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 FA教育支援

(Update 1997/08/07)

目次

  1. まえがき(教育用ロボットシミュレータ)
  2. 溶接作業のティーチング実習


1.まえがき 

 PUMAN Robot-Simulator製作のきっかけは、私が在学中にロボットシミュレーションソフトが欲しい、と思ったことに端を発しています。けれど当時(といっても2年前)にはUNIXワークステーションで動作するロボットシミュレータしかありませんでした。ワークステーションはいわゆるスーパーコンピュータのような扱いですから、WSもそこで動作するソフトも研究機関の一部にしか需要がなく非常に高価です。

 ロボットシミュレータには、本当にそれだけの需要しかないのでしょうか?

 日本では製造業、工場が嫌われる時代背景となりつつあります。そこで「ものづくり」に早くから慣れ親しんでもらうことが、日本の製造業を救う手段ではないでしょうか。1億を越える人口は3次産業のみでは支えられません。

 そこで製造のプロの卵、職業訓練学校などでロボットを学んでいる生徒さんを対象に、実ロボットを使わずに指導教育ができるツールとして使えないでしょうか?近年、情報化教育としてパソコンを教えるところが増えてきましたので、導入されたパソコンを使って、その一環としてFA関連も教えられればと思います。そんな現場にこそ、Windows95という普及型OSで動作し、安価な(といってもフリーウェアでただなんですけど)PUMAN Robot-simulatorにこそ活躍の場があるのです。実際に現場の方からも、そういった意見があがってきています。


 手始めとして、教育用ロボットとして現場に導入されている5軸ロボットモデルを制作しました。MB社製のものを参考としています。PUMANの優れたところはユーザー定義でモデルが設置できるモデリングパラメータ機能。目的に応じた生産工程のシミュレーションができます。右画像のチャックハンドなども簡単に追加できます。とはいえ、PUMANは未だ完成版ではなく、実ロボットの機能そのまま、という訳ではありません。これからの開発を期待してください。


 

2.溶接作業のティーチング実習

実際の産業用ロボットの溶接ティーチングは、以下のような手順をとります。

  1. スタート位置を設定
  2. 溶接作業姿勢を設定
  3. 溶接作業開始位置まで移動
  4. 溶接終了位置を設定
  5. 溶接対象に当たらない位置まで移動
  6. スタート位置近くまで戻す
  7. 最初のステップと最後のステップを重ねる

ここで位置を教示するのに、まず現在位置から目標位置まで手先を移動させます。つぎに位置が決まったら補間方法を決定します。補間方法には直線補間、関節補間、円弧補間がありますが、それぞれにどれだけの速度で移動すればよいかを設定する必要があります。たとえば速度を3,4段階に分ける。さらに高速モードを加えてだいたい6から8パターンになります。

 PUMANもこの速度と位置データの複合型ティーチングを可能にしました(1997/8/7現在は未公開)。このとき時間も実時間として管理されるため、加工に必要な作業時間も即座に確認することができます。また速度指定もパソコンのキーボードで入力。特別な入力機器はいりません、パソコンだけがあればいいのです。このようにロボットを直接操作することなく、運動計画を立てていくことをオフラインティーチングといいます。これは実用されているシステムであると同時に、不慣れなユーザーが実ロボット(学習用80万、産業用400万以上)を破損させることなく学習できるという大きな利点があります。

 というわけでモーションフレーム(ロボットコントロールではステップという)の追加/更新/削除/挿入さらにスピードタイミング数値入力といったインターフェースの充実したバージョンになったら、使いやすく説明しやすくなるので、初心者むけにオフライン教示実習マニュアルを制作します。いわゆるチュートリアルですな。

  とりあえず転載禁止
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