訪問販売3連発

■ペンネーム「くみちゃんのパパ」さんからの投稿です。

 本日、半休取って午後は自宅でゴロゴロ。うーん、幸せだなあ・・・と一人の午後を満喫しようと思っていたら、来るわ来るわで訪問販売3連発。営業さんも大変だ。ということで、ご報告します。
 
 午後2時頃、庭でブラブラしていたら、片手に黒かばん、もう片手に何やらファイルを携えて、訳もなくニコニコしながらスーツ姿の若いおにいさんがやってきた。
 
スーツ君 「こんにちは」
パパ 「(にこやかに先手必勝)どーも。外壁工事屋さんか何かですか?」
スーツ君 「えっ・・・あの、住宅のリフォームなどを行っております○○と申します。私、この度・・・」
パパ 「あー、○○さんですか。アルミサイジングの外壁とかやってらっしゃるんですよね」
スーツ君 「あ、ご存知でしたか(ニコニコ)」
パパ 「(ニコニコしてる場合とちゃうぞー)うん。ちょっと前にお断りしたばっかりだから。」
 
(これ、叔母が契約してしまって、消費者センターに相談して契約解除した件の事)
 
スーツ君 「あの、そう・・・でしたか。では、前任の者が既にご挨拶を?」
パパ 「うん、その点はちょいと微妙なんだけどね。とにかく、うちは親戚が大工さんだから(ウソ)、リフォームでも何でもそっちに頼まないといけないんで。お引取り下さいな。」
スーツ君 「・・・そうですか、でも簡単に説明させて頂いて・・・」
パパ 「いや、もう説明受けてるし、パンフも貰ってあるから、説明は要らない。(間髪入れずに)あっ、そうだ、あなたが小脇にかかえてるの、それって住宅地図? そう、それ。それのウチの所に大きく×を書いて「この家ダメ」って書いておいてくれる? もう来ないでってことで。」
スーツ君 「はあ・・・」
パパ 「そちらも効率良く回りたいだろうし、断ってるのに間違って何度も訪問したら特商法に抵触しちゃうじゃない。確か、外壁工事って特商法の対象だったよね。違った? ウチとしてもねえ、こっちに用事が無いのに一方的に訪問されるのってすっごく迷惑なんだよね。それが、ごく普通の人のごく普通の感覚だって事は、ごく普通の人なら理解できるよね。ねっ? でしょ? だからさ、お互いの為ってことでね。」
スーツ君 「・・・そうですか、それでは、失礼します」
パパ 「うん、×書くの忘れないでね」
 
 すなおなスーツ君でした。
 
 
 
 外壁工事屋さんにお帰りを願ってからおよそ30分後、そうだ、プリンを食べよう、と思い付いた。甘い物は大好きである。娘が上蓋に『私の』とかマジックで書いた150円ぐらいのでっかいプリンが冷蔵庫にあったはずだ。上蓋の所有権を主張するなんて、つくづく理解し難い娘だ。何事も大切なのは中身だろうに。
 ということでフフーンと鼻歌まじりでスプーンを取ったら・・・「ピンポーン」と来た。めっちゃムカついた。
 玄関を開けると、小柄なスーツ姿のおにいさん。外壁工事屋のスーツ君に続いて、スーツ君IIの登場だった。
 彼はちょっとびっくりしている。きっと、奥様が出てくるのを予想していたのだろう。でも、若くて美人の・・・まで期待しているのなら、最初から我が家に来るべきではない。ウチの奥様が出たなら、彼はもっと驚いたに違いないのだ。
 どうやら彼は、来てはいけない家に、来てはいけないタイミングで来てしまったのだった。
 
スーツ君II 「こんにちは、お休みのところ申し訳ありません。私共、○○プランと申しまして、この度、鉄板焼き××さんと提携しまして・・・(以下要約すると鉄板焼き屋の2万円分の食事券を5千円で売っている、お得でしょっ、ということらしい)
パパ 「ふーん、食事券ねえ。2万円分の食事券を5千円でってねえ、僕も馬鹿じゃないんだから、『じゃあ下さいな』なんて言わないよ。それって割引券の間違いじゃないの?
スーツ君II 「いえ、あの、このようなクーポンになっていまして・・・(以下要約すると、やっぱり割引券)
パパ 「結局、割引券じゃない。割引券を食事券とかクーポンって呼ぶのは非常識っていうか、はっきり言って『嘘』ついてるよ。それって法的にまずいんじゃないの? まあ、いいや。で、どういう割引なの?」
 
