☆ 星くずの”たわごと” 07 ☆   更新日: 2018年06月25日

** 人間の体を作っている原子はずっと昔に爆発した古い星の内奥部で作られた。その意味で人間は星くずからできているといえる。 **
** 人間の体を作っている原子は原子核とその周りをまわる電子からできているが、その間はとても広く、何もない真空といえる。 ****

                                                  
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☆ 2018年06月25日 : エピソード 住所”平野字向切詰506-296”

 道路でレンギョウの剪定をしていたところ、外国の旅行者2人(男と女)が大きなスーツケースをガラガラと引きずって私のところに近づいてきました。道に迷っていることがすぐにわかりました。案の定ホテルがどこにあるか教えてほしいということでした。どこのホテルかと聞くと、スマホの画面を見せながら、平野506-296のXXホテルを示しました。写真も見せられましたが、聞いたたこともないホテルでした。
水彩画作品62:ラナンキュラス 満開のシモツケ(バラ科) 五日市の南沢アジサイ山

 問題は住所の番地です。平野506−296の番地は、富士急別荘地のある山全体の番地です。その番地でスマホ(GPS)で検索すると、私のログキャビンを指すようになっているのです。最近は年に10回以上、道がわからないといってホテルやペンションの場所を聞かれます(私は庭で作業をして過ごす時間が多いせいもあります)。車で迷っている旅行者が多いのですが、今回は外国人で、それも歩いて迷っていました(以前には、冬の雪道を大学生十数人が道がわからず、尋ねられたこともあります)。もちろん日本語は話せなく、私のところにたどり着くまで恐らく人には誰とも会わなかったのでしょう。

 それで、スマホに表示されていた電話番号に電話をかけて、ホテルにどこにあるのかと聞いたのですが、要領を得ませんでした。私の場所を教えても、向こうはわからないと言います。困ってしまって、旭日丘の交差点の富士急別荘管理事務所まで迎えに来れるかと聞いたら、ホテル側はそこなら知っているので車で迎えに行くということでした。それで、二人には、ホテルの人が車で迎えに来るということを話し、事務所までの道を教えました。しかし、大きなスーツケースを引きずりながらでは大変そうなので、車で事務所まで送ることにし、そこで待つようにと話しました。二人は、男性はオマーンからで、女性はタイからということでした。山中湖はたいへん美しいと喜んでいました。二人を事務所の駐車場まで車で連れて行ってやりました。

 その後連絡はなかったので、おそらく無事にホテルニ到着したと思われます。私のBroken Englishも捨てたものではないと思いました??なお、ホテルやペンションでは平野506−296の番地は使わないようにしてほしいですね。旅行者はペーパーの地図を持っている人は皆無です。富士急別荘地の住居表示を使うべきだと思います。でも、お陰で?いろんな人と会話ができ、面白い体験を得ることができて結構楽しんでいます。

第16章:発生における特異的遺伝子発現

 第16章と第17章は、生物の”発生”に関する話です。最初に”幹細胞”の発見に関する序章を紹介します。

 「マーク・ヘドリック博士は脂肪に関心があった。自分の脂肪ではなく他人の脂肪に。ロサンゼルスの形成外科医として、彼の仕事の一部は、不必要な脂肪を取り除く脂肪吸収を行うことであった。博士はこの余った脂肪が何かの役に立たないかと考えた。手袋に付いた脂肪を顕微鏡で見て、博士はその細胞が骨細胞に似ていることに気づいて驚いた。どうして取り除いた脂肪組織の中に骨細胞があるのだろうか。ヘドリック博士は脂肪の中には幹細胞があるのではないかと考えた。幹細胞とは分裂能力のある、分化していない細胞で、必要に応じて多くの異なる種類の細胞を産み出すことができる細胞である。この場合、幹細胞が産み出すことができるのは発生学上脂肪に関する細胞、例えば骨細胞、」軟骨細胞、血管細胞、筋細胞に限られるだろう。」

 「しかしこの脂肪由来の生体幹細胞は、動物の体の中でも文化可能だろうか?ラットとマウスを使った実験で、これらの幹細胞が臓器に移植可能であること、移植された組織に応じた細胞に分化することが明らかになった。すなわちこれらの細胞は損傷を受けた心臓、骨、血管などの治療に応用可能であることが明らかになったのである。脂肪由来の幹細胞を用いることの利点は、患者自身の細胞を用いることができるということである。第15章で見たように、免疫系は非自己組織を認識し拒絶する。自分自身の脂肪由来幹細胞を用いれば、移植組織の拒絶は起こらないだろう。ヘドリック博士は、患者が損傷を受けた心臓などの治療のために待機しているあいだに、手術室で素早く脂肪から幹細胞を分離できる機器を開発した。治療のためには2億個の幹細胞があれば十分で、これは450グラムの脂肪から調整可能である。最近、日本で3人の女性が自分の脂肪から調整した幹細胞を、乳房切除術施行後の乳房の再建のために移植した。テーラーメード医療の時代が始まったのである。」

 「この素晴らしい医学技術の基礎には、発生遺伝学の大いなる進歩がある。生体内での幹細胞分化の基盤となる現象は、発生期に胎児で起こる幹細胞分化の基盤となる現象と同じである。我々の発生遺伝学の知識の多くは、モデル生物、例えばショウジョウバエ、線虫、カエル、ウニ、シロイヌナズナなどの研究から得られた。11.1節で見たように、すべての真核生物のゲノムは驚くほど似ていて、発生の基盤となる細胞原理・分子原理もまた似ているのである。このように、1つの生物での発見は、我々人間を含む他の生物を理解するのにも大いに役立つ。」

 そうですね、我々人間も、生物学的には線虫やハエ、ナズナなどとたいして変わらないのですよね。


☆ 2018年06月17日 : 今時、マルクス&エンゲルス??

