第４回リピドーシス研究会

第4回日本リピドーシス研究会
and
International Symposium of
Lipidoses and Allied Disorders
July 9-10,1998

++++++++++　プログラムとレポート　++++++++++

※演題からジャンプしたところにある講演内容のレポートは、専門知識のない患者の家族が報告しているものなので、医学的な信頼性はないことにご注意ください。

1.Biochemistry of Glycolipids (Chair:Y.Seyama)
2.Significance of Glycosphingolipids in Biosignaling (Chair:T.Taketomi)

[2]Molecular Genetics of Lipidoses

3.Molecular Studies in Krabbe Disease (Chair:N.Sakuragawa)
4.Characteristic Mutation Prebalence of Japanese Ptients with Gaucher
Disease:Clinical and Therapeutic Implications (Chair:N.Sakuragawa)
5.Recent Molecular and Cellular Studies of Niemann-Pick Disease type C
(Chair:S.Okada)
6.Targeted Dsruption of Murine β-Galactosidase Gene; An Animal Model of
Human GM1-Gangliosidosis (Chair:S.Okada)

[3]Leukodystrophy

11.Gene Therapy for Sly Disease
12.Gene Therapy for Gaucher Disease
13.Toward Gene Therapy of Twicher Mouse, a Model of Human Krabbe Disease

[6]Enzyme Replacement Therapy

14.Enzyme Replacement Therapy of Lysosomal Storage Disorders
15.Enzyme Therapy of Gaucher Disease in Japan

※以下のレポートの内容は専門家ではない患者の親の立場でリピドーシス研究会を聴講した筆者のまとめたものなので、医学的な信頼性は保証できません。「そんないいかげんなことを書くなよ」と言われそうですが、実際に聴講していると、技術的なことはわからなくても、先天性代謝異常症という疾患の研究や臨床、患者が抱えている問題点や現在の学会の関心、意識、動向などがなんとなく理解できて非常に勉強になるわけです。こういうった情報は親にとっても非常に重要ですから、できるだけ伝えていきたいと思うので、あえて報告します。

新生児型ゴーシェ病3例の生化学的、病理学的、分子生物学的検討
　小林正久、井田博幸、衛藤義勝（東京慈恵会医科大学小児科）

ゴーシェ病の臨床表現型は多様で、原因となる遺伝子変異も50種類以上が報告されている。ユダヤ人の場合、代表的な7つの変異で、患者の96%が含まれる。ところが、日本人の場合、その中のN370S、84GGといった変異が見つからない。この違いが人種的なものに基づくものであるかを確認するために、韓国人13例を調べた。結果は、韓国人の変異は、日本人に非常に近く、また中国人の変異も同じ傾向をもつことがわかった。

感想　遺伝子変異と臨床型の関係が明になれば、診断時に予後がいままで以上に正確に予測できることになる。患者側としても、なるべくDNA診断に協力して、基礎データを増やすことが重要ではないか。

MLDの原因となる遺伝子変異については、現在までに50以上の変異が報告されており、これと臨床症状の関係が注目されている。日本人の場合には、G99D(455A)と呼ばれるタイプが最も多いほか、G245R(1070A)、T409I(2330T)などが発見されている。今回14例の日本人患者について調査した結果、いくつかのことがわかった。

質問＞G99D＋T409Iのように幼児型と成人型のコンパウンドタイプの場合は、他の疾患では特有な臨床症状を見せることが多いが、調査対象の2例では、むしろ典型的な臨床症状を示しているようだが、これに関する見解は？
回答＞G99Dは幼児型に典型的で症状が重い、言い換えれば酵素活性がほとんどない変異であるのに対して、T409Iは高い残存酵素活性を示す変異である。その結果、この2つの変異のヘテロ接合の場合、T409Iに引っ張られてマイルドな結果になっているのではないか。幼児型に比べで臨床症状がマイルドであること自体が成人型の特色である。

質問＞では、成人型、たとえばT409Iのホモ接合の場合、臨床症状が出ないということも考えられるのか？
回答＞実際にそういう症例が報告されていないので何とも言えない。しかし、変異と臨床症状の相関についていままでわかっていることから類推すれば、このようなケースではたとえ症状が出ても、精神科領域の疾患として認識されるのではないか。また、その場合、MRIによる診断でも、変異を確認するのは難しいだろう。

質問＞このような変異のタイプとMRIの所見との相関はあるのか？
回答＞今回の調査ではMRIの画像は対象となっていないので、わからない。MRIと診断との関係でいえば、最近小児科だけでなく、精神科からの（MLDを疑った）遺伝子検査の依頼が増えてきている。MRIによる診断が進歩したことで、いままで診断がつかなかった成人型のMLD患者が、それと認識されるようになってきたのではないか。

感想　日本人の遺伝子変異のタイプがG99Dに集中していることがわかれば、（註：楓子の場合もG99D/?のヘテロ）将来、なんらかの形でスクリーニングを行うことができるかもしれない。発症後の治療法が確立されていないことが、MLDの早期診断の障害になっていると個人的には感じるが、クリビット教授の骨髄移植の結果でも、発症前の早期診断が可能であれば、かなりの症状の改善が期待できると考えられる。遺伝子診断が必ずしも早期診断の実現の必要条件ではないにしても、発症前の確実な診断、とくに臨床型に結びついた診断ができることの意義は大きいと考えられる。患者サイドでも、このような遺伝子型の統計的、臨床的解析に積極的に協力するべきだろう。

