9月9日(藻琴→知床斜里) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
全駅間歩き5日目(30.2km) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
海岸線に沿って知床斜里駅を目指します。 昨日に引き続き、区間のアップダウンはほとんどありません。 海岸線に近い場所であれば、 当然オホーツク海も眺め放題と思われがちですが、 実はこの日、あまり海を見ることはできませんでした。 確かに列車であれば、 海のすぐ横を走る区間が多いのですが、 線路と道路の間には小さな丘が立ちはだかり、 道路からは、あまり海岸線を眺めることはできません。 ただ、結論からいうと、今日に限ってはそんなのはどうでも良くなりました。 今日は、ほぼ全区間で民家もまばらな畑地や原野を歩きました。 遮るものが何一つ無い、開けた視界の先には、斜里岳や知床半島のシルエットが見え隠れしました。 最終区間では、どこまでも続く広い平野に正方形に区切られた農地が延々と続き、 雲一つ無い青空の下、農地を貫く一直線の道路を1時間以上歩き続けることになりました。 あらゆる意味で、北海道のスケールの大きさを体感した1日でした。 全駅間歩き5日間のあいだで、最も北海道らしい風景に出会えたといえるかもしれません。 |
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朝6時40分過ぎ、釧路行きの普通列車が網走駅を出発しました。 朝早くにも関わらず、知床や釧路方面に向かうとおぼしき旅行者がたくさん乗っていました。 網走から10分あまりで、列車は今日のスタート駅、藻琴駅に到着しました。 昨日着いた時には真っ暗で、駅の全体像がよく分かりませんでしたが、 改めて藻琴駅の駅舎を眺めると、どことなく昔ながらの木造校舎っぽい感じがしました。 今日は、ここから最終目的地の知床斜里駅を目指します。 準備体操を終えたら、早速今日の全駅間歩きをスタートしました。 知床斜里に着くだけであれば、1駅前の鱒浦からスタートしても良かったのですが、 ゴール到着後、16時40分発車のバスに乗ってウトロまで行く予定だったので、 昨日のうちに藻琴まで進んで、プランにゆとりを作ることにしました。 とはいえ、あんまりゆっくり歩いていると、タイムオーバーしてしまう可能性があります。 ゆっくり急いで斜里に向かいたいと思います。 |
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進行方向から列車がやって来ました。 1両っきりの列車の背後には、知床半島にそびえる山々のシルエットも映っていました。 |
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この区間は、海岸線に沿って国道を東に進みます。 藻琴の集落を抜けると、周囲に民家はほとんどなくなりますが、 それにも関わらず、国道は片側2車線歩道&分離帯付きの豪華仕様です。 別に、歩きやすくて助かるからいいんですけど。 藻琴駅から30分ほど歩くと、前方に北浜の集落が現れます。 集落が近づくと、左手前に北浜駅の駅舎と展望台も見えてきます。 |
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北浜駅に着きました。 シーズンにもなれば、列車だけでなく、車や観光バスで乗り付ける観光客も目立ちますが、 まだ朝早い時間ということもあって、駅に人影はありませんでした。 釧網本線の中でも知名度は随一のこの駅ですが、駅舎そのものは藻琴駅よりもこぢんまりしています。 駅舎の中には、お約束の切符&名刺のペタペタが。 少し前に全部剥がされたため、昔に比べればだいぶん落ち着いている印象ですが、 それでも、こんなに切符類がペタペタ貼られている駅は、そうそうありません。 この名刺や切符をよく見ると、ここに来ているのは日本人だけではないようです。 名刺やメモ書きの文字を見る限り、中国系とおぼしき人も結構目立ちます。 それもそのはず、この駅は中国の映画でもロケ地として使われたことがあるんだそうです。 日本でも「犯人は○○」で有名な某ゲームの続編の舞台だったりもしますよね。 |
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北浜駅を出るとまもなく濤沸橋を渡り、小清水町に入ります。 カントリーサインには、ジャガイモとユリの花が描かれています。 小清水町に入ると、民家は姿を消しました。 沿道にはかなり前に廃業したと思われるドライブイン以外、建物もありません。 国道は、気持ちいいくらい一直線に続いています。 右手に濤沸湖とその湿原が広がり、奥には斜里岳のシルエットも見えます。 |
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北浜駅からまるっと1時間歩いて、原生花園駅に着きました。 駅の周囲には、休憩施設(ネイチャーセンター)以外の建物はなく、 文字通り、小清水原生花園に立ち寄るためだけの駅という状態です。 そのため、原生花園が雪に覆われる冬場は営業を休止してしまいます。 駅自体は無人駅ですが、 駅ホーム手前に設けられた「駅舎」では、係員によって記念切符なども販売されています。 「駅舎」で休憩もできたらいいんだけどなぁ。 |