 5月の末、神保町岩波ホールで上演されていた映画「マルクス・エンゲルス」を鑑賞してきました。たまたま新聞の映画欄に掲載されていたのに目が留まり、珍しい映画なので観にいってみました。1月14日付の”たわごと”では、「現代資本主義とマルクス思想」というタイトルで、NHKTVの番組「欲望の資本主義2018」をコメントしましたが、最近再びマルクス主義に興味を持ち、すこし勉強しています。

 映画の内容は、パリで若きマルクスとエンゲルスが運命の出会いを果たし、その出会いが、やがて時代を超えて読み継がれる「共産党宣言」の誕生へと連なっていく、革命夜明け前の二人の活動の話でした。

 パンフレットの簡単な解説を掲載しておきます。 「1810年代のヨーロッパでは、産業革命が生んだ社会のひずみが格差をもたらし、貧困の嵐が吹き荒れ、人々は人間の尊厳を問われて、不当な労働を強いられていた(現代も程度の差はあれど、構造的には何ら変わりはありません)。20代半ばのカール・マルクスは、搾取と不平等な世界に対抗すべく独自に政治批判を展開するが、それによってドイツを追われ、フランスへと辿りつく。パリで彼はフリードリッヒ・エンゲルスと運命の再開を果たし、エンゲルスの経済論に着目したマルクスは彼と深い友情をはぐくんでゆく。激しく揺れ動く時代、資本家と労働者の対立が拡大し、人々に革新的理論が待望される中、二人はかけがえのない同志である妻たちとともに、時代を超えて読み継がれてゆく”共産党宣言”の執筆に打ち込んでゆく−−−」
水彩画作品61:奥据花湿原

 もう一つ。 「レーニン、ゲバラ、カストロ、マンデラ・・・。20世紀を代表する変革の指導者の前には、いつもマルクスとエンゲルスがいた。本作はドイツ、フランス、イギリス、ベルギーを舞台に、二人が「今日までのあらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である」という有名な言葉で始まる”共産党宣言”を執筆するまでの日々をドラマティックに描く。」

 「マルクスとエンゲルスは何を考え、何と闘い、何を成し遂げたのか 世界中に貧困と格差が広がる今日、彼らのエネルギーが私たちに突き付けるものとは−−−」

 現在のプロレタリアート(労働者)はどこへ行ったのでしょうか?世界は、超巨大資本主義国家アメリカが、パックス・アメリカーナのもと、世界を蹂躙しています。パレスチナ・イスラエル戦争、イラク、シリア戦争、アフガニスタン戦争、朝鮮戦争・・・いたるところアメリカによる強引な世界戦争がありますが、共産主義革命の展望はほとんどないのが現状です。マルクス主義思想が現代ではどのような意義を持つのか私にはよくわかりませんが。


☆ 2018年06月10日 : 初夏の花が満開です(2)

 庭には、私の大好きなヤマボウシが満開となっています。ベニヤマシャクヤクもようやくピンクの花を咲かせてくれました。その他にヒメシャラがきれいな花を咲かせています。

 先々週報告したシジュウカラの子育てですが、先週末に巣にしていた洞は空っぽになっていました。無事に育って、子供は飛び立っていったのかどうか確認できません。元気で湖畔の森を飛び回っていることを祈念します。

水彩画作品60:全生園の桜 ベニバナヤマシャクヤク ヤマボウシ


☆ 2018年06月04日 : 初夏の花が満開です

 庭にはサンショウバラが満開となっています。昨年に比べて花付きはよくないようです。その他に、アヤメ、マーガレットなどが咲いています。

 今週末は、第203回オサカベホームコンサートに参加しました。奥様が、体調は万全ではないけで、これからも続けていくと力強い話をされました。今後とも期待したいと思いますが、お体にはぜひ気を付けていただきたいものです。演奏者は、黒須やすこさんで、モーツアルト、ショパン、リストなどのパリに関係した作曲家の曲を中心にピアノ演奏されました。
サンショウバラ(村の花) 鬼押し出しからの浅間山 ヒカリゴケ(鬼押し出し)

第15章:免疫:遺伝子と生体防御システム(その3)

 最初に脊椎動物の非特異的生体防御システムの話となります。非特異的防御システムとは、病原体の種類を問わずに、それらが体内に侵入するのを防ぐシステムです。時間的にも部位的にも、生体防御システムの第一線ということになります。脊椎動物の特異的生体防御システムは5億年前に進化したと言われているそうですが、非特異的生体防御システムはそれよりもはるか前に進化したと考えられているそうです。ヒトの代表的な防御を列挙します。

