アジマスでクロストークだけが大きく変化する理由 
            
          以下、クロストークでないほうを主音声と呼びます。 
           
          Rchの主音声は、Rchコイルの出力です。 
          その設置角度を微少な角度Δだけ変えたとします。主音声の出力は、cos(Δ) 倍だけ変化します。 
           cos 0°= 1 、 cos±1°= 0.99985  
           
          Δが±1°なら、±のどちらの場合も、主音声出力が、0.99985倍に変わるだけです。 
          変化は0.015%に過ぎないので、アジマスを1°程度変えても、主音声はほとんど変わりません。 
           
           
          Rch信号のクロストークは、Rにしか信号が入っていないテストレコードでのLchコイルの出力です。 
          Lchコイルは、Rchコイルとは設置角度が90°違っていて、クロストークの出力は、 
          cos(90°±Δ) 倍だけ変化します。 
           cos 90°= 0 、 cos89°= +0.01745、 cos91°= -0.01745 
           
          Δが±1°なら、クロストークは主音声の0倍であるべきところが、±0.01745倍に変わる。主音声の約1.7%です。 
           
          この時の主音声は、上記のとおり0.015%しか変わらないのですから、 
          Δが同じ1°でも、クロストークの変化は主音声の変化の約100倍になります。 
           
          このことから、アジマスの調整により、クロストークだけを調整することが可能です。 
           
          現実には誤差があって、Δ=0 でもクロストークはゼロになりませんが、Δの効き方が、主音声とクロストークで非常に違う理由は、上記の通りの理屈です。 
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