---えどめぇるまがじん---

銀座・三河屋・バックナンバー
再生ものがたり その壱 その弐  その参  その四 

〜新連載〜
銀座・三河屋

再生ものがたり (1)

昔の三河
昔の銀座・三河屋があったあたり

 江戸開府400年の今年、和装小物の老舗「銀座・三河屋」が、次世代へ向け生まれ変わるために、業態転換を図ることになりました。
 和装小物類の小売から、「江戸の食」をテーマにしたスローフード販売へ。
 江戸・元禄時代から受け継がれてきた商いの伝統や志を、今度は江戸時代の生活・食文化に投影しようという「大英断」です。
 縁あって、この試みに、なんと、わが『えどまが』チームも “あいのり”することに!
 はてさて、この「銀座・三河屋 再生ものがたり」、どのように展開していくことになるのでしょうか。


和装小物の三河屋

和装の銀座・三河屋
和装小物の銀座・三河屋

銀座・三河屋ものがたり
 銀座八丁目の中央通り。現在の資生堂パーラーがある場所に、かつての銀座・三河屋はありました。
 三河屋の創業は、江戸の元禄時代までさかのぼります。酒を商うことに始まり、以来、時代の要請に応じて、油→糸と扱う商品を変え、慶応3年(1867年)には銀座八丁目の一等地に糸商として店を構えるに至ります。
 一般には大政奉還の年として知られる1867年。この年に銀座に進出を果たした三河屋の歴史は、そのまま文明開化の象徴として栄えてゆく、銀座の歴史ともぴったり重なっています。

 糸商として大きな成功を収めた銀座・三河屋は、次第に組み紐を使った和装小物などの製造・問屋も兼ねるようになります。太平洋戦争後は和装製品全般および婦人服地まで商いの範囲を広げ、昭和36年、現在の資生堂パーラーのある場所に、資生堂と共同で本社ビルを建築。併せて、和装品のみならず、婦人服全般、宝飾・アクセサリーの取り扱いを始め、全国的な営業展開を図るまでになりました。
 時代が下ると、店の敷地をお隣の資生堂パーラーに譲って、その一本裏手の金春通りに店舗を移し、帯〆をはじめとする和装小物の小売りへと事業を絞ります。銀座生え抜きの老舗として「銀座百店会」にも参加、和装小物の銀座・三河屋の名は、世間に広く知られるところとなります。
 そして、迎えた江戸開府400年の今年。常に時代の趨勢に合わせ、柔軟に商う対象を変えてきた三河屋開業以来の商人魂、そのアンテナが、次なるコンセプトを捉えます。それが、「江戸の食」。このコンセプトを最も効果的・合理的にユーザーに提供する方法として、三河屋が選択したのが、店舗、ネット・雑誌・カタログによる通販、イベントまでの複合多面的販売というスタイルだったのです。

必然ともいえる、幸運な出会い
 江戸料理、スローフードなどをキーワードに、この新規事業を立ち上げるための情報を探し求めていた、銀座・三河屋 新プロジェクトのリーダー神谷 修さんは、『江戸料理百選』の存在をネット検索によって知り、わが『えどまが』チームのオフィスにまでわざわざ足を運んでみえました。
 そして、『江戸料理百選』に目を通した瞬間、「江戸時代の生活と食文化を現代向けに再構築した商品の提供を目指す」という、新生 銀座・三河屋のコンセプトに、この本がまさしくうってつけのソフトであることを確信します。
 『えどまが』チームの仲立ちで、『江戸料理百選』の著者、福田 浩さんに新生 銀座・三河屋の料理監修を依頼、こうした自然な流れのなかで、我々スタッフもさまざまな形でこのプロジェクトのお手伝いをすることとなったわけです。
 現在は、通信販売を含む多面的販売システムの中で「こだわりの味」をどう機能させていくか、さまざまな試行錯誤を経て、ようやく商品の第一弾ラインナップが定まったところ。江戸料理を広く家庭で味わっていただけるのならと、料理監修の福田さんも、「なべ屋」主人として忙しく立ち働く毎日の中、三河屋ブランドの江戸食の開発・研究に余念がありません。

江戸食のセレクトショップ、銀座・三河屋オープンに向けて
 11月中旬、銀座八丁目に、江戸食のセレクトショップ、銀座・三河屋がオープンします。これは、レストランでも、デリカショップでもなく、三河屋がお奨めする商品のすばらしさを実際に見て、体感して購入していただける、銀座・三河屋の本店です。
 福田さん監修の本格的な江戸料理の数々は、限定注文販売(後日、お届け)となるため、残念ながらこの場でテイクアウトはできません(展示パネルやディスプレイを見、試食して、注文するシステムになります)。その代わり、持ち帰りに適した「銀座・三河屋せれくしょん」のいくつか(瓶詰めの常備菜や、江戸の食をおいしく味わっていただくために欠かせない飯碗や竹箸など)は、バッチリそろっています。
 これらのラインナップのなかでも、三河屋が特に力を入れているのが、「銀座・三河屋 煎酒(いりざけ)」という商品です。これは、日本酒に梅干しと花がつおを煮詰めてつくる江戸時代の煎酒をヒントに三河屋が新たに開発した、新鮮かつ懐かしい味わい食卓調味料。まろやかな梅の酸味と醤油の旨味を生かした、とてもヘルシーな調味料(一般の醤油より塩分40%カット)で、刺身醤油の代わりに、サラダに、冷や奴に、和え物にと、さまざまな場面で使えるすぐれもの。いずれ、この『えどまが』でもご紹介させていただきますので、皆さん、お楽しみに。

 現代人にとって、珍しいようでもあり、懐かしいようでもある江戸の食。健康的で、おいしいこの江戸の食を、どれだけリアルにユーザーに訴求していけるかが、我々の最大の勝負どころ。新生 銀座・三河屋のオープンに向け、プロジェクトチームの闘いはまだまだ続きます。(柚木ぽん)

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