 この後、長々と説明してくれた。実際は、1回3000円以上の食事で使える500円割引券が何枚かと、5000円以上の食事で使える1000円(だったかな?)割引券が何枚かと・・・ただし、1回の食事につき1枚のみ使用可、というような割引券のつづりを5千円で販売しているとのこと。で、割引総額が2万円。
 
パパ 「ちょっと待ってね、電卓持ってくるから(と電卓を用意してちょこちょこ計算してメモを作成)。で、その割引券を使い切るには、えっと最低でも13万円分の食事をしなきゃね・・・ってえことは、11万円以上は自腹を切れと、そういうことですね」
スーツ君II 「えっと、そう・・・ですね」
パパ 「ふーん、で、有効期限はどうよ?・・・って、あと一月半しかないじゃない」
スーツ君II 「はい、これは××屋さんの新装を記念した短期限定のサービスになっておりまして」
パパ 「は? 新装記念?・・・サービス・・・よくもそんな。新装記念にいきなり客を騙してどうしようっていうのよ。えっ? 騙してるってつもりは無いの? ホントに? ウッソだー。」
スーツ君II 「ええ・・・あの、お得だと思うんですけど・・・」
パパ 「じゃあさ、このメモあげるよ。次のお客様にはこのメモを見せながら、割引券セットはたったの5千円だけど、あと食事代としてほんの11万円以上自腹を切ってください。そうしたら、何とたったの2万円しか割引を受けられませんけど、それでも良ければ買わないか、と最初からきちんと説明しなさいよ。」
スーツ君II 「はあ・・・」
パパ 「それから、有効期限は1ヶ月半だって最初にはっきり言わなきゃダメだよ。あなたの都合の悪い条件を後から小出しにするのは反則だからね。ついでに、鉄板焼き食べ過ぎてどうなっても知りませんけど、まあ、どうせ使えっこないから大丈夫でしょうねって、お客様の健康まで気をつかってあげなよ。最後に、人のいいお年寄りなんか絶対騙しちゃだめだよ。」
スーツ君II 「はあ・・・それで、いかがでしょう、随分お得・・・」
パパ 「いらないに決まってるでしょ!! 何考えてんのよ。もしかして、あなた、人の話聞いてないね。」
スーツ君II 「そうですか(ってバカかこいつ)・・・、あっ、そうだっ、それでは河豚の食事券なんかどうでしょうか? ご家族もさぞお喜びになると・・・」
パパ 「(たまらず)ワハハハっ・・・頼むから去ってくれー」
 
 はあ、おばかを相手にしてたら折角のプリンが温まってしまった。
 
 
 
 それから暫くして日が傾き始めた頃、作業服姿のその人はやってきた。今度は30才半ば位のおにいさん。本日3件目かよ、やれやれって感じで応対。
 
あんちゃん 「ちはっ、○○ハウスでーす」
パパ 「はあ、何でしょ。」
あんちゃん 「今、このあたりのお宅の外壁とか屋根裏、床下なんかの無料点検サービスに伺ってるんですよ。」
パパ 「それは、お疲れ様。でもウチは全然大丈夫。無料サービスでも必要ないから、帰って下さい、さようなら・・・」
あんちゃん 「いや、そう言わずに、無料サービスですから」
 
(ちょっと面白いかも・・・)
 
パパ 「はあ・・・でもね、どうせ『無料』って奴を押し売りしてさ、床下見せろだの、あそこがあーだのこーだの言って、さんざん人様の不安を掻き立てといて、見積しますねーっていうパターンなんでしょ」
あんちゃん 「いや、でも、家は大切な物ですから、やはりきちんとメンテを・・・」
 
(こんな奴の話は最後まで聞かない)
 
