谷 瑞恵
作品のページ No.2



11.あかずの扉の鍵貸します

12.ふれあいサンドイッチ 

13.小公女たちのしあわせレシピ 

【作家歴】、思い出のとき修理します、思い出のとき修理します2、拝啓彼方からあなたへ、がらくた屋と月の夜話、木もれ日を縫う、額を紡ぐひと、まよなかの青空、めぐり逢いサンドイッチ、語らいサンドイッチ、神さまのいうとおり

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11.
「あかずの扉の鍵貸します ★☆
 We Lend Keys for Mysterious, Unopenable Doors


あかずの扉の鍵貸します

2021年10月
集英社

(1600円+税)

2024年10月
集英社文庫


2021/11/01


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女子大生の水城朔実は、高校時に火事で家族を失った自分を引き取り親代わりとなって育ててくれた安川不二代と二人暮らし。
病気で余命僅かとなったその不二子から頼まれて朔実が訪れた先は、北鎌倉の斜面に立つ洋館に居を定める、「幻堂設計事務所」の
幻堂風彦
不二代が口にした願いは、「あたし、あかずの間がほしいのよ」というもの。

「新築・リフォーム・あかずの扉 ご相談ください」と幻堂風彦が掲げたその不思議な
洋館<まぼろし堂>には、幾つもの“あかずの扉”があり、また風変わりな下宿人たちが暮らしていた。
そこで朔実は、風彦と共に不二代が抱え込んでいた半生の秘密を知ることになります。
それがきっかけとなり、あかずの扉の仕事を手伝いたいと申し出て自らもまぼろし堂の下宿人となった朔実は、幾つもの謎に関わっていくことになります・・・。

“あかずの扉”を題材にした異色のミステリ、という趣向なのでしょうけれど、率直に言って分かりにくい、凝り過ぎ、という印象を否めません。
それもあって読後感、今ひとつ釈然としない思いが残りました。


1.開けっぱなしの密室/2.地下室の向こうへ/3.天の鍵穴/4.いつかオルゴールが鳴る日/5.木犀の香に眠る

                 

12.
「ふれあいサンドイッチ ★★


ふれあいサンドイッチ

2023年03月
角川書店

(1600円+税)



2023/04/08



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姉妹で営むサンドイッチ店<ピクニック・バスケット>を主な舞台とした、軽快で温かな連作ストーリィ、第3弾。

3作目に至ってようやく
清水笹子・蕗子の姉妹、そして周辺人物たちとも馴染んできて、ゆったりと楽しめるようになってきた気がします。
心が疲れを覚えているとき、こうしたストーリィは嬉しい。

「魔法の種」:かぼちゃランタンが持ち去られるという出来事が続いて発生しているという。何故?
「わたしのお気に入り」:フードライターだという岩下奈保が登場。笹子たちの店のサンドイッチを評して、ボリュームがあり過ぎる、ヘルシーではないと批判します。
「ハートがつなぐ」:コゲが迷子になったらしいシャム猫を連れ帰ります。この篇、<アジフライサンド>や<猫ママサンド>なる新メニューが登場して楽しい。
「驚きのパン」:蕗子が密かに好意を寄せているパン職人=川端の姪、小学生の秋美が登場。同級生男子と手作りパンの勝負をすることになったというのですが、いきなり作れるの?
「マダムとムッシュ」幾つかの店で、これはクロックムッシュではないとクレームをつける若い男性が出現しているらしい。
クロックムッシュに関わる恋人同士の揉め事解決に、
小野寺、川端、笹子たちが協力します。

イケメンで「一斤王子」と異名をとる川端、近寄る女性たちを忌避する風だったのですが、本作の最後で、姿勢を改めたのか?
蕗子の恋心にも希望が見えたようで、次作が楽しみです。


1.魔法の種/2.わたしのお気に入り/3.ハートがつなぐ/4.驚きのパン/5.マダムとムッシュ

                 

13.
「小公女たちのしあわせレシピ  ★★ 
  Little Princess and her Recipes for Happiness


小公女たちのしあわせレシピ

2023年10月
新潮社

(1950円+税)



2023/11/18



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この町には、メアリさんという不思議な老女がいた。
いつもピンクのワンピース姿でピンクのリボンのついた麦わら帽子、重そうなキャリーバッグを引っ張り、時にミニブタをお供に連れていた女性。
そのメアリさんが亡くなった後、久しぶりに実家に戻ってきた
野花つぐみ(33歳)は、自分の部屋の本棚に、メアリさんのものだったらしい「小公女」の本、そのページの間にメアリさんの手書きらしいレシピを見つけます。

そのレシピは、元気を失くしていたつぐみに、元気と先への希望をもたらしてくれます。
それ以来つぐみは、様々な事情によってメアリさんの本を受け取った人たちと、レシピに書かれたお菓子を一緒に作ることによって、それら各篇主人公たちに元気と喜びを広げていきます。

本好きにとって楽しいのは、各篇に、児童文学の名作、それに関わるお菓子のレシピが登場し、それによって各篇の主人公たちが幸せを取り戻すというストーリィであるから。

つぐみの実家は、この町で小さなビジネスホテル<
ホテルのはな>を家族で経営していて、メアリさんは10年以上そのホテルで暮らしていました。そしてつぐみの亡祖母とマリアさんは親友関係にあったらしい。
本作は上記内容の連作であると同時に、つぐみが謎の老女マリアさんの秘密を追い求めるストーリィにもなっています。
児童名作好きの方なら、きっと楽しめるに違いない一冊です。

「奇跡のぶどうパン」:主人公は、都会で契約社員として働くつぐみ。 本はバーネット「小公女」
「最高のつまらないもの」:母子家庭の中二生=田代理菜。 本はピアストムは真夜中の庭で
「わたしをお食べ」:家出してきた中年主婦=小崎詠子。 本はキャロル「不思議な国のアリス」
「遠い日のプディング」:母との思い出に傷を抱えている獣医の皆川蒼。 本はロフティング「ドリトル先生アフリカゆき」
「星のスパイス」:50代、独身の重田和佳子。 本はトラヴァース「風にのってきたメアリー・ポピンズ
「からす麦の花咲く」花屋を営む祖父母のことを心配する、つぐみの兄嫁=千枝。 本はバーネット「秘密の花園

1.奇跡のぶどうパン/2.最高のつまらないもの/3.わたしをお食べ/4.遠い日のプディング/5.星のスパイス/6.からす麦の花咲く

       

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