日本人Niemann-Pick病C型患者の遺伝子解析～臨床症状と遺伝子異常の関連について
　山本俊至、難波英二（鳥取大学遺伝子研究施設）、張海弟、
　桧垣克美、谷口美也子（鳥取大学神経生物学）、赤星進二
　郎（鳥取大学脳神経小児科）、竹島多賀夫（鳥取大学脳神
　経内科）、乾幸治、岡田伸太郎（大阪大学医学部小児科）、
　田中あけみ（大阪市立大学医学部小児科）、桜川宣男（国
　立精神・神経センター神経研究所疾病5部）、J.A.Morris、
　P.G.Pentchev（National Institute of Neurological disorders
　and Stroke,NIH）、大野耕策（鳥取大学神経生物学）

NIemann-Pick病は細胞内のコレステロールの輸送障害で、頻度は100万人に1人。NPC1、NPC2があり、前者のクローニングに成功している。遺伝子の変異はきわめて多様であることがわかっているが、今回日本人患者11名の遺伝子解析をしてみた。その結果、過去の欧米の報告とはかなり違っていることがわかった。これは臨床症状にも影響する。

質問＞100万人に1人という数字は確かに報告されているが、実状はそれより遙かに多く、少なくても10倍程度はいるのではないかという指摘もある。
回答＞確かにその可能性は高い。

2歳4ヶ月で下肢が痛いということで来院。結果的にゴーシェ病と診断されたが、それまでもゴーシェ病が原因と思われる骨合併症を起こしていたにもかかわら$:!"?GCG$5$l$J$+$C$?!#%4!<%7%'IB$K9|9gJ;>I$,$"$k$3$H$OCN$i$l$F$$$k$,!"$$$^$^$G9M$($i$l$F$$$?$h$j$bAa$$1歳代でこれが始まることもあるのではないか。小児科であればおなかを触るが、整形外科だと調べないので見逃す恐れがある。

37歳の女性で、尿蛋白が問題になって入院検査したところ、Fabry病であることがわかった。尿蛋白は19歳の時から指摘されており、20歳で扁桃摘出術を受けている。Fabry病は伴性遺伝で、ヘテロ接合体の女性で症状が表れるのはまれだが、それだけに、他の腎疾患として診断される例が多いのではないか。

感想　FabryのようにMLDと比べて寿命が長く、症状が全身に緩やかに表れる病気は医学的に課題が多く、研究対象ともなりやすいんだなぁ、と感じました。MLDのように比較的早く発病し、診断法も確立されており、医学的に打つ手がほとんどないという病気は、やはり研究してみようという気にはなりにくかも。むしろ、成人型MLDの実態が明らかになることが、今後のMLD研究の一つのマイルストーンになるかも。

ヒアルロン酸代謝異常が疑われる1男児例
　小野正恵（東京逓信病院小児科）、長塚靖子（日本大学医学
　部微生物学教室）、大和田操（駿河台日本大学病院小児科）

臨床症状からムコ多糖症が疑われたが、検査の結果、既存の疾患には該当しない、ヒアルロン酸の代謝異常、あるいは転送異常の可能性のある症例を研究した。

DEMALDI-TOF MSを使うと、スフィンゴ糖脂質の分析が容易に、また短時間（2、3日）でできるので、診断など臨床的な用途でも今後大いに期待できる。

質問＞定量的な分析も可能なのか
回答＞現時点では、むしろ少ない資料で分析ができるという特徴が重要で、データの蓄積がないこともあり、定量的分析には至っていない。

感想　発表はfarber病、ゴーシェ病、niemann-Pick病C型、GM1ガングリオシドーシスについての分析結果だったが、このような検査技術が進歩することによって先天性代謝異常症の早期診断が可能になることは非常に重要であると感じた。特に、酵素補充療法などが確立している疾患などはそうであろう。しかし、小児科というのは、一般にあまりあまり金のある診療科ではなさそうなので、このような最新の分析機械が臨床レベルで使えるようになるのかどうか心配である。

Farber病の診断
　村松岳、乾幸治、国府力、西垣敏紀、塚本浩子、岡田伸太郎
　（大阪大学医学部小児科）

診断法として、従来は化学合成したセラミドを使っていたが、酵素による合成の方が扱いやすいのでは。

心Fabry病の臨床像と遺伝子異常
　中尾正一郎（鹿児島大学医学部第一内科）

日本人Tay-Sachs病の遺伝子診断と分子遺伝学
　田中あけみ（大阪市立大学医学部小児科）

心ファブリー病患者の診断～血清α-ガラクトシダーゼ活性は見逃すことがある
　佐々木健、中尾正一郎、寺口博幸、吉玉隆、竹中俊宏、
　鄭忠和（鹿児島大学医学部第一内科）

慢性透析男性患者におけるFabry病の臨床像と遺伝子異常
　中尾正一郎、児玉千早、竹中俊宏、田中昭浩（鹿児島
　大学医学部第一内科）、Robert J.Desnick（マウントサ
　イナ医科大学臨床遺伝学）

臍帯血CD34陽性細胞を標的としたゴーシェ病に対する遺伝子治療
　清水崇史（東海大学医学部小児科、同遺伝子工学細胞
　移植研究センター）、安藤潔（東海大学遺伝子工学細胞
　移植研究センター）、木村穣（東海大学分子生命科学）、
　宮武浩子、佐藤忠之（東海大学遺伝子工学細胞移植研究
　センター）、辻孝（JT医薬総合研究所）、加藤俊一（東海
　大学医学部小児科、同遺伝子工学細胞移植研究センター）

