9月17日(五十石→達古武) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
全駅間歩き5日目(29.4km) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
達古武(たっこぶ)湖北岸にあるキャンプ場を目指します。 今日はいよいよ釧路湿原を歩きます。 タンチョウに会える駅として有名な茅沼駅、 湿原を一望できる展望台や塘路湖で有名な塘路地区など、 歩きながら釧路湿原の名所を巡ることになります。 6日間の中でも比較的歩行距離が短めな1日なので、 ゆっくり湿原を見て回りたいと思います。 さて、湿原といえば平坦な場所を想像するかと思います。 列車で移動していても、アップダウンは感じられません。 となると、今日はアップダウンはほとんど無いのでしょうか? 答えは、否。 確かに湿原そのものは平坦ですが、近くを通る国道は湿原を迂回するために台地を通っているのです。 しかも、駅間ごとに台地を上り下りするため、駅ごとに小さな峠を越えるような感じです。 台地の高低差は最大でも100メートルあまりですが、 平坦な湿原のイメージでこのエリアを歩こうとすると、間違いなく面食らいます。 野を越え、山を越え、釧路湿原を思う存分味わいたいと思います。 |
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5日目の朝を迎えました。 夜中に鹿が鳴いていたそうですが、まったく気がつきませんでした。 昨日着いたときはすでに真っ暗でよく分からなかった、宿屋周辺の様子も分かってきました。 「なかまの家」は、北海道の農作業小屋によくある「D型ハウス」を改造した旅人宿だそうです。 業者に改造を依頼したのではなく、ここのご主人が2年くらいかけて改造工事したというのだからすごい。 奥さんから、袋いっぱいに羊の毛をいただきました。 靴擦れができた場所に詰めると、ずいぶん楽になるんだとか。 豆ができた場所の靴底に詰めてみると、確かに足の当たりが少なくなりました。 元々ソールがきつめだったので、少し押さえつけられる感じもありますが、まずは歩いてみようと思います。 「五十石のおいしい水(=宿屋の飲料水として使ってる地下水)」をペットボトルに詰め込み、 宿の方に見送られながら、一番最後に宿を後にしました。 |
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宿屋から10分もたたずに、五十石駅に着きました。 かつては駅舎があったそうですが、今は車掌車改造の待合室が置かれた小さな駅です。 五十石エリアには、今日泊まった宿も含めて4軒しか民家がないそうです。 地域の小学校は1970年代には廃校になっていたそうで、以前から人口が少なかったことがうかがえます。 秘境駅の一つにも名を連ね、一部の普通列車は通過してしまいますが、 国道が駅のすぐ近くを通っているため、寂しい感じはあまりありません。 |
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次の駅に向かって国道を歩きます。 このあたりから釧路湿原が広がり始めるはずですが、 沿道は林に遮られ、なかなか周囲の視界は開けません。 やがて、左カーブとともに上り坂が始まりました。 ええっ?湿原区間なのにアップダウンがあるの??? 高低差は50メートル程度でしたが、面食らったせいで疲れてしまいました。 |
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しばらく進むと、道は下り坂に変わりました。 茅沼駅の近くに広がるシラルトロ湖も見えてきました。 |
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下り坂の終点から、茅沼駅へ向かう道に入ります。 国道から茅沼駅は1.5kmほど離れているうえ、小さな丘を越えなくてはいけません。 とはいえ緑駅の3kmバックに比べれば、たいしたことはありません。 とうとう、牧草地越しに釧路湿原が見えました。 牧草地に牛はいませんでしたが、キタキツネが散歩していました。 右の写真をよ〜く目をこらしてみると見えるけど…ちょっと見えにくいですね。 |
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茅沼駅に着きました。 無人駅となり、駅舎もログハウス調の建物に改められましたが、 こう見ると、新しい駅舎も周囲の風景にマッチしていると思うんですけど、いかがでしょうか。 この駅は、タンチョウが飛来する駅として知られています。 運が良ければ、夏でもその姿を見られるそうですが、残念ながら今日は見つけられませんでした。 タンチョウが飛来するようになったのは、有人駅時代に駅員が餌付けしたことがきっかけだそうですが、 現在も近隣住民がその役を引き継いでいるんだそうです。 思わぬアップダウンがあったせいで、距離の割に疲れてしまいました。 駅ノートを読みつつ、ゆっくり休憩することにしました。 |
