9月14日(清里町→川湯温泉街) | ||||||||||||||||||||||||||||||
全駅間歩き2日目(42.7km) | ||||||||||||||||||||||||||||||
北海道の名湯・川湯温泉を目指します。 この日は、行程中最も長い距離を歩きました。 序盤にして、今回最大の山場を迎えました。 札弦や緑に宿屋があれば、 昨日のうちにもう少し進んで余裕を持たせたかったのですが、 世の中そう都合良く宿屋があるとは限らないわけで。 緑から川湯温泉に向かうためには、 元来た道を3km近くバックして、国道391号線に進まなければなりません。 札弦から最短ルートで進んだ場合と比べれば、ここだけで8km近くのロスとなります。 さらに国道391号と合流した後には、野上峠越えが控えています。 緑駅から釧網本線の線路の上を歩けたらどんだけ楽なことか…こんなこと言っちゃいけませんね。 果たして、無事川湯温泉まで着けるのでしょうか? |
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2日目の朝を迎えました。 昨日より天気が良い…はずだったんですが、やっぱりあいにくの曇り空。 予報通りなら途中から晴れてくれるはずなんですが、むしろ今にも雨が降りそうな天気で。 天気は思うようにはならないなぁと思いつつ窓を見ると… ん?? ヤギ???? ここのYHでは、2頭のヤギを飼っているんだそうです。 朝になると散歩を始めて、建物の周りを行ったり来たりするんだとか。 名前は大きい方が「蓮子」で、小さい方が「花子」っていうそうです。 どっかで聞いたことがある名前だなぁ。 …てっ!! せっかくなんで、朝食前にヤギさんのお顔を撮っておくことにしました。 2頭とも人なつっこい性格で、撮影しようにもどんどん近寄ってくるため、なかなかうまく撮れません。 そして、朝食ができたという声がかかったのですが、こんどはヤギが入り口に立ちふさがりました。 もっと遊んでくれなきゃ中に入れないぞ、とでも言ってるのでしょうか。 よく見ると、階段には2頭のヤギの黒い落とし物がたくさん転がっていました。 |
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朝食食べたら、足早に出発です。 もうちょっとまったりしたいところなんですが、日没までに到着しようと思うと時間がありません。 同宿の方やペアレントさんに見送られ、宿を後にしました。 最初は昨日登った道を戻るので、転がり落ちるように坂を下ります。 市街との高低差は数十メートル程度ですが、展望台に上ったような眺望が広がっていました。 歩き始めて10分ほどして、雨粒が顔に当たり始めました。 今日は雨には遭わないつもりだったので、GPSの雨よけをしていなかったのですが、 急遽ザックを下ろしてGPSの雨よけを整えました。 GPSはちょっとの水気を食らうだけで動作不良の可能性があるそうで、ここら辺は気が抜けません。 |
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中心市街の少し手前で左へ折れ、農道を南へ進みます。 周囲は広大なじゃがいも畑が広がっていました。 道路の向こう側からトラクターがやって来ました。 普通の車であれば、視界に入るとたちまちすれちがいますが、 トラクターは非常にのんびりとした速度で走り、目の前に来るまで結構時間がかかりました。 |
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途中の角を右に折れ、今度は西へ向かいます。 こちらもやっぱり直線道路で、進めど進めど直線が続きます。 ちょっと高台に出たところで振り返ってみると、見事なストレートを見ることができました。 撮影地点から写真奥に見える直線の起点までは4kmほどあります。 写真には、こちらに向かって走ってくる車が写っています。 結構近いところまで来ているように見えますが、まだ1km位離れています。 |
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ようやく道道1115号線と合流しました。 道道のすぐそばを釧網本線が走っています。 10km近く休憩なしで歩いてきたので、いい加減足が痛くなってきました。 昨日は豆を作らずに歩ききりましたが、この調子だと今日はやばいかも…。 さらに20分ほど歩いて、札弦の市街に入りました。 市街の入口付近に道の駅があったので、記念入場券を買っておきました。 今度来る機会があれば、温泉も入りたいなと思ったり。 札弦市街も清里町駅付近ほどではないですが、比較的まとまった集落でした。 道の駅を出たら札弦駅もすぐだと思っていたので、700メートルくらいあると知ったときはちょっとショックでした。 |
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札弦駅に着きました。 古い駅舎は取り壊され、待合室だけの簡易的な駅舎が建てられていました。 休憩なしで歩いてきた甲斐あって、ここで少し長めに休憩が取れそうです。 早速靴下を脱いで足を冷やします。 足を地べたにつけてみると、ちょっと当たる部分がありました。 触ると少し痛むってことは、もう豆ができてしまっているんでしょうか? 靴擦れに悩まされずに歩くことができるのは、もうちよっと先のことになりそうです。 |
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次の駅は、オホーツク海側最後の駅・緑駅です。 札弦市街を抜けたところで、国道391号線に向かう道道805号線が分岐します。 単純に斜里から釧路まで行くのであれば、ここで右折するのが最短ルートですが、 残念なことに今回は全駅間歩き。まずは、このまままっすぐ進んで緑駅に立ち寄ります。 道道と分岐したあたりで歩道も無くなってしまいました。 交通量はそんなに多くないのですが、やっぱり歩道があると無いとでは安心感も違うわけで。 ここからは線路とほぼ平行する形で南へ下ります。 |
