小須田部長
それにしても、相変わらず落ち着きないのね…。
病院から拉致って、市内の美味い餃子屋を案内させようともくろんでいたのに、リハビリなんかの都合もあって拉致失敗。ちぇ。
仕方なく、病院内の食堂でごはんする。
病院の食堂って、死人の影というかにおいが染みついた、薄暗くてじめじめしたところというイメージがあった。しかし、ここは病院自体が新しく(平成8年に移転してきた)食堂も喫茶スペースと共有のため、明るく開放的な雰囲気。
ヤツはラーメン、私は塩ラーメンを頼んで、仲良くすすった。
食べてる最中といい、その後アイスコーヒーをすすっている間といい、とにかくヤツには落ち着きというものがすっぱりと欠落している。周りにささっと目を走らせては、面白いものを発見してくる。
「おい。見ろよ。小須田部長がいる…。」
振り返ると、ものすっごく嬉しそうに天丼を食べている人がいる。膝をそろえてきちっと座り、やや猫背でこぢんまりとしたおぢさん。背広姿でロマンスグレーの頭髪に、何故か燦然と輝く耳あて…。
「嬉しそうに喰ってるよなぁ…。けど、あの格好って、罰ゲームかなんかなのかな…。」
…し、知らないよ、そんなこと。
それにしても、ウチらの隣のサラリーマンらしきおじさんも、巨大な器に盛られた蕎麦をかなり嬉しそうに食べている。なんつーか、宇都宮では、サラリーマンの楽しみというのはごはんしかないんですかねぇ?それじゃ、東京のOLと同じよ。「近頃の若いもんわぁ〜!」なんて、うかうか言ってられないぜ。それでいーのか、中間管理職諸君!
「おい、見ろよ。向こうのおばちゃん…!」
…はいはい。あーたは一生やってなさい。
これでも、あちこちの大学からレクリエーションに関する講義の講師依頼が来ちゃうような売れっ子の、一応偉い人なのよね。シンジラレナイゼ。ま、早くケガを治して頑張んなさいよ。