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1.マキちゃんの絵にっき(伊勢英子) 2.水仙月の四日(宮沢賢治・作 伊勢英子・絵) 3.絵描き(いせ ひでこ) 4.ルリユールおじさん(いせ ひでこ) 5.旅する絵描き(伊勢英子) 6.大きな木のような人(いせ ひでこ) 7.旅する絵描き タブローの向こうへ(いせ ひでこ) |
●「マキちゃんの絵にっき」(伊勢英子)● ★★★ 野間児童文芸新人賞 |
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2001年04月
2008/01/07
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マキちゃんは三月生まれ。4人家族のおうちでもいちばん小さくて、保育園の三さい組でもいちばん小さい。 そのためか、マキちゃんはその分ちょっぴりだけ甘えん坊のような気がします。 そんなマキちゃんの、四つになる少し前から六さいになって保育園を卒業するまでの愛しい姿を、マキちゃんの絵を途中にはさみながら日記風に語った作品。 何よりもスケッチ風に描いたマキちゃんの絵が素敵です。 そしてまたマキちゃんの、小さな女の子だからこその気持ちが見事に語られています。 マキちゃんのお母さんは絵を描く仕事をしているとのこと。本書はどこまで伊勢さんの実際と一致しているのでしょうか。 |
●「水仙月の四日」(宮沢賢治・作 伊勢英子・絵)● ★★ 産経児童出版文化賞美術賞 |
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2008/01/12
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宮沢賢治の童話に、伊勢さんの絵を合わせた絵本です。
“水仙月の四日”、それは恐ろしい雪婆んごが、雪童子や雪狼を駆け回らせて、猛吹雪を起こさせる日。 大きな背景の中、雪童子の可愛らしい姿、うって変わって雪を吹き荒らす激しく動く姿、白い雪童子と赤い毛布に包まった子供とのコントラストが鮮やかです。 宮沢賢治の童話の楽しさと、伊勢さんの格調高い絵がぴったり組み合わさった、魅力的な絵本です。 |
●「絵描き」(いせ ひでこ)● ★★ 2008/01/06 |
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いいなぁ。 「ルリユールおじさん」と同じように水彩画、大きな景色の中に小さく絵描き青年の姿が描かれています。 景色がまずあって、そこからその景色をキャンバスに描き出したいと思う絵描き青年の心が始まる、そんな雰囲気がとても素敵です。 絵描き青年が旅をしています。様々な景色をスケッチして写し取っていく。 ※東山魁夷画伯がエッセイの中で、モーツァルトの曲を聴きながら絵を描くと語っていたことをふと思い出しました。 |
●「ルリユールおじさん」● ★★★
2006年11月
理論社刊 2007/12/31 |
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これは絵本です。 お子さんが読んでも楽しいだろうと思いますが、本好きの大人が手に取ってみればきっと嬉しくなるだろう、という一冊。 ストーリィは簡単です。繰返し読んでいるために大事な植物図鑑がバラバラになってしまった少女。彼女はこわれた本を直してもらおうと、パリの街中へ飛び出して行きます。 単に絵が、そしてストーリィが素敵というだけでなく、本書はどんなことを大切にしたいか、ということを思い出させてくれる一冊です。 ※「ルリユール」とは、広く本作りをさす言葉とのこと。 |
●「旅する絵描き−パリからの手紙−」(伊勢英子)● ★★ |
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2008/01/07
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本作品は、理論社のホームページ上に連載(06年01〜04月)したエッセイを改稿、未公開スケッチを加えて構成し直したものとのこと。
旅を常とする絵描きの青年が、パリから日本にいる友人Yに宛てて便りします。本書はその手紙という形式に立った、エッセイ+スケッチ・r絵という一冊です。 そして多くの絵画、音楽と日常的に接することのできるこのパリの街の雰囲気に暫し浸った後、青年はパリを離れ、再び旅の途につくことを決心します。 「絵描き」「ルリユールおじさん」の余韻を再び味わうことのできるエッセイ+絵として、嬉しい一冊でした。 |
●「大きな木のような人」● ★★ 2009年03月
講談社刊 2009/06/27 |
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パリには2本の樹齢
400年のアカシアがあって、一本の方は植物園で大切にされているそうです。伊勢さんは、パリの大きな植物園を足繁く訪れては、四季折々の木や花の様子を観察するようになったのだとか。 案内役になってくれたのが、35年来の友人ジョルジュ・メテリエ氏。ユーモアを交えいろいろなエピソードを語ってくれる氏の前で、伊勢さんの耳も目も鼻も子供のそれになったという。
植物園でいつも絵を描いている少女、さえら。庭師たちをてこずらせるその子も、植物学者の語る木や花の話に、いつしか植物園の一員になったよう。まるで上記の伊勢さんを子供の姿にして描いた絵本のようです。 |
「旅する絵描き タブローの向こうへ」 ★★ 2019年07月 文芸春秋 2019/09/01 |
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週刊文春に2018/6/21〜19/04/18 全42回にわたって連載された、原田マハ「美しき愚かものたちのタブロー」の挿画として描かれた絵等+絵描きとして辿ってきたいせひでこさんの歩みを回想したエッセイ、という一冊。 もうひとつの「美しき愚かものたちのタブロー」を眺める思いです。 また、これまでの歩みをひとつの旅として語ったいせさんのエッセイ文の中には、旅人として共感し、あるいは心に留まる言葉がちりばめられています。 頁を繰ることを幸せだなぁと感じられる一冊です。 物語はパレットから始まり、パレットで終わる/Ou Vas-Tu?(どこへいくの?)/あいたくて/白い紙を食べる子/銀の額縁/1973年の2月、私は予定通りパリに発った/初めてのパステル画/Kさんへ/風景のすきま、時のあわいで−/アボンダン/あとがき |