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釧網本線と平行しているとはいえ、道路との間には緩衝帯代わりの低木が茂り、 所々にある踏切の近くを除けば、まともに列車の姿を眺めることができる場所は限られています。 駅間を半分ほど進んだところに、ちょっと開けた場所があったので1枚撮ってみることにしました。 幸い列車は5分も待たずに通過したのですが、列車が予想よりも長かった(汗)。 キハ54は車体長が21.3メートルあって、普通の電車よりもちょっと長いから …というのは言い訳ですね。 |
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緑駅が近づいてきました。 「さくらの滝」へ向かう道が分岐する青葉地区から歩道が復活しました。 「さくらの滝」は、青葉地区から2kmほど進んだところにある斜里川の滝で、 7月頃から滝を遡上しようとするサケの姿を見られる場所として知られています。 時間さえあれば行ってみたかったのですが、 立ち寄ってしまうと先の峠越えで泣きを見そうだったので、今回は泣く泣くパスすることにしました。 歩きという交通手段は、自分で時間と行動を柔軟に管理できる反面、 速度が出ないために行動範囲が制約されてしまうのが難点です。 このあたりから再び雨が降り始めました。 霧雨のような雨は、霧雨のまま徐々に強くなっていきました。 |
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緑の市街地に入りました。 清里町駅や札弦駅周辺に比べると、正直少々ひなびた雰囲気が漂っています。 ただ、その分北海道らしさもにじみ出ているような気がします。 今回歩いた直後(ってか翌日)に放送されたNHKの某旅番組で、 偶然にも清里町が取り上げられ、この緑駅周辺にも旅人が立ち寄っていました。 番組中では、その旅人が地元住民になかなか会えなくて困っていましたが、 この日も、地元住民の姿をほとんど見かけませんでした。 ちゃんと商店や温泉もあるので、ゴーストタウンってわけじゃないはずなんですけど。 |
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緑駅に着きました。 両側から山が迫り、峠が近づいていることを物語っています。 霧雨が雨のように降っているせいで、ずぶぬれになってしまいました。 ずぶ濡れになったあげく、足も痛みはじめたとなると、ちょっとしたことでもイラッとしてしまいます。 外に出るのも嫌になるくらいの雨ですが、 こんなに強く降ってても雨雲レーダーは、雨として認識してくれないようです。 せいぜい「雲がとても低くたれこんでで、その中で霧が発生している」というような感じなんでしょうか。 峠越えに備えて、昨日買い込んだパンを食べていると、 昨日のYHで同宿だった人が、偶然駅にやって来ました。 彼は、私がさきほど道すがら撮影していた列車に乗って緑駅に入り、周辺を散策していたそうです。 これから私がパスした「さくらの滝」へ向かうそうですが…う〜ん、羨ましい。 次回このあたりに来ることがあれば、 「神の子池」「さくらの滝」「みどりの湯」は絶対外したくありません。 あ、でも、「神の子池」に歩いて行くのはちょっと厳しいかも。 駅ノート見ても、みんな車かバイクかチャリだし…。 |
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いよいよ今回最初の難所、緑−川湯の峠越え区間に入ります。 まずは、冒頭予告していたとおり、元来た道を3kmほどまるっと歩いて戻ります。 実はこの写真、時間こそ違いますが、3枚上の写真とだいたい同じ場所で撮っています。 車ならあっという間ですが、歩きの3kmバックはなかなかオニですよ〜。 幸い、緑駅を出る頃には霧雨はやみ、空も明るくなってきました。 歩けるときに歩いて、雨に降られる区間を少しでも減らしたいと思います。 |
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青葉地区手前のY字路を左に折れて、オリジナルルートに入ります。 釧網本線の踏切を渡り、畑や牧場を見ながら少しずつ坂を登ります。 しばらく進むと、札弦駅の先で分岐した道道805号と合流します。 空模様はじょじょに怪しくなり、道道と合流する頃には再び霧雨が降り始めました。 レインウェアを取り出そうか迷いながら、道道を山奥へ向けて歩きました。 |
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小清水町の山中で国道391号線と合流しました。 国道391号線は、ここからゴールの釧路まで延々お世話になる国道です。 合流した時点で釧路(国道391号の終点)まで100kmあまりという表示を目にしました。 案外近いように思えますが、今回は寄り道も多いので侮ることはできません。 国道はこのまま野上峠に向かうので、少しずつ高度を上げていきますが、 上り坂を進んでいるという印象はあまりなく、原生林に覆われた森の中を進むような感じでした。 はじめは強めの霧雨が降ったりやんだりを繰り返していましたが、 次第にやんでる時間が長くなり、空も明るくなってきました。 |
