たこ
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音名象徴-DSCH
last updated: 2002.1.3

DSCH 音型移調の限られた旋法第2番と関係が深い。)

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D.SCHostakovich に由来する。(後年作曲者自身、ラテン文字による署名の場合、この英語・ドイツ語混合方式を用いた。)

参考(他の作曲家の音名象徴)

BACH:BACH 音型

最も有名な音名象徴といえるだろう。
十字架音型でもある。

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SCHUMANN:ASCH 音型

地名(Asch)と自分の名前の両方に掛ける。
SCHA や AsCH にも変型。謝肉祭(作品9)

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ASCH音型はアルフレート・シュニトケ(A.Schnittke)の署名でもある。
シュニトケは、ショスタコーヴィチの死の3ヶ月後に DSCH音型とBACH音型による二重カノン「Prelude In Memoriam Shostakovich for Violin and Tape」を書いた。そこには必然的にASCH音型が含まれている。

ショスタコーヴィチは、事実上のデビュー作である「交響曲第1番」を既にイニシャル“D.S.”によるトランペットのファンファーレで開始している。DSCH 音型は、「ヴァイオリン協奏曲第1番」で効果的に使用され強い印象を残すが、移調して使用されているため直接 DSCH と読み解くのは難しい。しかし、「交響曲第10番」においてついに堂々とその姿を現わし、自伝ともいえる「弦楽四重奏曲第8番」では、この音型そのものが全楽章を貫く基本主題となる。さらに、歌曲「自作全集への序文とその序文に関する考察」においては、この音型の使用が意図的であることを宣言するかのように、この音型につけられた歌詞として名前そのものが歌われる。

1925
op.10
交響曲第1番第1楽章冒頭

ただし記譜上。トランペットは移調楽器なので実音は異なる。

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1943
op.61

ピアノ・ソナタ第2番第3楽章より


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1948
op.77*
ヴァイオリン協奏曲第1番第2楽章より

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1953
op.93
交響曲第10番第3楽章より

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1960
op.110
弦楽四重奏曲第8番冒頭(DSCH によるフーガ)

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1966
Op.123

歌曲「自作全集への序文とその序文に関する考察」より


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この音型を使用したその他の作品(*は音程のみ)

ショスタコーヴィチの死後、追悼して書かれた多くの曲でこの音型が使用されたことは不思議ではないが、B.ブリテンが大戦下の1943年に「Rejoice in the Lamb Op.30」の第5曲「For I am under the same accusation with my Saviour」でこの音型を“Silly fellow”と歌い上げていることは特筆に値する。また、R.ステヴェンソンの「Passacaglia on DSCH」(1962)は80分近い DSCH の変奏曲である。

参考書

バリエーション1

交響曲第10番第4楽章 呈示部より

スタッカートのリズムとが1オクターブ上に上がったCH が浮ついた感じに聞こえる。

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弦楽四重奏曲第8番第3楽章ワルツ主部

DDSCH (引き攣った/躓いたDSCH)音型。自嘲めいた感じにも響く。

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弦楽四重奏曲第8番第3楽章トリオ

DSCHG音型。語尾の上昇に、強い疑問(あるいは反語)のようなものを感じる。

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弦楽四重奏曲第8番第3楽章

DSCH の音だけで始まる旋律。(かなえられない)強い憧れを感じる。

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バリエーション2(十字架型)

十字架音型に並べ替えたDSCH

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BACH「5声のフーガ」冒頭

平均率クラヴィア曲集第1集第4番「フーガ」嬰ハ短調。
続く音型が全音半音の順次進行であることも興味深い。

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チェロ協奏曲第1番第1楽章第2主題

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(比較参考譜)
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
第3幕第6場と第7場の間奏曲

Dies Irae のパロディ。結婚式の喧噪の裏で、
酔っぱらいが死体を発見する場面の音楽。


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バリエーション3(Dies Irae型)

交響曲第10番第4楽章序奏部より

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バリエーション4(CDSH型)

交響詩「十月」冒頭

3音の順次進行(全音半音の上行)で始まる。

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