バキュロウイルスを用いたSly病の遺伝子治療
　小林博司（東京慈恵会医科大学小児科）、大橋十也（東
　京慈恵会医科大学小児科、同DNA医学研究所遺伝子治
　療研究部門）、谷英樹、松浦善治（国立感染症研究所ウイ
　ルス2部）、衛藤義勝（東京慈恵会医科大学小児科、同DNA
　医学研究所遺伝子治療研究部門）

Sly病（ムコ多糖症[MPS]VII型）はリピドーシスではないが（糖質蓄積なので）、新しくバキュロウイルスをベクターとして利用する方法を検討した。Sly病の遺伝子治療には、最初にレトロウイルスを使ったが、これは遺伝子が目的の細胞（造血幹細胞など）に入る率が低い。次にアデノウイルスを用いたが、これは発現率は高いものの、人体に対する悪影響などの点から使いにくい。今回モデルマウスを使って成功したバキュロウイルスは、もともと人には感染しないウイルスであり、安全性が高い。発現率はアデノウイルス並であり、安定性の問題を解決できれば有望な方法だろう。

質問＞今までの遺伝子治療の実験だと、In Vivo（人体内）では免疫などのために、しだいに効果が落ちていくといったこともあったが
回答＞バキュロウイルスはもともと人間に感染しない昆虫病原ウイルスであり、そのためヒトの免疫の影響はアデノウイルスより低いと考えられる。

感想　途中からの聴講だった。いままでこちらでMLDの遺伝子治療に関する医学論文を読む限り、大橋先生のアデノウイルスを使った実験が世界の最先端をいくものであったので、このバキュロウイルスを使うという新しい方法には非常に興味があった。以前、衛藤先生のところを訪ねたときにも少しだけ遺伝子治療の話が出て、そこでも脳内への導入はうまくいきそうだが、免疫の問題で長続きせず、抗体ができてしまうので継続的な感染も難しいという話がでていた。この発表はMLDに関してではなかったが、そのあたりの事情がだんだん理解できてきた。

「公開討論　ゴーシェ病」

★ゴーシェ病患者調査報告　大和田操（日本大学医学部付属駿河台病院小児科）

一般的な内容なのでＱ＆Ａと一緒に別ページにまとめました。他の代謝異常症の患者の家族にも参考になる内容です。

★米国におけるゴーシェ病患者支援の現状　L.VanPelt（IPAA会長）

最近クローン牛のニュースがあったが、私も弁護士になる前は乳搾りが得意だった。私の右足は12年前突然痛くなり、歩行困難になった。当時、ゴーシェ病はよくわからない病気だった。患者ならわかるだろうが、たいへん厳しい痛みだ。人工関節くらいしかなかった。それによって痛みからは救われた。それで解放されたかと思ったが、さらに背骨を４カ所骨折するなど災難は続き、足も骨折を繰り返した。鏡の中に死人も同然な私。ゴーシェ病というのは本当に恐ろしい病気だ。もうひとつ大切なのは、ゴーシェ病と戦うためにたくさんの薬を摂取する必要があったことで、今日の私と当時の私を比べてみてください。

IPAA(International Patient Advocacy Association)の本部はシアトルにある。東京にも支部のオフィスがある。組織の特色として強調したいのは、ゴーシェ病だけでなく、遺伝子病、あるいは乳ガン、関節病といった患者にも支援の手をさしのべる組織だということだ。結束して新薬の発展に取り組もう。ゴーシェ病のような病気にとって国境、境界線はない。こういった機会を今後も活用して、医師、バイオ産業、企業、政府関係者、患者すべてが集まって問題の解決に取り組むべし。つまり、医師患者、研究者のすべてが一丸となってあたらなくては、患者の生活の質の向上や、新薬は生まれてこない。IPAAの目標は次のような活動を通じて、QOLを高めることだ。

質問（クリビット）＞ワシントンの政治家への働きかけたのか？
回答＞ワシントンでは成果を収め助成金もついたが、全米で見ると州によって差がある。

分量的にも大きく、一般的な内容なので現況調査報告と共に別ページにまとめました。他の代謝異常症の患者の家族にも参考になる内容です。

★Fabry病患者調査報告　北川照男（東京予防医学協会理事長）

一般的な内容なのでＱ＆Ａと一緒に別ページにまとめました。

一般的な内容なので調査報告と一緒に別ページにまとめました。

★Leukodystrophyに関して　鈴木邦彦（University of North Carolina, USA)

いままでにゴーシェ病、ファブリ病のセッションを聞くと、白質ジストロフィーの場合、これらのリピドーシスとの違いを念頭に置くべきであるということを感じる。酵素補充療法などの効果を期待することができるそれらの疾患に比べて、このグループは主として中枢神経が侵される疾患であり、効果をあげるためには脳の病変、神経症状をなんとかして治療しなくてはならない。これは実際には非常にめんどうな問題にたくさん直面せざるを得ない。アニマルモデルでも、肝臓などの内臓は効果が多いが、脳の病変は基本的に治療が難しい。実際に効果のある治療法が確立されるまで、ずいぶん時間がかかるであろう。

Ｑ：骨髄移植の期待できる効果はどんな部分か
Ａ：現在までのところ、白質変成症（ロイコジストロフィー）への骨髄移植の問題点は、中枢神経症状の改善が望めないこと。酵素が回復してもニューロン（ミエリン）の再生ができないのが問題。

