[日本舞踊の未来]

[日本舞踊の現状]

隠居の愚痴
聴きたくない方は、飛ばしてくださぃ。

様々な「お流儀」とよばれる家元制度の集金システムをつくり、年1回の「おさらい会」等と称する、
歌舞伎公演さながらの舞台装置や衣装、地方(じかた)生演奏を取り揃えてお弟子さんと称するお客さんを満足させ、
師匠連のボーナス獲得イベントを開催して成り立っている日本舞踊という業界は、今後どうなっていくのだろう。
早晩絶滅危惧種の中に入るのだろうな。
隠居にとっては、日本舞踊という業界は消滅してもかまわない。
ただ日本舞踊と呼ばれている舞踊がどうなっていくのか、心残りではある。

日本舞踊と呼ばれる舞踊の様式が、日本舞踊として存続していく必然・必要があるかどうか、それが問題だ。
必然・必要というテーマでは、歌舞伎役者という特殊な専門職の男性以外に、
江戸時代及びその前後の歌舞伎舞踊様式等を継承し、
かつ簡略に一般女性が学べ踊れるようにしたものだから、伝統芸能として保存継承する価値はあるらしい。
あまり知られていないが、日本舞踊の中には、華道・茶道・俳諧・工芸など、
古来の藝といわれるものを知っていなければ踊れないものもある。
まあそれだけ後発の芸能だと言うことなのだけれど。

つまり着物や工芸などの技術文化や華道・茶道・俳諧など古来の藝が滅びれば、日本舞踊もあり得ないということだ。
それに、日本舞踊の「おさらい会」開催を支えるスタッフの絶滅危機も大きな問題だ。
舞台監督である狂言師や大道具方と呼ぶ舞台美術、小道具方とよぶ持ち道具、置き道具、
それぞれを演目に合わせて整えたり作ったりする人々も減少し、
さらに主たる歌曲「長唄・清元・常磐津 等」の担い手も減っている。
しかしマーケットから言うと、お弟子さんという、日本舞踊を支えているご本人が、踊れる踊れないに関わらず、
著名な人物に特別に教えてもらっているという自己満足の為に、また周囲に自慢できるが為に、
大金を消費できる人は、全ての洋・邦舞踊人口の5%もいるかいないかであり、今後も減少していくだろう。
だから今のままの日本舞踊では、伝統芸能保存と言う観点からも残すか絶滅するにまかせるか、ささやかな覚悟が必要だろう。

[日本舞踊の未来]
「よさこいソーラン」を母体とする若者達の創作舞踏には、「ワクワク」感や「ドキドキ」感を身体いっぱいに感じる。
日本舞踊の舞台からは何も感じない。この差はなんだろう。
日本舞踊が復活するには、あの「ワクワク」感や「ドキドキ」感が必要だ。
若者達が汗して踊る、あの熱が必要だ。
それが出来ないなら、伝承芸能保存の道を歩むしかない。

流儀の一つぐらいNPOになって、古今のお流儀という流儀の、例えば「藤娘」なら「藤娘」の振付けの違い、
衣装・小道具の違い、舞台装置の変遷などの研究と振りの伝承、
杵屋・稀音屋などの楽曲の多様な録音保存などに力を注いでいくのも道だろう。

由緒正しき系統を誇るのでは無く、その業績で存在を認められるような流儀があってもいいだろうに。
関係者の生活維持の為の家元制度では無く、関わる人々が楽しく踊れるための組織があってもいいだろうに。

宗教と一緒で、家元制度またはそれに類するもので無いと、日本では組織を育てられない。
つまり生活のための集金システムを構築しないと、本音ではだれも組織を維持してくれない。
日本では、志しあるものの責任という、無形の資産が消えていった。
日本舞踊も消え去るのみだろうか。


[創作舞踊の作り方]
[四条河原物語絵詞]
[四条河原物語創作]
[舞踊創作一考]
[概説日本舞踊史]
TOPへもどる
隠居部屋あれこれ
伝統芸能