9月8日(占冠村 ニニウ→占冠村 上トマム) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
全駅間歩き4日目(41.8km) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
同じく占冠村の東にある上トマムを目指します。 2日前から歩き始めた、 陸上国内最長駅間・新夕張−占冠間の駅間歩きは、 今日ようやく占冠駅にゴールします。 最長距離駅間の駅間歩きは終わりを迎えても、 占冠−トマム間の駅間距離も非常に長く、 まだまだ気を抜くことはできません。 今日歩く区間もずっと山の中です。 昨日のような峠越えこそありませんが、 歩行距離は今回の全駅間歩きの中では最長です。 さらに、道は鵡川を遡るように続いているため、じわじわ300メートルほど登ることになります。 かつて沿道に点在していた集落も、いまやそのほとんどが無くなっています。 人の気配すら感じられない無人地帯が延々と続きますが、 行程の終盤、周囲の風景とは一線を画する、近未来的なタワーが現れます。 今日は3日ぶりのホテル泊が待っています。 3日ぶりの風呂とベッド目指して進みたいと思います。 |
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今日は朝5時に起きました。 青空が見えたと思ったのですが、高いところに雲が出ていました。 雲が出たためか、冷え込みも思ったほどではなく、 寝袋にくるまってフリース着込むだけで眠ることができました。 昨日と同じように朝食の支度をして、出発準備を進めました。 バンガローの近くにテーブルが無かったので、階段をいす代わりに朝食を食べました。 バンガローに電気と階段とベランダがついてるだけでも、いつもに比べれば豪華なんですよ。 テーブルが無いなんて文句言っちゃいけません。 ちなみに、ここで出したゴミは全て持ち帰りです。 なんでも、このキャンプ場にはゴミ収集が来ないそうで。 自動販売機で缶ジュースやペットボトル買っても、持って帰ることになります。 無住地帯とは、こういうことなんですね。 そして7時前、予定より少し早めに出発することにしました。 |
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ニニウ地区を後にしました。 ここと外界を繋ぐ道は、昨日最後に歩いた道道・夕張新得線しかありません。 今日は、この道道・夕張新得線をゴールまでずっと歩くことになります。 まずは、赤岩橋まで延々6kmほど歩いて戻りました。 |
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赤岩橋まで戻って、占冠駅へ向かうルートに合流しました。 赤岩橋を渡ったところに、赤岩トンネルが口を開けていました。 赤岩トンネルの長さは2,115メートル。今回歩くトンネルの中では最長距離を誇ります。 地形の関係から、トンネルは中で大きくカーブを切っていて、なかなか出口を拝むことはできません。 それでも車通りは比較的少なく、 比較的最近できたトンネルということもあって、わりと歩きやすいトンネルでした。 |
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トンネルを抜けてしばらく歩くと、林道鬼峠線との合流地点にさしかかりました。 鬼峠はかつて、占冠とニニウの間を結ぶ主要交通路でした。 いまの地形図を眺める限り、この林道を通ってニニウに行くことはできませんが、 50年くらい前の地形図を眺めると、鬼峠線の黒い線がニニウまで続いている様子が確認できます。 ニニウに人が住んでいた頃の歴史は、鬼峠とともにあったといっても過言ではないようです。 合流点を過ぎると、まもなく石勝線の線路が見えてきました。 占冠市街まであと少しです。 |
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占冠市街が見えてきました。 |
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占冠市街に入りました。 占冠村の人口は、全村でも1000人あまり。 中心市街も、2日前の紅葉山同様、比較的コンパクトにまとまっています。 今日の昼食は、次の駅間の途中で食べる予定ですが、食料を調達できるポイントはここしかありません。 役場近くのコンビニで昼食を調達したら、先に進むことにしました。 |
