有川ひろ
作品のページ No.3



21.県庁おもてなし課

22.もう一つのシアター!

23.ヒア・カムズ・ザ・サン

24.三匹のおっさん ふたたび

25.空飛ぶ広報室

26.旅猫リポート

27.コロボックル絵物語

28.明日の子供たち

29.キャロリング

30.だれもが知ってる小さな国


【作家歴】、空の中、海の底、図書館戦争、図書館内乱、レインツリーの国、クジラの彼、図書館危機、塩の街、図書館革命、阪急電車

 → 有川ひろ作品のページ No.1


別冊図書館戦争1、ラブコメ今昔、別冊図書館戦争2、三匹のおっさん、植物図鑑、フリーター家を買う。、シアター!、キケン、ストーリー・セラー、シアター!2

 → 有川ひろ作品のページ No.2


倒れるときは前のめり、アンマーとぼくら、イマジン?、みとりねこ

 → 有川ひろ作品のページ No.4

 


                 

21.

●「県庁おもてなし課」● ★★


県庁おもてなし課

2011年03月
角川書店刊
(1600円+税)

2013年04月
角川文庫化



2011/05/06



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観光立県を目指して高知県庁観光部内に設置されたのが、“おもてなし課”
さっそく他県の真似をして同県出身の有名人らに観光特使を依頼したのはいいが、それ以上に何の具体案も用意していなかったことから、特使を頼んだ相手の一人、若手人気作家の
吉門喬介から「だからお役所は!」と、ボロクソに貶されてしまう羽目に。
その矢面に立たされたのが、おもてなし課最若手である
掛水史貴25歳。
吉門や観光コンサルタントの清遠らにケチョンケチョンに貶されつつ、掛水らが懸命に民間の発想を学びながら高知県を観光で盛り上げようと、グダグダ、ジタバタする“観光小説”。

村起し小説なら、荻原浩「オロロ畑でつまかえて」、桂望実「WE LOVE ジジイ等々結構あると思いますし、お役所仕事を揶揄した小説なら桂望実「県庁の星がありますが、本作品は主役が県庁であり、高知県全部をレジャーランド化するという発想等々、スケールのデカいところが魅力。お役所仕事ぶりにしても、まさに気持ちの良い突っ込みの上に成り立ったパロディ、という面白さがあります。
これらは皆、有川さん自身の、郷土=高知県への愛情あってこそのエール、と思います。

有川作品らしく、ストーリィはテンポ良く、ツボは外さず、そして各登場人物のキャラクターが個性的かつ魅力溢れています。
掛水と臨時スタッフ=
明神多紀ちゃん22歳のコンビの行く末も楽しいのですが、それ以上に興味をそそられるのが、もう一組のカップル。
健康的かつ、地方にエールを送るストーリィ。気持ちの良い小説好きの方には、お薦めです。

なお、“おもてなし課”は高知県庁に実在するそうです。そこから観光特使を依頼された有川さん、お役所仕事に呆れ果て、小説を書いて応援する方が早いとして出来上がったのが本作品とのことです。

※映画化 → 「県庁おもてなし課

     

22.

●「有川浩脚本集 もうひとつのシアター」● ★★


もう一つのシアター!画像

2011年05月
メディアワークス文庫刊
(530円+税)



2011/05/30



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弱小劇団の実態を描くシアター!番外編、脚本版。
「シアター!」のモデルとなった劇団
“Theatre劇団子”が、「シアター!」第1巻と第2巻の間にあったかもしれない物語を舞台で演じることとなり、結局有川さん自身が脚本を書き下ろすことになったのだそうです。
(※舞台は2011年01月、新宿紀伊國屋ホールで上演)

劇団シアターフラッグ、地方都市の高校から公演依頼を受け、初経験ということもあって千歳を含む皆が勇んでその高校に乗り込みます。
ところが着いて早々、小道具が誤ってゴミ回収車に持ち去られたり、機材を運んでくる筈のトラックは未着だったりと、トラブル続出・・・。果たしてこれは、誰かの陰謀なのか?

