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共同研究


  2006年10月7日 ニュー・エコノミー研究会 (同志社大学アメリカ研究部門研究4と共催)
  報告 篠崎彰彦 (九州大学) 「情報技術革新と米国経済――ニュー・エコノミーとその後のアメリカ」
  報告 地主敏樹 (神戸大学) 「ニュー・エコノミーの考え方――論点整理」
 

記録1

1.地主報告
 まず、本科研全体は、ニューエコノミーとはなにかという点からスタートします。基本的には、好景気が長く続いたことと、失業率が低下し、生活水準が上昇した。それで、好景気が続いて、基本的には景気循環のあり方が変わったのではという議論が出てまいりまして、中には、景気循環がなくなったいう議論もありました。もう一つは株価の上昇です。それも最初のうちは企業の利潤の上昇を反映していたし、それから、新しい会社がどんどん起業されて、株式も上場された。ところが、90年代終わりから2000年代の初めにかけて、調整が行われた。
 経済学者やエコノミストにとって、好景気の進行にもかかわらず、金利が上がらなかったことが注目点だった。というのは、金融を引き締めると、どうしても好景気は終わって、景気は交替してしまう。
もう一つは生産性、今日の篠崎先生の話がハイライトになります。90年代の半ばはなかなかはっきりしなかったが90年代後半に生産性がすごく伸びた。
 一番わかりやすい答えのように言うと、みんながハッピーになった。それから生活費がどんどん上がってきた。中位所得を見ても、90年代半ばから末にかけて、上がってきた。90年代後半のアメリカの景気がよくて、失業率が減ったと同時に、年収46,000ドルから56,000ドルの世帯では所得も生活水準も上がっていた。
 株価は、DJも、NASDAQも上がりました。レーガン政権の80年代ですが、インフレは抑えられたが、失業率がほとんど10%近くにまで上昇しました。90年代には失業率はどんどん下がって、インフレ率も下がっていった。
 90年代ですが、失業率は下がっていくのに、インフレ率まで下がったのはなぜか。一番大きいのは、生産性です。技術革新の影響で、生産のコストが下がった。IT革命のインパクトについては、篠崎先生のこの本『情報技術革新の経済効果』(篠崎彰彦、日本評論社、2003年)で、かなり詳しく検討されていますが、IT革命は、経済学でどう捉えればいいのか。一つ大きな部分はやっぱり情報の関連性、誰でも、世界中から情報検索ができるし、世界の一番安いものを買うことができる。
 それから政策を行う人にとっても、商売をやる人にとっても、情報がどんどん入ってくる。どれだけ成長するのかという情報が手に入って、かつ自分のパソコンで分析して、個人の働き方も、企業の組織も変わりましたし、企業と企業の間の関係も変わった。
篠崎先生の今日の話の中で、一番大きなポイントは、生産性のパズルとか、あるいはソローのパズルと言われるものです。1980年代から90年代の初めにかけて、コンピュータ関係の投資を、企業が行ったにもかかわらず、生産性は伸びなかった。ところが、90年代の半ば以降になってかなり生産性が伸びた。
 生産性を測るのに、一番簡単なのは労働生産性です。生産するときに、どれだけのものをインプットで購入して、どれだけoutputができるか。社会全体をみると、生産性が高ければ、一定の人たちが働いて、たくさんのものができる。各国の生活水準を決めるのが生産性です。
 労働生産性というのは、労働者1人が1時間で働いて、どれだけのものが作れるのか、ということです。分母の労働時間を測定するのか簡単ではない。生産性は企業レベルとか、産業レベルとか、あるいは経済全体のレベルとか、あります。
 その考え方を経済全体に当てはまると、成長会計の分析となります。社会全体のGDPの成長率は、技術のレベルの変化、労働生産性、時間と人数、機械設備の投入などが基本です。
基本的に、ITの資本ストックと資本ストックを分けて考えます。生産性のパズルといわれるように、新しい技術が出てきてもそれを使いこなすには、企業の組織とか、機械設備の配置の仕方などがかかわり、100%適応するにとは時間がかかる。IT革命が入って来たときに、アメリカはすごく生産性の伸びに貢献にしたけど、日本はそうではなかった。国によって、なんでそんなに違ったのか、たんに機械の導入だけじゃだめということでした。

