特許権は、設定の登録により発生する。
2 第107条第1項の規定による第1年から第3年までの各年分の特許料の納付又はその納付の免除若しくは猶予があったときは、特許権の設定の登録をする。
3 前項の登録があったときは、次に掲げる事項を特許公報に掲載しなければならない。ただし、第5号に掲げる事項については、その特許出願について出願公開がされているときは、この限りでない。
4 第64条第3項の規定は、前項の規定により同項第5号の要約書に記載した事項を特許公報に掲載する場合に準用する。
5 特許庁長官は、特許掲載公報の発行の日から五月間、特許庁において出願書類及びその附属物件を公衆の縦覧に供しなければならない。
特許権の存続期間は、特許出願の日から20年をもって終了する。
2 特許権の存続期間は、その特許発明の実施について安全性の確保等を目的とする法律の規定による許可その他の処分であって当該処分の目的、手続等からみて当該処分を的確に行うには相当の期間を要するものとして政令で定めるものを受けることが必要であるために、その特許発明の実施をすることが二年以上できなかったときは、五年を限度として、延長登録の出願により延長することができる。
特許権の存続期間の延長登録の出願をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
2 前項の願書には、通商産業省令で定めるところにより、延長の理由を記載した資料を添付しなければならない。
3 特許権の存続期間の延長登録の出願は、前条第2項の政令で定める処分を受けた日から政令で定める期間内にしなければならない。ただし、同条第1項に規定する特許権の存続期間の満了前六月以後は、することができない。
4 特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許権の存続期間の延長登録の出願をすることができない。
5 特許権の存続期間の延長登録の出願があったときは、存続期間は、延長されたものとみなす。ただし、その出願について拒絶をすべき旨の査定が確定し、又は特許権の存続期間を延長した旨の登録があったときは、この限りでない。
6 特許権の存続期間の延長登録の出願があったときは、第1項各号に掲げる事項を特許公報に掲載しなければならない。
審査官は、特許権の存続期間の延長登録の出願が次の各号の一に該当するときは、その出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
2 審査官は、特許権の存続期間の延長登録の出願について拒絶の理由を発見しないときは、延長登録をすべき旨の査定をしなければならない。
3 前項の査定があったときは、特許権の存続期間を延長した旨の登録をする。
4 前項の登録があったときは、次に掲げる事項を特許公報に掲載しなければならない。
特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。ただし、その特許権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。
特許権の存続期間が延長された場合(第67条の2第5項の規定により延長されたものとみなされた場合を含む。)の当該特許権の効力は、その延長登録の理由となつた第67条第2項の政令で定める処分の対象となつた物(その処分においてその物の使用される特定の用途が定められている場合にあっては、当該用途に使用されるその物)についての当該特許発明の実施以外の行為には、及ばない。
特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には、及ばない。
2 特許権の効力は、次に掲げる物には、及ばない。
3 二以上の医薬(人の病気の診断、治療、処置又は予防のため使用する物をいう。以下この項において同じ。)を混合することにより製造されるべき医薬の発明又は二以上の医薬を混合して医薬を製造する方法の発明に係る特許権の効力は、医師又は歯科医師の処方せんにより調剤する行為及び医師又は歯科医師の処方せんにより調剤する医薬には、及ばない。
特許発明の技術的範囲は、願書に添附した明細書の特許請求の範囲の記載に基いて定めなければならない。
2 前項の場合においては、願書に添付した明細書の特許請求の範囲以外の部分の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする。
3 前2項の場合においては、願書に添付した要約書の記載を考慮してはならない。
特許発明の技術的範囲については、特許庁に対し、判定を求めることができる。
2 特許庁長官は、前項の規定による求があったときは、三名の審判官を指定して、その判定をさせなければならない。
3 前項に規定するもののほか、判定に関する手続は、政令で定める。
特許権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その特許発明がその特許出願の日前の出願に係る他人の特許発明、登録実用新案若しくは登録意匠若しくはこれに類似する意匠を利用するものであるとき、又はその特許権がその特許出願の日前の出願に係る他人の意匠権若しくは商標権と抵触するときは、業としてその特許発明の実施をすることができない。
