天平時代の盛期に生まれ、その終末を見届けるように死んでいった、大伴家持。彼の生涯は、時代に翻弄される、波瀾に満ちたものでした。
その足跡は、南は薩摩から北は陸奥多賀城まで、当時の日本国のほぼ両辺に及び、誇り高い青春時代から失意の中年期を経て、晩年の復活と、死後の一族の悲惨――まことに激動の嵐の中を模索する、困難な道のりであったに違いありません。
しかし、そのような生涯から、彼は信じ難いばかりに美しい花の種子を、我々に残してくれました。それは彼の死後、芽生え、育って、『万葉集』と呼ばれ、千年の時を経て、今も香ぐわしく咲き誇っているのです。
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