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石勝線の占冠駅は中心市街の少し北にあります。 富良野方面へ向かう国道237号と合流して、中心市街を抜けました。 左手奥に、占冠駅のものと思しきスノーシェルターが見えてきました。 最長駅間の終わりは、もうすぐそこです。 |
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占冠駅に着きました。 丸2日かけて、陸上日本最長の駅間を無事踏破しました。 鉄道距離34.3kmに対して、(寄り道なしの)歩行距離は53.8kmでした。 今回はニニウに寄り道したので、それを加えた歩行距離は66kmにも及びました。 距離は長いわ、途中に峠越えが3つもあるわと、陸上日本最長の名に恥じない区間でした。 健康のために1駅間歩くって方は、たまにはこーいう区間も歩いてみてはいかがでしょうか。 ただし、逆に健康を害した、ヒグマのエサになった等の苦情は一切受け付けないのであしからず。 さて、占冠駅は簡易委託駅でした。 窓口で入場券を求めると、硬券の入場券が出てきました。 特急列車が止まるにふさわしい大きな駅舎、近代的な窓口で硬券が出てくるとちょっと違和感。 まぁ実際、ちゃんと特急列車が止まるから問題ないんですけどね。 特急しか止まらないけど。 |
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駅舎が立派なら、ホームも立派でした。 休憩している間に、ちょうど札幌行きの特急が到着しました。 ここから乗り込んだ乗客は、新千歳空港に向かう外国人旅行者と思しき1組のみでした。 占冠村だけでなく、日高町や南富良野町の住民も、公共交通で札幌に出る際は占冠駅を使うそうで、 時間が違えば、もっと多くの人が利用しているところを見られたのかも知れません。 さて、陸上日本最長駅間は無事踏破しましたが、 次のトマム駅までの駅間も鉄道距離で21.3kmあります。 同一市町村内の駅同士では日本最長の駅間になるそうです。 スタートからここまで13km以上一気に歩きましたが、 最初の区間ということもあって、そこまで疲れませんでした。 軽く休んで、このまま先へ進みたいと思います。 |
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次の駅・トマム駅へ向かいます。 まずは、しばらく国道を北へ歩きました。 線路をくぐると小さな集落が見えてきました。 集落の入口近くには、占冠駅逓跡の碑が立っていました。 ここに占冠駅逓の跡があるということは、占冠集落はここから始まったんだろうか。 |
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国道に別れを告げ、再び道道・夕張新得線の単独区間に入りました。 この区間も、道東道トマムIC開業に伴って再整備された区間で、 片側1車線ながら、比較的道幅の広い道が続いていました。 |
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とはいえ、沿道の民家はごくわずか。 やっと家が見えたと思っても、廃墟ということもよくあります。 ここも放棄されてから何年も経っているんでしょうね。 沿道には、クマ出没を伝える看板があちらこちらに立てられていました。 クマは朝夕を中心によく出没するそうですが、 背の高いデントコーン畑などは、終日クマが出没する危険性が高いんだとか。 ここら辺には民家が無いかわりに、そんな畑があちらこちらにありました。 いつクマが正面からガバッと出てきてもおかしくない雰囲気でした。 |
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さらにしばらく進むと、こんな場所にさしかかりました。 橋を渡った先には、石勝線の東占冠信号場があるそうです。 かつては、信号場の近くに畑や民家もあったのかもしれませんが、 今となっては信号場に向かうだけの道となってしまっているようです。 |
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さらに森の中を進むと、第二占冠トンネルが見えてきました。 トンネルの手前で右側に分岐する道が旧道ですが、 途中が寸断されているようで、現在は通行できません。 久しぶりにトンネルの入口から出口が見えますが、 このトンネルの長さも1km超。なんだかんだで抜けるのに15分くらいかかりました。 トンネルの先も、民家なんてとても期待できない山の中でした。 そんな道をさらに歩くともう一つトンネルが現れました。 |