特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又はその持分を目的として質権を設定することができない。
2 特許権が共有に係るときは、各共有者は、契約で別段の定をした場合を除き、他の共有者の同意を得ないでその特許発明の実施をすることができる。
3 特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その特許権について専用実施権を設定し、又は他人に通常実施権を許諾することができない。
特許権は、民法第958条の期間内に相続人である権利を主張する者がないときは、消滅する。
特許権者は、その特許権について専用実施権を設定することができる。
2 専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明の実施をする権利を専有する。
3 専用実施権は、実施の事業とともにする場合、特許権者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
4 専用実施権者は、特許権者の承諾を得た場合に限り、その専用実施権について質権を設定し、又は他人に通常実施権を許諾することができる。
5 第73条の規定は、専用実施権に準用する。
特許権者は、その特許権について他人に通常実施権を許諾することができる。
2 通常実施権者は、この法律の規定により又は設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明の実施をする権利を有する。
特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発明をし、又は特許出願に係る発明の内容を知らないでその発明をした者から知得して、特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許出願に係る特許権について通常実施権を有する。
次の各号の一に該当する者であって、第123条第1項の審判の請求の登録前に、特許が同項各号の一に規定する要件に該当することを知らないで、日本国内において当該発明の実施である事業をしているもの又はその事業の準備をしているものは、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許を無効にした場合における特許権又はその際現に存する専用実施権について通常実施権を有する。
2 当該特許権者又は専用実施権者は、前項の規定により通常実施権を有する者から相当の対価を受ける権利を有する。
特許出願の日前又はこれと同日の意匠登録出願に係る意匠権がその特許出願に係る特許権と抵触する場合において、その意匠権の存続期間が満了したときは、その原意匠権者は、原意匠権の範囲内において、当該特許権又はその意匠権の存続期間の満了の際現に存する専用実施権について通常実施権を有する。
特許出願の日前又はこれと同日の意匠登録出願に係る意匠権がその特許出願に係る特許権と抵触する場合において、その意匠権の存続期間が満了したときは、その満了の際現にその意匠権についての専用実施権又はその意匠権若しくは専用実施権についての意匠法第28条第3項において準用するこの法律第99条第1項の効力を有する通常実施権を有する者は、原権利の範囲内において、当該特許権又はその意匠権の存続期間の満了の際現に存する専用実施権について通常実施権を有する。
2 当該特許権者又は専用実施権者は、前項の規定により通常実施権を有する者から相当の対価を受ける権利を有する。
特許発明の実施が継続して三年以上日本国内において適当にされていないときは、その特許発明の実施をしようとする者は、特許権者又は専用実施権者に対し通常実施権の許諾について協議を求めることができる。ただし、その特許発明に係る特許出願の日から四年を経過していないときは、この限りでない。
2 前項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、その特許発明の実施をしようとする者は、特許庁長官の裁定を請求することができる。
特許庁長官は、前条第2項の裁定の請求があったときは、請求書の副本をその請求に係る特許権者又は専用実施権者その他その特許に関し登録した権利を有する者に送達し、相当の期間を指定して、答弁書を提出する機会を与えなければならない。
特許庁長官は、第83条第2項の裁定をしようとするときは、政令で定める審議会の意見を聴かなければならない。
2 特許庁長官は、その特許発明の実施が適当にされていないことについて正当な理由があるときは、通常実施権を設定すべき旨の裁定をすることができない。
第83条第2項の裁定は、文書をもって行い、かつ、理由を附さなければならない。
2 通常実施権を設定すべき旨の裁定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
特許庁長官は、第83条第2項の裁定をしたときは、裁定の謄本を当事者及び当事者以外の者であってその特許に関し登録した権利を有するものに送達しなければならない。
2 当事者に対し前項の規定により通常実施権を設定すべき旨の裁定の謄本の送達があったときは、裁定で定めるところにより、当事者間に協議が成立したものとみなす。
