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31.箱庭 32.蜃気楼 33.佐渡伝説殺人事件 34.斎王の葬列 35.皇女の霊柩 36.藍色回廊殺人事件 37.ユタが愛した探偵 38.はちまん 39.箸墓幻想 40.中央構造帯 |
【作家歴】、後鳥羽伝説殺人事件、平家伝説殺人事件、遠野殺人事件、赤い雲伝説殺人事件、夏泊殺人岬、津和野殺人事件、白鳥殺人事件、高千穂殺人事件、小樽殺人事件、日光殺人事件 |
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平城山を越えた女、耳なし芳一からの手紙、上野谷中殺人事件、浅見光彦殺人事件、鐘、横浜殺人事件、日蓮伝説殺人事件、透明な遺書、坊ちゃん殺人事件、金沢殺人事件 |
しまなみ幻想、贅門島、化生の海、十三の冥府、イタリア幻想曲、還らざる道、ぼくが探偵だった夏、名探偵・浅見光彦全短編 ※付録:平塚神社 |
●「箱 庭」● ★ |
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1997年03月 2004年11月 |
“浅見光彦・文芸ミステリ”。 安芸の宮島(厳島神社)と岩国で見つかった2つの死体の謎と、ひとりの女性の薄幸の人生を描く不朽の名作、という案内文ですが、かなり大袈裟。 義姉・和子に届いた1枚の写真と警告メッセージ。写真は、中学校の修学旅行で行った厳島神社で、義姉が同級生と共に写っているものだった。義姉から相談を受けた浅見光彦は、さっそく厳島神社へ向かいます。
浅見光彦シリーズの中で、本作品は幾つか珍しい点があります。義姉の和子が絡んでいること、兄の警察庁刑事局長・陽一郎が積極的に登場してくること、また政界絡みの事件であること。 プロローグ/兄嫁の秘密/厳島神社/コッペリア/紅葉谷公園の墓/ダイシンヴィラ 303号室/幸福な風景/警察不信/物的証拠/落日はまた昇る/エピローグ |
●「蜃気楼」● ☆ |
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1999年07月 2005年06月
2005/05/30 |
“浅見光彦・文芸ミステリ”。 浅見の今回の取材旅行は、富山の置き薬がテーマ。 その途中、富山県魚津の埋没林博物館を訪れた浅見は、幸運なことに実物の蜃気楼を眼にする。 ところが、その浅見を案内していた博物館の女性職員に彼女の祖父が急死したとの連絡が届く。 浅見が取材するため訪れた売薬さんの老人が、偶然にも彼女の祖父・梶川氏。関心を引かれた矢先、西ヶ原の自宅近くで、浅見は祖父のアパート整理に上京していた梶川優子に再会します。 偶然の重なりから事件に惹きつけられた浅見は、優子の背を押すようにして事件調査に乗り出す。 そして明らかになっていく事件の真相には、切ない思いを抱えた一人の女性の姿が浮かび上がっていく。 富山の置き薬=配置薬業のことを知る興味はあるものの、ストーリィとしては格別なものではないでしょう。 プロローグ/魚津埋没林博物館/「売薬さん」ごっこ/丹後路の旅/レインボーブリッジ/第三の犠牲者/こわれた夢/エピローグ |
●「佐渡伝説殺人事件」● ☆ |
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2003年02月 2003/03/21 |
新潟県佐渡島にある「願」という地、その地に伝わる“賽の河原”伝説をモチーフにした、“浅見光彦・伝説ミステリ”。
“賽の河原”伝説を生じさせた佐渡島の貧しさと、伝説に対する浅見光彦の是非論に興味惹かれますが、ミステリとしてはそれ程のこともなし。 プロローグ/「死亡願」/海府大橋/賽の河原/呪われた者たち/怨念の軌跡/流人の末裔/エピローグ |
●「斎王の葬列」● ★ |
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2004年11月
2004/12/04 |
“浅見光彦・歴史ミステリ”。 浅見光彦シリーズも本書で44作目の読書。そろそろ飽きてきたなぁ、という感じです。 その本書は、浅見光彦ものにしては華やぎがなく、しみじみとした味わい。読了後に切ない余韻の残るところが印象的です。 “斎王”を題材にした映画ロケが滋賀県土山で行われた最中、地元の青年、続いてロケ一行の女性マネージャーが殺害されるという事件が起こります。警察から疑惑の目を向けられた映画監督が困り果て、旧友の浅見光彦に助けを求めるという出だし。 プロローグ/流され皇女の陵/水漬く屍/御古址の祟り/天は怒りて/人形代の謎/びわこ空港建設計画/あやしい被害者/破局の真相/因果はめぐる/エピローグ |
●「皇女の霊柩」● ★ |
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2001年02月 2004年02月 |