パパ 「ほらっ、やっぱり何かの工事したくて来てるんじゃない。あのさ、あなたね、基本がなってないのよ。」
あんちゃん 「はっ?(思いっきりムッとして)いや、ウチは、市内でも一番実績があるんですよ。皆さん、ウチの工事は気に入って・・・」
パパ 「違う!! そういう事じゃなくてさ。あなたは訪問目的をちゃんと説明してない
あんちゃん 「はあ? いや、ですから、今回伺ったのは、床下などの無料点検サービス・・・」
パパ 「だから、それはあなたの目的じゃない。あなたの目的は、他人の家にいちゃもんつけて、とは言わないけどさ、何だかんだ言って少なくとも見積出すところまで漕ぎ着ける事でしょ。それで万が一でも受注できればいいなと。いや、あなたが僕を騙そうとしてるとは言わないよ。でもさ、目的はサービスなんかじゃない。立派な商談目的でしょ。」
あんちゃん 「はあ、まあ」
パパ 「だったらさ、商談目的で来ましたって最初に言いなよ。何でもやりますから工事の受注を下さい、お願いしますって最初に頭を下げるのさ。最初に頭を下げるってのは商売のイロハだよ。受注頂くために見積を出させてください、そして見積を出すために床下を拝見できませんか、工事そのもの以外は当然無償です、と、まあ、こういうふうに結論から入って、分かりやすく話をするのが基本ルールってものじゃないの?」
あんちゃん 「はあ、それで、あの、無料ですので床下を・・・」
パパ 「だ、か、ら、無料、無料って押し売りすんなって言ってるでしょ。インターネットで、そうだな・・・、『訪問販売』で検索してみなよ。そしたら、あなたたちのような商売の方法がどのぐらい迷惑がられてて悪評を立ててるか良く分かるよ。」
あんちゃん 「しかし、無料なんですから・・・」
パパ 「そのさ、『無料なのに何で床下見せないんだよ』っていう横柄さが一番嫌われる理由なんだって、それぐら分かれよ。今時ね、『無料』っていうのは『悪徳』の代名詞みたいなものなの。『無料』ベクトルはお客様の信頼とは逆方向の悪徳側を向いてるんだよ。『儲かる』って漢字は、『信頼される者』って書くのさ。あんたたちってさ、お客様の信頼にお尻を向けてさ、何やってるんだか分かってんの?」
あんちゃん 「しかし・・・」
パパ 「そうじゃなくて、『受注したいから見積させて下さい。勿論見積は無料です』って本当の目的をちゃんと言って、最初に頭を下げなさいって言ってるでしょ。何で僕がこんな基本的なことを無料で教えなきゃならんのよ。まあ、頭下げられても、あなたの会社なんて相手にしないけどね」
あんちゃん 「あの、じゃ・・・」
 
 なんだ、結局頭も下げずに帰ったな。頭の下げ方も知らずに営業回ってんのか・・・。無能だな。やれやれ。こんなことなら「ウチの親戚は大工さんだから・・・」で速攻断れば良かった。
 
 長くてごめんなさい。疲れたー。

■くみちゃんのパパさんから、5回目の投稿です。いつも楽しい投稿をありがとうございます。
 
■しかしお見事な撃退っぷりです。「失われた大陸」の時の娘さんの見事な対応は、ウチのサイトよりもお父様直伝なのではないでしょうか(笑)。
 
 ・・・で、その娘さんのプリン・・・。いや、上蓋の所有権って・・・(笑)
 その後の展開が、とても気になります・・・。昔、同様にプリンやヨーグルトの上蓋やお菓子の袋の所有権を主張しまくっていた身としては(笑)。
 
 私の場合は、大喰らいの弟その一と、お調子者の弟その二に対抗して、なんですけれど。
 特に弟その二は、冷蔵庫を開けてプリンを三個見つけたら、三人兄弟なのにもかかわらず「二個ぐらい食べられるかな」と素でそう考える奴だったので・・・。書きましたとも。蓋にマジックで名前を、デカデカと。お陰で親には今でもネタにされますが(苦笑)。
 
 容器に中身を含ませて考えてくれる家族で、良かったなあ・・・(笑)。

(2006.6.8)