第86条第2項第2号の対価を支払うべき者は、次に掲げる場合は、その対価を供託しなければならない。
通常実施権の設定を受けようとする者が第83条第2項の裁定で定める支払の時期までに対価(対価を定期に又は分割して支払うべきときは、その最初に支払うべき分)の支払又は供託をしないときは、通常実施権を設定すべき旨の裁定は、その効力を失う。
特許庁長官は、第83条第2項の規定により通常実施権を設定すべき旨の裁定をした後に、裁定の理由の消滅その他の事由により当該裁定を維持することが適当でなくなつたとき、又は通常実施権の設定を受けた者が適当にその特許発明の実施をしないときは、利害関係人の請求により又は職権で、裁定を取り消すことができる。
2 第84条、第85条第1項、第86条第1項及び第87条第1項の規定は前項の規定による裁定の取消しに、第85条第2項の規定は通常実施権の設定を受けた者が適当にその特許発明の実施をしない場合の前項の規定による裁定の取消しに準用する。
前条第1項の規定による裁定の取消があったときは、通常実施権は、その後消滅する。
第83条第2項の規定による裁定についての行政不服審査法(昭和37年法律第160号)による異議申立てにおいては、その裁定で定める対価についての不服をその裁定についての不服の理由とすることができない。
特許権者又は専用実施権者は、その特許発明が第72条に規定する場合に該当するときは、同条の他人に対しその特許発明の実施をするための通常実施権又は実用新案権若しくは意匠権についての通常実施権の許諾について協議を求めることができる。
2 前項の協議を求められた第72条の他人は、その協議を求めた特許権者又は専用実施権者に対し、これらの者がその協議により通常実施権又は実用新案権若しくは意匠権についての通常実施権の許諾を受けて実施をしようとする特許発明の範囲内において、通常実施権の許諾について協議を求めることができる。
3 第1項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、特許権者又は専用実施権者は、特許庁長官の裁定を請求することができる。
4 第2項の協議が成立せず、又は協議をすることができない場合において、前項の裁定の請求があったときは、第72条の他人は、第7項において準用する第84条の規定によりその者が答弁書を提出すべき期間として特許庁長官が指定した期間内に限り、特許庁長官の裁定を請求することができる。
5 特許庁長官は、第3項又は前項の場合において、当該通常実施権を設定することが第72条の他人又は特許権者若しくは専用実施権者の利益を不当に害することとなるときは、当該通常実施権を設定すべき旨の裁定をすることができない。
6 特許庁長官は、前項に規定する場合のほか、第4項の場合において、第3項の裁定の請求について通常実施権を設定すべき旨の裁定をしないときは、当該通常実施権を設定すべき旨の裁定をすることができない。
特許発明の実施が公共の利益のため特に必要であるときは、その特許発明の実施をしようとする者は、特許権者又は専用実施権者に対し通常実施権の許諾について協議を求めることができる。
2 前項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、その特許発明の実施をしようとする者は、通商産業大臣の裁定を請求することができる。
通常実施権は、第83条第2項、第92条第3項若しくは第4項若しくは前条第2項、実用新案法第22条第3項又は意匠法第33条第3項の裁定による通常実施権を除き、実施の事業とともにする場合、特許権者(専用実施権についての通常実施権にあっては、特許権者及び専用実施権者)の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
2 通常実施権者は、第83条第2項、第92条第3項若しくは第4項若しくは前条第2項、実用新案法第22条第3項又は意匠法第33条第3項の裁定による通常実施権を除き、特許権者(専用実施権についての通常実施権にあっては、特許権者及び専用実施権者)の承諾を得た場合に限り、その通常実施権について質権を設定することができる。
4 第92条第3項、実用新案法第22条第3項又は意匠法第33条第3項の裁定による通常実施権は、その通常実施権者の当該特許権、実用新案権又は意匠権が実施の事業とともに移転したときはこれらに従つて移転し、その特許権、実用新案権又は意匠権が実施の事業と分離して移転したとき、又は消滅したときは、消滅する。
5 第92条第4項の裁定による通常実施権は、その通常実施権者の当該特許権、実用新案権又は意匠権に従つて移転し、その特許権、実用新案権又は意匠権が消滅したときは消滅する。
6 第73条第1項の規定は、通常実施権に準用する。
特許権、専用実施権又は通常実施権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定をした場合を除き、当該特許発明の実施をすることができない。
特許権、専用実施権又は通常実施権を目的とする質権は、特許権、専用実施権若しくは通常実施権の対価又は特許発明の実施に対しその特許権者若しくは専用実施権者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行うことができる。ただし、その払渡又は引渡前に差押をしなければならない。