なお、登場する高校生の一人として、三匹のおっさん清田祐希が他作品からゲスト出演。

春川司・巧の兄弟、千歳、牧子、スズ等、常連メンバーのキャラクターはいつも通り魅力的。舞台が前提の脚本だけに、小説以上にテンポよく、実際の舞台を想像しながら楽しめます。
特筆したいのは、本ストーリィで重要な役となる、劇団を迎える立場の高校教師=
田沼清一郎を、大和田伸也氏が特別に演じていること。
元々大和田伸也氏をイメージしてキャラクターを作り上げたのだそうですが、田沼教師、大和田さんにピッタリなのです。
大和田さんをイメージしながら読むと、さらにリアル、楽しさは膨らむばかりです。
脚本の予想と違った観客からのウケ等について記載された
【註】もまた読み処。いやあ、舞台って本当に楽しいですねー。

※巻末の付録として、大和田伸也氏と有川さん、春川司を演じた“演劇集団キャラメルボックス”の阿部丈二氏と有川さんの対談を収録。これらもまた、楽しい。

             

23.

●「ヒア・カムズ・ザ・サン Here Comes the Sun!」● ★★


ヒア・カムズ・ザ・サン画像

2011年11月
新潮社刊
(1300円+税)

2013年10月
新潮文庫化

2015年11月
講談社文庫化


2011/12/12


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演劇集団キャメルボックスが演じる予定の劇、その7行だけのあらすじから有川さんが触発され、自ら企画書を持ち込んで成ったという、演劇と小説のクロスオーバー作品。

たった7行のあらすじから劇、小説と、どう異なる物語が生まれたのか興味尽きないところですが、残念ながら現時点で知っているのは本書ストーリィのみ。
主人公の
古川真也は、30歳の文芸誌編集者。幼い頃から、品物等に込められた人間の想いを感じ取るという不思議な能力を備えています。その真也の同僚である大場カオルの父親=白石晴男が20年ぶりにアメリカから帰国するとあって、真也はカオルと共に成田空港へ出迎えに行きます。
しかし、そのカオルの父親と名乗る人物から真也が感じた思いとは・・・。そしてそこから明らかになったドラマとは・・・。

「ヒア・カムズ・ザ・サンParallel」は、上演された舞台から有川さんが着想を得て執筆された作品とのこと。
舞台のパラレル版と同時に、小説「ヒア・カムズ・ザ・サン」のパラレル(登場人物は同じだが設定が異なる)にもなっているストーリィです。

2篇とも中篇という作品ですが、それはそれで有川さんらしい物語、ファンとしては十分に楽しめます。
私としては、主人公の特殊能力が生かされていて、ミステリ風の面白さも感じられる「ヒア・カムズ・ザ・サン」の方が、やはり好みです。

ヒア・カムズ・ザ・サン/ヒア・カムズ・ザ・サンParallel

         

24.

●「三匹のおっさん ふたたび」● ★☆


三匹のおっさんふたたび画像

2012年03月
文芸春秋刊
(1600円+税)

2015年01月
新潮社刊

2015年02月
新潮文庫化

2015年10月
講談社文庫化



2012/04/23



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還暦を過ぎた幼馴染の元悪ガキ3人による、地域限定版正義の味方三匹のおっさんの再登場。
とにかく3人のキャラクターが楽しい。剣道の達人=
キヨ、柔道家のシゲ、機械をいじらせたら天下無敵の頭脳派=ノリというのがその3人の顔ぶれ。
ただし、このジーサン3人だけだったら、いくら痛快・活劇風エンターテイメントだとはいえ、ストーリィは単純過ぎて物足りなかったでしょう。その3人に、キヨの孫=
祐希とノリの年の離れた愛娘=早苗という現役高校生コンビが絡むからこそ、本ストーリィはすこぶる楽しい。
とくに祐希がピリリと効いたスパイス的な存在になっている点に価値あり。時に三匹をたしなめ、時に協力し、時に三匹以上に力量を発揮するという変幻自在の活躍。マナーが悪いのは若い奴らばかりではない、ジーサンたちだって相当にマナーの悪いのはいる、と鋭い指摘。さすがの三匹も反論できず。
一見軽薄そうな若い奴らだって頼もしい奴もいる、というのを体現しているのがこの祐希、という次第です。

