縮刷版2005年4月中旬号


【4月20日】 動けば良いってものじゃない。ってゆーかしっかり動いてなおかつ動かない場所でも声や表情での演技が細かく繋がり隙がない。「フタコイオルタナティブ」の第2話は探偵事務所を継いだ青年と助手の双子の2人とのある1日を描いたエピソードだけど風呂場から始まり川縁を通り街にはいり部屋の中でうだうだし、過去を振り返り出会いを描きつつ父親の破天荒な活躍も見せる突拍子もない展開は見る目を瞬時とも逸らさせず引きつけ続ける。凄いシナリオ。完璧だ。

 ドアについてる覗き穴から見たよーな魚眼っぽいレイアウトの中で双子にさせた演技はシリアス系の顔もデフォルメ系の顔もともに崩れずしっかり描かれ綺麗で面白い。主人公の父親がハングライダーから飛んでイカの怪人へとキックを見舞う場面もバース的と言えば言えるけど下手なパロディにならずタイミングもスピードもオリジナル以上の迫力。絵も動きもこれ以上のものはないと思えるくらいに素晴らしい。やっぱり完璧だ。

 フタコイって割に双子が第1話で戦っていて第2話でもラストにちらりと出た幼女の双子を覗けば沙羅双樹の姉妹だけで双子がぞろぞろな「双恋」らしさはカケラも見えて来ないけど、だからこその「オルタナティブ」だってことだと理解しておこー。最初は暗かった双子姉妹が今に至った経緯とか、落ちてきた幼女の双子の乱入といった話もこれから明らかになるのかもしれないけれど、そーでなくても双子と青年の腐れ縁的関係を、毎回趣向を代えたストーリーなり見せ方で描いていってくれれば1クールを充実しまくりの奇蹟のシリーズとして歴史を飾れそー。さてどーなるか。録画しよう。でもって避ければDVDも買おう。

 人間にとって何より怖ろしいのは死ぬことで、だから人間にとって何をおいても望むのは生きることだったりする。それ故に人間の生への執着はどんな願望よりも凄まじくまた力強い。そんな強さがあれば水のない砂漠にだって泉を湧き出させオアシスを形作らせることだって出来るのかもしれないと、TONOの新作漫画「砂の下の夢1」(プリンセスコミックスデラックス、514円)は思わせる。強さ故にそれが歪むと及ぼす影響もまた凄まじくなるんだということも合わせて。

 97歳の老婆フィーガのもとに国使がやって来て、ジャグロ族の2人とともに南の27番目のオアシスを撤収する仕事を言いつけられる。ジャグロ族とは砂漠に生きる特別な民で、砂漠に暮らす人々は誰もがジャグロ族が行う仕事を見届ける義務を負う。やって来たジャグロ族の2人はフェイスとチャルの二人組。ともに美形で痩躯のカップルで、将来を誓い合った仲だと言うが成人んなるまでは性別を隠しているため、どちらが男でどちらが女かフィーガには分からない。男同士女同士でもカップルになるため両方が男だったり女だったりすることもあるらしい。

 そんな2人とフィーガが訪ねたオアシスには、エンジェという美しい少女がいて水を湧き出させ緑を茂らせていた。実は彼女は死人で、ジャグロ族によって砂漠の砂の下に埋葬される代わりに水を集め、植物の種を芽吹かせる役目を担わされていた。「死者の思念のなせるわざ」。そうフェイスがフィーガに解説したように、生への強い執着を持った死者の魂が、人の生きるために不可欠な水を湧き出させ、植物を育ませるエネルギーになっていた。

 そんなオアシスをどうしてジャグロ族は撤収するのか。強い生への執着も、時が流れればどこかに歪みが生まれる。あるいは純度が強くなり過ぎて人に災いをもたらす。フィーガが訪ねたオアシスは、エンジェという少女の生への執着の強さ故に栄えそして崩壊する。その様に、生きることの大変さを思い知らされ、それでも生きることの素晴らしさを思い抱かせられる。続く短編でもオアシスになった人々の残した想いの強さ、健気さに生きることの意味を教えられる。

 明るいけれど残酷な死がしっかりと描かれるのは「チキタ★GUGU」(朝日ソノラマ、760円)なんて漫画も描いているTONOさんならでは。ともすれば怖ろしい話しなんだけど、美麗なキャラクターたちが怖ろしさをくるみ底流にある優しさが読んで気持ちをほっとさせる。チャルがジャグロ族に入りフェイスとカップルになるエピソードも入った第1巻に続く第2巻ではどちらが本当に女子なのかも明かされるのかな。半分くらいは分かってはいるけど絵として証拠をみたいもの。それとも以外にどっちも……だったりするのかな。いずれにしても楽しみ。

 美しくて強い男たちに囲まれたくノ一少女の羨ましくも大変な境遇を描いたさくまゆうこさん「天音流繚乱」(集英社、495円)に待望の続編が登場。身に眠る力を知らず発動させたものの当人はそれに気づくことなく相変わらず、鈍いながらも許嫁の白帝とゆー忍者のトップを慕い続けていたある日。忍者たちが学ぶ学園で中間試験が行われ生徒同士が戦うことになって騒動が持ち上がる。白帝のすぐ下に居並ぶ強い力を持った7人の忍者に成り代わって七傑になりたいと思う生徒が現れ七傑に挑戦を始めた中で、天音を狙い学園を狙う企みが浮かび上がって来る。

 美少女を巡る美青年たちの恋愛バトルみたいな話に見えて、人心を掌握し操作する難しさを描いている面もあり、また狭い学園に留まらない陰謀を描いている面もあって訓話としても権謀渦巻くスパイ合戦的なドラマとしても楽しめそー。大きく動き始めて見えない場所での策謀が主人公たちに迫り始めた中でこれからどんな展開で進んでいくのか。陰謀の首謀者は誰で狙いは何で、そんな狙いのターゲットとなった天音はどんな言動を取るのかに興味。そして内に秘められた力の真の意味での発動にも。「札屋一蓮」から趣向を代えて臨んだ新シリーズも、すでにしっかり代表作になってる感じでさくまゆうこさんの才能の多さが伺えます。どんな人なんだろ。


【4月19日】 目覚めて録画して置いた「創聖のアクエリオン」の第3話「エレメントスクール」を見て、イセッタ爆乳眼鏡娘の登場にヤられる。その容貌その性格に加えてBMW(ベンベー)のじゃないイタリアのIso社のオリジナルを、70年前からレストアしながら乗ってるってゆーメカフェチ娘。さらに紅麗花への百合属性もあったりと盛りだくさんのキャラ設定に、眼鏡っ娘マニアも爆乳系も百合好きもエンスー野郎も惹かれ崇めて奉っては二次創作へと走り、コミックマーケットをにぎわせてくれることだろー。その名もつぐみ・ローゼンマイヤー。ハム職人みたいな名前だなあ(それはローマイヤー)。あるいは強面おばさん(それはロッテンマイヤー)。

 さてイセッタ眼鏡の爆乳百合娘とそれからハッキングの天才のジュン・リーも加わった地球再生機構ディーバのパイロット候補生が、セカンドチームになるべくアクエリオン搭乗のための訓練を始めてみたもののアポロは前に乗った時みたいな力を出せず、コーチについたシルヴィアとの仲も悪いまま失格失点落第の嵐。殊勝にも落ち込むアポロをソフィアお姉さまが慰めているところに現れたのがケルビム兵で、栄養にするべく街から人を吸い上げていく。緊急発進アクエリオン。ところが麗花はやっぱり精神が壊れかけてて合体できず、初登場のサッカー野郎、ピエールと交代。シリウスをヘッドにピエールとそしてアポロが紛れ込んで2人乗りになったシルヴィアのチームで合体したアクエリオンのえっとどれだっけ、「アクエリオンマーズ」? 剣を取り出し敵の船を貫く見事な戦いぶりを演じる。

 再起不能っぽいのに何度も麗花を乗せるのがとりあえずの謎。やっぱりトラウマは現場で克服しなければいけないって、司令官の不動GENの厳しい方針でもあるんだろーか。まあ全13話だったらぎゅうぎゅう詰めでキャラのケアなんかしてられないけど、少なくとも半年は続くらしー長丁場なら麗花の快復ってエピソードが入って、天狗で高飛車なシリウスが改心するなり闇に落ちるなりってエピソードも入るなりして、それぞれの事情を描きつつ最後は一致団結オール合体アクエリオンスーパーとかって感じに爆走していってくれると楽しいかも。既に3話で相当な莫迦をやっているだけにそれ以上の莫迦を期待したくなる。けどどんな莫迦? 地球両断?