 1)物理的な体表バリア: 病原体や異物の体内への侵入を防ぐ。皮膚、表面粘膜(気道、消化管、泌尿器、生殖器など)、
                 粘液細胞による粘液排出、鼻毛、絨毛など
、2)正常微生物叢:     病原体と生存競争して抑制する。皮膚に住みつく細菌やカビ、大腸に住む細菌類など
 3)化学性防御:       唾液、涙、胃液、胆汁塩(小腸)
 4)非特異的防御(防御タンパク質、防御細胞):
  @補体システム:      血液中の30種類程度の抗微生物タンパク質から構成される。微生物を破壊する
  Aインターフェロン類:   ウイルスに感染した細胞から分泌される抗微生物タンパク質。未感染細胞の感染を防ぐ
  B貪食細胞:         体内に侵入した病原体を貪食して破壊する。マクロファージ、好中球、樹状細胞
  Cナチュラルキラー細胞: ウイルス感染細胞や癌細胞を攻撃して破壊する

 体表面あるいは体内の組織損傷をもたらす感染などの事態に、生体は小分子や酵素を放出して炎症応答(発赤、発熱、、腫張、疼痛)を行います。隣接細胞への病原体の拡散を抑え、防御反応を高めるとともに、病原体や破壊された組織を消化して除去します。生体防御システムは、”細胞シグナル伝達”システムによって発動されるのだそうです。この仕組みはとても巧妙に出来ています。

 以上のような非特異的防御システムを病原体がかいくぐると、生体は病原体に特異的な防御システム(免疫システム)で対応することになるそうです。特異的免疫システムの4つの特徴が述べられています。

 1)特異性:     ”T細胞受容体”とB細胞が産生する”抗体”は、正確に非自己もしくは変性した自己物質(”抗原”という)を認識して結合することにより、特異的生体防御システムが稼働する。抗原には特異的な局所部位(”抗原決定基”)があり、T細胞や抗体はその抗原決定基に特異的に結合するのだそうです。
 2)自己と非自己: ヒトの体内のどの細胞も多くの抗原決定基をもっており、免疫システムは抗原が自己のものか非自己のもの(異物)かを正確に識別し、自己を攻撃しないようになっています。
 3)多様性:     病原体や異物、細菌などはほぼ無限に存在するが、このような多様な抗原決定基を認識して、それにのみに特異的に対応します。
 4)免疫記憶:    ある新しい病原体に応答すると、免疫システムはその病原体(抗原決定基)を”記憶”し、再度その病原体が侵入してきたときは初回よりも迅速にかつ強力に応答します。予防接種のワクチンはこの免疫記憶を利用したものです。

 特異的免疫システムには、2種類の反応、”液性免疫応答”と”細胞性免疫応答”があるそうです。益々難しくなってきました。2つの応答は、時間的にも機構的にも協調して機能するそうです。

 1)液性免疫応答:  血液、リンパ(液)、組織液中で、抗体が病原体の抗原決定基に結合します。動物はその生涯にわたって遭遇しうるほとんどすべての抗原に対して結合可能な多種の抗体を産生します。ある抗原が体内に最初に侵入してくると、その抗原と結合しうる抗体を細胞表面に備えたB細胞がその抗体を認識して結合します。するとB細胞は活性化され、その細胞膜抗体と同じ特異性を持った水溶性抗体を大量に分泌し始めるそうです。

 2)細胞性免疫応答: 動物自身の細胞に出現した抗原を標的とし、ウイルス感染細胞、変異細胞、移植細胞などを認識して破壊するそうです。この応答は、リンパ節、血中、細胞間隙のT細胞(T細胞表面のT細胞受容体)が担うとのことです。T細胞受容体に抗原が結合すると、免疫応答が開始され、多くの場合非自己細胞や変異した自己細胞は完全に破壊されてしまうそうです。

 免疫応答に関係する”ワクチン”は、我々にとってとっても身近なものです。先ほど述べた”免疫記憶”を利用して、ワクチン(弱毒化した病原体)を事前に接種することによって、その病原体に対する免疫(メモリー細胞)を人為的に獲得し、危険な疾患に対しての生体防御を事前に用意するシステムです。すなわち、ワクチン接種によって一次免疫応答が誘導され、疾患を発症することなくメモリー細胞が形成され、その後、同じ抗原(病原体)が体内に侵入してくると、既に準備されている特異的メモリー細胞はその抗原を正確に認識して、実働部隊のリンパ球や抗体を大量に生産し、侵入者を直ちに撃退するというわけです。呆れるようなすごい仕組みですね。

 ワクチンが有効なヒト疾患の例を少し掲げておきます(カッコ内は病原体)。
 1)細菌による疾患:    破傷風(破傷風菌)、ジフテリア(ジフテリア菌)、髄膜炎(インフルエンザ菌)、結核(結核菌)、腸チフス(チフス菌)、
                 コレラ(コレラ菌)・・・
 2)ウイルスによる疾患: B型肝炎(B型肝炎ウイルス)、はしか(麻疹ウィルス)、インフルエンザ(インフルエンザウイルス)、
                 流行性小児まひ(ポリオウイルス)、三日はしか(風疹ウイルス)、天然痘(天然痘ウイルス)・・・

 続いて教科書では、液性免疫応答と細胞性免疫応答および多様な抗体の生成メカニズム(分子レベル)について詳細に述べていますが、あっと驚くような驚異的システムが生体内で働いていることがわかります。内容はとても面白いのですが、図などを用いないと説明することができません。我々の体が、この精巧で巧妙な免疫システムによって病原体や異物から守られているのを知って、感動すら覚えてしまいました。