第一話:キヨの嫁で祐希の母親である貴子が主人公。じーばー世代と孫の世代に挟まれた専業主婦で、とにかく頼りない。一念発起した貴子の苦労と、ちょっぴり成長が描かれます。
第二話:本屋の万引き退治。作家、編集者、本好きにとって書店の経営を苦しめる万引きは許し難いものがあります。その所為でしょう、本章については有川さんも相当に力瘤が入っていると感じられます。
第三話:ノリに再婚話が起こり、早苗が動揺する、の章。
第四話:他人の土地への身勝手なゴミの放置・投棄問題。
第五話:シゲの息子である
康生らが中心になっての地元祭り復活ストーリィ。
第六話:何と“偽三匹”が出現。

面白さは前作よりパワーダウンした印象ですが、理屈なしに楽しめ、かつ身近な困った問題を考えてみたという点に拍手。

第一話/第二話/第三話/第四話/第五話/第六話/好きだよと言えずに初恋は、/あとがき

              

25.

●「空飛ぶ広報室」● ★★


空飛ぶ広報室画像

2012年07月
幻冬舎刊
(1600円+税)

2016年04月
幻冬舎文庫化



2012/08/13



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有川さんの主要題材である自衛隊もの、防衛省航空自衛隊航空幕僚監部広報室を舞台にした長篇小説。
判り易くいうと、航自の広報マンたちの奮闘を描いた小説、ということ。
彼らの奮闘とはすなわち何か?というと、自衛隊のことを国民に広くできるだけ知ってもらう、理解してもらう、ということに尽きます。

主人公となるのは空井大祐二尉。ブルーインパルスに憧れて入隊しついに内示を受けたというところで、酒気帯びおよび信号無視の大型トラックにはねられ、その結果右脚を負傷してP免になった元パイロット。広報室に異動して間もないという新人。
その相手となるのは、帝都テレビの女性ディレクター=
稲葉リカ。こちらも記者から異動になったという挫折感を抱えているが故に、なおのこと自衛隊に対しいつもつっかかるような言動ばかり、という具合。

自衛隊という組織、自衛官という人々の姿を、自衛隊についてよく知らない人たちにも判り易く伝える、というのが本作品の主眼だろうと思います。その意味で杉山隆男“自衛隊シリーズのリアルさを求めるのはちと無理というもの。
もっともストーリィ自体について言えば、
ラブコメ今昔の雰囲気の延長線上にある長篇小説、というところでしょう。
個性的な人々が多く登場し、丁々発止のやり取りの中でも和気藹々という趣向は、これまでの有川作品と何ら変わるところはありません。
自衛隊について初めて知ることは多くありますが、それでも本書が楽しく、かつ面白い作品であるのは、他の有川作品と全く変わらず。
空井−稲葉、先輩広報官である柚木−槙というコンビ、曲者の広報室長=鷺坂一佐らの会話がまたすこぶる楽しい。有川作品への期待、今回も裏切られず、です。

※なお、最終章「あの日の松島」は、東日本大震災発生時の自衛隊の活動について語った追加の章。

1.勇猛果敢・支離滅裂/2.はじめてのきかくしょ/3.夏の日のフェスタ/4.要の人々/5.神風、のち、逆風/6.空飛ぶ広報室/あの日の松島

                

26.

●「旅猫リポート」● ★★☆


旅猫リポート画像

2012年11月
文芸春秋刊
(1400円+税)

2015年02月
講談社刊

2015年03月
青い鳥文庫化

2017年02月
講談社文庫化


2012/12/13


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愛猫ナナとその飼い主であるサトルが辿るロードノベル。
何処までも穏やかで温かく、有川作品にしては珍しい、という印象。あえていえば
植物図鑑の雰囲気が一番近いと言えるでしょう。

ナナは元々野良猫。交通事故に遭って大怪我をしたときにサトルに助けられ、それ以降飼い猫となって早や5年。
しかしサトルにある事情が生じ、サトルはナナを託す相手を見つけるためナナを連れて銀色のワゴンで全国を旅します。
訪ねる相手は、小学校、中学校、そして高校時の親友たち。転校の多かったサトルにとって各時代の親友を訪ねる旅は、そのまま自分の少年時代を辿る旅ともなっています。
そして各人と再会すれば、当時の思い出が双方の胸に甦る。しかしナナのお見合いは上手くいかず、またサトルはナナと共に旅に戻ります。そんなストーリィ。

本ストーリィの中心的な語り手は牡猫のナナ。サトルの飼い猫となった今も、野良猫の誇りをずっと高く持ち続けている猫です。
そのナナの胸の中には、サトルと共に旅する喜びが満ち溢れています。旅好きにとってはその辺りがとても楽しい。
何故サトルがナナを手放さなくてはならなくなったのか、何故サトルとナナがこんなにも2人の旅を大切に思っているのか、その理由は後半になって漸く知らされます。
感動的で胸熱くなるストーリィ。それと同時にナナとサトルが深い絆で結ばれていることを思うと、爽やかな風を心の中に感じるようです。
過去があって今がある。そこ過去は決して無駄なものではなかった。それもまた人生の旅らしいところなのです。
ロードノベルの逸品、旅好きな方に是非お薦め!

