|
|
1.天空のミラクル 2.天空のミラクル 夏の魔法 3.コンビニたそがれ堂−コンビニたそがれ堂 No.1− 4.コンビニたそがれ堂−奇跡の招待状−−コンビニたそがれ堂 No.2− 5.コンビニたそがれ堂−星に願いを‐−コンビニたそがれ堂 No.3− 6.カフェかもめ亭 7.海馬亭通信 8.海馬亭通信2 9.コンビニたそがれ堂−空の童話−−コンビニたそがれ堂 No.4− 10.ルリユール |
コンビニたそがれ堂セレクション、コンビニたそがれ堂−神無月のころ−、松風堂ものがたり、コンビニたそがれ堂−祝福の庭−、はるかな空の東、百貨の魔法、アカネヒメ物語、コンビニたそがれ堂−小鳥の手紙−、星をつなぐ手、コンビニたそがれ堂−猫たちの星座− |
かなりや荘浪漫、かなりや荘浪漫2、コンビニたそがれ堂−花時計−、魔女たちは眠りを守る、コンビニたそがれ堂異聞−千夜一夜−、桜風堂夢ものがたり、風の港、不思議カフェNEKOMIMI、さやかに星はきらめき、コンビニたそがれ堂−夜想曲− |
街角ファンタジア |
「天空のミラクル Miracles in Heaven」 ★★ | |
2016年01月
|
児童向け作品「天空のミラクル タロットカードは死の歌をうたう」を大幅加筆し、大人向けに文庫化した作品とのこと。 主人公の時岡さやかは小学6年生、見えないはずのものが「見える子」。 幼い頃、見えたものを無邪気に口に出していたため、いつしか「ふつうではない子」、気味の悪い子として嫌われ、友達もできずひっそりと生きてきた少女。 そのさやかが家庭の事情から、叔父で人気ホラー児童文学作家である神宮寺元弥の元に預けられ、風早の街にある洋館にやってきます。 「風早の街を舞台に繰り広げられるファンタジー、戦う少女の物語!」という紹介文の“戦う少女”という言葉に惹きつけられますが、さやかが戦うのは終盤でのほんの一時のこと。 それより、実家のある町で孤独をかこっていた少女が、ここ風早の街では包み込むように温かく迎えられ、やがて訪れた危機を前にして風早の街と愛する人や初めて出来た友人たちのために立ち上がる、というストーリィが魅力。 僅かの間に成長し、強い少女となった姿を実感させる展開が、気持良く嬉しい。 これも風早の街という舞台があってこそ、と思いますし、風早の街らしいファンタジーさも魅力。 初夏の頃には、続編も文庫化される予定とのこと。楽しみです。 プロローグ−赤い竜と魔法の姫/1.西暦2005年春 さやか/2.タロット/3.学校/4.桜子姫/5.ロザリオの天使 |
「天空のミラクル 夏の魔法 Miracles to Heaven」 ★☆ (原題:天空のミラクル 月は迷宮の鏡) |
|
2016年05月
|
“戦う少女”=時岡さやかを主人公にした“天空のミラクル”シリーズ続編の文庫化。 さやかたちの現在である2005年の夏休み 8月20日、風早の街に吸血鬼が復活する、という噂が子供たちの間に広まります。 復活の舞台となるのは13丁目、満月横丁だという。 本当に吸血鬼の復活などあるのか? さやかたちが戦う次の相手は吸血鬼なのか? 本書で新しく登場するのは、さやかの親友である小此木風子と李家織姫が4年生の時に担任だったという阿古屋薫子、少し不思議できれいな先生。 そしてもう一人は、さやかの兄同様心臓の病気を患いようやく快方に向かって通学できるようになった日野原涼。さやかと同様に本好きで、母親が営む満月横丁の<星くずコーヒー店>は叔父の神宮寺元弥の贔屓店。 阿古屋先生、そして涼の母親と兄に会ったさやかは、この人たちが優しく良い人たちであると感じる一方、何となく違和感を覚えます。 そしてついに 8月20日、風早の街に妖しい空気が満ち満ちます。