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少し時間に余裕があったので、原生花園を散策してみることにしました。 花のシーズンは終わりかけていたので、咲いている花はあまり多くありませんでしたが、 それでも、所々で小さな花や実をつけている野草を見かけました。 |
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展覧ヶ丘の展望台から、歩いてきた方向(西方向)を撮影してみました。 視界を遮るものは何一つありません。 左側には濤沸湖、そして丘を挟んだ右側にはオホーツク海が広がっています。 濤沸湖とオホーツク海は、思った以上に接近しています。 ここから見るとほとんど高低差もなさそうな丘に阻まれ、 濤沸湖からは海が見えないのがちょっと不思議に思えてしまいます。 |
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国道まで戻り、さらに東へ向かいます。 右手には、引き続き濤沸湖とその湿原が広がっています。 ここを歩く人なんてほとんどいないと思いますが、その割にはしっかりした歩道も続いています。 このあたりでは夏場に馬の放牧が行われているそうです。 この日も牧草地の奥で、数十頭の馬が固まって休憩していました。 スタートしたときは少し肌寒いくらいでしたが、 日が高くなると、気温も23℃近くまで急上昇しました。 日差しを遮るものが本当に何一つないため、体感気温もみるみる上昇し、汗も噴き出てきました。 水分補給を満足にとることができず、 次の駅が見える頃には、軽い脱水症状になっていました。 |
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浜小清水駅は、道の駅の一角に設けられていました。 しかも農産物直売所の建物を間借りしているため、駅の看板は立っているものの、あまり目立ちません。 昔は急行も止まっていた駅というのに、今はずいぶん肩身の狭い思いをしているようです。 さて、釧網本線の浜小清水駅といえば、 JR北海道が長らくDMV(デュアルモードビークル)の試験走行をしていたことでも知られています。 DMVとは、鉄道線路上も道路上も乗り換えること無く走行できる乗り物のことで、 ローカル鉄道の新たな活用方法としても注目を集めています。 浜小清水駅の一角には、道路走行モードから線路走行モードへ切り替えるための施設があります。 専用の装置を持たない普通の車や列車が入り込まないよう、施設両端には遮断機が設けられています。 歩いた当時、JR北海道はDMV導入に積極的だったのですが、 その後、JR北海道の不祥事が相次いだあおりを受けて、導入計画は中止になってしまいました。 スタートからここまで延々直射日光を受け続けたせいで、予想以上に疲れてしまいました。 厳しい日差しを予想して、帽子はかぶっていたのですが、 夏の盛りは過ぎたと思い、日焼け止めクリームは塗らずにスタートしてしまいました。 すでに腕の日焼けが酷く、酷い日焼けをしたことも疲労につながったかもしれません。 腕と首元に日焼け止めクリームを塗って、出発することにしました。 日焼けによる「火傷」も馬鹿にできませんね。 |
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道の駅の南には、浜小清水の集落があります。 ただ、かつて急行が止まっていた駅にしては、ちよっと集落が小さいような気もします。 それもそのはず、ここは「浜」小清水で、小清水町の中心市街はここから10kmほど南にあります。 両者はかつて軌道で結ばれ、現在も路線バスで結ばれています。 浜小清水からは、国道を離れ、線路沿いの町道を歩きます。 町道に沿って一面の農地が広がり、民家は一軒も見当たりません。 海の近くを歩いているはずなんですけど、小さな丘に阻まれ、相変わらず海は見えません。 |
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しばらく歩いていると、道ばたに何台かの車が止まっていました。 こんなとこに車止めて、何してるんだろと思ったところ、こんな光景に出会いました。 ここは止別(やむべつ)川の河口です。 川の両岸に何十台もの車が止まっています。 そして、釧網本線の鉄橋の先には、たくさんの人が川に向かって釣り糸を垂らしていました。 人里離れた場所に、人工的な人里ができあがっていました。 最初はこの日に限って、何か大会でもやっているのかと思ったんですが、 別の日に列車でここを通りかかったときも、同じようにたくさんの車が止まっていました。 きっとこの人達は、止別川を遡上するサケを釣るために来ていたんだと思います。 主要道路から外れてるのに、こんなに人が来ているってことは、 結構有名なスポットなんでしょうね。 |
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引き続き、町道を東へ歩きます。 しばらく進むと、遠くに民家が見えてきました。 道路に歩道が復活すると、止別の小さな集落に入りました。 |
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止別駅に着きました。 藻琴駅、北浜駅同様、駅事務室はラーメン屋に改造されています。 昼食時間時ということもあって、駅前には車が何台か停まっていました。 ここまで6km近くぶっ続けで歩いてきましたが、めまいするほどには疲れていません。 やっぱり日焼け止めを塗った甲斐がありました。 駅の待合室は、ちょっと雑然とした感じですが、 券売窓口はそのままの状態で残され、チッキ台も花置きとして残されています。 ちょうど良い時間なので、自分もここのラーメン屋で昼食を食べることにしました。 ラーメン食べたことは覚えているんだけど、何ラーメン食べたかは思い出せない(汗)。 次の駅は、最終目的地の知床斜里駅です。 しかし、両者の駅間距離は今回の駅間歩きでもトップクラスの12.8km。 最終駅間とはいえ、まだまだ気が抜けません。 |