2 篠崎先生
 90年代を大雑把にみると、私は3つの部分に分けて考えます、前半の部分と半ばの部分と終盤の部分。
ソローはノベール賞を取った有名な経済学者ですが、「ソローのパラドックス」というものが指摘されている。彼によると、”We can see the computer age everywhere but in the productivity statistics.” コンピュータはあちこちにあるのですが、生産性の統計ではそれが見えない、と。この議論は3章に詳しく書きました。
 製造業は重要だと言われるのですが確かにそうだとソローは言う。製造業を再生するために、技術などの投資、研究開発などを重視しないといけない、その一つとしてコンピュータを取り上げるとか言われるが、それに対して、ソローはすごく疑問をもちました。コンピュータに投資しても、効果が出ているのかどうか。むしろ反対の結果が出ていると。
 新しい技術に投資しても、製造業が回復しなかったのかなぜか。こういう疑問がでてきたときに、ちょうど88年のとき、労働生産性と全要素生産性について、戦後の73年、オイルショック前ぐらいの生産性とその以降の生産性と比べ、いろいろ計り方があって、どちらを測っても、マイナスになる。それがソローの問題意識でした。これはパラドックスだとしたわけです。
 パラドックスが起きる理由については、いろいろな議論があって、つまり歴史的、時間的なものでは、こういう技術は5年や10年とかではできない、やっぱり1世代、2世代かかる。
たとえば、アウトソーシング(外部委託)を考えた場合、外に出された会社は不効率になっちゃう。ここではマクロ分析しないといけない。
 それからネットワークの面で、インターネットを使えるようになった。商業利用が91年に実質的にできるになった。それから投資部分は安価にできる、これに90年代の技術的な背景が重なってくる。その結果、生産性について、実証分析では、経済全体をみると、オフセット効果がありまして、ミクロは各企業、企業がうまくいけばいいですけれども。産業レベルの分析、サービス化、そういうところを分析することは必要です。
 成長会計で重要なのは、労働生産性は資本深化、つまり、労働者は技術と組み合わせることにより、全要素生産性(MFP)が上昇する。たとえば、いちいち会社に行かなくても自宅でもできる。さらに生産性が上昇する。資本深化(Capital Deepening)の部分は、ITとどうかかわるのか、が問題となります。
 アメリカ経済は再生して、いまはITも増えた、生産性も上がっている。いま言ったような議論を整理すると、もともと70年代から80年代にかけて、情報化社会論とか、かなり未来論的な議論が出てきた。ところが、現実的にはアメリカ経済がよくなったので、アメリカ経済は90年代中盤に、インフレ率は抑えられて、失業率が下がって、成長力は高まって、景気の持続力があって、今度はだんだん楽観論になり、ソローのパラドックスは、ニュー・エコノミーという形で、解決を見た。ただし、終盤には、過剰な収益見通し、特にテレコム関係の猛烈な過剰投資が合って、バブルとなったのです。