さやかは守護霊である桜子姫と共に銀の銃を以てこの風早の街、そしてこの街の住人たちを守るため戦い抜こうと決意するのですが・・・・。 前作の延長であるため、どんなストーリィかという興味は薄れているのですが、時に眼が赤く光る阿古屋先生の正体は?という興味が本巻の面白さ。 なお、本巻から10年後を描く第3巻が新しく書き下ろされる予定とのこと。10年後のさやかたちが果たしてどんな成長を遂げているのか、どんな姿を見せるのか。今から楽しみです。 1.空と雲と飛行船/2.かげろう/3.星くずの散るコーヒーを/4.SUR UN NUAGE/5.白い影たち/6.王子と魔法/7.幻想庭園 |
「コンビニたそがれ堂」 ★★ |
|
2010年01月
|
“コンビニたそがれ堂”シリーズ、第1集。 元々児童書として書かれた作品だけに、子供向けのストーリィ。 猫や、リカちゃん人形、「TVさん」とか。 この後のシリーズ巻と比較すると、とても優しい、という印象を受けます。 シリーズの原点は此処か、という思いがします。 ・「コンビニたそがれ堂」:小学生の雄大、他の男子に冷やかされまいと、美音ちゃんに冷たい態度をとってしまい後悔。 甘酸っぱい篇ですねー。 ・「手をつないで」:母親が大事にしていたリカちゃん人形を捨ててしまった。えりかはリカちゃんを探して町を歩き回る内、凍え、居場所も分からなくなり・・・。 ・「桜の声」:風早のラジオ局でアナウンサーをずっと務めている野々原桜子、30歳を目前にして心に疲れを覚え・・・。 ・「あんず」:病気で死を覚悟した猫のあんず、人間に変身できる飴を舐め、自分を拾って可愛がってくれたお兄さんを訪ねていきます・・・。(※「セレクション」収録の一篇) ・「あるテレビの物語」:TVを擬人化し、TVとある家族の交流を描きます。 私が大人であることもありますが、本書では「桜の声」が好きですねぇ。なんとも清々しい魅力があります。 ※人形に違いはありますが、同じ名前から梨木香歩「リカさん」を思い出しました。良かったら同書も是非。 コンビニたそがれ堂/手をつないで/桜の声/あんず/あるテレビの物語/エンディング〜たそがれ堂 |
「コンビニたそがれ堂−奇跡の招待状−」 ★★ |
|
|
“コンビニたそがれ堂”シリーズ2作目。 ・「雪うさぎの旅」:風早の街に引っ越していったさゆきちゃんから「少しだけ元気じゃありません。みんなに、あいたいです」という手紙をもらったかつての親友=雪うさぎと大きい雪だるま、小さい雪だるまの3人は、さゆきちゃんに会おうと山から下りて風早の街への旅に出ます・・・。 ・「人魚姫」:いつも励ましてくれた従姉妹の秋姫(あき)は2年前氾濫した川に落ちて事故死、未だ遺体も見つからないまま。それ以来ずっとヒキコモリ状態の真衣は、コンビニで買った不思議な招待状に秋姫を自宅に招く文言を記します。すると・・・。 (※「セレクション」収録の一篇) ・「魔法の振り子」:専業作家の佐藤薫子、10年前に旅立って以来音沙汰がないままの大事な友人=佐藤薫のことを思います。そして、ずっと待ち続けている自分の思いを。 ・「エンディング〜ねここやねここ」:「神無月のころ」「祝福の庭」に登場する化け猫ねここが初登場した篇。ねここの誕生秘話、というストーリィ。 「雪うさぎの旅」は美しいファンタジーという印象。 「人魚姫」は秋姫と真衣という従姉妹同士の愛情と励ましを描いた感動的なストーリィで、数多いシリーズ作品の中でも忘れ難い一篇。 「魔法の振り子」は大人ならではの上等な味わい。最後の場面が美しくも哀しくもあり、心に響きます。 ※順序は逆になりましたが、本書読了で、シリーズ既刊本は全て読了となりました。 雪うさぎの旅/人魚姫/魔法の振り子/エンディング〜ねここや、ねここ |