 スタッフリストを見ると第3話は絵コンテが副監督も務めているところともかずさん。「灰羽連盟」の監督として有名だけどそれ以上に名を轟かせたのが西原理恵子さんの「鳥頭紀行」で西原さんがアシスタントに行って無茶苦茶をしたってエピソードへの登場。美少女の「どて」の描き方が巧みらしくこれを描ければ年収アップも堅いと西原さんに言わしめたその腕が、「創聖のアクエリオン」で発揮されているのかどーかといえばまずまず発揮されているって言えそー。筋とか。ってそれをところともかずさんが担当しているとは限らないけれど。絵コンテ描いたってことはイセッタ眼鏡の百合場面では発揮されているってことなのかな。

 もっとも第3話について言えば「どて」よりも見上げて大きさを出すレイアウトの妙に拍手。冒頭のイセッタを床下から見上げてみたりするシーンも面白かったけど、テレポートしたピエールがベクターソルを動かしケルビム兵の股間を抜けて上昇していくシーンなんかの、見上げたケルビム兵の巨大な感じが良く出た場面も迫力があった。忍者みたいに並んで走るケルビム兵のシーンはちょっと漫画っぽかったけど、直後の街をホップステップしてアクエリオンが走るシーンは、アクエリオンの巨大さとそして重さが両方出ている感じが結構出てた。綺麗でも重さの出ないCGって観念はもう棄てる時なんだなあ。次回はいきなり「裸」の習字でこれまた莫迦エピソードの期待大。出来る限り起きて見よう。

 その「アクエリオン」で堕天翅の都市のデザインとかケルビム兵とかをデザインしているらしーokamaさんの漫画「CLOTHROAD」に待望の第2巻。デザイナーがバトルスーツを作りモデルがそれを着て闘うよーになった世界で一流デザイナーを夢見る少年と、幼い頃に別れたその妹とが次に相手をすることになったのは、自らをウルトラスーパーグレートなデザイナーと称する眼鏡っ娘でグラマーな姉とこちらはウルトラスーパーグレートなモデルと自称する眼鏡っ娘でつるぺたで、けれどもパンプアップすると筋肉が浮き出る妹のムーリネ姉妹。自称だけでなく本当にウルトラスーパーグレートでジェニファーとファーガスを追いつめる。

 1巻ぶんをまるまるかけたバトルで出会いから闘いから引きまで含めて程良いまとまり具合。姉妹に双子と関係は同じながらも方やお互いを認め合うムーリネ姉妹に反発ばかりしているジェニファーとファーガスと異なる関係にあることを対比させてどちがらより強いかを見せる展開は、お互いの信頼関係があればうまく合体できるとも限らないらしー「アクエリオン」に通じる雰囲気。イラストレーションではとことん繊細に行くokamaさんだけど漫画ではスピード感に躍動感を出すためデフォルメも極端にしつつ派手に描いているんで、慣れないと最初は戸惑うかもしれないけれど慣れるとなかなかに心地良い。最後に出会ったウォーキング・クローゼットには曰く因縁がありそーで、それが明らかにされていくだろーこれからの展開に興味。そして期待。ムーリネ姉妹もまた出て来ないかなあ。眼鏡っ娘姉妹は貴重だもんなあ。

 表紙の替わった豪屋大輔さん「A君(17)の戦争」を7巻までと同じイラストレーターの絵で出た最新8巻をまとめ買い。重い。なるほど玲衣さんのイラストは基本的な造作は抑えつつもリアル系へと振ってあってなかなかの見応え。とりわけお尻の造型に見るものがあって1巻の口絵からしてこっちに向けられたお尻の丸さに目がしばし釘付けとなる。魔王はぐりぐり眼鏡のマッドな感じが斑目(「げんしけん」)系の風貌になっててやや怖げ。アーシュラさんはオトナな感じ。それにしても力の凄い入れよう。表紙だけでなく口絵も挿絵も差し替わっているのは驚きで、その枚数はおよそ100枚に及ぶとゆー。何日かけて描いたんだろー。それだけの労力とコストを払っても差し替えたい事情があったのかなあ。それだけの労力とコストを払ってもペイできるだけの人気がある現れなのかなあ。


【4月18日】 秋葉原をうろうろしていた日曜日に「ラオックス」の店頭でUMDに映像が収録されたものを「プレイステーションポータブル」で再生するデモンストレーションが行われていて、ながめるとこれがなかなかのクオリティ。差す日に反射する日中でもそれなりの輝度があったんで暗い部屋とかで見ればテレビで見るよりも綺麗な画面で「スパイダーマン」でも「YUKIビデオ」でも見られそう。音についてはゲームなんかで先刻承知の高音質。バリューパックに付属のイヤホンはポン酢なんでこれをちゃんとしたヘッドホンに変えればどこに行っても映像が楽しめる環境を手に入れられる。

 難点はやっぱりバッテリーが保たないことだろーけど、映画1本くらいは楽に見られる設計になっているから外へと持って出て通勤途中にちまちまと見れば行って帰って2時間の通勤時間を映画三昧で過ごせそう。でもって充電して翌朝に別の映画を見るという。値段が3000円を超しているんで何枚もまとめ買いして日替わりで見るのはちょっとキツそーだけど普及してくれば、種類も増えて1枚1000円くらいになってレンタル感覚で「PSP」で映画を見るよーな習慣も生まれるかな。それともパソコンのバッテリーの寿命が伸びてDVDをそれで見る方に傾くのかな。

 そんなどっちもどっちな状況を美味しく頂こうってゆー企画がバンダイビジュアルから登場。17日に始まったばかりで既に評判も上々のアニメーション「交響詩篇エウレカセブン」のDVDが7月22日に発売になるんだけど、これと同時にDVDとそれからUMDがセットになったスペシャルパックが発売になるってリリースがあって、2話入ってDVDだけが3990円のところをDVD&UMDで5250円って価格にちょっぴり食指が伸びる。家でDVDを見りゃいーじゃん、って言うのはひとつの真理。だけど1260円を払えば外でも見られるってゆーオトク感をチラつかされるとついつい心が揺れてしまう。「PSP」で再生される映像が綺麗なだけに。

 売る方にそれで利益が出るのかってゆーと難しいところだけど、すでにしてインターネットで配信を行い携帯電話向けの配信だって予定している「エウレカセブン」。そーすることによって間口を広げて認知度を高めて、これ面白いじゃんってパッケージの購入なり、レンタルでの利用なり玩具の購入へと向かう人が増えればトータルでプラスになる、かもしれない。「PSP」向けのUMDタイトルのおまけもそんなウインドウ拡大戦略のひとつ。家でひとりで「エウレカセブン」を見てもらうだけでは市場はそこまで。出先で「PSP」で「エウレカセブン」を見てもらうようにして、横からのぞいあ人に「面白い」と思ってもらえればそれで大きな宣伝効果が得られるだろー。

