Nikon D70を見てきたゾ

ニコンD70を見てきたゾ

Last update29/03/2004

 2004年3月19日発売のニコンのレンズ交換式一眼レフデジタルカメラD70を触ってきた。
セット販売のAF-S DX ズームニッコールED 18〜70mm F3.5〜4.5G(IF)<レンズ単体は2004年6月発売予定>付きで触ってきた。
 このD70の「売り」は、「低価格」と起動時間の短さである。実売価格はボディのみで税込み12万円台のようだ。 D100が同20万円台、D1Xが同49万円台、D2Hが同41万円台であることや、ライバルのキヤノンEOS Kiss Digitalが同12万円台であることから相当「頑張った」商品である。

 まず、ニコンD70ボディは確かにキビキビした動作で、スイッチONの起動時のタイムラグ、レリーズタイムラグやブラックアウト時間も短く、そういった撮影の調子に関わる部分は普及機とは思えぬいい感触だった。 大きさも横幅がコンパクトで軽いし持ち運びしやすそうだ。

【ニコンD70のファインダーは明るさ優先だった】

 ファインダーは、一眼レフデジカメによくある井戸の底を除くような感じはやや払拭されていた。しかし、50mmレンズ装着時で0.75倍というものの50mmレンズは135(35mmフィルム)システムでいえば75mm相当だから、本当は焦点距離35mmレンズ(計算上は33.3mm)で比較しないといけないと思う。 だから、数値的には0.75倍でも実際には135システムのファインダーを覗いたときよりも像は小さいし、像の周りの余黒も大きい。問題はファインダーの「切れ」である。 これははっきり言って自分の目ではこのAF-S DX ズームニッコールED 18〜70mm F3.5〜4.5G(IF)の50mmより広角側ではピントは全く分からなかった。 焦点距離18mmだと距離7〜8mぐらいのものは無限遠でも0.6mにしても像はまったくボケず、お手上げである。望遠端の70mmでなんとかピントが分かるという程度だった。 このカメラは常時AF(オートフォーカス)で使うしかないだろう。スクリーンが明るいだけでピントの切れのないものなのだろう。

【やっぱりD70でもMFレンズで露出計を作動させて欲しい】

 そして、このD70も最近の他のニコン普及機と同じく、ニコンのMF(マニュアルフォーカス)レンズでは露出計すら作動せず、MFレンズの装着は出来るものの全くのマニュアル露出で撮るしかない。
 思うにキヤノンのカメラボディにマウントアダプタをつけてニコンのレンズを装着してもAE(自動露出)で撮影できるのに、ニコンのボディにニコンのレンズをつけて露出計すら作動しないというのはどうしたものか。 たしかにキヤノンボディにニコンレンズを装着した場合は、レンズの自動絞りがバネで絞り込み状態になるので絞込み測光がそのまま可能だが、 ニコンボディにニコンレンズだと装着時は絞りが開放になるので絞込みにはプレビュー機能が必要でプレビューする必要があり、コスト的に損なのはわかる。 だが、そんなのは「適正露出かどうか知りませんよ」、と宣言した上で使わせればよいのであって、CPU内蔵レンズでないと露出計が作動しないように仕掛けを作る必要もないと思う。 まあ、CPU内蔵かどうかを電気的にチェックするというのは、CPU内蔵レンズの不完全装着や接点の接触不良などのエラーチェックも兼ねてのことだろうが、世話を焼きすぎるのではないだろうか。 結果がすぐに確認できるデジカメだからこそ、絞込み測光でいいからメータードマニュアルが出来るようにして欲しい。 あるいは、初心者へのフールプルーフというのなら、ファンクションで絞込み測光対応に出来ないだろうか。 D70D100F80もいいカメラだが、MFレンズの上記の制約があるので、「どうもなー」と思ってしまう。もちろんD2HでMFレンズでもAEでさらに多分割測光に対応したのは評価できるけれども、値段も高いし自分はそこまでの機能は必要ではないのだ。

最近EOS Kiss Digitalにマウントアダプターを使ってニコンレンズを装着して撮影している例をちらほらみかけるが、どうせピントの分かりづらいカメラ(D70)ならいっそのことキヤノンボディを使った方が(※)MFレンズでも露出計も作動するしAEも可能だという判断なのだろう。 自分もそう思う。
※キヤノン一眼レフはファインダースクリーンが明るさ優先でピントが分かりにくいという「定評」がある(笑)。
 でも冷静に考えると、MFレンズ露出計が作動しても、D70のあのファインダースクリーンじゃMFでピント合わせ不能だし事実上MFレンズは使用不能ということなのかな。
Ai Nikkor 20mmF2.8Sを30mm相当として使うとしても目測でのピント合わせかなぁ…

【AF-S DX Zoom Nikkor ED 18〜70mm F3.5〜4.5G(IF)はなかなかいいレンズだった】

 セット販売のAF-S DX Zoom Nikkor ED 18〜70mm F3.5〜4.5G(IF)はなかなかいいレンズだった。 35mm版換算で27mm〜105mmのズームで常用にはちょうどいい焦点距離だ。 ただ、このカメラとレンズはNikon Digital Live 2004というイベントで触らせてもらったのだが、そこでニコンの社員(たぶんニコンカメラ販売(株))が、 「DXニッコールは焦点距離の1.5倍の画角相当ではなく、標記どおりの135システムの画角がある」と説明していたのはまずいと思う。だって嘘なんだもん(笑)。 何度も念を押したのだがその社員の人はAF-S DX Zoom Nikkor ED 18〜70mm F3.5〜4.5G(IF)の18mmでは135(35mm版)の18mmと同じ画角だと言うのである。 でもカタログには同レンズの18mm側の対角線画角は76度しかなくやっぱり27mm相当じゃん。ニコンの複雑なレンズシステム(*)は内部でも理解されてないのね(笑)。
*Nikon Fマウントはどこへいく参照

 で、どこが良かったかというと、広角側でもゴーストがあまり目立たず逆光に強そうで、ディストーションも少なめでニコンらしいコントラストの高い写りだった(テスト撮影させてもらってプリントアウトしてきた)。 望遠側はややフレアっぽい感じもしたが、ズームレンズだし、フードなしでの試写だからこんなもんだろう。

 また、ズームリングもピントリングもスムーズでバックラッシュも少なくいい操作感触だった。IFなので鏡筒のガタも気にならない。 AF-Sということで超音波モーターだから無音ですっとピントが合う。ピントリングの回転角は少なめだったが70mm側でもなんとかMFは可能。 Ai AF Zoom Nikkor 28〜105mm F3.5〜4.5D(IF)の105mm側よりもピントは合わせやすい感じ。

ちょっと気になったのがAF-S DX ズームニッコールED 18〜70mm F3.5〜4.5G(IF)のマウント側。 このレンズはDXレンズだから銀塩システムのカメラでは周囲がケラレるのだが、それは置いておいて、マウント側を見るとAi-Sレンズではないのに開放F値連動ガイドと焦点距離識別リッジらしきものがあるのである。 もしかしてGタイプながら、FGFAF-301,F-501などのボディでプログラムオートが可能なのではないかと思ってしまった。 ただし、Ai-Sレンズ識別の窪みは無かった。たしか以前見たAF Zoom Nikkor 28〜80mm F3.3〜5.6Gにはこれらは省略されていたはずだ。 他のAiAFレンズと部品を共用しているだけかもしれないが。

 ともかくD70を買うなら専用レンズとしてこの18-70mmを買うのは悪くないという感じだ。

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