「コンビニたそがれ堂−星に願いを−」 ★★ |
|
|
「コンビニたそがれ堂セレクション」以前のシリーズ3作目。 順番通りに読まず、後の巻から遡って読んでいる結果になっていますが、たまたまのことで止む無し。 本巻は3篇収録。 ・冒頭「星に願いを」は「セレクション」に収録されていた篇。 小6の愛が、大好きなお兄ちゃんのために初めての弁当作り。料理すること自体が初めてなので難関だらけですが、つくも神たちが愛を助けて弁当作りを完成させます。弁当作りの様子、愛のお兄ちゃん、お姉さんに対する心情が愛おしい。 ・「喫茶店コスモス」:まさかそんな設定とは思いませんでしたが、好いですよね〜。マスターの宗一郎さんが奥さんの鳩子さんに贈った宅配も素敵です。こんなことが本当にできれば、と思います。 ・「本物の変身ベルト」:憧れていた先輩女性に恋人がいると知って悄然としてしまった平田良太が、たそがれ堂で入手したのは「本物の変身ベルト」。風早三郎神社の夜祭の最中に起きた事件に、良太がヒラタマンに変身して活躍するというストーリィ。 しかし、ヒーローに変身した良太より、いつもの良太がもつ優しさが多くの人を勇気づけていたという事実の方が大切なこととのように思います。 ※なお、本篇で「悪の秘密結社」の小鳥遊が登場しています。 “優しさ”と、皆を優しく包み込むようなたそがれ堂の美味しそうなコーヒーが印象に残る巻でした。 星に願いを/喫茶店コスモス/本物の変身ベルト |
「カフェかもめ亭」 ★☆ |
|
|
“風早の街”にある喫茶店“カフェかもめ亭”が舞台、「コンビニたそがれ堂」の姉妹編と言うべき連作短篇集とのこと。 カフェかもめ亭は70年近く前、船を降りた元船乗りの曽祖父が70年近く前に創業、祖父がその跡を引き継ぎ、そしてその祖父が5年ほど前に死去したために、主人公の広海(ひろみ)が美大を中退して店を引き継いだという次第。 英国パブのようなシックな佇まいに帆船の中にあるような調度品に囲まれ、そこは極めて居心地良く、そして自慢のブレンドティーが美味しい店。 そんなかもめ亭を訪れる客たちはその居心地良さに誘われるかのように、マスターの広海に不思議な、あるいは夢のような話を語り出します。 本短篇集は、そんな不思議で夢のようなお話からなる一冊。 単行本刊行時の7篇に加え、文庫化を機会に10年後を舞台にした中編「クリスマスの国」を追加し、計8篇。 どれもファンタジーで優しく、そしてあっさりとしたお話。 その所為か、「コンビニたそがれ堂」に比べるとやや印象が薄いように感じられます。 8篇の中では、不思議な少女=アリスが登場する番外編「クリスマスの国」も印象深いですが、物言わぬ捨て猫の存在感がピカイチの「ねこしまさんのお話」が私は一番好きです。 砂漠の花/万華鏡の庭/銀の鏡/水仙姫/グリーン先生の魔法/ねこしまさんのお話/かもめ亭奇談/番外編−クリスマスの国 |
7. | |
「海馬亭通信」 ★★ | |
|
本書は、1994年理論社から刊行された「やまんば娘、街へゆく〜由布の海馬亭通信」を改題・加筆訂正し、さらに書下ろし中編「十七年後〜眠れる街のオルゴール(前編)」を追加した一冊、とのこと。 本書を読むきっかけとなったのは「コンビニたそがれ堂セレクション」。その中に収録されている「花明かりの夜に」に登場する若い女医の千鶴がそもそも本書に登場した少女であるということで、興味を惹かれたためです。 本書の主人公は由布、山に住むやまんばの15歳になる娘です。 その由布が街で真っ先に知り合ったのが、海馬亭の管理人を務める祖母の銀の元で暮らす小学生の千鶴。外国で入院中の母親に棄てられたと思って“ワル”に生きると決心した少々扱いの難しい少女。しかしその千鶴には、祖母の他にも心配して見守る存在がいて・・・。 上記の4篇(手紙)に加えられた「十七年後」は、今は女医となった千鶴先生に勧められ、脚の病気治療の為風早の街へやってきた小学男子の藤沢景が主人公。後編が「海馬亭通信2」に引き継がれているとあっては、続巻も読まない訳にはいきません。 |