 2巻以降は4話入りでDVDが6300円のところをDVD&UMDは8190円。高いと言えば言えるけど1度揃え始めれば最後まで付き合うのがマニアって奴。飾るに難渋するフィギュアとか後でまとめて本にして出してもらった方がうれしい冊子とかより、実際に使えるUMDの方がおまけについててもらって有り難いって考え方もあるんで、それなりな数を出して映像を収録したUMDの市場を形作るひとつの契機になる可能性もありそー。これに続くタイトルなりメーカーはあるのかな。増えすぎてもらっても買うのに困るんで出来れば年に1タイトルくらいにしてもらえると有り難いかも。それといくら頼まれたからって「機動戦士ガンダム」をUMDでしか出さないなんてイケズなことはしないでね。

 2カ月と10日前に始まった日本でも屈指のメディアグループと新興IT企業とのメディア史に残るだろー攻防戦にいったんの休戦。ライブドアが取得したニッポン放送の株をフジテレビにぜんぶ渡してしまう一方でフジテレビはライブドアの第三者割当を引き受け出資。でもって業務面でも放送と通信の融合についていっしょに委員会を作って話し合いを進めていくことになるとゆー。金銭的な面で言えばライブドアはニッポン放送の売却分とそれからフジテレビへの第三者割当増資でしこたま金をもらえる上に、リーマン・ブラザーズから調達した金はMSCBが株式に転換されてしまっているから返さなくても良いってゆー状況。親の総取りに見えなくもない。

 損を被ったと言えばMSCBの発行で株式が薄まって株価下落となった一般の株主ってことになる訳でこの上にフジテレビへの第三者割当増資もあってさらに薄まる模様なんだけど、一方でフジサンケイグループとの提携を入り口段階でも成し遂げたってことで、これが収益につながって株価上昇へと向かえば株主にも損は与えなかったって言い訳は立つ。そこの所をうまく乗り切ることさえできれば、でもって実際に提携を実現できればライブドアにとっては万々歳の結果に終わったって言えそー。仮に提携がうまく行かなかったとしても潤沢なキャッシュで今再びの買収に向かうなり、市場から株式を買って償却するなりして株価維持をすれば、何はなくとも知名度の向上ってゆー最大の果実を得たことにはなる。

 ニッポン放送的には最終的にフジテレビの完全子会社になる訳でこれまた無問題。残るはやっぱりフジテレビってことになるんだけどニッポン放送株の取得でこれまで使った費用にさらに上乗せになるライブドアからの株式取得費用とそしてライブドアの株式取得費用。ほかフジテレビが行ったポイズンピル的状況の費用とかソフトバンク・インベストメントとの絡みで使った費用とか、諸々を足せば結構な額が出ていったよーに見られなくもなく、勉強代とするには多額な費用を費やした分だけの成果を果たして得られるのか、すなわちライブドアよりネット関連のノウハウだけを吸収して利益の拡大に結びつけられるのか、これからの話し合いなんかも含めてまだまだ紆余曲折がありそー。右顧左眄もあるのかな。

 それにしても見えないのがこれからの具体的な業務提携。単にフジテレビのコンテンツをネットで配信するだけだとはっきりいって美味しい果実は得られない。ケーブル会社と同様に単なるパイプにされてしまう。コンテンツをスルーさせる一方でアクセスする人の情報を他のビジネスなり関連する商売なりへとつなげられないと意味がないんだけどそーゆー勝手を果たしてフジテレビが許してくれるのか。許してもらったとして多くのアクセスを稼ぎ関連ビジネスも膨らませられるよーな状況を作り出せるのか。興味を持って見ていく必要がありそー。

 あと「放送と通信の融合」ってライブドアとフジテレビの狙いからは、ライブドアがポータル充実のひとつの柱にしていた報道コンテンツとの連携に関する話が落ちている。ライブドアは諦めたのかそれともこれからの話し合いの中で、そーした方面への食指が伸びて来るのかどーか。フジテレビが頑張ったところで人数的に乏しい報道ではポータルのニーズを埋められるだけの情報は出せない。ってことはやっぱり紙メディアが持つネットワークへと向かうのか。その辺りもやっぱり関心の的になりそう、ってゆーか関心を向けてないと足下に知らず穴が空くことになりかねないからね。ともあれ1つのバトルが終わって始まる新たな丁々発止。株主総会も遠からずある中でしばらくは目が離せません。

 「仮面ライダースナック」からかれこれ30年。その後も数多く発売されたカード付きスナック菓子にこれまで注ぎ込んだ金額は、多くはないといってもそれなりには及んでいるけれど、1度もお目にかかることのなかった「ラッキーカード」を始めて手にして狂喜乱舞。本当はそっちを買いたかった「Jリーグチップス」がなく、楽天球団の選手でも出れば珍しいかもと思って買った「プロ野球チップス」で出たのがそれで、絵柄のないカードに最初ははずれかと思ったら、赤地に金文字で「ラッキーカード」を書かれてあってこれがラッキーカードなのかと手にしてしげしげと見つめる内に感慨がわき起こる。ってももらえるのはホルダーで2枚同じラッキーカードを集めてもサインが金文字で入ったカードセット。それよりやっぱり珍しい選手のカードが欲しかったと思うのは僕が大人になったからのかも。ホルダーをゲットする以上はやっぱりコンプリートを狙いに行かないといけないのかなあ。それはそれで難儀だなあ。


【4月17日】 12時間くらい眠って起きたら「交響詩篇エウレカセブン」が始まってたんで慌てて観る。いやあ良いオープニング曲。2月の記者発表で聴いた時から張り上げられる声で絡み合うツインボーカルの格好良さにこれは期待と思っていたけど、バックに画面も付いて今時珍しく歌詞も出る歌は早朝の微睡む頭を一気に覚醒させてくれ、続く物語へと気持ちを引っ張り込んでくれる。

 聞くと唄っている「FLOW」ってグループの他の曲はまるで違った雰囲気らしく、アニメの世界に合わせて新境地を出して来たところに次のアルバムへの期待も膨らむ。でもって聴くと1曲だけ違和感ありまくり、とか。麗の「SEED」「ハガレン」方式で1クール毎にアーティストも替わるみたいなんでそっちにも注目。意外な大物とか、出てこないかな、「ビーチボーイズ」とか(そりゃ無理だ)(いいやあるいは)。

 オープニングのバックに出てくるエウレカと他の女性キャラの眼が上目遣いってゆーか目線が上を向いているのは描いた人の趣味か。謎。もっとも上目はオープニングくらいで本編に入るとキャラクターは子供も教師も爺ちゃんも兄ちゃんも、目までふくめてしっかり演技していて巧みな声優陣の声とも相まって、キャラクターの心理ととこから紡がれるドラマがちゃんと伝わってくる。ナオ太、じゃなかったレントンは閉塞感漂う中で何者にもなれそうもない苛立ちを覚えながらも自ら突破する勇気もなくただうだうだしてる中学生。爺ちゃんはそんな孫を気にしつつも英雄っぽい息子をちょっとは誇りに思いその影を受け継がない孫を嘆く。

 そこに打ち込まれたエウレカという楔。ナオ太、じゃなくってレントンはこれで何か変化が生まれると期待し爺ちゃんは来るべき時が来たと覚悟してエウレカにユニットを委ねる。そして始まる大冒険。ってことになるんだろうけど現時点では少年が命の危険ってゆー奴を省みないでエウレカやホランドたちにくっついて行って良いと思える程に現実に不満を抱いていたのかそれとも、人間によくある「ここではない別の場所に憧れる自分に憧れる」程度のものだったのかが掴めない。

 ホランドの一行に加わって楽しい中にも苦労し命の危険を覚え仲間の死って奴も間近に見てそこから1人の人間として、成長していくよーな物語だったら見ている同じ世代の子供とそして、かつて繰り広げられたアムロの物語を未だ引きずる元子供たちにこれからを生きる夢を与えてくれそー。1年間50話。頑張って早起きして見続けよう。視聴率悪化で打ち切りは勘弁な。