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占冠トンネルを抜けると、道道の休憩スペースと滝ノ沢信号場が見えてきました。 もちろん、民家の影も形もありません。 ちょっと疲れてきたので、ここで昼食休憩することにしました。 滝ノ沢信号場の軒先でも借りようかと思ったのですが、 残念ながら信号場の入口はふさがれていたので、向かいの空地に腰を下ろしました。 とはいえ、こちらは直射日光ガンガンという条件の悪さ。 腰を下ろせても、強い日差しをマトモに受けてしまっては休憩した気になりません。 休憩したゆえに、かえって疲れてしまったような気すらしました。 写真じゃ曇ってるように見えるかもしれませんが、結構日差しは厳しかったんですよ。 おまけに携帯の電波も届かず、情報収集もままならず…。 道東道が全通した今となっては、この道を通る車なんてごくわずかだと思っていたのですが、 トマムリゾートへ行き来する車なのか、1〜2分に1台くらいは通過していたような気がします。 |
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気を取り直して、先へ向かいました。 道は鵡川を遡りながら、深い森の中を貫いていました。 途中、道の脇に大きな楡の木が立っていました。 この木は「不思議な泣く木」と呼ばれているそうです。 道路工事の際にこの木を伐採しようとノコギリを入れたところ、 うめき泣くような声が聞こえてきたため、とうとう伐採を諦めたといわれています。 案内の看板には、この木にまつわる若きアイヌの悲恋の話が記されていましたが、 この木に目をとめる人は自分以外いませんでした。 |
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さらに東へ進みました。 荒れ地と化した草地が所々に点在していました。 今は使ってなさそうな土地ですが、かつては牧畜か何かが行われていたのでしょう。 |
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滝ノ沢信号場から1時間半以上歩いて、 幾寅(南富良野町)方面に向かう道道1030号線との交点にさしかかりました。 最初は「下トマム」のバス停を目印に休憩しよう…と思っていたのですが、 無住地帯にはバス停はいらないのか、バス停が見つからないまま、交点そばの空地で休憩しました。 着いた時はオーバーヒート気味でしたが、 だいぶん高度を上げてきたためか、少し休憩するだけで汗は引きました。 ここから幾寅に向かうためには、未舗装の幾寅峠を越えることになります。 悪路かつ、道幅も狭いこともあり、夏期でも通行する車はごくわずかのようです。 20分以上休憩していましたが、幾寅峠に向かう道道を行き来した車は、たった1台だけでした。 |
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交点から少し東に進むと、石勝線のホロカ信号場の入口にさしかかりました。 今となっては、牧草地が広がるのみの無住地帯と化していますが、 40〜50年ほど前には、下トマムの集落が存在したそうです。 こちらも郵便局が存在するほどの集落だったようです。 その頃の地形図を見ると、幾寅峠に向かう道道との交点(1枚上の写真)付近に数軒の民家があります。 しかし、今となっては、道路の変更・拡幅、そして道東道の工事などによって、 当時の名残を見つけることはきわめて困難です。 もし、その集落が「集落」として石勝線の開業時点まで残っていたら、 この信号場こそが「トマム駅」を名乗っていたかも知れません。 |
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下トマムからは、延々まっすぐな道が続きました。 たまに民家に出会っても、その家はやはり廃屋でした。 主がいなくなってから、何年も経っていそうな雰囲気でした。 あまり景色が変わらない直線道路は、精神的に堪えます。 見るものもなくなり、あと何分歩けば駅に着くかとばかり考えるようになりました。 どうして、こーいう直線って行程の後半に多いんだろ。 駅はまだか駅はまだかと思いながら歩いていると、 カーブを曲がったところで、山の向こうに塔のような建物が突如現れました。 トマムリゾートのホテルです。 目指すトマム駅まで、あと少しです。 |
