読書のおと（村山早紀作品のページ No.４）

　　村山早紀作品のページ No.４

31．街角ファンタジア　

32．風の港－再会の空－　

33．桜風堂夢ものがたり２－時の魔法－　

【作家歴】、天空のミラクル、天空のミラクル－夏の魔法、コンビニたそがれ堂、コンビニたそがれ堂－奇跡の招待状－、コンビニたそがれ堂－星に願いを－、カフェかもめ亭、海馬亭通信、海馬亭通信２、コンビニたそがれ堂－空の童話－、ルリユール

コンビニたそがれ堂セレクション、コンビニたそがれ堂－神無月のころ－、松風堂ものがたり、コンビニたそがれ堂－祝福の庭－、はるかな空の東、百貨の魔法、アカネヒメ物語、コンビニたそがれ堂－小鳥の手紙－、星をつなぐ手、コンビニたそがれ堂－猫たちの星座－

→ 村山早紀作品のページ №２

かなりや荘浪漫、かなりや荘浪漫２、コンビニたそがれ堂－花時計－、魔女たちは眠りを守る、コンビニたそがれ堂異聞－千夜一夜－、桜風堂夢ものがたり、風の港、不思議カフェNEKOMIMI、さやかに星はきらめき、コンビニたそがれ堂－夜想曲－

→ 村山早紀作品のページ №３

「街角ファンタジア　Machikado Fantasia」　★☆

街角ファンタジア

2024年11月
実業之日本社
(1800円＋税)

2024/11/24

amazon.co.jp

ちょっとした寂しさを抱えた主人公たち、その日常にふと現れたファンタジーとは？　心温まる５篇。

・「星降る街で」
クリスマスイブ、その日に主人公は失恋を味わう。
その主人公の目の前に現れた奇跡とは？
クリスマスイブ、当日というのは実にファンタジーに相応しい時節。是非その奇跡を大事にしてほしいと、祈りたくなります。
・「時を駆けるチイコ」
祖父が始め、両親が引き継いだ洋食店、しかし客は減り閉店を余儀なくされます。そんな状況下、千世子が願った祈りは猫神様に届くのでしょうか・・・。
・「閏年の橋」
40代の清花はイヤミス作家、ずっと独身。先行きに懸念を感じ始めたタイミングで担当編集者から依頼されたのは、ほっこり系の新作。ふと訪れようと思ったのは、昔の恋人が語っていた＜閏年の橋＞のこと。清花が会いたいと思う人は・・・。
・「その夏の風と光」
本書５篇の中で本作はちょっと異色。長い年月にまたがるストーリーですから。少年と男の子の再会はあるのでしょうか。
・「一番星の双子」
美雪はもうすぐ三十路、それなのに今もしがないアルバイター兼ライター。ふと思い出したのは、幼馴染みの美月のこと。

私としては、新しい出会いのある「星降る街で」が一番好き。
「時を駆けるチイコ」は並行世界ものと言えますが、好感あり。

星降る街で／時を駆けるチイコ／閏年の橋／その夏の風と光／一番星の双子／あとがき

「風の港－再会の空－」　★★

風の港　再会の空

2025年01月
徳間書店
(1700円＋税)

2025/02/09

amazon.co.jp

空港を舞台にした「風の港」の第２弾。
前作では連作風に登場人物が繋がっていく構成でしたが、今回はそれぞれ独立した篇。“再会”がテーマだからでしょうか。
また、前作では季節が春に統一されていましたが、本作は四季折々の物語。再会ということで過去への回顧と、これからへの希望あるいは喜びが多様に絡み合って語られていきます。
　
なお、５篇中の３篇に、村山早紀さんらしいファンタジー要素が盛り込まれています。その辺りにはやはり、“コンビニたそがれ堂”以来の楽しさを感じます。

・「十二月の奇跡」：金持ちにはなったが、母が言い残したような立派な人にはなれなかった。そう述懐する老人に「おじいちゃま？」と呼びかけてきた少女が・・・。
・「雪うさぎの夜」：思うままに海外をあちこち渡り歩きいて生きてきたあずさですが、今は寂しさも。穏やかに暮らし幸せそうに亡くなった母の生き方とつい比べてしまう。
　
・「竜が飛ぶ空」：人々を救いたいと医師を目指し医学部受験をしている翔太郎ですが、現実は三浪中。そんな彼に懐かしい声で話しかけてきた男性が・・・。
・「屋上の神様」：父親、そして母親が早くに亡くなり、妹の面倒もみながら頑張って生きてきたタクシー運転手の今日子。そんな姉妹を実は優しく見守っていた存在が・・・。
・「夢路より」：故郷の町で市役所職員の司。東京に出張してきた空港で彼に声をかけてきたのは、フロアに置かれたピアノを弾いていた青い目の老婦人・・・。

1.十二月の奇跡／2.雪うさぎの夜／3.竜が飛ぶ空／4.屋上の神様／最終話.夢路より

「桜風堂夢ものがたり２－時の魔法－」　★★

桜風堂夢ものがたり２

2025年04月
PHP研究所
(1800円＋税)

2025/05/07

amazon.co.jp

「桜風堂ものがたり」の番外編「夢ものがたり」第２弾。
３篇収録。　なお、完結巻とのこと。

・「優しい怪異」の主人公は、月原一整と卯佐美苑絵。
桜風堂書店が店内にカフェを併設することになり、その準備作業の手伝いに苑絵が桜野町へと向かいます。
元アイドルで桜野町は“心の故郷”という苑絵の母親＝茉莉也も同行。
その途中、苑絵と茉莉也は不思議な女の子の姿を目にします。
一整もまた最近、謎の女の子を幾度か見かけていた。
その女の子の正体は？　桜風堂ものがたりファンにとっては、とりわけ楽しいファンタジー。

・「秋の旅人」の主人公は、透。
桜野町に伝わる、竜神を眠らせた狐の娘と若者の恋物語。その竜神が今年復活して人々に災いをもたらすという言い伝え。
そんな時転校してきた葛葉千晶は、琥珀色の瞳を持った美少女。
透、その千晶と一緒に、竜神が眠るという妙音岳の湖へへ向かうのですが・・・。
古の伝承話から連なる、詩情に溢れた素敵なファンタジー。

・「時の魔法」の主人公は、卯佐美苑絵。
すっかり常連となった観光ホテルに泊った夜、苑絵は向かいの部屋から子供の泣き声が聞こえてくることに気づきます。そしてその部屋に向かうのですが・・・。
拝み屋のおばあさん曰く、心の澄んで綺麗な人は、悲しい魔物に好かれてしまうことがある、と。
ちょっと妖しいファンタジー。

※それから10年程後、登場人物の現在も一言紹介されます。

1.優しい怪異／2.秋の旅人／3.時の魔法