布が奥深くまでギッシリなことを認識する。「layer12」で使われたって日本画なのに日本画に見えない大友さんみたく見おろすパースで描かれた団地と住宅の絵がすげぇーのって。実物見てみてー。

 「ちびちびレイン帝国の逆襲」の欠番だった2番目を見られるのはこの本だけです今は幻となって記憶の彼方へと消滅した雑誌「looker」連載の小中千昭さんのコラムにつけられた「きんぎょこわい」他のイラストが見られるのもこの本だけですコラムもどっかでまとめて読みたいなー。あとテレビ東京で見ていた人くらいにしか意味不明だった「お天気こわれてる」とかも没まで含めてあれこれあって懐かしんでもオーケー、絵のきっと勉強にもなる本。でも本当にカンドーしたのは文化庁の「メディア芸術祭」で「lain」が優秀賞だかを取った記念に作ろーとした「メディア動物祭」って書かれたシールのデザイン画。熊としてクジラの下になるのは許せませんか玲音さま。

 いつもよりちょっぴり目が小さくかわいくなってたよーな「神風怪盗ジャンヌ」を見つつ横顔で線にデジタルみたいなギザ入ってたのはテレビのせいかそれとも作り手のミスかと考えることしきり。ついでに種村有菜さんの原作版「神風怪盗ジャンヌ 第3巻」(集英社、390円)を読みつつジャンヌの力の源とか、新しく登場したフランス帰りの教師とかってな振りまかれる種にテレビでの解釈展開が気に掛かる。あと名古屋稚空こと怪盗シンドバッドのどーして悪魔を狙って跳梁するかって謎とかにも。変身できなくなったまろんが手近な素材で「ジャンヌ」に扮装しているシーンはコスプレな人への参考になるかも。桃天使と区別ちょっぴりつかないんだけどね。声いっしょだし。


【5月21日】 紗孔羅も悪くねーなーとロリ入った頭で「ベターマン」を見る真夜中。1週飛ばしてさっぱり解らない物語なれど緊迫感があってそれなりに真夜中を眠らず緊張の中で見ていられるのが有り難いっちゅーか。得体の知れないトカゲな鎧の嬢ちゃんが登場でなおいっそうの話の見えなさの色が濃くなって来ているけれど、それだけに後でたっぷり考えながら見返したいって意欲も湧くもので、場面場面で主張の激しい火乃紀のバストに堪能しつつ、DVDなりLDなりで後からしこしこ補完していくことにしよー。だからもー真夜中に起きて見なくってもいーよね、最近辛いんだよ夜更かしが年だからなのか。

 どーにか起きて出勤の途中を石田衣良さんの「池袋ウエストゲートパーク」に続く長編第1作「うつくしい子ども」(文藝春秋、1524円)で潰す。前作のやんやな雰囲気から一転しての物語は郊外のまだ雑木林とかが残った町で起こった少女猟奇殺人事件の犯人として使った少年の兄ちゃんが真実を探して逃げずに立ち回るって過去にそれほど類のない設定で、年齢(14歳)の割には達観し気って大人びた少年に不思議な思いを抱かないでもないけれど、それをおけばそれぞれに現実の堅苦しさに辟易しながらもどうにか殻を破ろうと懸命になる少年少女と一緒になって、謎を解き明かしていく物語が読んでなかなかに気持ち良い。

 人をどーして殺すのかって点で先だって読み終えたばかりの森博嗣さんの「黒猫の三角」(講談社ノベルズ、880円)ともどこか重なるテーマがあって、理由不明な殺人が老若男女を問わず頻出するこの社会の不思議を解決するとまではいあかないまでも、考えてみるきっかけを与えてくれる物語として2冊としてまとめて色々と考えてみたくなる。作者がそれを本意をしてなくっても例えば類似する事件でも起こった日にやー先見の明があったと、尊ばれるか参考にされたと虐げられるかはともかくとして持ち出されクローズアップされる2冊とも言える。とはいえ結論としてはどちらも明確にはしていな点で、この一言では言い切れない複雑な世の中を認識はしてるってことだけは伝わって来て、毒カレーで注目されてテレビにしゃしゃり出て得々と解説していた作家さんみたくみっともないマネだけは両者ともしないだろーって、そこんところだけは安心してていーんだろー。

 時代遅れとゆー言葉すら時代遅れに感じるくらいにとんと評判も噂も聞かなくなって久しい「新世紀エヴァンゲリオン」がにわかに復活の兆し、ってそれは単にこれまで発行された単行本に未収録の話数を加えた全29話をどちゃーっとまとめて収録された雑誌タイプの別冊が登場、880円って超お買い得な値段に単行本も持ってはいるけど版の大きいしおまけのイラストも入ってるんで買ってしまう。読み返して思うのは「そーだよなーこんな話だったんだよなー」ってな爺みたいな回顧に懐古で、もはやその程度の感慨しか呼び起こさない作品を今時漫画にして意味があるのかどーなのか、答えは部数を伸ばして縮めてしまった「少年エース」が7月号からの「エヴァ」復活で再びの旋風を巻き起こせるかにかかってる。角川的な商売の行く末もかかってたりして責任じゅーだい、ってことでここは密かに再びの映像化なんて話もあったら面白いんだけどどーなんだろー、無理だろーけど。


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