 最後に、免疫系が正常に機能しないとき何が起きるのかが述べられています。免疫システムは非常に複雑で様々な細胞間相互作用が関係しているため、いろいろな段階で破たんをきたすことも多いとのことです。免疫システムは軍隊と同じで、安全のためには必要であるが、それが弱すぎても強すぎても、そして狂った場合には大問題になると言ってます(戦前の日本軍のことを言ってるようですね?)。過剰反応が”アレルギー”であり、異常反応が自分自身を攻撃してしまう”自己免疫疾患”、機能低下や消失が”免疫不全”ということになるそうです。私はハチによるアナファルキシーショックを経験し、また現在糖尿病の薬アレルギーに悩まされており、その仕組みがようやく少し理解できました。少し説明します。

 1)アレルギー反応:    免疫システムがある抗原に対して過剰(過敏)に反応することです。食物、花粉、虫毒に含まれる抗原(アレルゲン)に個体が初回に接触した場合に、大量の抗体(免疫グロブリン IgE)が産生され、組織の肥満細胞や血中の好塩基球に結合します。その個体がアレルゲンに再度接触すると、先ほどの肥満細胞や好塩基球がアレルゲンに結合し、急速に大量の”ヒスタミン”が分泌され、その結果血管の拡張(発赤)、血管の透過性上昇(浮腫、蕁麻疹)、気道閉塞(呼吸困難)などの症状が出現するのだそうです。まだ理由がわかっていない部分もたくさんあるようですが。

 2)免疫不全疾患AIDS: 免疫不全には先天性のものと後天性のものがあります。免疫不全の患者は、免疫応答を開始することができず、病原体に対する主要な防御システムを働かせることが出来なくなるそうです。”ヘルパーT細胞”は免疫システムのかなめですが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、このヘルパーT細胞を標的としてAIDS(後天性免疫不全症候群)発祥の原因となるそうです。HIVの感染経路には、血液感染、損傷表皮感染そして母子感染があります。AIDSについては世界中で研究されており、その分子的メカニズムがだんだんとわかってきているようですが、まだ不明のことが多いようです。ここでは詳細を省略します。

 長かったですね。でも”分子医学”は我々の疾病に直接関係しているので、ある程度の知識は身に着けていた方がよいのではと思っています。私は益々老いによる疾病が多発してくるので、私の疾病に対してより深く洞察するのに非常に役立つと思っています。これからも勉強してみようと思っています。


☆ 2018年05月27日 : 森友、加計、軍隊、憲法等々、にぎやかですね

 我が家の庭で、先週からシジュウカラが一生懸命子育てに励んでいます。以前から巣箱を作って(3個)、シジュウカラが子育てするのを待っていました。当初は、巣箱に入って卵を産んだのですが、ヘビやカラスに襲われて、抱卵を放棄してしまいした。また、今回の樹木(ニワトコ)の洞にもかつて卵を産んだこともあるのですが、人の気配が原因なのか、ここでも抱卵を放棄していました。最近はシジュウカラの子育てはあきらめていたのですが、先週末に子育てを確認した次第です。親鳥はひっきりなしにえさを運んでヒナに給餌をしています。ヒナの餌を要求する声も聞こえてきます。がんばれ!がんばれ!シジュウカラ家族!!うれしくてしょうがありません。

 親鳥が洞に出入りするところを写真でとろうとしたのですが、危険回避のためかさっと入って、さっと出ていくので取ることができませんでした。左写真の中央やや左に親鳥が移っているのですが、おわかりですか??

水彩画作品59:セメント工場 シジュウカラが右下の洞で子育て中

 昨年の初めころ、安倍、菅の森友疑獄に関する支離滅裂な論理などを取り上げましたが、その後の状況は益々”いい加減かつウソ八百政治”が蔓延しているようです。安倍、菅だけではなく、高級官僚の生きざまも見るに堪えられない醜悪なものです。彼等には”恥”というものがないのでしょうか。

 森友問題や加計学園問題は大衆の目の前ではすでに明らかになっています。イラクや南スーダンでの日本軍の実態と情報隠蔽も明白な事実です。そして、憲法9条については、安倍は何とでも改悪しようと虎視眈々と狙っています。9条改悪はぜひとも阻止しなければいけません。

 ところで、憲法にはもう一つ重要な条項があります。1条の”天皇の地位”です。今の世では、天皇の地位を議論することはタブー視されているようで、天皇制廃止などと言おうものなら、”非国民”と言われ、嫌がらせをされるのではないかと思います。日本共産党でさえ、”天皇制”については当面言及しないことになっています。ところが、朝日新聞が、大胆にも?”天皇制”に関する記事(天皇の交代の話ではない)を掲載しているのを見つけました。掲載されたところが”国際欄”というのも変ですが、石合力氏の劇作家野田秀樹さんに関するエッセイです。以下に紹介します(一部省略)。

”劇作家が問う 天皇制への姿勢” 朝日新聞 5月21日

 「いま憲法改正で9条を語るなら、1条も一緒に語らないといけないんじゃないか」 自作の劇の公演でロンドンに滞在中の劇作家野田秀樹さん(62)から演劇と社会について聞いていたら、そんな挑発的な議論になった。野田さんは1992年に英国に留学し、ロンドンに自宅も持つ。英国から日本を相対化してみるとき避けて通れないのが象徴天皇制を定めた1条だとみる。特に意識したのは95年、オウム真理教による地下鉄サリン事件が起きた時だった。事件後、教祖としての神格的存在から被告人になったのが浅原彰晃(松本智津夫)死刑囚だ。 「信徒の浅原に対する見限り方とか、そのままついてい言った人間の姿は、45年の天皇制に対する日本人の態度と非常に似ているような気がするんです」