 なぜ生産性を重視するのか、という問題ですが、生産性というのは、1人当たりの付加価値で、資源配分の効率性、生活水準とかに関係してきます。資源をいくら投入しても、マーケットで評価されなければ、効率は上がりません。小さな数字で大きな意味がある。今まで見ている数字は本当に小さいな数字ですが、もっている意味が大きい。それは装置をつくるために、研究して資源をいっぱい投入した。全体的にみると、1.5%しか生産性が上昇しないと、「2倍豊かな社会」になるのはだいたい孫の世代となります。ところが3%上昇だったら、子供の世代になる。生産性の歴史をふりかえると、1820年代に産業革命が広がって、それ以降長期的には、生産力が上がっても、人口も増えるので、1人あたりはあまり増えてない。ところが、産業革命以降になると、子供の世代は親と全然違う生活をしている。
 20世紀の歴史を見ると、1913年では日本のGDPは、世界平均より低かった。アルゼンチンは西欧より高かった。1998年には、アルゼンチンの1人当たりGDPは西欧の半分ぐらいです。
 コンピュータは単なる情報処理マシンから有効なコミュニケーション・ツールとなっている。質的にも量的にも変わった。制度とか組織とか、制度の補完性などが重要になり、組織内、組織間、企業構造への変革、および株主総会などを含め、情報技術に関しては、どんなふうに組織や制度を変えていくのか。情報技術によって企業の枠を変える。可能な企業の構造がどういうふうに変わるのか、資産の管理とか、労使関係、制度の親和性、会社の法制など、さまざまな問題領域があって、単に投資すればいいというわけではない。
 1990年代のアメリカはよかったですが、90年代の序盤は投資ブームで、中盤になって、低い失業率、終盤はバブルでした。情報技術革新がもたらしたものは、1992年から1994年における雇用なき回復、それで、1994年から1998年は健全な拡大期で、低い失業率と低いインフレ、それから財政再建と経済再生、それから過剰な期待と楽観がうまれて、最後は1998年から2000年にバブルの発生となった。アメリカの労働市場は非常に柔軟なので、景気が悪くなると、就業率はすぐ落ちる。合計2年半ぐらい失業率は悪い。
2000年以降はオフショア・アウトソーシングが広まり、現在の情報化とグローバル化の中では、サービス産業のインプットとアウトプットを分けることは可能になった。後半のバブルのとき、ISバランスをみてみると、大きく崩れるのは98年以降で、企業と家計と政府と考えると、双子の赤字のときには、それが政府の赤字ですね、90年代になると、企業が投資しても、バランスが崩れていない。家計の方では住宅投資が伸びます。98年の後半では、企業収益は赤字、家計も赤字、政府だけが黒字でした。
 1990年代経済再生の仕組みを見ると、企業はIT投資して、たとえば通信業界の投資規模を見ると、90年代中盤は54,573ドル。98年には81,555ドルになった。アメリカの90年代の経済再生の枠組みは、一つは技術革新で、あとは、制度の親和性、最後は内外の経済環境です。2000年代米国の潮流変化は、2001年に3つのことがあり、政権交代、経済では景気の後退、社会では9.11テロです。変化を読み解くキーワードとは、平和の配当、財政規律、資源配分(民間、ハイテクから政府、従来型産業へ)でした。90年代は政府より民間の方が増えていて、2000年以降は民間が減って、政府の方が増えている。


記録2

<質疑応答>
(発言者の特定がされない部分が多い。要ご海容)

地主:
IT革命は、アメリカでは大きな効果があったのですが、日本の場合は、どうでしょうか?
日本はそんなに低くないが、アメリカと比べると、生産性の貢献がそんなに大きくなかった。内製(企業内部の人が作ったもの)ソフトをはずしてしまうと、日本のIT投資はアメリカより低いことになるですが、それを入れると、日本はそんなに低くなくて、もしかしたら高いかもしれない。
 ここは金額の方は日本の方が大きい。IT供給産業、製造業とサービス業を分けて、労働生産性の伸びはどうなっているのか。この中で日本のIT利用産業のサービス部門はゼロです。IT投資はしているですが、労働生産性には貢献してない。

篠崎: アメリカはIT投資高い産業が伸びているが、日本は低いです。どうして国別の違いがあるのか。それぞれの国の経済システムの違いを注目する必要がある。アメリカでも日本でも大きく動いたのは派遣社員ですね。日本では派遣は自由化し、インターネットで検索できるから。企業組織の方はまだ分からないですが、日本はバブル崩壊後、いろいろな過去に成功してきた日本の組織、年功序列とか、給料体系とかいろいろ言われたですけど、外部の労働市場が評価されることになった。企業の経営も変わった。企業間関係はバブルの崩壊と関係があって、系列を超えて、相手のものを買うこともある。卸売り会社はどんどんつぶれました。理由はコストです。
 日本型経済システムというのは、80年代末に、よくできたものだと、注目もされた。企業と雇用、企業と企業の関係など、企業の中でも製造部門と研究部門が情報を共有する。バブル崩壊といっても、日本はまだ強いところが残っている。
 分配面では、格差は確かに拡大している。生活水準は上がった。ニュー・エコノミーになって、アメリカ経済が上昇して、みんな不満がたまっているのでは、と言われたが、実際はそうじゃない。クリントン政権のときに、年金、雇用は増えて、大きな問題がなかった。これからどうかはわかりません。

 取引費用が下がるのは生産性が上がるためですか?
それから、労働生産性は就業者ベースに見ているけれど、就業者じゃない人はどうなっているのか?就業者はペイ労働者だから、自分の家で仕事をしている人たちはどうなっているのか?計測していないじゃないの?GDPからみると、どうかな?労働の生産性だけ上がるのかおかしい。