Ｑ：骨髄移植に適した段階というものはあるのか。
Ａ：早ければ早いほどいい（中枢神経が出たらもうだめ）。症状がほとんど出ていない、全くでていない状況で効果があるかどうかという段階だろう。

Ｑ：骨髄移植によって症状が進むというデメリットはあるのではないか？
Ａ：（加藤）年齢に関わらず精神的ダメージが避けられない。それを防ぐ一つの方法として、精神科医がチームに参加することが考えられるし、実際にそうしている。メリット、デメリットはケースバイケースのバランスの問題で一概には言えない。

Ｑ：最近は骨髄バンクや臍帯血バンクが利用できるがどのように考えればいいか？
Ａ：（加藤）ドナーがいなければできない。家族の中に健康なドナーがいない場合には、骨髄バンクが優先されるべきだが、症状が進行していて余裕がない場合は臍帯血バンクも選べる状況になってきている。どっちがいいとはいえない。

Ｑ：MLDに対する骨髄移植の世界での例とその成果は？
Ａ：（クリビット）個人的には成人型7例。何人かは症状が消えた。一般的にいって成人型はうまくいってる。小児型12例ほど（骨髄が生着した場合）、同じ家族の発症者に比べて、一般に症状は大きく改善されている。幼児型の場合は、神経症状が起きていては効果がないだろう。スクリーニングを行って、発症前の12例をやった。結果は希望的。GVHDが大きな問題なのは事実。ステージ3、4が25％の患者に起こる。（加藤）日本人は人種的に収束しているので、白人の移植に比べてGVHDのリスクは低い。兄弟間では10％以下。また臍帯血移植の場合は拒絶反応は軽い。

Ｑ：骨髄移植の今後の課題は
Ａ：（クリビット）GVHDを完全に避けることができ、だれでもドナーを得ることができれば問題の多くは解決される。臍帯血の利用に多くの期待を寄せている。

Ｑ：骨髄移植以外の療法についての世界的な研究状況は？
Ａ：（鈴木）現在、酵素補充療法を行うだけの純度の酵素は合成できていない。モデルマウスの実験段階である。

現在、先天性代謝異常症の治療法として研究されているのは次のような療法である。

遺伝子治療にはEx Vivo（体外で遺伝子組み替えを行う）とIn Vivo（体内で行う）がある。体外遺伝子治療の場合は、患者の細胞を体外で加工して、それを患者の体内に戻す。In Vivoは将来的にはこうなって欲しいのだが、注射すると体内で直るというもの。究極の治療法としては外から入れたDNAが細胞に入り、それが核にとりこまれて子孫に伝わることが必要だ。いったん細胞の中に遺伝子が導入されれば、正常な細胞として働くことになるはずだ。しかし、そのためには現在2つの技術的な問題がある。一つは導入した遺伝子が本当に体内で働くかということであり、もう一つは長期間それが続くか、ということだ。外から遺伝子を運ぶための手段としてはウイルスを使う。
　いままで遺伝子治療の唯一の効果が確認されたのはADA欠損症(SCID)に行われた遺伝子治療。Ex Vivoで臍帯血から細胞をとって、それに正常な遺伝子を導入し、患者の体内に戻す。南カリフォルニア大学のコール医師が行った。CD34という臍帯血に含まれる幹細胞に、レトロウィルスベクターを使って遺伝子を導入した。このADA欠損症の場合、同時に酵素補充療法も行っている。補充する酵素の量を減らしていっても、遺伝子治療を行った細胞の量が増えていくのでうまくいく。これは最初の成功例であり、長期観察されている唯一の例である。

Ex Vivoの遺伝子治療の例としては、ADA欠損症の他に、高コレステロール血症(Hypercholesterolemia）、血友病B（HemophillaB）、癌、HIVなどについて研究が進められている。その中で、最も多くの臨床治験が行われているのは癌の患者。その理由は、癌の場合はガン細胞の中に直接遺伝子を導入してそれが死ねば成功だが、他の場合は目標細胞に遺伝子を運び、発現し続けなくてはならないからだ。癌の遺伝子治療は、遺伝病の遺伝子治療より簡単なのである。多くの研究者は基本的な遺伝子治療について研究している。どうやって、遺伝子を運び、機能させるか。遺伝子治療は21世紀には非常に重要な技術になるだろうが、現時点ではほんの子供の段階に過ぎない。これから将来に向けて新しい治療法がいろいろ開発されるであろうが、遺伝子治療はその最重要技術だと思われる。

骨髄移植のメリットは、いったん組織が定着すると長期間にわたってその後の治療が不要であることだ。脳の中でも酵素が活性化していることは既に証明されている。ALDの患者の場合、まだ生きていて学校に行っている患者もおり、効果があるのは明か。MPC-IV（モルキオ症候群）ではQOLが期待できる。これがいちばん、うまくいってる例。5､6歳で50%が死んでいたのだが、いまは90%がQOLを楽しみながら生存している。MLDは発症前なら効果的であろう。特に成人型、小児型がそうだ。クラッベ病にもよい。MRIの所見で改善しているのが確認できる。今後はマススクリーニングの必要性が重要になってくるだろう。
　従来の骨髄移植では、骨髄にフィルターをかけていたが、フィルターをかけない方が、さまざまな症状に対応できるのではないか。骨髄に含まれるさまざまな細胞が利用できるからだ。今後は、骨髄の中のさまざまな細胞を選択的に利用できるような技術の確立が急務であろう。