Pre.僕たちが旅に出る前のこと/1.コースケ/2.ヨシミネ/3.スギとチカコ/3.5.最後の旅/4.ノリコ/Last-Report

        

27.

「コロボックル絵物語」 ★☆

コロボックル絵物語画像

2014年04月
講談社刊
(1200円+税)

2014/05/22

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佐藤さとるさんによる「コロボックル物語」全6巻
私は読んでいないままなのですが、児童文学における人気シリーズだとか。
その「コロボックル物語」を佐藤さんから引き継いで、有川浩さんが新「コロボックル物語」を書くことになったのだそうです。
本書はそのお披露目となる絵物語。

出会いという形にてコロボックルたちの存在を紹介する有川さんの短いストーリィと、
村上勉さんの絵による「絵物語」。
したがって、本書についてはどうこう言えるものではなく、お披露目と受け取っておけばいいことでしょう。

私のようにコロボックルを読んだことがない者は、まずコロボックルというのは何なのだろう?と手に取ってみれば十分。  

     

28.

「明日の子供たち」 ★★☆


明日の子供たち画像

2014年08月
幻冬舎刊
(1600円+税)

2018年04月
幻冬舎文庫化



2014/09/01



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90人余りの児童を収容する大規模児童養護施設「あしたの家」を舞台に、そこで働く職員たち、そこに暮す児童たち、各々の立場から児童養護施設の実情、課題を描いた長編小説。有川浩さん久々の快作です。

ストーリィは、児童養護施設を扱ったドキュメント番組を見て感動し、ソフトウェア会社の営業マンから児童養護施設職員に転職した三田村慎平が「あしたの家」に着任するところから始まります。
着任した慎平、玄関に散らばった靴を整理してあげようとしてさっそく3年目職員の
和泉和恵からこっぴどく叱責されます。さらに“問題のない子”の女子代表格である高2の谷村奏子からはどこか壁を作られている風。
部外者の認識と、当事者である職員ならびに児童らとの意識に大きな乖離があることが、まず突き付けられます。親に捨てられ「かわいそう」というのが一般的な見方。しかし、児童にとっては「施設に入れて幸せ」と感じることもあるという現実。

90人もいれば児童側の事情、思いも千差万別。そして職員の考え方にしても個人差があります。そんな中で一人一人の児童に向かい合うという苦労は並大抵のものではないだろうことが、本書を通じてつくづく感じられます。まして子供たちは、職員一人一人を試し、どんな人間か見極めようと観察しているというのですから。
有川作品においては登場人物のキャラクター造形が魅力。それは本作品でも変わりません。職員側では、意欲に燃える新人の慎平に、3年目という境を越えた和泉、揺らぐことのないベテラン職員=
猪俣吉行。一方児童側は、高2年となり就職か進学かという問題に直面する平田久志(ヒサ)奏子(カナ)という面々が中心。その他、施設長の福原政子、副施設長用の梨田克彦といった面々も十分個性的です。
慎平と和泉の関係を言えば、
図書館戦争の笠原郁と堂上の2人を彷彿させます。ちょうど男女を入れ替えた感じ。慎平の素人発想による言動は叱責を買うことも多いのですが、逆に素人発想だからこそ凝り固まった固定観念を打ち破ることもあります。

ユニークな登場人物を配し、シビアな実情と重い課題を上手く織り込み、面白く読めるストーリィに仕上げているところは、流石有川浩さんならではです。
※小規模な児童施設を舞台にした
佐川光晴「おれのおばさん」シリーズと対照して読むのも是非お薦めしたいところです。

1.明日の子供たち−8年前のこと。(カナ)/2.迷い道の季節−9年目のこと。(杏里)/3.昨日を悔やむ−10年前のこと。(猪俣)/4.帰れる場所−去年のこと。(久志)/5.明日の大人たち

          

29.