 発表会見でプロデューサーの人が70年代末から80年代初頭にかけてのアメリカ西海岸風サブカルチャーを今に取り入れ新しいサブカルチャーのムーブメントにつなげたいとか言っていた意味に納得。音楽にファッションにサーフボードスケートボード的な道具がそんな感じを作り出している。けれどもそーゆー文化なり風俗が70年代に流行ったのには社会的経済的な背景がありそこから外へと出たい、外を見たいって受け手の強い願望があったから。満たされてなお刺激を求める欲深い者共に外へと開く出口だけを与えたところで、それが切実なメッセージと受け止められて血肉となり、描かれている文か風俗の類儲け入られて大流行するかどーか。おっさんも冒頭で言っている。「記憶というものは決してそれ単体で存在せず、それを取り巻く環境に支配されている」って。

 70年代的の洗礼を受けた送り手たちの記憶がわき上がりアメリカンドリームよもう一度、ビッグウェンズデーよ再び的な意識でもって作られたとしても、当時と異なる環境に支配されている現代の若い人たちも同じような記憶を持ってくれるとは限らない。押し付けがましい、鬱陶しいと思われ敬遠されかねない。もっともそーやって幾重かのフィルターを経ながらも、文化風俗は周り巡って行くものってことで、オヤジな世代への反発をさほど抱かないさらなる若い層にはこれも”新しい”ものとして、受け入れられ手は大流行するのかも。そーした周辺の盛り上がりも含めてこれからの展開を眺めて行こう。

ハンバーグにエビフライは時代が変わっても場所が宇宙でもご馳走である。間違いない。  それにしてもファミレスみたいな場所があってご馳走がエビフライにハンバーグの目玉焼き乗せセットってのはつまりそこは日本ってことか? 工場には安全第一なんて漢字で書かれてるし。それより燃える家を拝む場面でエウレカの腿の付け根に見えたあれはスパッツか? それ以上に終了後のアロエヨーグルトのCMで雲底する美少女のスカートの奥は果たして見えているのか? 気になることが多い春の早朝。来年不惑。

 木の上で死んだよーに眠るマイメロディの可愛さにもだえ苦しんだ後に家を出て上野へと向かう。「国立科学博物館」の横を透と「恐竜博2005」に入場する人の列が長く伸びてて入場までに50分待ちの看板が。チケット購入だけでも10分待ちとは朝日新聞もなかなかに盛り上げが上手いもんだと関心する。しょせんはレプリカなのにねえ。けどそれすら門外不出だからなあ。シカゴに行かなけりゃ拝めないとなればやっぱり見に来るか。それとも「ゾイドジェネシス」が始まって恐竜ブームに火が着いた?

 そんな様を横目で通り過ぎて「東京国立博物館」で「特別公開 中宮寺 国宝菩薩半跏像」をまず見物。法隆寺に隣接する中宮寺にある弥勒菩薩の特別展示で展示はこれ1点。ちょっと前の「踊るサテュロス」と同じ方式なのに入場料はえっと600円だったっけ? 結構高いのはそれだけ「弥勒菩薩像」を好む人が多いからなのか。ちなみにメインの「ベルリンの至宝展」とセットなら1600円。「ベルリン展」を見た人なら200円の追加で見られるんでそっちの方がお得。奈良に行くよりは600円でも安いって思う人はそれだけでも良いんだけど。

 さて弥勒像。うーん良い顔。一般には広隆寺にある頭に台形を乗せた弥勒の方が有名だしそっちを好きって人も多いんだけど素材の異なる木を寄せて作られた木彫の像では世界最古ってゆー価値と、それから確か聖徳太子の顔をモデルにして作られたって伝説もあって見ればなるほど見るほどに深い感慨を与えてくれる。そのつむった眼からただよう叡智。その微笑んだ口元からあふれる思慕。流れる線を持った肩から腕のラインの美しさたるや、古来に生を営んだ人であっても美と情に対する想いは同じであったことを伺わせる。なるほど1点だけでも1000円払って良いだけの至宝です。土門拳さんの「古寺巡礼」に写真、入っていたかなあ、持っているんだけど取り出せないんだよなあ。

 これをお堂のような雰囲気の中に1点だけ並べた展示にも拍手。美術館なんかがよくやる、同じ系列だからと広隆寺の弥勒菩薩の写真を並べるよーな不粋な真似をしていないのが有り難い。1点の至宝を前から横から後ろから、じっくりを眺めることができるから。前の唐招提寺の展覧会でも1室に金堂を再現して展示していたし、「踊るサテュロス」でも1部屋の四方から像を眺められるよーにした展示を行ったりと「東京国立博物館」もいろいろ考えてるみたい。そんな系列に連なる展示で次にやるのはいったい何か。「法隆寺夢殿再現」は秘仏だから無理だしなあ。「東大寺大仏殿再現」。大仏はどーやって持ってくる? 歩いて来るるから良いのです。何日かかるかねえ。

 続けて「ベルリンの秘宝展」。ベルリンの島に立ち並ぶ「旧国立美術館」に「旧博物館」に「新博物館」「ベルガモン」博物館」「ボーデ博物館」に収蔵されてる美術品工芸品出土品の類が時代もジャンルも超えて日本にやって来た展覧会ってことで、ギリシャ彫刻ありエジプト彫刻あり金貨ありイスラム芸術ありヨーロッパ美術ありと、時代も場所もあれやこれやな作品群が並んでいて、1つの展示会でいろいろ見られてちょっと得した気分。お腹いっぱいな気分にもちょっとなる。

 ギリシア彫刻ではクレオパトラの頭部が眼についた一品。やっぱり綺麗で2000年程度の時代を超えても美の基準ってのはさほど替わっていないことを知る。1万年とかだと分からないけど。横に置いてあったアフロディテか何か不明な彫刻は露わになったバストが貧ではなく薄な感じがその筋の人に受けそう。これが支えなくてもたるまない大きさってやつなのか。その筋といえばヨーロッパ近代美術の部屋にある皇太子の絵もなかなか。天使のように美しく天使のような羽根の映えた金髪の少年が裸で描かれこちらに向かって微笑んでいる絵。タペストリーに織って部屋に飾って眺めて微笑み返したい人もきっと多いかも。これ1枚を見に行くその筋の人もいたりするのかな。いるかもな。


【4月16日】 ”ライトノベルズ”がライトノベル化するなら逆もまたありってことなのか。けど「ブンコ」って言葉と大差ない(と認識している)レーベルたちの総称でしかない(と感じてる)、「ライトノベル」がすでにある方向へと、それがひとつの選択肢でしかないとしても食指を伸ばすのは果たして喜ばしいことなのかそれとも、可能性の芽を摘みかねない悩ましい事態なのか。

 けどまあ流行しているフォーマットをも貪欲に取り込みそれをレーベル的な味付けでもって提供しては次代の読者たちを取り込み作家を呼び込み枠組みを広げていくのも文化でありビジネスだ。ひとつに流れ食い尽くした挙げ句に共倒れ、なんてことにはならず食い尽くす前に次の流行を見つけだすかたわらで、自前の流行って奴をちゃんと自ら生み出しているんじゃないかと、まあ思いたいんだけど果たして。来月発売予定の電撃文庫刊行予定、御影瑛路さん「僕らはどこにも開かない」はそんなこんなで注目を集めそう。言ってしまうと人間、朱に交われば赤くなるって話です。

 今日勝てば一気に首位すら狙える位置へと上がるジェフユナイテッド市原・千葉の完璧な試合運びが発揮されるかって期待も抱いて国立霞ヶ丘競技場。SS席の椅子が新しくなってて肘掛け付きの折り畳み式になっている上に段差も隣のS席エリアと変えて大きくしてあって、前との感覚が広がっていて座っても前を人が無理せずに通っていける。これでこそナショナルスタジアム。だけど注目の試合なのに超満員とはならず自在に動き回れるのは寂しいところ。なれば凄まじくも素晴らしい試合を繰り広げてはジェフ千葉へのファンを増やして2万3万と客を増やしてもらいたい。