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国道391号を歩くこと1時間あまり、目の前に急な坂道が見えてきました。 いよいよ本格的な野上峠の上り坂にさしかかります。 坂の勾配は5〜6%程度なので、そこまできつい上り坂ではありませんが、 重いザックを背負っていると、やっぱり汗が噴き出てきます。 これで晴れてたら、もっと体感気温上がったんだろうなぁ。 |
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野上峠に着きました。 峠とはいえ、南側の山が少し見える程度で、見晴らしが良いとはいえません。 峠の手前に駐車帯があったので、そこでしばらく休憩しました。 足が少し痛くなったので、休憩の間は靴を脱いで足を休めます。 特に歩き出しの時に鋭い痛みを覚えるので、靴擦れをおこしてしまった可能性が高そうです。 峠を越えると、弟子屈町に入ります。 カントリーサインは摩周湖と屈斜路湖の白鳥…でいいんでしょうか? |
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弟子屈町に入り、峠道を一気に下ります。 少し進むと、南側の視界が開けました。 左の煙を噴いている山が硫黄山(アトサヌプリ)、真ん中の山の麓に見える建物群が川湯温泉街です。 あんな遠くまで歩かないといけないのかと思うと、ちょっと呆然。 それにしても、森がどこまでも広がっていますね。 道東のイメージといえば、台地と牧場というイメージだったんですが。 |
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さらに進むと、今度は屈斜路湖が見えてきました。 湖面に突きだした陸地が和琴半島で、右奥の山が中島…だと位置関係がちょっと変かも。 野上峠からの屈斜路湖の眺望は、今ひとつといった感じです。 美幌峠や小清水峠など有名スポットも数多くあるので、そっちから見た方がきれいに見えそうです。 |
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おもしろい落とし物が転がっていました。 見ての通りジャガイモです。 もちろんここは峠道。間違ってもジャガイモ畑なんてありません。 ジャガイモ満載のトラックが落としていったのか、 はたまた畑からジャガイモを失敬した野生動物が落としていったのか、 どちらにしても北海道らしい光景です。 |
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右へ左へ大きくカーブを切りながら、峠を下ります。 インカーブにさしかかったときに、大型車が来るとちょっと緊張します。 しばらく進むと下り坂が落ち着き、追い越し禁止も解除されます。 追い越し禁止が解除されたとたんに先行車を颯爽と追い抜くのが北海道クオリティ(笑)。 硫黄山の噴煙が正面に見えてきました。 峠を下りきっても森が続き、視界はなかなか開けません。 |
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ようやく畑が見えてきました。 近くには農産物の直売所もあり、人里に戻ってきたような感じです。 さらに進むと、視界の先に信号の光が見えてきました。 川湯の温泉街へ向かう道が分岐する交差点です。 その手前には、ガソリンスタンドの光も煌々と輝いています。 やった!やったぞぉ〜!! 交差点がゴールじゃないというのは分かっているのですが、 あの光を見たとき、今日1日を乗り切った気分になってしまいました。 |
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川湯温泉街へ続く通りに入りました。 通りに沿って民家が連なりますが、温泉街らしい雰囲気はありません。 中心部に近づくにつれ、飲食店もちらほら現れますが、 役場支所の前まで来ても雰囲気は閑静な住宅地のままです。 そんな一角には、右写真のようなひしゃげた廃墟もあったりするのですが。 |
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2日目の宿屋「名湯の森ホテル・きたふくろう」に到着しました。 ちょっと奮発して、今日はここに泊まります。 川湯温泉の名前はアイヌ語「セセキ・ペッ」に由来しているそうです。 これを和訳すると「温泉のある川」ということになり、当初は「湯川温泉」と称されていたそうです。 ところが函館の名湯「湯の川温泉」と混同してしまうことから、後に「川湯温泉」に改められたそうです。 硫黄山周辺で温泉が出て、それが良い効能をもたらすことはアイヌの時代から知られていたようで、 「クスリ(温泉)・ト(湖)」と呼ばれていた屈斜路湖など、このあたりには温泉に由来する地名が点在します。 夕食の前に、汗を流すために温泉に入りました。 靴下を脱ぐと、両足に巨大な豆ができていました。 こんだけ大きな豆ができてれば、歩き出しで鋭い痛みが走って当然です。 …というか、我ながらよくここまで歩いてこれたものです。 川湯温泉は強酸性の温泉で、ここの温泉のphは1.9といわれています。 蔵王温泉ほどではありませんが、ここの温泉も強酸性独特のヒリヒリした感じがありました。 連休の中日だけあって、洗い場がなかなか空いてくれなかったのにはちょっと閉口…。 夕食後、今度は露天風呂でゆっくりしてきました。 敷地の裏手は国有林。夜になるとライトアップが行われますが、その奥にも漆黒の森が続きます。 耳をすませば野生動物の鳴き声が聞こえてきそうな露天風呂に浸かり、しばし時間を忘れて過ごしました。 明日は、弟子屈の中心市街まで移動します。 移動距離は少なめですが、せっかくなので摩周湖に寄り道してみようと思います。 |
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