篠崎:産業構造とか、働き方によるマクロ・データは計測できないところもある。就業者別、家計別にみると、結構いいですね。

秋元:歴史的な話になりますが、73年までのアメリカの経済成長の要因はどうですか。まず、第二次大戦の影響は大きいと思う。つまり、50年代、60年代企業の設備投資のかなりの部分は戦中に政府が負担して行い、戦争が終ってから、すごく安い価格で払い下げしました。政府が土台を作ったために45年以降、民間企業は設備投資は増えなくても、しかし、生産性はどんどん上がっていく。生産性上がる一つの原因はそういうところにもあったと思います。73年以前は、日本は分配面から行くと、賃金が上がってない、しかし、アメリカは73年まで賃金が生産性に見合う形ですごく上がった。73年以降は、アメリカ経済の余力がなくなって、あまり飛躍できなくなった。逆に、日本の場合は73年以降が上がって、80年代まではアメリカには負けない。

篠崎:企業投資の日米比較では、アメリカの場合は、60年代の設備投資は年7.6%、日本は19%。日本はその後、80年代投資ブームが起きて、ミクロでは省エネ投資をして、ハイテクへの投資もあった。ところがアメリカはそのときに全然投資しなかった。資源配分のシフトは進まなかった。投資はやはり技術制約とか、資源制約とかと関係がある。日本の場合は90年代投資が全然小さい。日本は80年代にかなり投資した。資源制約があったのは70年代。技術はフロンティアに直面したのは80年代でした。この本では第5章で詳しく紹介した。銀行は新しい金融手法を開発して、サービスに用いた。
まず、投資の質が違う。2つ目はGDPとの関係です。3番目は価格です。同じソフトでも、日本のものにすると、同じ性能のものは2倍ぐらい価格が変わる。

秋元: 90年代が平和の配当といわれているですが、今はどういう状況ですか。

篠崎: 80年代あれだけ財政赤字が広がって、金融市場で、金利が高くなって、民間企業でお金が借りられなかった。90年代は金利が下がって、民間企業は成長して、2000年代は、金利はそんなに上がってないですが、もちろん政府の赤字は広がっているけど、民間の家計貯蓄がなくなった。資金の供給面の問題とか、資源配分はちょっと90年代と違う。

質問: 実質的金利はどうなっているのですか?日本は実質金利は結構高かった。
     ITエコノミーと戦争の関係はどうでしょう。
村山: 一つの違いはRMAですね、軍事革命と言われるとおり、戦争のやり方からすべて変わってしまっている。国際関係も全部変わってしまう。90年代アメリカのIT、民間のIT率はどんどん増えて、その中で、民間の方が技術高いから、民間のものを軍に引き入れて、つまり、民間のIT投資が軍を助ける構図です。
中国ファクターが入っている。2001年、WTOに加入して、中国から安い日用品が入ってきて、中国にかなり外貨が入って、日本と違う、中国は戦略的にストックを使うから怖い。
日本は80年代、あまりそういうことは国際関係で持出さなかった。

 中国のケースは、あまり心配してない。外貨準備が増えているが、データをみると、直接投資と貿易収支ではない、統計上は短期の資金移動は認めてないから、どこから入ってくるのか分からない。とにかく、元高になる予想も入っている。民間の人たちは中国に入っている人は住宅を買って、香港株を買ってとか、その点ではどうでしょうね。
 面白いのは、中国の資金は香港ドルの投資もある。、税金の問題とか、統計上はなかなか掴まらないものがある。 
比率的にはどのぐらいですか?

 半々ですね、それが日本人はそこでマンションをかったとか、中国で働いている人は香港の口座に給料を入れているから、その外貨の計算方法はいまも分からない。

 生産性の上昇は計測の仕方がクロス・カウンティングを使って、生産性が上がって、賃金が上がって、資本深化があるから、労働の生産性が上がるかどうかです。
 日本のケースで、深尾さんたちのデータをみると、90年代、銀行の預金とか、銀行の投資先をみると、生産性の悪いところは増えているね。例えば、サービス業とか、建設業とか、生産性高いところはかえってシェアが減っているんですね。日本の場合は、政府の公共投資と関係するところに、特に90年代の半ばまで、景気対策としてこういうことをやっているときに、重要なのは、資本蓄積だけじゃなくて、労働の限界生産性を高めるような周辺の仕組みは重要なポイントで、例えば、働く環境とか、働き方とか、あるいは産業間の労働移動とか、そこがわからないと、クロス・カウンティングだけを見てもわからない。

