パメラ・L・トラヴァース作品のページ


EPamela L.Travers 1906-96年、英国の作家。オーストラリアのクイーンズランド生、17歳の時英国へ。バレエや演劇の経験を経て、34年「風にのってきたメアリー・ポピンズ」が好評を博す。
“メアリー・ポピンズ”シリーズは、「風にのってきたメアリー・ポピンズ」「帰ってきたメアリー・ポピンズ」「とびらをあけるメアリー・ポピンズ」「公園のメアリー・ポピンズ」の全4冊。


1.風にのってきたメアリー・ポピンズ

2.帰ってきたメアリー・ポピンズ

3.とびらをあけるメアリー・ポピンズ

 


 

1.

風にのってきたメアリー・ポピンズ」●  ★★☆
 原題:"Mary Poppins"      訳:林容吉




1934年発表

1954年4月
岩波少年文庫
2000年7月新版
(720円+税)

  

2003/08/07

メアリー・ポピンズのことは元より知っていましたが、それはジュリー・アンドリュース主演のミュージカル映画“メリー・ポピンズ”のおかげ。これまで原作を読んだことはなかったのです。
それが急に読みたくなったのは、
阿川佐和子「マチルデの肖像のおかげ。その中にメリー・ポピンズが登場、子供だけでなく大人も好きになってしまうそのキャラクターに、改めて魅せられた所為です。

映画のメリー・ポピンズと原作のメアリー・ポピンズでは、ちょっと異なるところがあります。
メアリー・ポピンズが住み込むことになった
バンクス家、映画では姉ジェインと弟マイケルの子供2人だけでしたが、原作ではその下にジョンバーバラという双子の赤ん坊がいます。
それより、もっと違いを感じたのは、原作のメアリー・ポピンズがかなり強面なところ。映画でも多少そうした面はありますが、原作ではもっとはっきりしている。メアリー・ポピンズが一度口を閉ざしたら、二度と口を開かせることはできない。そして、子供たちへの接し方にもかなり強引なところがあります。でも、それは如何にもイギリス的、と感じられます。
最後、西風が吹くとメアリー・ポピンズは唐突にバンクス家を辞してしまいます。これでは続編を望むのも当然でしょう。
(※ビデオも借りてきて、映画と原作を一緒に楽しみました)

03.08.30追記
強面にもかかわらず何故子供たちからあんなに慕われたのか。
その理由は、フェアーということではなかったかと、思い当たりました。強面なのは単に権威を維持する部分に限ったのではないか。いずれにせよ、イギリス的と感じます。

東風/外出日/笑いガス/ラークおばさんの犬/躍る牝牛/わるい火曜日/鳥のおばさん/コリーおばさん/ジョンとバーバラの物語/満月/クリスマスの買い物/西風

 

2.

帰ってきたメアリー・ポピンズ」●  ★★
  原題:"Mary Poppins Come Back" 
    訳:林容吉




1935年発表

1975年3月
岩波少年文庫
2001年6月新版
(760円+税)

  

2003/08/08

メアリー・ポピンズが急にいなくなって以来、バンクス家の中はなにもかもおかしくなってしまった、というのが出だし。
そこへ突然にメアリー・ポピンズが帰ってくる訳ですが、今回は東風にのってではなく、ジェインマイケルが空高く上げた凧の紐の先につかまって空から降りてくる、という次第。

第2作では、「笑いガス」アルバート・ウィッグの代わりに従兄弟のアーサー・「あべこべターヴィーさん」が登場。また、マイケルが悪い子になった「わるい火曜日」の代わりに、ジェインが悪い子になる「わるい水曜日」の章あり。そして何と、バンクス家に5人目の女の子アナベルが誕生します。
本書の圧巻は、父親バンクスが恐れる彼の昔の家庭教師、ミス・アンドリューがバンクス家を訪れる章。メアリー・ポピンズとの全面対決は、見応えがあります。
一方、ミセス・バンクスが、ポピンズの前だと何でこんなに自信がなくなるのかと嘆く辺り、ポピンズのバンクス家における絶対者ぶりが窺えて可笑しい。
2冊を通して読む限り、ポピンズは必ずしも優しくありません。むしろ厳格という風。それでもポピンズがいると不思議なことが次々と起こる。それがメアリー・ポピンズの魅力です。
最後、ポピンズの親友、マッチ売りのハーバート・アルフレッド(バート)も漸く登場。そしてメアリー・ポピンズは、メリー・ゴウ・ラウンドにのって空高く去っていきます。

タコ/ミス・アンドリューのヒバリ/わるい水曜日/あべこべターヴィーさん/新入り/ロバートソン・アイの話/夜の外出日/風船、風船!/ネリー・ルビナ/メリー・ゴウ・ラウンド

    

3.

「とびらをあけるメアリー・ポピンズ」●  ★★★
 原題:"Mary Poppins Open the Door"     訳:林容吉




1943年発表

1975年7月
岩波少年文庫
2002年11月新版
(720円+税)

 

2003/08/16

メアリー・ポピンズバンクス家に計3回やってくるのですが、その最後となるシリーズ第3作目。
冒頭、ポピンズがバンクス家から去って以来、家の中が混乱するばかりなのをバンクス夫妻が嘆いているのは、いつも通り。
今回のポピンズは、ジェインマイケルが公園で打ち上げた花火の中から降りてくる、そして最後は窓の外に開いた扉を通って夜空へ舞い上がっていくという趣向です。

メアリー・ポピンズの親戚として今回登場するのは、7つまでの願い事がかなうと言うトイグリー氏。そして圧巻というべき章は、考えることの泥沼に嵌ってしまった王様に、3つの質問合戦を挑むネコの話でしょう。
その他、公園の大理石の少年像が動き出して、ジェインやマイケルと遊ぶ話。ミス・キャリコから買ったペパーミント・ステッキに馬の如くまたがって、空中を駆け回る話。海の底のパーティ、大晦日から新年に変わりゆく僅かな時間に物語の主人公達が集まって仲良く踊り楽しむ話など、前2作にまして、楽しい話ばかりです。第2巻から第3巻まで8年という時間が空いていることも無縁ではないでしょう。
これまでの登場人物が勢揃いしてポピンズを見送るラスト・シーンは、最後を飾るに相応しいものですが、一方でとても名残惜しい場面でもあります。

十一月五日/トイグリーさんの願いごと/王さまを見たネコ/大理石の少年/ペパミントの馬/高潮/末ながく幸福に/別の扉

  


 

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