 なんて期待したのも前半まで。途中交代から一週を冷やしておねしょも乾いて復帰した水本裕貴選手がディフェンスに入って大丈夫? って思っていたらどうにもラインがおちつかずアレックス・ミネイロ選手を度々フリーにしてしまってそこから度々突破されて危険がいっぱい。1点を奪われそれでもサイドをくずしえぐり中央をぶちぬいて佐藤勇人選手が1点を返して同点に。さあ反撃だと期待したのもつかの間、後半に幾度となく危険の芽を摘んで失点を抑えていたストヤノフ選手がカミカワマジックによって一発退場となってその後をとりあえず阿部勇樹選手が下がり入ったもののサイドの漏れは防げず差が広がり、たちどころに2点を奪われててしまう。

 カウンターで抜けた佐藤選手から中央のマリオ・ハース選手へと渡ったパスをハース選手、オーストリア代表の力を発揮してスーパーなゴールを華麗に決めて1点差へと迫りさあこれから、って思いたかったけどそこは1人少ないチーム。走らなくても技術に優れた鹿島アントラーズから得点を奪うのは難しく逆に更に1点を奪われ万事休す。2点差で敗れ去る。試合後に幾らトニーニョ・セレーゾ監督に誉められたって負けてはやっぱり仕方がない。次出直し、って思ったもののストヤノフ選手は出られずハース選手もイエロー3枚で次節は出場停止。厳しい戦いになりそーだ。

 終盤にクロスから林丈統選手が競って浮かしてしまったヘッドは、その向こうに走り込んでいた選手がいただけにスルーすれば1点を返せてたかもしれず残念。林選手がもうちょっと大きいか小さいかすれば良かったかも。けどこれ以上小さくなると林選手、ピッチから見えなくなってしまうから仕方がない。返す返すも惜しかったのがストヤノフ選手の退場で、これががなければ互角な戦いが出来ていたかもしれないけれど、アレックス選手をフリーにしたりアリ選手に抜かれまくったりと安定してなかったディフェンス陣だっただけに敗戦も仕方がない。ここからどう立て直してくるのか。そっちの方面でのオシムマジックを期待。とゆーか熱望。応援用のジェフ使用のホッケーシャツを買ったんで次は着ていこう。


【4月15日】 めっちゃ大好きだった「あずまんが大王」がアニメになってめっちゃ期待して観たら間が違ってて戸惑いながらも観ていてそのうち別物として切り替えることに成功して楽しめるよーになったって経緯があったっけ。自分のペースで音読できる漫画と違ってアニメのペースは監督なり演出なりが彼らの生理で作ったもの。ハマれば良いけどズレると物が思い入れたっぷりな作品だけにどーしても違和感を覚えてしまう。

 けれども何話か観てアニメの演出の面白さを掴んで、これはこれで良いものだって気づいた経験を鑑みれば、死ぬほど原作が大好きでどんな作品になるかと期待して観て感じが違う声が違う空気が違うと感じて憤っている人も、アニメ版の「ハチミツとクローバー」にそのうち慣れてこれはこれで良いものだと感じるよーになるんじゃなかろーか。オープニングの海老カクテルのエイリアン的アクションは除いて。

 原作を未読でまるで先入観を持たず思い入れも育っていない身にはアニメ版「ハチミツとクローバー」は普通に面白くって楽しくって傑作の予感漂う好作品。セリフが途切れないテンポの良さがあるしアクションも警戒だし表情のデフォルメもタイミング良く決まるし声もばっちり。演出も過剰でなく学生の男女の片思い合戦をコミカルに描いているっぽい作品の雰囲気をなぞって、恥ずかしさに身を悶えさせることなく羨ましさに引かせることもなく、すんなりと作品世界へと観る人を誘ってくれるよーな気がする。ってゆーか誘われた。

 はぐみちゃんの声は絵にも増して可愛く電車の中でつんのめって「ぎゅう」ってなるところの潰れっぷりも蕗を手渡されてコロボックルにされるあたりの怯えっぷりもキャラクターの見かけにマッチしていたよーに思った。どーやら見かけによらず豪快らしーキャラと今後どーマッチさせていくのかが楽しみだけど頑張ってくれることでしょー、工藤晴香さん16歳は。背は高くないけどモデルなんかをしているだけあってなかなかの美少女。「笑う大天使」にもメインじゃないけど出るみたいなんでそっちでの演技にも期待だ。

 いわゆるライトノベル的なフォーマットに沿ってない谷川流さんの「絶望系 閉じられた世界」(メディアワークス、578円)に仰天させられたのもつかの間、集英社スーパーダッシュ文庫から出る中村九郎さんて歌舞伎役者みたいな(どこかが?)名前の人が書いた「黒白キューピッド」(集英社、495円)を読んで、ストーリーってゆーかドラマを描くんじゃなく雰囲気を描き気分を描いて同時代的な若い世代の雰囲気への違和感なり共感をすくい上げよーとする作品がライトノベルのレーベルにもだんだと、浸透して来ているんだってことを改めて感じる。

 加藤ってゆー少年が携帯電話に自分を見張っているよーな内容のメールをほぼリアルタイムでもらって訝る一方で、雑誌のモデルなんかもやってる金髪美少女の鈴木メイジ亜惰夢子はネットでチャットなんかをしてシスギってキャラクターと交流したりしている。そんなチャットで聞いた12歳未満禁止のゲームをやってみたいと買っているところを誰かに見つかり、その情報を受け取った加藤がメイジを脅して家へと連れ込み、何かするかと思ったらそうはならずに12禁のゲームをとりあげ1人プレーを始めてメイジを置いてけぼりにする。

 これはつまらないとメイジは加藤といっしょにゲームを始めることにして同じ空間へとジャックイン(といっても「ヴィーナスシティ」的な感覚までもをネット界に移す訳ではなさそー)してパーティを組んで、”自分の秘密”とやらを護りながら敵を倒して得点を稼ごーとする。そこに起こったのがゲームの天使がリアルな世界にも現れるとゆー現象。いったいどーなっているのか。かくして加藤とメイジの探求が始まりやがて彼と彼女は答えへとたどり着く。

 ボーイミーツガールに見えて加藤はメイジを道具のよーにしか観ておらずメイジも思い込みで突っ走るだけで2人の間にかわされる有り体な情動はほとんど皆無。どこか漠然とした関係を続けながらもオンラインゲームの上で協力しあったりしてお互いがそれぞれに抱える秘密を守ろうする。どこか真っ当な学生生活から外れた少年少女の観て感じた世界の虚ろで作り物のような様が世界を訝り未来を迷う少年少女の感覚へと働きかけて共感を呼ぶ、なんてことになるのかな。

 世界を脅かす敵を倒して少年と少女が大団円といった、主体を持ったドラマではなく、空気があって展開があって気分が生まれる、それも辛辣で嘆かわしさに満ちた気分で、ライトノベルのレーベルにあって特別な印象を喚起する。読了してもカタルシスはなく不思議な読後感が残りもう1度読み直して彼と彼女が世界に対して抱いている感情はどんなものかをトレースしつつサスペンスフルで複雑な構造を持ったこの作品の真理を探究したい。しかしやっぱりスーパーダッシュ文庫には冒険的な1冊ってとこかな。電撃では5月に出る作品に冒険的な1冊が混じっているみたいで新しい感性新しい戦略が生まれつつあるって印象。その結果がどーなるかは他のレーベルを含めた作品面でのパラダイムシフトぶりに掛かって来るんだけど、さて。


【4月14日】 もちろん映らないから観られなかったけどサッカーの「チャンピオンズリーグ」はACミランにチェルシーにリヴァプールにPSVと4強が確定。年末の「FIFAクラブワールドチャンピオンシップ トヨタカップ ジャパン2005」に出場するチームの可能性がぐっと絞られた訳でこれだったらどこが来たって楽しいサッカーが観られそーで、既に始まっているチケットの先行販売にも加速が付きそー。