特許権者は、専用実施権者、質権者又は第35条第1項、第77条第4項若しくは第78条第1項の規定による通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その特許権を放棄することができる。
2 専用実施権者は、質権者又は第77条第4項の規定による通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その専用実施権を放棄することができる。
3 通常実施権者は、質権者があるときは、その承諾を得た場合に限り、その通常実施権を放棄することができる。
次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じない。
2 前項各号の相続その他の一般承継の場合は、遅滞なく、その旨を特許庁長官に届け出なければならない。
通常実施権は、その登録をしたときは、その特許権若しくは専用実施権又はその特許権についての専用実施権をその後に取得した者に対しても、その効力を生ずる。
2 第35条第1項、第79条、第80条第1項、第81条、第82条第1項又は第176条の規定による通常実施権は、登録しなくても、前項の効力を有する。
3 通常実施権の移転、変更、消滅若しくは処分の制限又は通常実施権を目的とする質権の設定、移転、変更、消滅若しくは処分の制限は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 特許権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(物を生産する方法の特許発明にあっては、侵害の行為により生じた物を含む。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
次に掲げる行為は、当該特許権又は専用実施権を侵害するものとみなす。
特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。
2 特許権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対し、その特許発明の実施に対し通常受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
3 前項の規定は、同項に規定する金額をこえる損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、特許権又は専用実施権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかったときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。
他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があったものと推定する。
物を生産する方法の発明について特許がされている場合において、その物が特許出願前に日本国内において公然知られた物でないときは、その物と同一の物は、その方法により生産したものと推定する。
裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立により、当事者に対し、当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類の提出を命ずることができる。ただし、その書類の所持者においてその提出を拒むことについて正当な理由があるときは、この限りでない。
故意又は過失により特許権又は専用実施権を侵害したことにより特許権者又は専用実施権者の業務上の信用を害した者に対しては、裁判所は、特許権者又は専用実施権者の請求により、損害の賠償に代え、又は損害の賠償とともに、特許権者又は専用実施権者の業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる。
特許権の設定の登録を受ける者又は特許権者は、特許料として、特許権の設定の登録の日から第67条第1項に規定する存続期間(同条第2項の規定により延長されたときは、その延長の期間を加えたもの)の満了までの各年について、一件ごとに、次の表の上欄に掲げる区分に従い同表の下欄に掲げる金額を納付しなければならない。
各年の区分 | 金額 |
---|---|
第1年から第3年まで | 毎年13,000円に一請求項につき1,400円を加えた額 |
第4年から第6年まで | 毎年20,300円に一請求項につき2,100円を加えた額 |
第7年から第9年まで | 毎年40,600円に一請求項につき4,200円を加えた額 |
第10年から第12年まで | 毎年81,200円に一請求項につき8,400円を加えた額 |
第13年から第15年まで | 毎年162,400円に一請求項につき16,800円を加えた額 |
第16年から第18年まで | 毎年324,800円に一請求項につき33,600円を加えた額 |
第19年から第21年まで | 毎年649,600円に一請求項につき67,200円を加えた額 |
第22年から第25年まで | 毎年1,299,200円に一請求項につき134,400円を加えた額 |