 戦後、大半の日本人は天皇制の問題をまともに考えず、迷ったまま生きてきた。それを清算せず、なし崩し的な対応を続けた結果が、戦後50年の節目に起きたカルトの問題ではなかったのかという見立てだ。「君主制にしたい、あるいは1条はおかしい、という議論もしないといけないんじゃないか」 中略 ・・・

 野田さんの発言は続いた。「政治家には忖度させようとか窮屈にさせようという気はないと思います。でもそうせざるを得ないよううになっている。それは自主規制する国民性の問題じゃないか」 長いものに巻かれる。空気を読む・・・・。そんな日本社会の特質は、天皇制にしっかりと向き合ってこなかったことと無関係ではないという指摘だろう。言葉遊びと風刺、比喩を交えて社会を鋭く見つめてきた野田さん。次の作品ではどんな問いを投げてくれるのだろうか。

 以上ですが、野田氏は天皇制を取り上げているのは確かのようですが、何を言わんとしているのか私にはよくわかりません。イギリスのような敬愛される開かれた君主制にしろと言っているのか、それとも天皇制を廃止することも考えるべきだと言っているのか、文章から読み取れません(読解力が弱いのかな?)。また、石合氏も野田氏を利用して?何を読者に伝えようとしているのかもわかりません。評論家?の文章は私にはどうも気に入りません。でも、私はこのご時世に、”天皇制”を考えようという文章がブルジョア新聞に掲載されていたのに、ちょっと気をひかれたということです。
 


☆ 2018年05月20日 : 畑の種撒き、苗植えが終わり、初夏の花が満開です

 今週末は、土曜の夜から翌日の朝方にかけて雨が降りました。日曜の朝は雨が上がったのですが、かなり冷え込みました(朝の気温は8℃でした)。畑の苗植えや種まきをほぼ終了しました。すべて畑の周りをネットで囲い、シカ君と対峙する準備もできました。そのシカ君ですが、午前近くの林で7,8頭群れて草を食んでいるのを見かけました。敵さんも元気のようです。


 大学生物学の教科書は、前回に続いて、第15章の生体防御システムの話を続けます。
水彩画作品58:バラの花 超満開のセイヨウシャクナゲ 超満開のフジサンシキウツギ

第15章:免疫:遺伝子と生体防御システム(その2)

 動物はさまざまな病原体(疾患の原因となる生物(細菌)やウイルス)によって攻撃されますが、それに対する精巧な”生体防御システム”によって病原体を撃退し、自身の生体を防御します。この生体防御システムの基本は、”自己”(自分自身の分子)と”非自己”(外部からの分子)を識別し、”非自己”に対して攻撃するのが基本です。すなわち、生体防御システムは、原則”自己”を攻撃することはありません。

 生体防御システムは大きく2つに分かれるそうです。 (* ”非特異的”とは汎用的対応といった意味で、”特異的”とは個別的対応といった意味です。)
1)非特異的防御(自然防御): さまざまな種類の病原体から生体を防御する生まれつき備わったシステムで、病原体に対して迅速に反応します。侵入者を非特異的に障害する分子や、侵入者を非特異的に取り込む”貪食細胞”(マクロファージ、好中球、樹状細胞等)などがあります。ほとんどの動物や植物にこの防御システムが存在します。

2)特異的防御(適応防御): 特異的な病原体のみを標的として攻撃しますが、そのシステムの構築にはやや時間がかかります。しかし、いったん出来上がれば、長期に維持され、当該特異的な病原体に対し速やかに攻撃します。このシステムでは、例えば血中に侵入したウイルスを特定し、それに結合し、”抗体”を用いて攻撃します。

 脊椎動物には、非特異的および特異的な防御システムが両方備わっており、それらは協調して機能するそうです。特異的防御システムは強力ですが、威力を発揮するまでに数日から数週間を必要とすることがしばしばであり、そのため初動対応としては非特異的防御システムが対応するのだそうです。「1個の細菌が1日で2000万個にも増えることを考えれば、感染を水際で食い止める非特異的防御システムの役割は大きい。」ということです。

 哺乳類の防御システムの構成要素は体中に分布しており、ほとんどすべての組織や器官と相互作用をしているそうです。そのうち、リンパ組織(胸腺、脾臓、リンパ節等)は特に重要な構成要素ということです。これらの活動の中心は血液とリンパ液なります。私は今まで”胸腺”のことを全く知りませんでした。胸の真ん中あたりにある組織で、リンパ組織にとってとても重要な組織だそうです。また、リンパのことも名前を知っていただけで、その組織や働きについては、白血球が病原菌と戦っているといったこと以外、ほとんど知りませんでした。生体についてはほとんど”無知”といったところですね。

 リンパ(液)は、血液やその他の組織由来の液体で、体中の細胞と細胞の間の空間(細胞間隙)に蓄積しており、この空間からゆっくりとリンパ系脈管へt流れていき、最終的には太い1本のリンパ管である胸腺へと集合するのだそうです。教官は静脈(左鎖骨下静脈)に繋がっており、この脈管系によって組織からしみ出たリンパ(液)は再び血液循環系に戻ることになるそうです。なお、リンパ組織は、血液のような閉鎖循環系ではなく、開放循環系であり、中心組織から末端へリンパ(液)が流れることはありません。リンパ管のところどころには、小さな球状のリンパ節という組織が付随し、そこにはさまざまな種類の白血球細胞が待機しており、リンパ(液)がリンパ節を通過するときにろ過が行われ、生態系防御系細胞によって非自己物質が監視されるとのことです。

