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11.センチメンタル・サバイバル 12.恋はさじ加減 13.あなたにもできる悪いこと 14.あなたがパラダイス 15.風に顔をあげて 16.セ・シ・ボン 17.こっちへお入り 18.恋愛嫌い 19.幸せになっちゃ、おしまい 20.さよならの扉 |
【作家歴】、素晴らしい一日、パートタイム・パートナー、グッドラックららばい、明日月の上で、結婚貧乏、もっとわたしを、なんにもうまくいかないわ、くうねるところにすむところ、Bランクの恋人、愛の保存法 |
ぬるい男と浮いてる女、神様のすること、おじさんとおばさん、人生の使い方、しょうがない人、コーヒーもう一杯、心配しないでモンスター、こんなわたしでごめんなさい、オバさんになっても抱きしめたい、幸せ嫌い |
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●「センチメンタル・サバイバル」● ★ |
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2009年02月
2006/02/16
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本書については率直に言って、これまでの平さんの作品のようには乗れませんでした。 その理由は、主人公において主体的な行動をとることが少なく、殆ど受身のまま終始するというストーリィのため。しかし、それは元より平さんが狙って書いたことでしょうから、作品の出来不出来というより、私の好みに合わなかったと言うだけのこと。 主人公の“るか”は、両親が父親の故郷に引っ越したことから、独身一人住まいの叔母・龍子48歳の部屋に同居することになります。フリーターのため給料は僅か。とても一人暮らしできる状況ではない、家事担当としてもちょうどよく、母・叔母の利害が一致したというのがその経緯。 |
●「恋はさじ加減」● ★☆ |
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2008年09月
2006/04/25
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食べることと恋すること、どっちが先なのだろう? 食べることと切り離しては語れない、恋の物語6篇。
ヤモリのお腹に鶏肉と香草と春雨を詰めて付け焼きにした料理なんて、私も敬遠したい。 なお、料理をメインにしたユーモラスな短篇集に清水義範「12皿の特別料理」がありますけれど、それとは趣きが異なり、平さんらしくあくまで本書は恋愛が主となる短篇集です。 野蛮人の食欲/きみよ、幸せに/泣くのは嫌い/一番好きなもの/とろける関係/愛のいどころ |
●「あなたにもできる悪いこと」● ★ |
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2009年12月
2006/08/17
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題名からして洒落たコン・ゲームのようなストーリィかと期待したのですが、その点は期待外れ。 小市民というか小悪党というか、つかんだネタを材料に脅しをかけるにしても、そのネタ自体たまたま耳にはさんだ程度のものに過ぎないし、脅し取る金額も小さい小さい。この程度なら犯罪として大騒ぎすることもない、という範疇に留めておいたというところでしょうか。 主人公は口先ひとつで世渡りしている、自称スーパーセールスマンの檜垣洋三、39歳。 金が天下を回るから/ユニオン/我が善き心に栄えあれ/神様によろしく/あなたが選ぶその人は/カエサルのものはカエサルに |
●「あなたがパラダイス」● ★★ |
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2010年09月
2007/03/04
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更年期障害に直面し、今までどおりの生活を続けることができるのか、これからどう生きればよいのか、という問題についにぶつかってもがく中年女性たちを描いた3篇+α(後日談)。 そうした問題を突きつけられたという点で桐野夏生「魂萌え!」を思い出しますが、平安寿子さんが描くからには軽妙かつユーモラス。 どの篇もジュリー(沢田研二)の歌、存在が重要な鍵となっています。冒頭の篇だけかと思ったら、何と4篇全部! 「こんなはずでは」の千里はちと若く43歳ですが、「おっとどっこい」の敦子、「ついに、その日が」のまどかはいずれも50歳。 「こんなはずでは」の敦子は、これまでセックスフレンドを絶やすことなかった生活をエンジョイしてきたのに更年期障害に見舞われて男と縁の無くなった途端、自分の生活の空しさに行き当たってしまう。 おっとどっこい/ついに、その日が/こんなはずでは/まだまだ、いけます |
●「風に顔をあげて The Wind In My Face」● ★★☆ |
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2013年07月
2007/12/26
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若くて元気なところが取り柄と、高校卒業以来様々なアルバイトをこなして自活してきた風実が主人公。 そんな風実ですが、25歳にもなるとさすがに将来を考え、このままでいいのかと考えるようになります。それなのに、突然弟の幹がゲイバーで働きたいと家出してきたり、恋人の英一はいきなりボクサーの夢を諦め保育士になろうかなどと言い出す始末。そのうえ明るい性格の飲み友達まで・・・。 急にそんな状況に囲まれて風実まで落ち込んでしまうのは、肝心の自分に自信がないからこそ、と風実が気づくのは立派と思います。 軽やかでとても気持ち好く、それでいて現実社会の厳しさをきちんと描いているところが、本作品の魅力です。 本書を読んでいると、自然に風実たちを応援したくなります。 1.三十怖い病/2.向かい風の日/3.おっと、あぶない/4.スタートライン |