　ゴーシェ病患者にCD34を導入するも、3～4ヶ月で発現しなくなる。ベクターはレトロウイルス。繊維肉芽種細胞を取り出して培養したものに導入して戻すというのを研究中。

　1990にADA欠損症の患者に、世界初の遺伝子治療が行われた。1995年に北大で同じADA欠損症の治療を同じ方法（プロトコル）で開始。その後も続々と行われる予定だったが遅れている。国内では96年、97にそれぞれ数件行われる予定だったがキャンセルされている。1997年までの資料では、累計でプロトコル1、患者1、つまり最初の例のみ。一方で米国はこれまでに230プロトコル20000名。ヨーロッパでも5プロトコル、500名を経験している。つまり全く遅れている。

　現在研究が進められているのが、ADA欠損症の他にゴーシェ病、ハンター症候群、嚢胞性線維症(cystic fibrosis)といった病気。内訳はEx Vivoが62.2%、In Vivoが36.8%である。2年ほど前の調査だが、国内の100施設にアンケートした結果、計画なし2割、計画中が6割だった。現時点で申請認可待ちが岡山大の肺ガンのみでベクターを審査中。また国立ガンセンターで脳腫瘍の遺伝子治療が検討中。実現は来年あたりか。他に施設内倫理委員会で6件が審査中。95年に最初の遺伝子治療が実施（北大）された時点では、96年に3例やるはずだったが、97年の5例もまだの状況。つまり予定通り進んでない。

遺伝子治療の実現については、さまざまな分野の人間の協力が必要。そこで受益者である患者の立場からなにができるかを考えアンケートを実施した。医者ではない我われには技術的にはよくわからないことが多いが、当事者であり、感じ方も医者とは違う。このあたりをまとめていくことが必要と感じた。アンケートの結果、遺伝子治療そのものに対して認知もあるし、希望もあるが、内容はわかっていないという人が多い。7割が不安を感じているというのは、そのわからない部分に対してだろう。もちろん患者側の勉強の努力も必要だが、学会から情報を患者に理解できるような形で出すように今後努力して欲しい。

対象：「ゴーシェ病患者と家族の会」「ムコ多糖症の会」「つくしの会」の患者、患者の家族84名

よく知っている	1
知っている	21	****
少し知っている	69	**************
わからない	9	**

少しだけ期待している	30	******
期待している	54	**********
全然期待していない	6	*
わからない	6	*
不明	4	*

受けたい	37	*******
判断できない	47	**********
わからない	8	**
受けたくない	4	*
無回答	4	*

ある	72	***************
わからない	18	****
ない	10	**

重篤不治に限る	69	**************
重篤以外に広げてよい	10	**
疾患は限定しない	8	**
その他・わからない	13	***

Significance of Glycosphingolipids in Biosignaling
Y.Nagai (Mitsubishi Kasei Institute of Life science)

Characteristic Mutation Prebalence of Japanese Ptients with Gaucher
Disease:Clinical and Therapeutic Implications
H.Ida (Jikei University)

Recent Molecular and Cellular Studies of Niemann-Pick Disease type C
I.Ohno (Tottori University)

Targeted Dsruption of Murine β-Galactosidase Gene; An Animal Model of
Human GM1-Gangliosidosis
Y.Suzuki (Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science)

註：この発表及び質疑は英語で行われたので、内容の理解がかなり怪しいです。

　特に消化器系への症状との関係で述べたい。MLDの症状として消化器系の臓器へのスルファチドの蓄積があることは知られている。患者1は1才でしゃべり、1才2ヶ月で歩く。1才4ヶ月でリュックを背負って立てる。細かい作業もできる（魚釣り）。この後、突発性発疹の発熱をきっかけにいったん歩けなくなったが（1歳7ヶ月）一人で歩けるところまで回復した。しかし、以前よりふらふらしている。1歳11ヶ月に別の病院でMRI。2歳で女子医大へ。まだ歩けた。2歳7ヶ月の入院時に撮った写真。典型的な症状の進行を示す。3歳5ヶ月でまだ笑う。そのときの腹部エコー。総胆管の拡張が見られた。
　別の病院でMLD幼児型と診断された患者2は現在腹水がたまっている。MRIで見ても胆嚢が5cmくらいの厚さで肥大。手術するか、しないかが問題となっている。ここで過去の文献について、MLDの消化器系への合併症の報告を再検討した。幼児型MLD患者の胆嚢が肥大し、手術でとったと桑島、水木が報告している。この患者は5歳で手術を行い11歳まで生存。手術の影響については判断しにくい。最近では96年に1歳から4歳の5人の患者で胆嚢への蓄積が報告されている。蓄積の影響としては胆道出血(hemobilia)、脂肪便(steatorrhea)などがある。介護や感染症予防の発達で患者の生存期間は延びており、かつては問題にならなかった胆嚢、膵臓などへの影響が今後軽視できなくなってくるのではないか。これらの合併症を確認するのは技術的に難しくないので、積極的に行うことをすすめる。
　患者1の場合、早い段階からMLDの可能性を疑っていたが、ASA活性検査が外部機関委託であり、また保険外であることもあって、確定診断が遅れた。今後、このような先天性代謝異常症の診断については、保険内で、手軽に依頼できるような体制を作ることが非常に重要ではないか。