 多くの人が名前を知っている”白血球”は、実は生体防御システムにおいて多彩な役割を担う複数の細胞の集合体の名前です。1μlのヒト血液には、通常500万個の赤血球と7000個の白血球が存在するそうで、これらの細胞は骨髄の多能性幹細胞から産生されるのだそうです。そして、骨髄幹細胞は常に分裂し、様々な血液細胞を供給するのだそうです。その血液細胞の系図を以下に記してみます。

 骨髄=> 多能性幹細胞 |=> 骨髄系前駆細胞 |=> 赤血球、血小板
                |              |
                |              |=> 顆粒球 (好塩基球、 好酸球、 好中球、
                |                        肥満細胞、 単球、 マクロファージ、 樹状細胞)
                |
                |=> リンパ系前駆細胞  => リンパ球 (B細胞、 T細胞、 ナチュラルキラー細胞)
                                   * 顆粒球とリンパ球を合わせて白血球という!!

 白血球は、哺乳類の赤血球とは異なって細胞核を持っており、無色だそうです。白血球は血管中にも存在しますが、閉鎖循環系(毛細血管)から滲出(しんしゅつ)して細胞間隙を遊走します。白血球は非自己細胞や物質を監視します。血中やリンパ(液)中の白血球数は病原体が侵入してくると急激に上昇するのだそうです。そのため、病院で血液検査をすると白血球数が出てくるのですね。今後はこの数値も注視しなくてはいけないようです。

 個体を防御する細胞群は、細胞同士、あるいは侵入してきた病原体と相互作用をしますが、細胞間の相互作用には、さまざまな鍵となるタンパク質が必要となります。ちょっと難しいですが、代表的なものを掲げ、概略を説明します。
1)抗体(免疫グロブリン): 免疫システムによって非自己(あるいは変質した自己)と認識された物質に特異的に結合して、それを障害するタンパク質です。これは、B細胞から分泌され、防御武器とも言えます。

2)T細胞受容体: T細胞表面の膜たんぱく質で、他の細胞表面に提示されている非自己物質を認識して、結合します。
3)主要組織適合抗原遺伝子複合体(MHC)タンパク質: 哺乳類のほとんどの細胞の表面に突き出ているタンパク質で、自己を同定するための重要な標識となります。
4)サイトカイン: T細胞やマクロファージなどから分泌されるシグナル伝達タンパク質で、標的細胞に結合してその活動を制御(活性化と抑制)します。

 とりあえず、今回は生体防御システムの詳細に入るにあたっての全般的知識のお話で止めておきます。次回からは、非特異的および特異的生体防御システムの詳しい話に移りたいと思います(難しすぎて端折るかもしれません)。  


☆ 2018年05月13日 : 人類の味方?生体防御の話

 今週末は、比較的穏やかに晴れましたが、朝晩はやや冷え込みました。2、3日前には、一時的ですがヒョウも降り、強風が吹いたようです。庭はカラマツの枝が大量に落ちており、掃除に追われました。でも、先週植えた野菜の苗は、寒冷紗をかけておいたためか、難を逃れることができました。

 庭にはいろんな花が咲いており、心を楽しませてくれます。

水彩画作品57:西桂公園 満開のウワミズザクラ 満開のガマズミ

 第14章:”分子生物学、ゲノムプロジェクト、医学”に続いて、第15章も分子医学の話です。内容はアレルギーを含む生体防御(免疫)の話です。私は、近年、花粉症の症状は和らいできたのですが、代わりに?糖尿病等の薬によるアレルギー(薬の副作用)に悩まされ、QOL(生活の質)が多いに下がってきています。例えば、2年ほど前には、糖尿病の薬を切り替えた所、激しい口内炎?が発症し、口内が激痛で食事をとるのが困難な状態がありました。これは明らかに薬に対する過剰なアレルギー反応です。その後再び薬は切り替えたのですが、今度は足首から腰まで、皮膚に強い発疹(アレルギー反応)が出て、かゆみに悩まされています。さらに、腹痛や便が軟らかくなるなどの症状(過剰免疫反応)も発症し、現在はやむを得ず当該薬の投与を少し抑えています。また薬の副作用とは違いますが、私はここ数年でスズメバチ等に3回ほど刺されました。そして、2回目、3回目はアナファルキシー・ショックに見舞われました。これも、生体防御(免疫)の過剰反応によるものです。

 ということで、私にとっては、本章の生体防御システムは重要な生活向上対策の対象となっています。実際本章を読むことによって、生体防御とアレルギーについて多くの知識を得ることができました。もちろん、生体は複雑怪奇で、現在でもよくわかっていないことがたくさんあるようですが、これからも私の生活向上にとって大きく関わっていく課題であると認識しています。


第15章:免疫:遺伝子と生体防御システム

 まずは、ワクチンの話が序章に述べられているので、掲載します(一部省略)