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トマム駅に着きました。 森の中を歩いていたら、突然駅が現れました。 駅前集落どころか民家すら一切ありませんし、駅が近くなっても歩道も付きません。 強いて言えば、右手見ながら歩けば、駅の手前でスノーシェッドが見え隠れするくらいです。 まさに「森の中のオアシス」で、駅を見たとたん、肩の荷が下りたような気がしました。 もちろん「肩に掛かった荷物」はまだ掛かったままでしたが。 ちなみに、この駅の標高は約550メートルです。 占冠駅から200メートルほど登っています。 そんなに登った気はしないんだけど。 石勝線開業当時、この駅は「石勝高原」と名乗っていました。 トマムリゾートはまだ開業していなかったので、それこそ駅の周辺は相当の秘境だったことでしょう。 それにも関わらず、開業当時から2重扉の立派な駅舎が設けられていたそうです。 待合室のなかに券売窓口も設けられているのですが、 開業当初から無人駅で、この窓口が使われたことはないそうです。 その代わり、つい最近までトマムリゾート内にみどりの窓口が設けられていました。 |
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ちょうど列車が来そうな時間だったので、ホームに出てみました。 西日が顔に当たって暑かった…。 奥に見える歩道橋は、トマム駅の跨線橋です。 歩道橋は、そのままトマムリゾートまで直結しているのですが、 トマムリゾートへはバス連絡となっていて、歩道橋の使用は中止されていました。 10年以上前、鉄道旅行でここに初めて来た時、 訳も分からず歩道橋を渡ってトマムリゾートに迷い込んでしまい、 係員に「どこのホテルにご宿泊ですか」と言われ、回答に困った記憶が。 札幌方面から「スーパーおおそら7号」が、 釧路方面から「スーパーおおぞら8号」が到着しました。 それぞれ10人程度の乗客が乗り降りすると、どちらも駅を後にしました。 待合室のベンチに腰を下ろしたとたん、疲労感に襲われました。 今日の宿屋までは、もうひとがんばりしないといけません。 幸い、待合室で少し休憩するだけで、暑さは感じなくなりました。 スポーツドリンクを飲んで、宿屋まで歩く気力を養いました。 |
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30分ほど休憩した後、宿屋のある上トマムに向けて歩き始めました。 石勝線の次の駅は、狩勝峠を越えた先の新得駅です。 トマム−新得間も、国内の陸上区間で3番目に長い駅間です。 ある程度進んでおかなければ、明日中に新得駅に到着するのが難しくなってしまいます。 といっても、上トマムから先は10km以上集落が無いため、進めるといっても上トマムまでですが。 トマム駅から5分も経たないうちに、トマムリゾートの入口にさしかかりました。 さらにしばらく歩くと、トマムの象徴ともいえるタワーホテル群が見えてきました。 背後にはスキーコースも見え隠れしていました。 今回は無理ですけど、一度はあそこに泊まってみたいものです。 |
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トマムリゾートからは歩道が付きました。 上トマムからトマムリゾートに自転車通勤する人でもいるのでしょうか。 それとも、このあたりを「中トマム」と名乗っていた頃の通学路の名残でしょうか。 どちらにしても、車を気にせず歩けるのは良いことです。 |
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上トマム集落に入りました。 中心集落の占冠ほど人が住んでるわけではありませんが、 生活臭が感じられる集落に入るとやっぱり安心します。 正面に見える山の先には十勝地方が広がっています。 もう、そんなところまでやって来ちゃいました。 |
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今日の宿屋に着きました。 上トマム周辺には、宿泊施設が大小何軒かありますが、 トマムリゾートへのスキー客をターゲットとした宿が多いようです。 今日は3日ぶりのホテル泊です。 そして、3日ぶりの風呂&シャワーです。 ホテルに着いて荷物を置くなり、シャワールームに飛び込みました。 今汗かいてなくても、3日分のこびりついた汗を流さずにはいられませんでした。 シャワーの後は、3日ぶりのまともな食事です。 この3日間、キャンプ場ではラーメンやうどん、チャーハンといったインスタント食品でしたし、 昼食はおにぎりやパンなどでごまかしていました。 今日の夕食はジンギスカンで、欲をいえばちょっと肉が少なめでしたが、 そんなこと大して気にすることなく、オプションでビールまで注文して、ガツガツ食べてしまいました。 まだ、狩勝峠越えが残ってるのに、もう歩き終わった気分になってしまいました。 3日ぶりのベッドが気持ちよかったのは、言うまでもありません。 |
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