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いよいよ最終駅間のスタートです。 まずは南へ下り、国道244号に合流します。 ここからは国道といえど、歩道はありません。 大型車が猛スピードで真横を通過するときはやっぱり緊張が走ります。 斜里町に入る直前で国道を別れ、町道に入ります。 町道に移る直前、最後の町となる斜里町のカントリーサインが見えました。 サインには、絶滅危惧種のシマフクロウが大きく描かれていました。 |
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町道に入りました。 ここから斜里市街まで、町道はただただ一直線に延びています。 全駅間歩き名物「最後のロングストレート」の始まりです。 町道に入ってすぐの場所に、「道の駅しゃり」の案内標識がありましたが、 距離は記されてなく、ただ「直進」とだけ書かれていました。 ただ直進あるのみだそうです。 |
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直線道路に入って1時間が経過しました。 道路の終わりは、まだ見えません。 |
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朝はシルエットだった斜里岳も、だいぶん大きく見えるようになりました。 このあたりは、広い方形区画をした農地が続き、所々に防風林も配置されています。 北海道のスケールの大きさを感じる風景が広がっています。 |
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直線道路の起点から1時間半以上歩いて、ようやく斜里市街が見えてきました。 ここまでの疲れも相まって、直線道路だけで2回も休憩してしまいました。 こういう直線道路は、ドライブで走るなら気持ちいいんでしょうけど、 同じ道を歩くとなると、なかなか風景が変わらず、だんだん苦痛になってきます。 斜里川を渡ると、いよいよ斜里市街です。 中心市街は、近年大規模な再開発でも行われたのか、 道路にしても、建物にしても、新しいものが目立っていました。 市街地を一回りして、いよいよ知床斜里駅へと向かいます。 |
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ゴール駅・知床斜里駅に着きました。 駅舎も近年リニューアルされ、観光案内所も入居した新駅舎に生まれ変わりました。 長い全駅間歩きをしていると、なかなか感動の頂点をゴール駅到達に向けることができません。 最後の町に入ったときや、区間的にキリが良い駅に着いたときは、 思わず涙が出そうなくらい感動するものなんですが、 ゴール駅に着いたときというのは、意外とあっさり終わってしまうものなんです。 今回もそんな感じで、どちらか言えば途中駅に着いたような感覚でした。 確かに知床斜里駅は、釧網本線全体から見れば途中駅です。 東へ向かっていた釧網本線の線路は、ここから南へ向きを変え、太平洋側の釧路を目指します。 いったん釧網本線に足を踏み入れたら、やっぱり完全踏破してみたくなるものです。 次に北海道で全駅間歩きするときは、残る区間を完成させたいと思いました。 また歩くためにここに来る、そんな思いで知床斜里駅を後にしました。 今日はさらに東へ進んだウトロで泊まります。 ここまで宿泊費を抑えたホテルに泊まってきたので、 ご褒美もかねて、今日だけは宿泊費5桁の観光ホテルに泊まることにしました。 斜里からウトロまでは30km近く離れているので、バスに乗りました。 16時40分発のウトロ行きのバスに揺られること50分、ウトロバスターミナルに到着しました。 そこから10分ほど歩いて、今日宿泊するホテルに到着しました。 ホテルのフロントに向かったところ、 係の人から「日帰り入浴のお客さまはこちらですよ」と言われてしまいました。 いや、宿泊するんですけど…。 確かに、こんなホテルに宿泊するような服装じゃ無かったかもしれません。 でも、そんなにみすぼらしい身なりじゃなかったと思うんだけどなぁ。 遠軽から知床斜里までの全駅間歩きも、無事ゴールすることができました。 これで札幌から旭川を経由して、斜里まで歩ききったことになります。 札幌から斜里までは、特急列車に乗っても6時間以上かかります。 「宗谷本(北)線全駅間歩き」を手始めに、長距離全駅間歩きも早4回目。 歩いた日数も合計25日間、総距離も800km近くになりました。 最初は宗谷本線を全部歩くくらいにしか思っていなかったんですが、 ここまで来ると、全駅間歩きで北海道一周を目指してみたくなります。 その目標が達成できるのはいつになるか分かりませんが、 目標目指して歩き続けてみたいと思います。 長文に延々最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。 (石北本線全駅間歩き2・おわり) (全駅間歩き釧網本線・後編へ続く) |
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