“浅見光彦・歴史ミステリ”。 姪の智美からの頼みで、殺人事件に首を突っ込むことになった浅見光彦は、被害者である女性の出身地で同じ様な殺人事件が発生していることを知り、探索に乗り出します。 東京と馬籠・妻籠を結ぶ2つの殺人事件を追う中、皇女和宮の柩が事件の鍵として浮上してくるという、紀行+歴史ミステリ。 妻籠・馬籠という観光地を途中に含む「木曽路」を、かつて南木曾から中津川まで歩いたことがあります。私がした旅の中でも、楽しい思い出が残る旅でした。それ故、読む前から本作品に楽しさを感じてしまうのは、仕方ないこと。 プロローグ/寒冷前線の夜/木曾街道馬籠宿/和宮の祟り/人類学研究室/接点/名誉教授/母の秘密/悲しい青春/着想の交差/消えた画像/草生す屍/埋葬された真実/エピローグ 【参考】 |
●「藍色回廊殺人事件」● ★☆ |
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2002年02月
2003/06/10 |
“浅見光彦・社会派ミステリ”。 浅見がその取材旅行中に知ったのが、12年前のことという、男女2人の自動車転落事故を装った殺人事件。被害者の女性が「殺される」というダイイングメッセージを残していたため殺人事件と判ったものですが、事件は未解決のまま。俄然、浅見は好奇心をかき立てられ、真相解明に動き出します。 プロローグ/へんろ道/大歩危小歩危/うだつのある町/第十堰/徳島新報/基準数値/関係者/丹生谷/策謀/恐喝者/疑惑/鳥の巣/因縁の結合/三つの指数/鎮魂の回廊/エピローグ |
●「ユタが愛した探偵」● ★☆ |
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2002年12月
2003/07/06 |
“浅見光彦・旅情ミステリ”。 彦根の名物行事・ブクブク茶会の「ブクブク茶」とは、琉球王家から彦根藩に嫁入った際に伝えられたもの。その茶会のニュースを放映した琵琶湖テレビの元に、怪しげな人物から問い合わせがあったと思ったら、その人物が、沖縄で死体となって発見される。 プロローグ/ブクブク茶会/孤狼とハイエナ/今帰仁城跡/北からきた死体/いつの日か/エピローグ |
●「はちまん(上下)」● ★☆ |
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2002年09月 2009年05月 |
“浅見光彦ミステリ”。 ストーリィは、太平洋戦争末期の特攻隊仲間の盟約、サッカーくじの利権問題を根底におき、美由紀と婚約者である文部官僚・松浦の運命を翻弄する形で展開します。 奥信濃/サッカーくじ法案/秋田路/土佐の空/放浪の秘密/闇の警告/神風特別攻撃隊/火の国/謎の結合/悲劇/八人目の男/天壌無窮 【補足】 |
●「箸墓(はしはか)幻想」● ★ |
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2003年09月 2004年10月 2022年11月
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“浅見光彦・純文学ミステリ”。 卑弥呼の墓という説もあるという、奈良で最古の古墳と言われる箸墓古墳を舞台にしたミステリ。 箸墓古墳に隣接するホケノ山古墳の発掘調査。その指導者であった畝傍考古学研究所の元所長が失踪、殺害されて発見されます。それと時を同じくして、日本古代史に大きな影響をもたらす画文帯神獣鏡が発掘現場から発見される。 その浅見の探求は、古代遺跡の里ともいうべき奈良の土地を抜きにしては語れません。古墳の歴史を語りながら、事件に関わる人々の秘められた経緯を解き明かしていくというストーリィ。年数の違いこそあれ、いずれも過去の謎を紐解くという点で、本作品は二重構成になっていると言えるでしょう。 事件の謎自体は格別のものとは思いませんが、奈良、古墳という舞台背景が興味尽きません。 プロローグ/畝傍研究所/当麻寺の春/鴟と遊ぶ娘/消えた都の伝説/遺された写真/大和女子大/戦没画学生/黄泉の国の山/「神の手」の疑惑/少女の死の秘密/死者の書/エピローグ |
●「中央構造帯」● ★ |
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2005年09月 2011年09月
2003/05/06 |
“浅見光彦・社会派ミステリ”。 川本の前任者が殺されたのが、事件の始まり。長産銀の各階には「将門の椅子」があり、その祟りらしいという噂があるのが本ストーリィのミソ。そして、事件の背後には、銀行の延命を図ろうとする経営陣の不正があったというのが主ストーリィ。 プロローグ/日本長期産業銀行/迷路口/平将門伝説/密命/奈緒美の災難/窮死者/十九首の謎/崩壊への傾斜/亡霊たちの戦争/「将門」の正体/エピローグ |
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