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21.ぬるい男と浮いてる女 22.神様のすること 23.おじさんとおばさん 24.人生の使い方 25.しょうがない人 26.コーヒーもう一杯 27.心配しないで、モンスター 30.幸せ嫌い |
【作家歴】、素晴らしい一日、パートタイム・パートナー、グッドラックららばい、明日月の上で、結婚貧乏、もっとわたしを、なんにもうまくいかないわ、くうねるところにすむところ、Bランクの恋人、愛の保存法 |
センチメンタル・サバイバル、恋はさじ加減、あなたにもできる悪いこと、あなたがパラダイス、風に顔をあげて、セ・シ・ボン、こっちへお入り、恋愛嫌い、幸せになっちゃおしまい、さよならの扉 |
言い訳だらけの人生 |
●「ぬるい男と浮いてる女」● ★☆ |
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2012年05月
2009/11/17
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こんな風変わりな男女が登場するのも、現代日本社会だからこそか。 「長い目で見て」:開業医になるため、跡取りに恵まれない開業医の一家に嫁入って目的を果たした村上貴子・53歳。愚かな夫とそれに輪をかけて愚かな甥には呆れるばかりだが、妻としての義理はちゃんと果たす。 冒頭の「長い目で見て」がまず面白かった。 長い目で見て/ブルーブラックな彼女/滅亡に向かって/浮いてる女/ぬるい男/えれくとり子 |
●「神様のすること」● ★★ |
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2013年02月
2010/03/09
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子供の目からみた両親のこと、少女時代の思い出、73歳の時に一度死にかけてから実際に83歳で死ぬまで、母親の世話をし最後に看取るまでの出来事を語った、出版社の紹介文に曰く「自伝的私小説」。 本書に親近感を覚えるのは、私自身が、いずれ両親を見送らなければならないという意識を徐々に強く持つようになったからでしょう。 親の最期を看取れば、次に自分の最期はどんなものかと考える。そして、それはもう神様に任せる他ない、と思うのも自然なことでしょう。 母の死を待って/すれ違う二人/傷跡の必要/二人の恵子/心残りはひとつだけ/陽気な骨/天国への階段 |
●「おじさんとおばさん」● ★ |
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2010/05/01
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50代になり、何十年ぶりかで再会した小学校時代の同級生。 50代ともなると、老人の仲間入りという時期が視野に入ってくる一方、会社の仕事も子育ても一段落し、このまま老人の仲間入りしたくない、何とか今の内に、ということなのでしょうか。 これだけ寿命が延びると、異性に惑うのも、人生1回では済まない、2度ある、ということでしょうか。 |
●「人生の使い方」● ★ |
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2011/02/23
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夫の定年退職後、夫婦は2人の時間をどう過ごしたらいいのか。 主人公の轟香織は48歳の主婦。会社員である夫の洋介は54歳で、そろそろ定年退職が視野に入ってきた年代。 定年後の過ごし方という問題を、小説の形で考える、といった風の作品。 |
●「しょうがない人」● ★☆ |
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2015年01月
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世間にはとかく、自分の都合を一方的に押し付けてくる身勝手な“困ったちゃん”がいるもの。 平さんと言えば、語り、そしてストーリィ運びの上手さなのですが、全作品読み続けてきて最近はやや、もういいかな、という気持ちが生じかけてきたところ。 さて、幾人もの“しょうがない人”に振り回される日向子。彼女がそれらを嘆く場、相手はいつも決まっています。 本書を読み進んでいく内、ふと思います。 「はいはい、あんたはエライ」/結婚にはつきもの/ドラマチックがとまらない/思春期モンスター/狸男に未来はあるのか/スピ様、お願い/普通にお家騒動/厄介な荷物/世界で一番しょうがない人 |
●「コーヒーもう一杯 One More Cup of Coffee」● ★☆ |
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2011/11/05