●「セ・シ・ボン C'est si bon.」● ★☆ |
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2011年09月
2008/02/16
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平さん26歳の時、3ヶ月間パリに語学留学したときの思い出を語ったエッセイとのこと。
下宿大家がドイツ人女性だったことを初めとして、パリで平さんが出会った人物たちは実に様々。 そんな平さん、3ヶ月も終り頃になると頭がフランス語を受け付けなくなり、ひたすら水炊きを食べたいと思うようになったという。そのため卒業と同時に帰国の途に着いたとのこと。 何も残らない3ヶ月だったと振り返りながら、四半世紀を超えた今になって平さんが「セ・シ・ボン(そりゃもう、素敵)」という気持ちもそれと同じではないでしょうか。 大きな欠点のある男/人生はトラブルとアクシデントで出来ている/典型的な英国男/根性曲がりのブルーアイズ/坊やなんて言うな!/帰れない国は美しく/謎の日本人/典型的な英国男と旅すれば/アンブラッセ!アンブラッセ!! アンブラッセ!!!/思い出はセ・シ・ボン/あとがき−過去という果実 |
●「こっちへお入り」● ★★ |
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2008/04/09
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バリバリのキャリアウーマンである33歳、吉田江利があっという間に落語に魅せられ、自ら挑戦!というストーリィ。 ほほぉーッと思いつつ思い出すのは佐藤多佳子「しゃべれどもしゃべれども」。 二番煎じか?と一瞬思いますけれど、そこは平安寿子さん、そんなことはまるでありません。 「しゃべれども」において落語は道具立てという感じでしたけれど、本書では指導する側こそボランティアで落語をやっているサラリーマンですけれど、こと落語に関しては本書の方が余っ程本格的、かつ探求的。 仕事のストレスも落語のさわりを思い出せば吹っ飛び、現実社会の人間関係の煩わしさ、悩ましさも落語の世界に置き換えてしまえば、笑って過ごせることを知る、というのがミソ。 仕事も出来るキャリアウーマンながら、独身、恋も知らず、前途に夢もないというのが江利の置かれていた状況。それが落語の世界を通して世間を見ることによって、物事には侘しい面だけでなく面白い面もある、それと知って笑い飛ばしてしまえば楽しい気分にもなることができる、というのが本ストーリィからのメッセージ。「風に顔をあげて」と共通するところです。 ※なお、章と章の間に「秋風亭小よしこと、江利の知ったかぶり落語用語解説」付き。 |
●「恋愛嫌い」● ★★☆ |
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2011年10月
2008/11/18
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ランチ仲間の女性3人、恋愛苦手な彼女たちを代わる代わる主人公にした痛快な連作短篇集。 菓子メーカーのベテランOL=鈴枝(35歳)、コンタクトレンズ販売店勤めの喜世美(29歳)、データ処理会社社員の翔子(26歳)、というのがその顔ぶれ。 ラブ・ストーリィが多い中、たまには恋愛下手の女性を描いたストーリィも面白いだろう、と思って読み進んでいたら、そのうち本書のとんでもない面白さに愕然としました。 7篇の中でも「前向き嫌い」がことに痛快。 恋が苦手で・・・/一人で生きちゃ、ダメですか/前向き嫌い/あきらめ上手/キャント・バイ・ミー・ラブ/相利共生、希望します/恋より愛を |
●「幸せになっちゃ、おしまい」● ★★ |
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2009/03/08
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「Hanako」連載エッセイ(2007年03月〜08年05月)に書下ろしを加えて単行本化した一冊。 「セ・シ・ボン」に続く、平さんとしては2冊目のエッセイ本。 この一冊には、作家・平安寿子さんのここまでの流れが一通り語られています。ファンとしてはそれが嬉しいところ。 その他、韓国人の監督の手で映画化された「素晴らしい一日」「アドリブ・ナイト」のこと、「セ・シ・ボン」で語られた3ヶ月のフランス留学前後の経緯のこと等々、ファンとして平安寿子という作家について知りたいことが、止め処なく顔を出します。 なお、平さん、自分の本をネット検索して、ブログに書かれた悪口を読んでめげたり、反発してみたりすることがあるらしい。 幸せになっちゃ、おしまい/イギリスのばあさんを目指せ/王子さまはお好き?/頑張れ、わたし |
●「さよならの扉」● ★☆ |
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2009/04/27
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夫の卓巳はすい臓癌がみつかったと思ったら、53歳の若さであっという間に死去。専業主婦で働いた経験もない妻の仁恵は、ただ呆然とするばかり。娘2人も既に家を出ていて、いったい毎日をどう過ごせばいいのやら。 それまで人の敷いたレールの上に乗っているだけだった仁恵は、初めて強く出られる相手を得て無邪気に楽しそう。 私は男性ですから男性の側からこの2人を見ると、自分が死んでいなくなった後は、好きなだけ、好きなようにやってくれ、という気分になるのではないかと思う。 会話のやり取りが喜劇的に面白いところ、私の好みです。(笑) |
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