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元来た道を国道まで戻り、次の駅へ向けて国道を南へ進みます。 シラルトロ湖が近いというのに木々に阻まれ、なかなか景色が開けませんが、 20分ほど進むと、ようやく目前にシラルトロ湖が姿を現しました。 |
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さらにもう少し進むと、休憩スペースが設けられていました。 ここからはシラルトロ湖が一望できます。 写真1枚で湖面すべてを入れることはできないので、 2枚の写真を重ね合わせて、パノラマ写真チックにしてみました。 写真撮影スポットということで、観光客もちらほらいたのですが、皆さん一様に長袖を着ています。 確かに、時々吹き抜ける風はひんやりしているのですが、 日差しは厳しいので、こっちが長袖着た日にゃ、たちまち汗びっしょりになってしまいます。 |
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シラルトロ湖に別れを告げ、塘路エリアへ繋がる小さな峠に向かいます。 今度はアップダウンを覚悟して歩いていたので、意外とあっさり越えることができました。 峠を下りきると、左手に塘路湖が見えてきました。 ちょうどそのとき、五十石で同宿だった方が乗ったバイクとすれ違いました。 相手も気づいてくれたようで、大きくピースしてくれました。 |
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さらに進むと、塘路で最も有名な展望台・サルボ展望台の入口が見えてきます。 しかし、今日はサルボ展望台には向かわず、その西側にある「二本松展望地」に行ってみたいと思います。 サルボ展望台の脇から、線路を越え、釧路湿原を横切るように道道が延びています。 道道は舗装路と未舗装路が混在していて、舗装されている区間も、路面はかなりガタガタです。 どうやら自然環境保護の観点から、湿原区間内は舗装の改修を行っていないようで。 この道道を進むと、これまた有名なコッタロ展望台に行けるのですが、そこまで行ってる時間はありません。 足の痛みを耐えながら歩くこと15分あまり、二本松展望地の入口に着きました。 ここが展望台の入口であることを示す看板もありませんし、そもそも一部の地図には記載自体がありません。 入り口の脇に、辛うじて乗用車が2〜3台止まれるスペースがある程度なので、 何の情報無しにここにたどり着くのは困難でしょう。 ここから少し急な丘を5分ほど登ると、二本松展望地に着きました。 |
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二本松展望地から見た釧路湿原です。 すぐそばを釧路川が流れ、その先には一面の湿原が広がります。 南側に広がる雲が無ければ、おそらく太平洋まで見渡せたはずです。 昼食は塘路駅まで戻ってからと思ったのですが、 せっかくなのでここで昼食を食べることにしました。 ところが、海が見えるくらい見晴らしが良い(=遮るものが無い)だけあって、 海からの強くて冷たい風も吹きつけ放題です。 ペットボトルの水も、ちゃんとザックに入れないと吹き飛んでしまいそうな強さです。 最初は汗が出るほど暑かったのに、いつのまにか厚手の上着を着込む始末…。 |
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昼食を終え、先ほど歩いたダート道を国道まで戻ります。 道の両側は釧路湿原です…というより、この道が釧路湿原を貫いているという方が正しいか。 いかにも交通量が少なそうな道ですが、 観光客の車だけでなく、たまに大型のダンプカーなども通行するので、意外と油断できません。 こっちは、ただでさえ砂利が少ない場所に足を進めるかで必死なのに。 砂利が多い場所を踏みつけると、突き上げるような痛みが襲ってきます。 注意してても、たまに踏んじゃうから未舗装路は嫌なんですよ(特に、靴擦れ起こしたときは)。 |
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国道に戻ると、まもなく塘路市街に入りました。 標茶市街以来、久しぶりのまとまった集落です。 白樺の木の向こう側を、網走方面に向かう列車が走りぬけていきました。 塘路駅までは、あと少しです。 |
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塘路駅に着きました。 駅舎はこぎれいな木造建物で、駅舎内には喫茶店も併設されています。 釧路駅から運行されるノロッコ号の終点というだけあって、 駅の脇には、大型バスが駐車できる駐車場も設けられていました。 |
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休憩がてら、ちょっくらホームに出てみました。 ホームの入口では、列車の時間でもないのに、記念切符を販売するスタッフが待機していました。 そんなもんだから、記念切符買っちゃったじゃないですかぁ。 |