質問（衛藤）＞膵臓への蓄積が直接臨床的な問題を起こした例はあるだろうか。
回答＞膵臓摘出手術の報告が1件あった。しかしこれは膵臓の原発性の異常によるものではない。資料が少ないせいかもしれないので、なんとも言えない。
質問（衛藤）＞成人型の場合、スルファチドの睾丸への蓄積が不妊の原因になる可能性があるのではないか？
回答＞文献がない
意見（クリビット）＞骨髄移植の結果、消化器系のスルファチド蓄積が改善されることが報告されている。
意見（阿部）＞石塚先生のグループがスルファチドの蓄積の研究をしているのではないか。今後、そこからなにか蓄積のメカニズムがわかってくるかもしれない。

感想　楓子の場合、今後神経症状が進のはしかたがないとしても、合併症の可能性は重要だ。特に幼児型の場合、スルファチドの蓄積量も多いようなので心配。結局、患者同士で連絡をとって情報の蓄積を行い、研究者が多くの症例をもとに判断を下せる状況を作ることが今後の課題だと感じた。

註：この発表及び質疑は英語で行われたので、内容の理解がかなり怪しいです。

　MLDの発生率は1/50000程度と考えられる。分類法はallelicとnon-allelicの2つが考えられる。前者に従えば、幼児（乳幼児）型、小児（若年）型、成人型、partial deficint型に分かれる。後者の分類ではMSDとactivator defeciency（註：pseudodeficiencyのことか？　それともSAP-1欠損症のことか？）が含まれる。病体生理の分子レベルの説明としては…（註：以下、理解不能でした）。

　遺伝子変異と臨床型の関係としては1991年の研究発表によって、欧米人に多い609Aのホモ接合、つまり609A/609Aは乳幼児型になり、2381Tのホモ接合は小児型あるいは成人型になり、この二つのコンパウンド（609A/2381T)は小児型となると報告されている。日本人MLD患者15人を調査した結果、最も多い445Aのホモ接合の場合はすべて乳幼児型になり、2330Tは成人型にのみ見つかるなど、同じように遺伝子変異と臨床型の関連が見られる。

　遺伝子治療の可能性として、最初にレトロウイルスとアデノウイルスを使ったモデルマウスによる研究を進めた。レトロウイルスをベクターに使った場合、ASA導入で活性値は数倍に上昇。アデノウイルスの場合ASA活性値は飛躍的（千倍以上）に上昇し、またそれがアリルスルファターゼA以外のスルファターゼの活性に影響を及ぼすこともなく、活性値が高まりすぎることによる悪影響も観察されなかった。アデノウイルスを使った場合、導入後3週間で活性値が最高となり、5週間後でも正常値の10倍という結果をみた。人体での応用では、In VivoとEx Vivoの両方が考えられる。In Vivoの場合、脳室内注射の可能性を検討している。しかしEx Vivoの方が実現の可能性は高い。造血幹細胞に体外で遺伝子を組み込めば、血液脳関門を越えることができる。他に繊維肉芽細胞、neuroprogenitor cells、脳内より採取したグリア細胞、マクロファージなどを使うことも考えられるが、マクロファージは脳の中までほとんどいかない。レトロウイルスやアデノウイルス以外のベクターの候補としてはHSV(Herpes Simplex Virus＝単純ヘルペスウイルス)、HIVの利用が考えられる。

質問（鈴木）＞pseudodeficiencyの日本人患者はいるか。
回答＞いると思うが報告されていない。
質問＞どれくらいの割合の細胞を治療すればいいと考えるか
回答＞難しい質問。オリゴデンドロサイトは30～50%か？　わからない。

感想　このあたりの慈恵会医科大のグループの研究は、楓子の診断後すぐ論文を手に入れたので、ある程度理解していた。ただ、論文を読むだけだと、技術的内容が中心で、臨床までの距離が（研究者ではない一般人には）ほとんどわからない。直接学会発表を聴講することで、そのあたりのニュアンスがわかったのは大きな収穫だった。しかし、逆に言うと、この1年間で目覚ましい進展がなかったことをあらためて確認することになってしまった。

Fabry Disease : Preclinical Studies of Human α-Galactosidase A
Replacement Therapy
R.J.Desnick(Mount Sinai School of School, USA)

註：この発表及び質疑は英語で行われたので、内容の理解はかなり怪しいです。

　先天性代謝異常症に対する骨髄移植のメリットは次のようなものだ。

　いままで骨髄移植が認められたのは、ムコ多糖症（ハーラー症候群、マロトー・ラミー症候群、Sly症候群）、白質ジストロフィー（Krabbe病、MLD、MSD、ALD）、糖蛋白質蓄積症（マンノシドーシス、フコシドーシス、Aspartylglucosaminuria）、リピドーシス（ゴーシェ病、Nieman-Pick B型、Wolman症候群、Farber病）である。

　ハーラー症候群の場合、正常な繊維肉芽を患者の繊維肉芽にまぜると正常化する。単球(monocyte)がクッパー細胞(Kupffer cel)やデンドロサイトに定着する。脳にも定着するが、他の臓器に比べて非常にゆっくりであるということがわかっている。数年かかるかもしれない。BMT後すぐに効果があるというものではない。実施の条件としては24歳以上、知能指数70以上、正常なドナー、完全な定着などがあげられる。亡くなった患者の脳の中を調べたら、健常者と同じ酵素があった。またMRIでも白質の変成が止まった、あるいは改善されたという報告がある。MLDやKrabe病の場合にも、MCVやMRIの所見が改善している。しかし、これは失ったミエリンを回復させるものではない。従って、神経症状が出てしまってからでは遅い。今後の可能性としては、BMTの際にドナーの骨髄をフィルタリングしない方法が注目される。骨髄中のストローマ細胞などが、血液以外の幹細胞としてさまざまな臓器へ定着するのではないかと考えられる。

