いろいろな比較試聴法
気のせいを排除する私なりの手法をまとめました


それって気のせい?
 テストをしていると、音が変わったような気がするけれど、確信が持てないことは少なくないです。それを変わったと断定するのも趣味の世界ではOKなのですが、私は、極力、気のせいじゃないことを確認する方法で再確認しようとしています。
 その結果、気のせいであることが分かったこともあるし、やはり変わっていたのか、と驚くこともある。比較的簡単にできるものが多いので、参考にしてください。

1.瞬時切り替えで比較
 何かを切り替えるために立ち上がって、切り替えて戻ってくる、というパターンでは、
@時間差がある
@座る位置が微妙に違う(耳の位置が数cmでも変わる)
等のために、なかなか気のせいを排除できない。

そこで、リモコンなどを使って瞬時切り替えを繰り返します。さらのその瞬時切り替えを繰り返していくうち、自分でも、いまどちらを聴いているかわからなくなってきます。それでも正しく、聞き分けられるなら、確かに変わっていると言えましょう。
@DEQ2496の自作リモコン
 
この仕組みで、いろいろなケースで瞬時切り替えができるようになりました。
A光デジタルケーブルと同軸デジタルケーブルの比較 
 @の応用例。但し、かなり気を付けないと光と同軸ではアースが繋がる・繋がらないの差がありますので同じ回路ではない(つまりケーブルの違いだけを聞いているとは限らない)ことがあります。

2.デジタル録音で比較

 配線を変える、機材を変える、等の場合、瞬時切り替えができないですが、デジタル領域での比較なら、ハイレゾレコーダー DA-3000で1分間録音し、それを連続繰返し再生にします。再生開始後、時計を見ずにしばらく席を外し、10分くらいで戻ってくると、もはやどちらが再生されれているかがわかりません。それでも正しく聞き分けられれば、絶対に違っていると自信を持てます。
@DC電源で音が変わるか
気のせいと思いそうな、極めて微妙な例です。ぎりぎり聞き分けられました。
ASACDプレーヤDP-720購入直後から一ヶ月の音の変化
私はSACDもデジタル化して聞くのでDA-3000での録音が可能。DP-720を新品で購入し、電源投入直後の音から、決まった曲を1分間毎日録音。日々、音は確かに変わていく気がします。その印象は「ものすごく変わる」でした。しかし、一週間後にその間の変化をまとめて聴き比べた印象は、「確かに変わるが意外と変化は大きくない。2日目以後は極めて微少。」でした。自分でも意外です。変わるのは確かながら、「ものすごく」は気のせいでした。

3.片チャンネルだけを変えて比較
 アナログケーブルでは音が変わるのは確かですが、自分自身で、「気のせいじゃないのか」という疑問に答えるために考えた方法がこれ。左右のケーブルの種類を変えてみる。実測にかからない場合でも、明解に音の差がわかります。さらにそれを左右逆に入れ替えてもやってみる。これは簡単にできるので、ぜひお試しください。
@フォノケーブルの比較

4.実測で確認
可能なら、実測で違いを示せるのに越したことはありません。素人の持っている計測器では、意外に難しいですが、偶然にもうまくいった例です。
@カートリッジの初期経時変化を実測

 バンデンハルMC-10Specialは、慣らしに時間がかかるので有名なようです。それをRTAで実測に成功しました。実測例は、あまり見かけません。


こういった真剣な比較で「気のせい」を排除していくと、間違った投資をしないで済むかもしれないというのが私の思想です。ただし、オーディオでは、無駄(に見える)投資も楽しみのうち、というのも大いに理解はできていますし、実際にそういう無駄な投資もたくさんしています。


     2023年8月20日記

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