 「1777年1月6日、若き合衆国の革命軍司令官のジョージ・ワシントンは主治医に以下の手紙を書いた。”天然痘が蔓延し、細心の注意を払っても軍隊での伝染を防ぐことができないという恐怖から、軍隊で予防注射をすることを決定しました。このような脅威が続くのであれば、それは敵の剣よりも恐ろしいことです。”」

 「ワシントンは経験に基づいて語っていた。彼自身、10代だった1751年に天然痘に罹患して生還していた。1776年、戦死者1000人に対して、天然痘で1万人が死亡している。兵士に予防注射が行われると、革命軍の天然痘による死亡率は激減した。ワシントンの軍隊の予防注射は、新しい患者の天然痘膿疱からの分泌液を健常人に少量摂取するものであった(訳注:しかし、一部はこの注射により天然痘を発症してしまう)。当時はその理由はわかっていなかったが、天然痘から回復したワシントン自身が免疫を得たように、このような予防注射を受けた人々は重篤な天然痘の免疫を得た。」

 「20年後、イギリスの片田舎の医師エドワード・ジェンナーは、乳しぼりの女性は牛痘という軽度の感染症にしばしば罹患するが、当時のイギリスで猛威をふるっていた天然痘にはほとんどかからないことに気づいた。この2つの感染症に交叉耐性があると考えて、ジェンナーはある実験を試みた(それは現代では非倫理的として到底容認されない臨床試験であった。・・・現代医学の発展の陰には、このような非人道的なことが多く存在しています。関東軍741石井部隊による中国での人体実験もその一例です。」

 「ジェンナーは牛痘の痂皮(乾いた膿疱(かさぶた))をこすり落として、ジェームズ・フィップスという少年の上腕のひっかき傷に振りかけた。当然ながら、ジェームズは軽度の牛痘にかかった。6週間後、ジェンナーは今度は天然痘の痂皮でジェームズを感染させた。ジェンナーが予測していたように(おそらく、祈っていただろう)、この少年は天然痘にはならなかった。このジェンナーの予防法は”ワクチン接種(種痘)”t呼ばれるようになった。天然痘をそのまま感染させるよりもはるかに安全な予防法として、種痘は急速に広まっていった。やがて、より強力なワクチンが開発され、世界の人々のほとんどに予防接種するという大規模な計画が実施された。1980年までには、この地球上から天然痘は文字通り撲滅された。」

 「ジョージ・ワシントンはどうして天然痘に免疫があったのであろうか。どうして天然痘の予防接種は兵士を救うことができたのだろうか。天然痘ワクチン計画でどうして天然痘は消滅したのだろうか。その答えは我々の免疫系細胞とその分子にある。 以下省略」

 本章も、前章に続いて長くなりそうです。お付き合いをよろしく。


☆ 2018年05月06日 : 好天に恵まれたゴールデン・ウィークでした

 今年のゴールデン・ウィークは素晴らしい好天に恵まれましたね(2日(水)の夕方から3日(木)の朝までは雨が降りましたが)。今年も恒例のログハウスの外壁(西壁)、ドーマ壁とデッキの塗装を行いました(先週のうちに西壁は水で洗浄しておきました)。畑は畝を作り、ジャガイモなどを植えました。まだ朝の冷え込みがあるので、苗が枯れてしまうのではないかと心配です。

 甲府盆地の花見にも行ってきました。最初は山梨市の石森山のつつじ公園に行きましたが、花はもう終わったような感じで、見ごたえはありませんでした。次には、牧丘町のフジを見に行きましたが、こちらは、民家の藤棚に立派なフジが咲いていましたが、やはり今一つでした。最後は、南アルプス市の滝沢川のあやめ公園に行きました。こちらは、川沿いにきれいなアヤメが植えられておりきれいでしたが、人工の花壇のアヤメなので、単にきれいだなといったところでした。だいぶ前に行った櫛形山の山頂で見た野生のアヤメの群落の方がとても印象に残っています。帰りは、久しぶりに”みたまの湯”に寄ってみました。GWの合間のためか、混雑はなく、ゆったりとフォッサマグナ由来?の温泉を楽しみました。

 何年ぶりでしょうか?庭でバーベキューを楽しみました。BBQは楽しいし、おいしく食べられるのですが、準備と後片付けには辟易としてしまいますね。疲れ切ってしまいました。庭では、ヤマツツジ、トウゴクミツバツツジ、クロモジが満開です。草花を買ってきて、花壇にも植え、明るい庭になってきました。今年は、ニリンソウがたくさん咲いてうれしかったです(そろそろ終わりになります)。それに、今年はマムシグサがたくさん(10〜20本)出てきて驚いています。ヤマシャクヤクも元気に白い花を咲かせています。

南アルプス市滝沢川のあやめ公園 久しぶりのバーベキュー 満開のヤマツツジ 満開のクロモジ(花は目立たない)


☆ 2018年04月27日 : 人類の敵?がん細胞の話

 28日(土)からゴールデンウイークが始まります。好天が予想されているので、きっと山中湖も大混雑になるのでしょう。

 今回の大学生物学の教科書では、がんの話があります。実は、先日尿検査で”異形細胞”というものが見つかりました。異形細胞は、器官の悪性がん、良性がんあるいは炎症の疑いがあることを示すものだそうです。早速、腎臓から下腹部までのCT検査(造影剤使用)を受けましたが、腫瘍等は見つかりませんでした。がんの宣告を覚悟していたので、とりあえずほっとしたところです。私自身は”がん体質”?ではないかと思っているので(何度かがんの精密検査を受けています)、今回の話は知識としてとても役にたちました。
水彩画作品55:ナムチェバザール(ネパール) 水彩画作品56:エヴェレスト&ローツェ