8. | |
「海馬亭通信2」 ★☆ | |
|
「海馬亭通信」続巻。 前作と同様、山から下りて風早の街にやってきたやまんばの娘=由布が姉宛てに書いた3通の手紙&十七年後のストーリィ「眠れる街のオルゴール(後編)」という構成。 前作でいったん山に戻ったものの、また皆に会いたくて再び由布が家出してきた、というのが前半の設定です。 ただし、本巻の主眼はあくまで「眠れる街のオルゴール(後編)」、千鶴先生に勧められて海馬亭にしばらく滞在することになった小学生男子=藤沢景のファンタジーな物語に、「海馬亭通信」本来らしい3篇を添えた、という印象です。 景と仔猫の豆太、この風早の街で新たに出会った同じ小学6年生の安曇景との友達関係は心楽しい。 それに加え、むしろメインと言うべきかもしれませんが、ハリポタ的な冒険と対決ストーリィが繰り広げられます。 とは言ってもあくまで嬉しいのは、17年後の皆の再会ストーリィとなっているところ。 ※さて、「海馬亭通信」を終えたので、次なる“風早の街”シリーズ作品へと足を進めることにしましょうか。 最初の手紙:夜のアコーディオン/二通目の手紙:柳骨董店/三通目の手紙:ばらいろ怪談/十七年後:眠れる街のオルゴール(後編) |
「コンビニたそがれ堂−空の童話−」 ★☆ |
|
|
「コンビニたそがれ堂セレクション」以前のシリーズ4作目。 今回、旅行中の読書用に持参して読書。 遡って読むという形になったため、感激度が若干弱くなったかもしれません。 本作では各篇、登場人物たちが子供の頃に読んで大好きだったという、「空の童話」という本の思い出が共通項になっています。 ・「おいつけない」:大事な兄がある事故で昏睡のまま。あの時引き留めていればという後悔から、何度もその場面を夢見る各務原航(わたる)が主人公。彼がコンビニたそがれ堂で手に入れたものは・・・。 ・「おやゆび姫」:何とおやゆび姫が本当に、主人公である織子の前に出現。そのおかげで無味乾燥だった織子の生活に変化が現れます。でも何でおやゆび姫?(笑) ・「空の童話」:もうすぐ閉店になる小さな書店“在心堂”を中心に据えたストーリィ。怪人や宇宙人が登場したかと思えば、怪獣決戦まで? いくらクリスマスプレゼントと言ってもてんこ盛り過ぎではないかと思ってしまいます。 ・「エンディング〜花明かりの夜に」:「セレクション」に収録されていた篇。「海馬亭通信」の千鶴が若き女医となって登場します。 ※もう一人の年配の院長先生は、コンビニたそがれ堂と2度目の出会いらしい。多分いずれかの物語に登場している女性なのでしょうけれど、いったい誰だろう? 4篇の中ではとりわけファンタジーな「おやゆび姫」が好き。 おいつけない/おやゆび姫/空の童話/エンディング〜花明かりの夜に |
「ルリユール」 ★☆ | |
2016年03月
|
祖母の家にやってきた中学生の瑠璃、ところがその祖母が階段から落ちて入院中。祖母に代わって留守番をすることになった瑠璃は、飼い犬の次郎さんと散歩中に謎の洋館に足を踏み入れ、美しい製本職人のクラウディアと知り合います。 “ルリユール”という言葉を知ったのは、いせひでこさんの絵本「ルリユールおじさん」によって。それ以来ルリユールという言葉には魔法の様な響きを感じてしまいます。 |
村山早紀作品のページ bQ へ 村山早紀作品のページ bR へ