感想　このクリビット先生の発表もそれほど新しい内容はなかったが、骨髄移植のメカニズムや今後の課題がよくわかった。個人的な感想としては、クリビット先生は骨髄移植の技術的進歩で今後さらに大きな成果を上げる方向をめざしているが、学会の全般的な関心は酵素補充療法と遺伝子治療に向かっており、そのあたりにズレを感じた。特に神経症状以外が問題になる疾患ではそうなのだろうが、このあたり、脳内の神経症状が中心で、骨髄移植以外にいまのところ有効な治療法がないMLDの場合、微妙なものがある。

　マウスを使ってSly病の遺伝子治療を試みた。肝臓や脾臓への定着は認められたが、免疫の問題がある。脳内への定着はうまくいかなかった。マクロファージではだめだという感触だ。

質問（クリビット）＞脳内の定着に関して観察期間（7日間)が短すぎるのではないか
回答＞その可能性は否定できない

Toward Gene Therapy of Twicher Mouse, a Model of Human Krabbe Disease
K.Suzuki (University of North Carolina, USA)

Enzyme Therapy of Gaucher Disease in Japan
T.Kitagawa (Tokyo Preventive Medical Association)

調査対象の遺伝子の78.5%の解析(28アレル中22アレル）に成功した。解析できたのは7種類の変異だった。両アレルとも解析できなかったのが1例あった。

最も高頻度に見つかったのがG99Dで13アレル(46%)に及んだ。患者でいうと70%がG99Dの変異を少なくともどちらか一つのアレルにもっており、ホモの例も3例あった。

成人型3例はいずれもT409Iをもっていた。T409Iの全体に対する出現率は11%。

G99D、T409I以外の変異ではG245Rが2例(7%)あった以外は、すべて各家系特有の変異だった。

これらの傾向はエクソン2のスプライシングドナー領域の変異が多いコーカソイドと大きく違う。こういった日本人患者の傾向が東アジアに共通するものかどうかの研究は今後の課題。

成人型3例中2例はアレルの変異こそG99D/T409Iで共通だが、表現型はまったく違う。遺伝子変異型以外にも表現型を決定する要素があるはず。

G99DとT409Iの2つの変異をスクリーニングするだけでも80%近い患者のスクリーニングが可能。

質問＞100万人に1人という数字は確かに報告されているが、実状はそれより遙かに多く、少なくても10倍程度はいるのではないかという指摘もある。
回答＞確かにその可能性は高い。

臨床症状からムコ多糖症が疑われたが、検査の結果、既存の疾患には該当しない、ヒアルロン酸の代謝異常、あるいは転送異常の可能性のある症例を研究した。

DEMALDI-TOF MSを使うと、スフィンゴ糖脂質の分析が容易に、また短時間（2、3日）でできるので、診断など臨床的な用途でも今後大いに期待できる。

質問＞定量的な分析も可能なのか
回答＞現時点では、むしろ少ない資料で分析ができるという特徴が重要で、データの蓄積がないこともあり、定量的分析には至っていない。

診断法として、従来は化学合成したセラミドを使っていたが、酵素による合成の方が扱いやすいのでは。

一般的な内容なのでＱ＆Ａと一緒に別ページにまとめました。他の代謝異常症の患者の家族にも参考になる内容です。

質問（クリビット）＞ワシントンの政治家への働きかけたのか？
回答＞ワシントンでは成果を収め助成金もついたが、全米で見ると州によって差がある。

分量的にも大きく、一般的な内容なので現況調査報告と共に別ページにまとめました。他の代謝異常症の患者の家族にも参考になる内容です。

一般的な内容なのでＱ＆Ａと一緒に別ページにまとめました。

一般的な内容なので調査報告と一緒に別ページにまとめました。

Ｑ：骨髄移植に適した段階というものはあるのか。
Ａ：早ければ早いほどいい（中枢神経が出たらもうだめ）。症状がほとんど出ていない、全くでていない状況で効果があるかどうかという段階だろう。

Ｑ：骨髄移植の今後の課題は
Ａ：（クリビット）GVHDを完全に避けることができ、だれでもドナーを得ることができれば問題の多くは解決される。臍帯血の利用に多くの期待を寄せている。

Ｑ：骨髄移植以外の療法についての世界的な研究状況は？
Ａ：（鈴木）現在、酵素補充療法を行うだけの純度の酵素は合成できていない。モデルマウスの実験段階である。

現在、先天性代謝異常症の治療法として研究されているのは次のような療法である。

ゴーシェ病患者にCD34を導入するも、3～4ヶ月で発現しなくなる。ベクターはレトロウイルス。繊維肉芽種細胞を取り出して培養したものに導入して戻すというのを研究中。

先天性代謝異常症に対する骨髄移植のメリットは次のようなものだ。

マウスを使ってSly病の遺伝子治療を試みた。肝臓や脾臓への定着は認められたが、免疫の問題がある。脳内への定着はうまくいかなかった。マクロファージではだめだという感触だ。