 シングルチケットの決勝&3位決定戦は早々と売り切れているけれど、何試合かをセットで観られるコンビネーションチケットは、決勝&3位決定戦を含むものでもまだ余っているみたいなんで早めに申し込むのが吉。4チームではPSVが去年のFCポルト並みに穴だけど、2002年ワールドカップ日韓大会で韓国を率いたフース・ヒディング監督のチームだけに全北か、城南一和が勝ち残って出場して決勝とかで対戦するよーなことになれば盛り上がりそー。

 残った4チームで一番来て欲しいチームはうーんチェルシーかなあ、それもロッベンがちゃんといて攻撃的なバージョンの。金満な印象はそれとして、集まった選手層の分厚さではミランに互してるし。リベルタドーレス杯はどこが出るかまだまだ分からないけど去年見たオンセ・カルダスじゃなければとりあえずオッケー。生で見たのかこれとオリンピアとはなかなかに貴重な経験かも。ちなみに「トヨタカップ」は来年も日本で開催なんでそれには是非にインテルか、アーセナルに来て欲しいもの。でもってそれをオシム監督率いるジェフユナイテッド市原・千葉が粉砕すると。夢。だけど適うかもしれない夢。観たいなあ。

 ブロッコリーが急騰。天候不順で入荷がストップして品不足になった……分けではなくって「ゲーマーズ」のブロッコリーの株価が1000万円株価で話題になったガンホー・オンライン・エンターテインメントといっしょにオンラインゲームを来週発表するってニュースが飛び込んだことで、前日の225円から一気に500円まで上がってしまった。しばらく前には120円とか150円とかそんなところをうろうろし、その前には100円前後で低迷していた株価が半年で4倍5倍になった訳で底値のところを「ギャラクシーエンジェル」なり、「デ・ジ・キャラット」を送り出してくれた会社への感謝と買っていたファンは大喜びできたかも。もっともファンだけにファン活動に金がかかって株にそれほどお金が回らず何百万円も儲けられないのが辛い所だけど。

 はっきり言って1日で2倍は異常で、相手がガンホーであっても”萌え”市場がこれからの成長株だとしても、近い時間では遠からず反動が出ることは避けられないだろー。ただ事業としてはブロッコリー、聞くといろいろと仕込みも始めていてそれなりな商品も出てくる見通しで、ガンホーとやるオンラインゲームについては社長の人もそれなりに期待を込めていたよーなんで、底の抜けたよーな状態はとりあえず解消されて体力にあった状況へと経営は戻り株価もそれに相応したもので推移するんだろーと、思うんだけどやっぱり先行きは分からない。だって何が当たるのかが分からないのがエンターテインメントって奴じゃん。株なんてファンだって想いでもなければ買えません。ってかインサイダーになりかねないから一切買えないんだけど。100円割れで1万株買っていれば数百万円が儲かったんだよなあ。辛いなあ。公開時に買った人がいちばん辛いんだけど。

 「極上生徒会」の第2話を見る。眼鏡眼鏡が続いている。1話完結パターンの積み重ねが多い中でちょっと珍しいかも。お話の方は大過なく他愛なく適当に楽しくって適当で、真夜中にぬぼーっと見ていると気が抜けて良い感じ。とはいえ蘭堂りの&ぷっちゃんが出ていない場面ではお話が真っ当に進みすぎてちょっぴり気持ちが宙に舞う。セリフを入れるタイミングがちょっと生理と合わないのは音響監督の趣味と合わないからなのかそれとも全体に声優が拙いからなのか。要研究。

 女子がいっぱいの学校で特別な集団があれこれするって設定で、思いっ切り耽美に走れば「マリアさまが見てる」みたいな形式を楽しむ話になるし、起伏を付ければ「舞−HiME」になるけれど、そーしたロングセラーとしての土台も、サンライズならではのクオリティもない新参アニメは、お話のばかばかしさに展開の寒くない程度の爆裂さ、そして肝心要のぷっちゃんの不思議さ不条理さをスパイスに、話があっちゃこっちゃに転がる様を味わうのが良いみたい。そんな展開を期待しつつしばらくのんびりだらだら見続けることしにしよー。


【4月13日】 電撃文庫だと思って手に取って読み始めて本当に電撃文庫だったのかと表紙を見返して電撃文庫だと確認してまた読み出して読み終わって電撃文庫じゃないと思って見直したらやっぱり電撃文庫で読み直して本当に電撃文庫なのかと訝って奥付も見直して電撃文庫でしかないことを知って愕然。谷川流さんの「絶望系 閉じられた世界」(電撃文庫、550円)は決して講談社ノベルズではなくすなわち”ライトノベルズ”ではなく、電撃文庫であってつまりはライトノベルなんだけど、でもやっぱりどう読んでも講談社ノベルズから出ている”ライトノベルズ”とやらに混じって遜色のない、メタフィジカルで殺伐とした内容を持っていて驚く。いいのかこれ。

 彼女と2人でいた杵築の所に掛かってきた友人の建御からの電話は、家に浴衣を着た天使とゲームマニアの悪魔と全裸の幼女の恰好をした死神と少年の幽霊が入り込んできたからどうにかしてくれという内容で、かけつけるとそこんは本当に天使と悪魔と死神と幽霊が。おまけに悪魔は誰に呼び出されたかが分からず悪魔とバランスを取るために来たという天使も当然ながら目的不明。死神は幽霊の少年を狩りに来たという理由ははっきりしているものの性格に難ありで建御に向かって「我がこの肉体を使って魂が抜けるくらいの煩悩を吸い出したり搾り取ったり締め上げたりしてみせようではないか。まずどの穴から使用するか?」と幼女の姿で話しかけてくるから堅物の建御は頭が破裂しそうになる。

 一番真っ当な幽霊は自分が幽霊になった理由がを教えてもらえなければ死神には連れていかれたくないと駄々を捏ねる。なるほどこれは大変と杵築は付き合っている彼女の姉で近所でも評判の不気味さを誇る美少女のカミナに調査を依頼。その足で妹のミワと性交をして眠りそれから建御の家に集まった死神や幽霊の相手をしつつ幽霊が幽霊にされた事件の真相に迫る。

 そして得られた結論の、突拍子のなさにまず仰天。活躍するべき少年ヒーローに少女ヒロインがとんでもない方向で大活躍していた描写にこれを読んで健全な少年少女がどう思うのかと想像をめぐらし、さらに最後の大どんでん返しでまたしても健全な少年少女の魂を汚し引き裂きはしないかと心配になる。少なくとも少年少女が中心の対象になっているライトノベルのレーベルでは、滅多にお目にかかれないハードでシリアスでショッキングな描写に溢れている。

 ライトノベル的な配役への当人たちからの言及もあったりとメタ的な構造も持っていて、小説を読む時は物語を純粋に楽しみたいって人にはいささか面倒くさい内容になっていたりして、果たしてレーベルの中心的な読者である中高生をメインとしたティーンにどれだけ受け入れられるのか、心配になったけどそこは物語なりギャグなりを楽しむリニアな頭を持った一方で、講談社ノベルズなり”ライトノベルズ”のパラレルで多層的な内容を噛みしめることも平気な今時のティーンたち。大人には唖然の「閉じられた世界」もそーゆーもんだと受け入れつつ、繰り広げられるエロに冠する哲学的な議論も突拍子のない展開も楽しんで楽しみまくることだろー。ある意味電撃文庫のターニングポイントなりメルクマールなりになる作品。わが家にもつるぺた全裸な死神が飛び込んで来ないものかといった夢もわき上がる。窓は明けておいた方が良いのかな。