2 前項の規定は、国に属する特許権には、適用しない。
3 第1項の特許料の納付は、通商産業省令で定めるところにより、特許印紙をもってしなければならない。ただし、通商産業省令で定める場合には、通商産業省令で定めるところにより、現金をもって納めることができる。
前条第1項の規定による第1年から第3年までの各年分の特許料は、特許をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があった日から30日以内に一時に納付しなければならない。
2 前条第1項の規定による第4年以後の各年分の特許料は、前年以前に納付しなければならない。ただし、特許権の存続期間の延長登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があった日(以下この項において「謄本送達日」という。)がその延長登録がないとした場合における特許権の存続期間の満了の日の属する年の末日から起算して前30日目に当たる日以後であるときは、その年の次の年から謄本送達日の属する年(謄本送達日から謄本送達日の属する年の末日までの日数が30日に満たないときは、謄本送達日の属する年の次の年)までの各年分の特許料は、謄本送達日から30日以内に一時に納付しなければならない。
3 特許庁長官は、特許料を納付すべき者の請求により、30日以内を限り、第1項に規定する期間を延長することができる。
特許庁長官は、第107条第1項の規定による第1年から第3年までの各年分の特許料を納付すべき者がその特許発明の発明者又はその相続人である場合において貧困により特許料を納付する資力がないと認めるときは、政令で定めるところにより、特許料を軽減し若しくは免除し、又はその納付を猶予することができる。
利害関係人は、納付すべき者の意に反しても、特許料を納付することができる。
2 前項の規定により特許料を納付した利害関係人は、納付すべき者が現に利益を受ける限度においてその費用の償還を請求することができる。
既納の特許料は、次に掲げるものに限り、納付した者の請求により返還する。
2 前項の規定による特許料の返還は、同項第1号の特許料については納付した日から一年、同項第2号及び第3号の特許料については第114条第2項の取消決定又は審決が確定した日から六月を経過した後は、請求することができない。
特許権者は、第108条第2項に規定する期間又は第109条の規定による納付の猶予後の期間内に特許料を納付することができないときは、その期間が経過した後であっても、その期間の経過後六月以内にその特許料を追納することができる。
2 前項の規定により特許料を追納する特許権者は、第107条第1項の規定により納付すべき特許料のほか、その特許料と同額の割増特許料を納付しなければならない。
3 前項の割増特許料の納付は、通商産業省令で定めるところにより、特許印紙をもってしなければならない。ただし、通商産業省令で定める場合には、通商産業省令で定めるところにより、現金をもって納めることができる。
4 特許権者が第1項の規定により特許料を追納することができる期間内に、第108条第2項本文に規定する期間内に納付すべきであった特許料及び第2項の割増特許料を納付しないときは、その特許権は、同条第2項本文に規定する期間の経過の時にさかのぼつて消滅したものとみなす。
5 特許権者が第1項の規定により特許料を追納することができる期間内に第108条第2項ただし書に規定する特許料及び第2項の割増特許料を納付しないときは、その特許権は、当該延長登録がないとした場合における特許権の存続期間の満了の日の属する年の経過の時にさかのぼつて消滅したものとみなす。
6 特許権者が第1項の規定により特許料を追納することができる期間内に第109条の規定により納付が猶予された特許料及び第2項の割増特許料を納付しないときは、その特許権は、初めから存在しなかったものとみなす。
前条第4項若しくは第5項の規定により消滅したものとみなされた特許権又は同条第6項の規定により初めから存在しなかったものとみなされた特許権の原特許権者は、その責めに帰することができない理由により同条第1項の規定により特許料を追納することができる期間内に同条第4項から第6項までに規定する特許料及び割増特許料を納付することができなかったときは、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあっては、二月)以内でその期間の経過後六月以内に限り、その特許料及び割増特許料を追納することができる。
2 前項の規定による特許料及び割増特許料の追納があったときは、その特許権は、第108条第2項本文に規定する期間の経過の時若しくは存続期間の満了の日の属する年の経過の時にさかのぼつて存続していたもの又は初めから存在していたものとみなす。
前条第2項の規定により特許権が回復した場合において、その特許が物の発明についてされているときは、その特許権の効力は、第112条第1項の規定により特許料を追納することができる期間の経過後特許権の回復の登録前に輸入し、又は日本国内において生産し、若しくは取得した当該物には、及ばない。
2 前条第2項の規定により回復した特許権の効力は、第112条第1項の規定により特許料を追納することができる期間の経過後特許権の回復の登録前における次に掲げる行為には、及ばない。