調査対象の遺伝子の78.5%の解析(28アレル中22アレル）に成功した。解析できたのは7種類の変異だった。両アレルとも解析できなかったのが1例あった。

最も高頻度に見つかったのがG99Dで13アレル(46%)に及んだ。患者でいうと70%がG99Dの変異を少なくともどちらか一つのアレルにもっており、ホモの例も3例あった。

成人型3例はいずれもT409Iをもっていた。T409Iの全体に対する出現率は11%。

G99D、T409I以外の変異ではG245Rが2例(7%)あった以外は、すべて各家系特有の変異だった。

これらの傾向はエクソン2のスプライシングドナー領域の変異が多いコーカソイドと大きく違う。こういった日本人患者の傾向が東アジアに共通するものかどうかの研究は今後の課題。

成人型3例中2例はアレルの変異こそG99D/T409Iで共通だが、表現型はまったく違う。遺伝子変異型以外にも表現型を決定する要素があるはず。

G99DとT409Iの2つの変異をスクリーニングするだけでも80%近い患者のスクリーニングが可能。

質問＞100万人に1人という数字は確かに報告されているが、実状はそれより遙かに多く、少なくても10倍程度はいるのではないかという指摘もある。 回答＞確かにその可能性は高い。

臨床症状からムコ多糖症が疑われたが、検査の結果、既存の疾患には該当しない、ヒアルロン酸の代謝異常、あるいは転送異常の可能性のある症例を研究した。

DEMALDI-TOF MSを使うと、スフィンゴ糖脂質の分析が容易に、また短時間（2、3日）でできるので、診断など臨床的な用途でも今後大いに期待できる。

質問＞定量的な分析も可能なのか 回答＞現時点では、むしろ少ない資料で分析ができるという特徴が重要で、データの蓄積がないこともあり、定量的分析には至っていない。

診断法として、従来は化学合成したセラミドを使っていたが、酵素による合成の方が扱いやすいのでは。

一般的な内容なのでＱ＆Ａと一緒に別ページにまとめました。他の代謝異常症の患者の家族にも参考になる内容です。

質問（クリビット）＞ワシントンの政治家への働きかけたのか？ 回答＞ワシントンでは成果を収め助成金もついたが、全米で見ると州によって差がある。

分量的にも大きく、一般的な内容なので現況調査報告と共に別ページにまとめました。他の代謝異常症の患者の家族にも参考になる内容です。

一般的な内容なのでＱ＆Ａと一緒に別ページにまとめました。

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Ｑ：骨髄移植に適した段階というものはあるのか。 Ａ：早ければ早いほどいい（中枢神経が出たらもうだめ）。症状がほとんど出ていない、全くでていない状況で効果があるかどうかという段階だろう。

Ｑ：骨髄移植の今後の課題は Ａ：（クリビット）GVHDを完全に避けることができ、だれでもドナーを得ることができれば問題の多くは解決される。臍帯血の利用に多くの期待を寄せている。

Ｑ：骨髄移植以外の療法についての世界的な研究状況は？ Ａ：（鈴木）現在、酵素補充療法を行うだけの純度の酵素は合成できていない。モデルマウスの実験段階である。

現在、先天性代謝異常症の治療法として研究されているのは次のような療法である。

ゴーシェ病患者にCD34を導入するも、3～4ヶ月で発現しなくなる。ベクターはレトロウイルス。繊維肉芽種細胞を取り出して培養したものに導入して戻すというのを研究中。

先天性代謝異常症に対する骨髄移植のメリットは次のようなものだ。

マウスを使ってSly病の遺伝子治療を試みた。肝臓や脾臓への定着は認められたが、免疫の問題がある。脳内への定着はうまくいかなかった。マクロファージではだめだという感触だ。

質問＞100万人に1人という数字は確かに報告されているが、実状はそれより遙かに多く、少なくても10倍程度はいるのではないかという指摘もある。
回答＞確かにその可能性は高い。

質問＞定量的な分析も可能なのか
回答＞現時点では、むしろ少ない資料で分析ができるという特徴が重要で、データの蓄積がないこともあり、定量的分析には至っていない。

質問（クリビット）＞ワシントンの政治家への働きかけたのか？
回答＞ワシントンでは成果を収め助成金もついたが、全米で見ると州によって差がある。

Ｑ：骨髄移植に適した段階というものはあるのか。
Ａ：早ければ早いほどいい（中枢神経が出たらもうだめ）。症状がほとんど出ていない、全くでていない状況で効果があるかどうかという段階だろう。

Ｑ：骨髄移植の今後の課題は
Ａ：（クリビット）GVHDを完全に避けることができ、だれでもドナーを得ることができれば問題の多くは解決される。臍帯血の利用に多くの期待を寄せている。

Ｑ：骨髄移植以外の療法についての世界的な研究状況は？
Ａ：（鈴木）現在、酵素補充療法を行うだけの純度の酵素は合成できていない。モデルマウスの実験段階である。

　ゴーシェ病患者にCD34を導入するも、3～4ヶ月で発現しなくなる。ベクターはレトロウイルス。繊維肉芽種細胞を取り出して培養したものに導入して戻すというのを研究中。

　先天性代謝異常症に対する骨髄移植のメリットは次のようなものだ。

　マウスを使ってSly病の遺伝子治療を試みた。肝臓や脾臓への定着は認められたが、免疫の問題がある。脳内への定着はうまくいかなかった。マクロファージではだめだという感触だ。