 そこは分析しないといけないですが、投資をしたから上がるのでなくて、周りの企業改革とか、教育の問題が重要でしょう。
 人材対応ですが、既存の従業員を研修したり、いろいろ効果があるのですが、日本の会社は組織の向上性とか社会から専門の人を雇うことがほとんどないですね。

 どのぐらいの数の企業ですか?
 分析できたのがサンプル3500ぐらいです。

 基本的に、ITは2つの側面があって、投資と需要、それがIT産業を活性化させていく。さらに、制度基盤、既存の仕組みと付加価値を生み出すこと。制度基盤はすごく重要で、新規産業が生まれるかどうか、労働市場も、労働者教育の問題、制度的な基盤の問題とうまくかみ合わせてはじめて、全体的な効果が出てくる。

 産業構造はどうですか?
 生産性は産業により明らかに違う。20年ぐらい、30年ぐらい、10年ぐらいを分けてみると、国際競争している家電とか、自動車とか、機械とか、30年だと、労働生産性は大体年平均は5から6ぐらい上がっている。同時にデーフレーターが3から5ぐらい落ちている。最悪は建設業、30年ぐらい労働生産性はゼロで、デーフレーターは5以上になっている。

 交通はどうですか?
 交通はだめです。トラックとか上がっているんですが、交通は競争していないからだめです。本当かどうかわからないですが、結果的に見るとそうですね。
 ITが入ってくると、日本でなくなった職業とかありますか?

 卸業は減りました。
 逆に新しくできた職種はなんでしょうか?
 楽天とか、yahooとか、ライブドアなど。

 アメリカで、生産性は高いままでいるのですが、その辺はどうですか?
 基本的には、生産性は、構造変化を受けて、2003、2004年ぐらい資源配分が変わった。また折り返してきて、そこにお金はちゃんと入って、日本だと、結局政府が介入するから、アメリカはあいう仕組みは強いと言えます。

 80年代はそうじゃなかったが、いまは変わり続ける技術が起っている時代です。
フォードのT型のときに、こういうクルマ社会になることは誰も想像できなかった。パラタイム変化を起すような力とか、自動車とか、道路も変わってくるので、社会は全部変わる。国別で全部違うね。

 19世紀は法律が変わって、その当時の経済とかも変わって、今回の場合はどうでしょう?
 アメリカはITのインフラは増えて、IT革命が入っているところで、アメリカ政府による新しい制度作りがあります。
 具体的はどういうことですか。
 例えば、ネット上の所有権とか。
 新しい労働のための訓練はどうですか?
 経済学者の考えだと、生産性の高い人は賃金が高い。生産性の低い人は賃金が低い。社会には当然留保賃金(国別に社会的選択の結果、就業する場合の最低賃金レベル)があって、ここが失業のポイントになる。技術革新によって、90年代が何が起きたかというと、よりできる人は賃金が上がって、電話交換手とかは賃金が下がった。格差が広がって、失業のポイントは上がってしまう。

 クリントン政権期では、一部民間に任せるようになる。雇用の数字をみると、ヘルプサービス、人材派遣のところは一番増えている、90年代、アメリカの大統領経済報告だと、シングルマザーの収入が増えている。
格差確かによくないですが、みんな貧しく平等ということもいいことではないです。アメリカは、豊かな人はますます豊かになって、豊かじゃない人は豊かじゃない。ブッシュ減税はそうだった。スーパーリッチはさらにスーパーになって、しかし、貧しい人も多少減税の恩恵をこうむった。

 次世代の選択はわれわれがしないといけない。19世紀に産業革命に乗れたのは日本だけです。
中国は成長しても日本のGDPの10分の1しかない。

 世界最小のコンピュータが作られて、商業化されたのは1950年代、ネットワークに関しては、1969年ですね、ただ、社会的に出てくるのは、世の中は発明とかじゃなくて、社会化していくのは90年前後、ソフトと、ハードとうまく調和させて、素人でも使えるになった。大統領戦が終って、財政再建、民間企業が反対して、平和の配当の効果と結びついて、90年前後の時期は非常に面白い。
 1990年代、第三次産業革命だと言われますが、工業の時代から情報の時代への転換期は90年代からです。

 制度の問題はなぜITと関係があるのか?

 市場というものは、制度がきっちりしていてはじめて機能する。制度はフォーマールとインフォーマールがあって、技術変化は制度変化の原動力になる。中国では知的財産権はなかった、そういうのはやっぱり時間がかかる。取引費用とか、すごく重要。だから、経済のすべてを分析しないといけないことです。

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