「キャロリング」 ★★


キャロリング画像

2014年10月
幻冬舎刊
(1400円+税)

2017年12月
幻冬舎文庫化



2014/11/22



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大和俊介32歳が勤める僅か社員5人の子供服メーカー「エンジェル・メーカー」は、業績不振のため12月25日をもって倒産することが決まります。副業として行っていた学童保育も同時に閉じることになり、その倒産日まではあと僅か。
カウントダウンが始まった残り少ない日々の中、最後まで学童保育として預かることになったのが小学生の
田所航平
その航平、海外栄転が決まった母親と新年早々には出国予定で、それまでに別居中の父親と母親の間を何とか元通りにしたいと焦りを募らせます。
そんな小学生の思いに引きずられて荷担することになったのが、エンジェル・メーカでの同僚にして元恋人という
折原柊子と俊介の2人。さらに借金取立業からスピンアウトして犯罪に手を染めた暴力団員たちが、田所親子と元恋人同士の2人に絡んで、クリスマス前の騒動記を繰り広げます。

有川さんらしく、登場人物一人一人のキャラクターが魅力いっぱい。そしてストーリィにもすんなり入り込めてしまうことから、面白く読めるのはいつも通り。
題名から想像がつくように、一つのクリスマスストーリィだと思いますが、最後はかなり苦味も入り混じったハッピーエンド。ですから大人向けのビターな物語と言えます。

自分の力ではどうしようもない不幸を感じた時、諭し支えてくれる人がいてくれたら、辿る道は大きく変わるかもしれない。それは何も子供の頃だけでなく、きっと今の状況についても言えることでしょう。
登場人物一人一人につき、幸せだったのか、果たして幸せはもたらされたのか、これからはどうなのか。考えている内に何時の間にか温かい気持ちに満たされていることに気づきます。
有川浩版クリスマス・ストーリィの秀作です。

1.オラトリオ/2.もみの木/3.コヴェントリーキャロル/4.もろびとこぞりて/5.ホワイト・クリスマス

    

30.
「だれもが知ってる小さな国」 ★★☆


だれもが知ってる小さな国

2015年10月
講談社刊

(1400円+税)



2015/12/14



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佐藤さとるさんから児童文学の名作“コロボックル物語”のタスキを受け取った有川さんによる「コロボックル物語」第1弾。

基礎知識としておさらいしておくと、コロポックルとはアイヌの伝承に登場する小人で、「蕗の葉の下の人」という意味だそうです。
コロボックル絵物語で有川さんのお披露目は終わっていますので、本書が本格的な有川版のスタートという次第。
なんとはなしに読み始めてしまいましたが、流石に有川さんは上手い! 読み進むうちにどんどん物語の中に引き込まれ、まさに一気読みです。

主人公は、「はち屋(養蜂家)」の子供である
比古(ヒコ)、小学3年生。両親と共に日本中を蜜蜂と共に転校しながら回る日々。
ある日突然、ヒコは「トマレ!」という声を聞く。その声のおかげでヒコはマムシに噛まれずに済みます。
そして毎年のように北海道の小学校に転校した日、同じはち屋の女の子=
比売(ヒメ)と出会います。
やがてヒコの目の前に、中指くらいの大きさの小人=
ハリーが現れ・・・・。

全国を旅して回る養蜂一家、そんな家族をもつ少年と少女の出会いという設定が楽しい。
加えて、思うに任せないヒロとコロボックルとの交流にはスリリングな魅力があります。
また、ミノルさんという無邪気な人物との出会いには心温まるものがありますし、その一方でトシオさんという少々怪しげな人物との対決にはサスペンス要素もあり。
そして、一時の物語に終わらず、今後さらに広がっていくだろう物語になっている処が、何より嬉しい。
楽しい要素がふんだんに盛り込まれている辺りは、さすが有川さんらしい面白さです。是非、お薦め!

※こうなると、佐藤さとるさんの「コロボックル物語」も是非読んでおかなくては、と思う次第です。


1.はち渡り/2.シナノキの夏/3.新しい友だち/4.騒がしい夏/5.ありがとう

  

有川ひろ作品のページ No.1     有川ひろ作品のページ No.2

有川ひろ作品のページ No.4

 


   

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