 「絶望系 閉じられた世界」が小説史にメディアワークスの名を刻む作品だとするなら「フタコイ オルタナティブ」はアニメ史にメディアワークスも含んだ関係者の名を永久に刻み込む問題作か。幼い双子が輸送機の中で重火器を振り回して怪物と戦う派手なアクションに始まってヤクザに取り囲まれた少年の場面に移りコロッケを揚げる美少女がいて謎の中国人風の男をバイクに乗せて逃走する美少女がいてヤクザへの落とし前を付けるために巨体のボクサーと戦う羽目となった少年がいてデカいのとホソいのとがいる不良警官がいてマカオに売られちゃうのとかいってるテレビリポーターがいてととにかくキャラクターづくし。でもってどれもがどこか変。というかはっきりって変態。そんな輩ばかりが出てきて最初はちょっと混乱させられる。でもテンポの良さにすぐ慣れる。

 ストーリーの常識を超越した理不尽さを観る人にまるで感じさせないうちにテンポ良く進んでいくシナリオと、どんな動きも余さずとらえ、むしろ余計なくらいに動かしまくる絵が相まって作り出された世界は過去の数多ある古今東西のアニメにもないもの。手練れのアニメマニアにも先を読ませない、楽しみでいっぱいの作品になっている。いやもー凄過ぎ。前の「双恋」がどーだったかは知らないけれどこれはDVDを買ってじっくり見ても良いかも。設定と展開のキレっぷりで伝説を作った「セラフィムコール」も超えたメディアワークス系で最強最高のアニメになることほぼ確定。「スターシップ・オペレーターズ」? そんなものもあったなあ。

 愉快にして痛快。ディフェンスの要とサイド攻撃の柱と攻撃陣の中心を揃ってぶち抜かれたジュビロ磐田を相手にジェフユナイテッド市原・千葉が戦ったアウェーでの試合。川口能活選手も迎えて万全の大勢でスタートダッシュを目論見つつも今ひとつ波に乗れないでいるジュビロを相手に、ジェフが猛攻をかけて3点をもぎ取り反撃を若手のカレン・ロバートの1点に抑えて完勝してしまったからもう感激。アテネ五輪の本番でもテストを続けた山本昌邦監督の頭脳では、欧州のチームをクラブも代表も含めて面倒を見ていずれでも好成績を残してきたイビチャ・オシム監督の頭脳にはとても及ばなかったってことなんだろー。ってかはっきり言って山本監督だらしなさ過ぎ。これで次の代表監督の目も完全に消えただろーなー。

 試合後のインタビューでオシム監督、「すごく彼らのいい時代の区切りが付いたのではないでしょうか。新しい時代を作るには、やはり時間が必要です。ただジュビロがいいチームになるということに疑いはありません。以前のジュビロのようなエレガントなプレーはしないかもしれません。ガツガツいくような強いチームになると思います。ただ忍耐は必要です」って言っていて、有力な選手を集めた割には世代交代を押し進められず低迷に喘ぐジュビロの弱点をずばりと突いた見解に、やっぱりこの人は凄い凄い凄すぎるって賛辞の念が浮かび体を震わせる。日本のすべてのサッカー人は彼がいる時代に彼の采配のすべて、言葉の全てを目に焼き付け心に刻み込むべし。さすれば5年後10年後に分厚い選手層と蓄積された戦術観がサッカー人の血肉へと変わる。でも肝心の代表チームで血肉はそがれ平凡極まりないチームなってしまうんだ。悔しいなあ。


【4月12日】 赤地をバックに吼えるティエリ・アンリの勇姿も眼に鮮やかな表紙に惹かれて買ったアーセナル特集号の「GOAL」2005年4月号をペラペラ。特集の良さはそれとして真ん中にサッカー中継を手がけるアナウンサーへのインタビューが載っててその中にテレビ朝日の角澤照治アナの解答も掲載されてて読んでたまげる。

 問い。サッカー実況において最も心がけていることは何ですか。答え。純粋に、テレビを観ている人がサッカーを楽しめるよう、いい意味で邪魔にならない、押し付けがましくない実況を考えています。そうかあれが角澤アナにとっての「邪魔にならない」実況か。ことサッカーは世界中どこに行ってもボールは丸くチームは同じ11人だけど、「邪魔」という言葉の意味は六本木ヒルズとそれ以外では違うらしい。それとも個体差か?  誰かやはり何かそろそろした方が良いのかもしれない。免許制とか。段位とか。

 そんな意味ではサッカー中継10段を贈与されて文句なしの山本浩アナウンサーへのインタビューも掲載されててこちらは流石に含蓄いっぱいの内容に。サッカー中継が野球中継と違う点を線が続いているか途切れるかに置いて線でつながるサッカーのどこに視聴者が飽きないようなポイントを入れるかとか、勝負の行方を暗示しないよー心がけ加茂周さんが「よっしゃ、これで決まりや」と言っても無視して淡々と続けるとか、中継を志す人には意義深いコメントが並んでる。

 とりわけこれは深くて重たい一言。「あまり経験がないうちは、自分の存在と、これまでやってきたものを出さないと気が済まないところがあると思うんです。伝えるんだ、という思い込みが強かったりするんですが、そうすると、言葉の数が多くなって、視聴者にとってうるさいと感じる実況になってしまう」。だそうだ角澤アナ。自分もそう感じているって? だから「邪魔にならない」実況を心がけているって? わかったそう思っているならそれでいいから次は「存在感のまるでない」実況を心がけてくださいな。引き目で全体を見渡せる絵だけで十分。あと吼えるセルジオ。それでいいんじゃない?

 寒風吹きすさぶ六本木ヒルズで何匹か熊を狩る。イランの熊とバーレーンの熊を見つけて、負けてください勝たせてくださいとお願いしたらお手上げしてくれたから、きっと日本にお手上げなんだって意思表示だと思ったけど、別の場所にあった日本の熊もお手上げだったから、きっとワールドカップの予選は唯一熊を出して来なかった北朝鮮だけが、最後に勝って笑うってことなのかも。それともイランとバーレーンがまず万歳して、3位に回った日本が苦闘のプレーオフを経て最後に万歳するって暗示?

 熊ではあとセルビア・モンテネグロの熊が遠目に斑点模様に見えて近寄るとそれは銃創で、体から顔からアナだらけになった姿にこの国が1990年代に経てきた地獄の記憶を、今なお消せないで生きていることを知る。追いつめられた人間の記憶は簡単には消えず機会を見ては燃えあがる。それがより大きな火となって再び世界を包み込まないためにも熊は象徴とならずあくまでも熊として、人々の痛みを一身に引き受けたまま彼方へと旅だってもらいたいもの。60年を経てなおくすぶりつづける炎の残る大陸の大国を目の当たりにするとなおのことそう願って止まない。

 人間国宝の蒔絵職人が細工を施した硯箱が桐の箱に入って揮毫もされて88万8000円の値段だったら買って損はないと思うけど、これが歩いて踊って時々時間を教えてくれる人間型のロボットに蒔絵がほどこされ桐の箱に入れられたものだったら、果たして88万8000円の値段を出して買うだろうかどーだろーか。たぶん買わないなあ、10年度に人間国宝の硯箱なら倍の値段になるだろーけど蒔絵のロボットでは半値以下になってしまうから。それが技術革新って奴だから。

 「PINO」ってロボットのマーケティングなんかで成功した経験を生かして新型の二足歩行ロボットの開発にいそしんでいたZMPが去年発表したプロトタイプを進化させた「nuvo」ってロボットの製品版を発表するってんで熊の林立する六本木ヒルズを抜けてテレビ朝日のショールムへと推参。最前列でカメラを構えて待ち受けた果てに登場したロボットは去年と外見もほとんど変わらずできることもそれほど増えてないよーで、これを買わせて果たしていったいどーしてもらいたいんだろうって疑問がまず浮かぶ。

