新しい小児慢性特定疾患制度の中身は?
(5月3日、小慢フォーラムでの谷口課長の発言から)
5月3日、難病のこども支援全国ネットワーク主催の「小慢フォーラム〜新しい小慢制度を考える」が、都内で開催されました。以下は、パネラーの一人として出席した谷口隆厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課長の発言を整理したものです。
【法制化の背景】
【具体的な検討内容】
【対象疾患の範囲】
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予算の範囲でみんなが重篤だということが理解できるような考え方
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現在の状況と将来の病像という2つの視点
@ 慢性的に経過する。
A 長期にわたり生命をおびやかす可能性がある。
B 長期にわたり生活の質を低下させる。
C 長期にわたり高額な医療費負担がかかる。
という4つの基本点をふまえたうえで医学的立場から今後対象に加える必要のある疾患を考える
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慢性消化器疾患、慢性呼吸器疾患、他対象からはずす疾患
医学の進歩でかなり治癒が期待できる疾患
元々対象外なのに現在入っている疾患
適切な病名に変えるべき疾患
【年齢延長の問題】
【通院拡大の問題】
【対象患者を個人レベルでとらえ重症度基準を導入する】
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現在の状況からと、将来の病像からの2つの視点からみる。
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入院を要するけいれん、意識障害、呼吸困難、循環不全、等々による重篤な状況、それらによる繰り返される感染症、出血、骨折など。
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何で線を引くか
-日常生活動作能力
-長期入院、在宅療養により登校、登園ができない
-(予算の範囲内でどこまで認められるかにかかってくるが)
透析、呼吸管理、人工肛門など生活に制限を受ける治療をずっと続けている
-副作用の大きな薬、危険の強い薬を使っている患者
-将来、悪化する危険が高い患者
-将来、悪化の可能性が強く、特殊な治療が必要(免疫抑制剤、特殊な補充療法を必要とする
ホルモン欠損症、酵素欠損症、等々)な患者
これらは医学的ラインを引いたうえで個人の認定、却下の線引きをすべきではないか。
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疾患ごとに、1級から3級に分ける
1級 小児期または10数年以内に死亡する可能性が高い
2級 死亡する危険はないが日常生活に相当の制限、問題がある
3級 適切な治療を行うことによりほぼ普通の生活ができる
名がつけばずべて認める疾患もあるし、2級以上を認める疾患もある、
この疾患は3級までという客観的なものさしを作る。
【自己負担の問題】
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横並びで育成医療を基準に考えざるをえない。
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育成医療の細かく所得ごとに徴収するやり方は、煩雑になり医療機関や自治体から反発もある。
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区分をもっとおおまかにするというオプションはありうる。
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特定疾患治療研究事業の見直しによる所得割の負担基準は、大まかなくくりになっている。影響はあるが、まったく同じにするわけにもいかない。
【治療研究の問題】
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事業が適正に執行されているかの評価を行う。
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都道府県レベルの認定審査会の機能をしっかりさせ、事業評価のできるしくみをつくる。
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定期的に検討会で見直しのできるシステムを導入する。
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意見書からのデータベースの活用
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国立成育医療センター内に小慢データベースをしっかり構築する。
【福祉サービス】
以上のようなことで、具体案をほぼ固めつつある。夏までに財務省に理解してもらい、政府案として出せるように努力したい。
(まとめ/事務局次長・水谷幸司) |