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いよいよ今日の宿泊地に向かいます。 といっても、目指す宿泊地は丘を越えた向こう側です。 距離にして10km弱。まだまだ先は長いです。 市街を抜けると、すぐに高低差100メートル強の丘越えが始まります。 沿道に民家は一切無く、ひたすら林が続きます。 西側に広がる林が一瞬途切れると、その先に釧路湿原がちらりと見えました。 |
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塘路駅から歩くこと1時間あまり、ようやく丘の最高点が見えてきました。 最高点から先は釧路町です。カントリーサインは「釧路湿原」です。 釧路市じゃありません、釧路町です。 釧路市じゃありません、釧路町です。 大事なことなので2回言いました(笑)。 …にしても、どうして同名の市と町が互いに接する形で誕生してしまったんだか。 |
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丘を登った後は、ひたすら丘を下ります。 転がり落ちるように下ったはずですが、見た目以上に距離があったせいか、意外と時間がかかりました。 丘を下りきったところで、国道を離れ、キャンプ場へ向かいます。 西陽へ向かうような形で、遊歩道を進みます。 遊歩道と車道はずっと並行して進んでいましたが、 キャンプ場まであと1kmというところで、突如離ればなれになりました。 遊歩道がどこに向かうのか分からず、戸惑いながらも先に進みました。 |
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林を抜けると、目前に達古武湖が見えてきました。 太陽は湿原の向こう側に沈もうとしています。 どうやら、この遊歩道を歩いていてもキャンプ場には着けそうです。 ちょっと安心しました。 |
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今日の宿泊地、達古武オートキャンプ場に着きました。 ここの簡易バンガローで一泊することにします。 センターハウスで手続きを終えて、バンガローに向かいます。 ここのバンガローは、雨風をしのげて、鍵をかけることができる機能だけの簡素なバンガローです。 水道やコンロがないバンガローは何度となく経験していますが、電灯もないタイプは始めてでした。 昨日の夕方、地味に活躍してくれたヘッドライトは、本当は今日の電灯代わりに持ってきたのですが。 とはいえ、ここのセンターハウスはとてもしっかりしています。 ハウス内には、受付のほか、シャワールームや休憩スペースなどが設けられていました。 売店では飲料やパン類、インスタント食品はもちろん、焼肉用の肉なども用意されていました。 塘路を出た時点で今日の夕食と明日の朝食を買いそびれたので、 食品売ってなかったらどうしようとか思いましたが、その不安は杞憂に終わりました。 |
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達古武湖のほとりで日没を迎えました。 湖面は鏡のように空を映し、空は次第に薄暗くなりました。 達古武湖に面しているこのキャンプ場は、 夏場は多くのレジャー客で賑わうそうですが、今日の利用者はまばらでした。 これならもう1500円出して、電気・コンロ完備のロッジに泊まっても良かったかも。 |
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陽が落ちた後は、夕食タイムです。 センターハウスで買い込んだ「焼きそば弁当」を作ることにします。 …と言っても、キャンプ用コンロとクッカーでお湯湧かすだけなんですけど。 さて、今日の夕食はこんな感じ。 せっかくコンロがあるので、行動用に持ち歩いていたウーロン茶も温めました。 ほんとはセンターハウスで紅茶の茶葉売ってたら、紅茶にしたかったんだけど。 あ、写真はバンガローの中で撮ってるけど、湯沸かしは外でやってるんであしからず…。 夕食後は、センターハウスに行ってシャワーを浴びて、 センターハウスが閉まる21時まで、休憩スペースで地図を見ながらくつろいでいました。 シャワー室の電気の点け方が分からず、真っ暗闇の中でシャワーを浴びてたのは内緒ということで。 夜になって結構冷えてきましたが、センターハウスは暖房が効いてて居心地良かったです。 そのあと、バンガローに戻って明日の準備をしましたが、 特にこれといってやることもなく、22時過ぎには(レンタル)シュラフをひいて寝てしまいました。 キャンプ場内の照明は、深夜になっても煌々と光っていました。 それでも空を見上げると、きれいな星空が広がっていました。 明日は、いよいよゴールの釧路に到着します。 |
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