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結婚は確実と思って安心していた恋人から突然別れを告げられてショックの山守未紀、32歳。 未紀、これまでの仕事で失敗した店の原因を判っている筈と思っていたのですが、外から見るのと自分でやるのとは大違い。 でも、何も判っていないのに失敗するのは当たり前、でも、失敗を繰り返してやっと成功することもできる、という言葉には、未紀ならずともとても勇気づけられます。 |
27. | |
「心配しないで、モンスター Don't Worry Monster」 ★★ |
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2013/03/31
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いろいろな理由で今曲がり角にぶつかっていると感じている人たち、そんな彼女・彼らを勇気づけるのは、自分が好きな歌、という連作短編集、9篇。 これまで平安寿子作品については、刊行されれば迷いなく読んできたのですが、今回はちょっと迷いました。各篇主人公たちのテーマソングをストーリィの鍵にするという趣向について余り期待する気になれなかったというのもその理由のひとつ。 女子高生を主人公にした「夢路はどこにあるの」、20代初めの女性を主人公にした「わたしだって、いつかはブリキュア」、妻に先立たれた老年男性を主人公にした「心配しないでベイビー、やっていけるから」辺りの篇では、考え方さえ変えれば、現在だってそれなりに十分楽しくやっていけるじゃないか、という励ましの声が聞こえてきて、元気になれる気がします。 前の篇で顔を出した登場人物が次の篇では主人公になる、という形でストーリィがリレーされていくところも本書趣向の愉しいところですが、中でも愉快なのは「UFOに乗ってモンスターが行くぞ」。ピンクレディーのヒット曲の新解釈に目からウロコでした。お楽しみに。 丘の上の馬鹿になりたい/わけあって、舟唄/黒魔術の女とお呼び/夢路はどこにあるの/夕星に歌う/UFOに乗ってモンスターが行くぞ/わたしだって、いつかはプリキュア/真夏の果実はかじりかけ/心配しないでベイビー、やっていけるから |
28. | |
「こんなわたしで、ごめんなさい」 ★★ |
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2016年04月
2013/07/28
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平安寿子作品に少々飽きてきた、と口にしてしまった言葉を土下座して謝りたくなった程、愉快に笑える短篇集。 女性たちの秘めたる愚痴等々を本音で書き出したところが秀逸。 結婚こそを中心に、裏側&本音トーク満載で、痛快にしてユーモラスなことしきり! 婚活の外へ/どうか小さな幸せを/イガイガにチョコがけするのも年の功/自然の法則に従って/じれったい美女/カワイイ・イズ・グレート!/こんなわたしで、ごめんなさい |
29. | |
「オバさんになっても抱きしめたい」 ★★ |
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2017年07月
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実は本書、パスしようと思っていました。これまで平安寿子作品をずっと読んできたので、そろそろ切りを付けても良いかな、と思ったのが理由です。 片や才川美結(みゆ)、1985年生まれの28歳、独身、不景気世代の育ち。性格は極めて悲観的。 この2人の言い分が面白い。成る程成る程と、夫々ごもっともなのですが、より切実な側として里佳子の方に肩入れしたくなるかな。 |
30. | |
「幸せ嫌い」 ★★ |
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2018年02月
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結婚意欲満々、そのうえモテる女子だった筈なのに、ふとした失敗が尾を引いたのか、気が付けば無職かつ未婚のまま三十路という杉浦麻美が本書の主人公。 相談所長である克子の、入会希望者に対するトークが凄まじい。さながら相手の頬をいきなり平手打ちし、さらに怯んだ相手の足を引っ掛けて転倒させ、衝撃に目を見張っている相手を見下ろしながら「結婚したいのかどうかはっきりせい!」と叱りつける、まさにそんな感じなのです。 ユニークさ極まる結婚相談者である克子の容赦ない言動に絶句する一方で、入会希望者の身の程知らずの結婚相手願望を撃ち下す手管に興奮するような痛快さを覚え、ひいては地に足を付けた婚活とはそんなものだよなと真実味を感じて拍手したくなる、ユニークな婚活ストーリィ。 |
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