 いたら可愛い。かもしれないけど「AIBO」ほどには可愛くない。いたら便利。とは言えない。踊って歩くだけのロボット。家を見張ってくれる訳でもないし床を掃除してくれる訳でもない。それを通常版で58万8000円出して買う人ってのは、一体何が目的なんだろーか。ロボットと暮らす生活。それをどこよりも誰よりも真っ先に実践したい人ってことになる。だったらそのロボットと暮らす生活ってものの価値は。分からない。鉄腕アトムだったらいろいろしてくれるし、鉄人28号だったらもっといろいろしてくれる。「AIBO」だったら動いてじゃれてくれる。「nuvo」は。歩いて踊るだけ。それを観てどうしろと? 喜べと? ロボットがいる生活の何だどう素晴らしいのかを、シーンとして提案していく努力をしないといくら先進性を打ち出したところで「nuvo」は売れないって気がしてならない。

 むしろ蒔絵バージョンの方が、施された工作の確かさもあってそれはそれでひとつの価値になっていて、最先端の工業技術で作られたロボットに伝統的な工芸技術の蒔絵が施されているとゆーミスマッチ感覚、無駄にゴージャスな感じがスノビッシュな人の感性を刺激して、ひとつのアーティスティックなオブジェクトとして買い求めたいって気にさせるかもしれない。だったらいっそ踊りは「モーニング娘。」の夏まゆみさんじゃなく世界的な振り付け師のモーリス・ベジャール、音は世界の坂本龍一とかってスノッブの極限を行って欲しかった。あるいは和を突き詰めて踊りは日本舞踊の西川流、音は雅楽の楽器の奏でる音に。ともあれ4月から売り出す以上は遠からず結果も判明する訳でその動向を見ながら今、ロボットが売れる時代なのか売れないとしたら何が足りないのかを考えたい。やっぱ飛ばなきゃダメかなあ。あるいは変形合体しなけりゃ。


【4月11日】 「英國戀物語エマ」が気恥ずかしくって見てられないので裏の「利きマヨネーズ」なんかを間に挟みつつかろうじて話の展開が分かる程度には最後まで見て、それから「こいこい7」はパスさせて頂いて眠って起きたら奇跡的に「こいこい7」(もりしげ、秋田書店)の第1巻が見つかったんで本当はどんな話だったのかを確認してみる。おもしれーじゃん。転校して来た少年が途中に出会った女の子たちがいろいろで、寮へと入ってみたらこれがやっぱりいろいろあって少年に絡んだりする下宿物の王道展開。だけどベタベタな恋愛物ってよりはどこかカラリとした所があって女の子たちのドタバタとした振る舞いを楽しみながらすんなり読めた。これがどーしてあんなアニメになったのやら。

 うっすらと記憶にあった、電源コードで充電してた女の子は羽根の生えてるヒロインの飛鳥ヤヨイちゃんじゃなくって子供のロボ娘(サイボーグだけど)の蝶野ヲトメちゃんで、原作だと間違えてコンセントを差し込むと爆発したりして可笑しい楽しい。6人しかいないのに「7」だとか主人公の少年が幼い頃に経験したことが今に尾を引いているとか1巻ではまだ明かされていない謎もあってその先どーなったのかって興味も浮かんで、買わずにおいた続きを買ってみたいと思わされたのはあまりにアレなアニメが放映されてしまったことの効果か。ってことは原作に注目させるメディアミックスの役割をアニメも十分に果たしてたってことか。嫌な果たしかただなあ。

 まあそれはそれとしてちょっぴり興味も湧いたしオープニングはグッドなんで「エマ」のラブアタックにアテられないで30分を過ごせた夜はアニメの「こいこい7」も見て差し上げることにしよー。「エマ」はしかし良い作り。これが地上波だとUHFってのはクリエーターへの冒涜じゃないか。こーゆーミスマッチが起こらない方策を作り手側も送り手側も考えないと無駄なお金と人材と労力をかけた挙げ句に届くべきところへと届かずDVDも売れず玩具も売れないまま全滅なんて事態、起こりかねないぞ。とりあえず「エマ」はTBSが地上波でも放映するべき。

 人口に膾炙した言葉が本来の用途を外れて使われるようになるのは世の常で、眦を上げて糾弾することはせず生暖かく見つめながら笑ってやるのが大人の身の処し方って奴だと思うけど、あまりに離れ過ぎた場合にはやっぱり怒り憤らねばならない。それが言葉への礼儀って奴だから。

 「スポーツニッポン」の4月11日号を買って読んだ社会面のベタ記事。「萌える応援演説」って見だしで紹介されているのは「衆院福岡2区補選の告示を控え、民主党国会議員の夫人らでつくる『萌える福岡の会』が福岡市内で同党新人・平田正源氏の応援演説。岡田代表の多津子夫人は『夫の選挙区以外でのあいさつははじめてで、緊張』。菅前代表の伸子夫人、鳩山元代表の幸夫人も参加」って内容で、読んで心の底より怒りがマグマのよーに湧いてくる。「どこが萌えだ!」。

 人によって趣味は違うんで苺ましまろと系なりYUG系なり、大嶋優木系といったぷぷにとした存在でなければ萌えとは言わない人もいれば、粋も甘いも知り尽くした大人の女性に萌えを感じる人もいない訳じゃない。おそらく書いた記者は後者の部類に入る人種だったのかもしれないけれど大勢として言うなら「萌え」の対象になるのはティーンのローからさらに下へと振れた年齢層で、「萌え」とゆー心情もそーした年齢層へのどこかプラトニックなニュアンスをもった二次元的なものであるべきではなかろーか。

 にも関わらず極めて限定された層にしか「萌え心」を喚起させられない面々が水から「萌え」を名乗って活動することをやはり認める訳にはいかない。ってゆーか僕が認めても地元・福岡を根城に公園でのウォッチ活動を続ける「萌え」の大家、「エクセルサーガ」の四王子五条博士がこんな「萌え」の使い方を許すはずがない。これからの選挙活動で「萌える福岡の会」なんて名前を使おうものならロボ子な六本松が四王子博士の命令を受けて見張りに行くんで自分的にも世間的にも「萌える」存在と認じられる人以外は遠慮をするよー、ここに注意を喚起しよー。しかしどこから「萌え」なんて言葉を知ったんだろー、議員夫人たち。もしかし中にいたりするのか、筋金入りのやおいでおたくな腐女子が。

 これは果たして真実か。それとも創作者ならではの虚実か。穂村弘さんが「小説宝石」にて連載した「ふるふる初体験」とゆーエッセイ。今まで体験したことのないことを編集者のサクマさんとゆー人と一緒に体験していくってゆー、聞けばありがちな企画なんだけどそこは一介の生真面目な中年といった面立ちで言葉に仕掛けを施す現代歌人。最初のうちこそ献血に行きましただの占いに行きましただの合コンをやりましただのと、当たり障りのない体験談になっているんだけど途中から、方向が妙にベタっとしたものになってやれブライダルフェスタを見に行くだの、ウェディングドレスの試着に行くといった人生でも滅多に体験のできないことへと向かって突き進む。

 挙げ句に訪れるのが人生でも1度は経験してみたい、けれどもほとんど確実に経験のできない美人(かどーかは不明なれど)編集者との結婚。果たしてこれは真実か。真実だとしたら羨ましいことこの上ないけどそこは発表媒体が「小説宝石」でありまた散らばる言葉を拾って虚構を組み上げることに長けた歌人。ある種の願望をエッセイとして綴り誰もがあこがれる人生における重要なイベントを大勢の読者に成り代わって体験したふりをしてみせただけかもしれない。ってゆーかそーあって欲しいってのが願望だけど穂村弘さんが結婚したって話もあるみたいだしあるいは本当のことを本当に書いたエッセイかもしれない。果たして真実は? 事実だとしたらあやかりたいけど美人編集者との恋を成就する以前に美人編集者が周囲にいない環境を何とかしなくては。美人編集者がわんさと集う雑誌はどこかにないものか。でもってそこに仕事はないものか。ないだろーな。


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