第14章:分子生物学、ゲノムプロジェクト、医学 (その3)

 先週の続きです。最初は、最近話題になっている”遺伝子スクリーニング”です。さまざまなヒトの遺伝性疾患の分子表現型と遺伝子型がわかるようになったため、これらの遺伝性疾患が症状を出現する前でも診断することが可能になったそうです。この遺伝子スクリーニングにより、遺伝性疾患にかかっている人、かかる可能性が高い人、あるいはキャリアーを見いだすことができるということです。遺伝子スクリーニングは、@タンパク質発現の利用と ADNAテストの2つの方法があるそうです。タンパク質発現スクリーニングの代表例が、フェニルケトン尿症テストであり、これは簡便で安価な方法で、新生児スクリーニングに使われているとのことです。DNAテストは異常遺伝子を最も正確に、そして直接的に検出できる方法だそうです。いろいろの例が述べられていますが、ここでは省略します。

 次は、一般の人にも関心の大きい”がん”の話です。ここでは、体細胞の遺伝子変異が原因であるがんについてです。冒頭に次のような序文があります。「癌ほど先進国の人々の恐怖となっている疾患はほかにはないだろう。アメリカ人の3人に1人が、一生涯に何らかの癌を発症しており、現在、4人に1人がそのために死亡する。合衆国では、年間に100万人が新たに癌と診断され、50万人が死亡し、死亡原因は心疾患についで、3位を大きく引き離して2位を占めている。癌は1世紀ほど前にはそれほど一般的ではなかった。当時は、現在でも発展途上国ではそうであるように、感染症が主な死亡原因であり、癌になるほど長生きできなかったのである。癌はおおむね高齢者の疾患である。若年者では癌は比較的少ない。」 「合衆国政府は”癌との闘い”を1970年に宣言し、以来、癌細胞に関する膨大な情報(その増殖、浸潤、そして分子生物学的変化など)が得られてきた。最も重要な発見は、これらの変化の多くは細胞分裂の際の体細胞のDNA変異である。」

 がん細胞は、それが由来する正常細胞とは大きく次の2点で異なるということです。
 @がん細胞は細胞分裂の制御を失っている: 体内の細胞のほとんどは細胞外からの情報(例えば増殖因子やホルモンなど)に応じて細胞分裂を行いますが、がん細胞はこれ等の制御系に応答しなくなり、多かれ少なかれ持続的に分裂を繰り返し、腫瘍(細胞の巨大な塊)を形成する。
 Aがん細胞は別の組織に拡散する: 最も恐ろしいがん細胞の特徴で、周囲の組織や別の場所へと広がっていくことです(”転移”という)。さまざまな段階があり、まずは、がん細胞は周囲の組織に浸潤し、分解酵素を分泌して細胞や組織外マトリックス(スペース)を分断します。次に、一部のがん細胞は血流やリンパ流に侵入していきます。ところが、この脈管系の”旅”はがん細胞にとって命がけなのだそうで、生き延びるのは難しく、がん細胞1万個に1個程度であるそうです。しかし、運よくがん細胞にとって住みやすい(増殖しやすい)新たな組織にたどり着くと、新たな細胞表面の接着タンパク質を発現して、そこに定着し、新たなすみかに浸潤を開始します。やがて、新天地のがん細胞はホルモンを分泌して、周囲に血管を新たに張り巡らせて(”血管新生”)、酸素と栄養素を十分に得られるようにするのだそうです。ウイルスもすごいですが、がん細胞も、自立心?を持ったとっても立派な細胞なのですね!!

 がんには様々な種類がありますが、ヒトの腫瘍の約85%は狭義のがん(悪性上皮性腫瘍)であり、皮膚や器官(胃や大腸など)を覆っている上皮細胞に発生するのだそうです。肺がん、乳がん、大腸がん、肝臓がんはみな悪性上皮性腫瘍のことです。”肉腫”は、骨、血管、筋肉といった組織由来のがんで、白血病やリンパ腫は血液を造る造血系細胞由来のがんということになるそうです。

 一部のがんはウイルスが原因だそうです。以下に例を掲げます。
 @肝臓がん: B型肝炎ウイルス Aリンパ腫、上咽頭がん: エプスタイン-バーウィルス BT細胞白血病: ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1) C性器肛門周囲がん: パピローマウイルス Dカポジ肉腫: カポジ肉腫ヘルペスウイルス

 ウイルスが原因のがん以外では、がんの85%は遺伝子変異によるものだそうです。がんが発症するためには、加齢に伴って一連の遺伝子変異が蓄積することが必要と考えるのが妥当だそうです。遺伝子の自発的な変異は、ヌクレオチド(DNA)の化学的変化です。さらに、発がん物質といわれる化合物がDNA変異を起こし、発がんします。発がん物質には、化学物質や放射性物質がありますが、あまり知られていないのが、我々が普段口にする食物にも何千という天然発がん物質が含まれているということです。ある推計では、このよな天然発がん物質が、ヒトが晒される発がん物質の80%以上を占めているといっているそうです。

 がんの核心と言えるのは、細胞分裂の制御機構の変異ということになるそうです。ヒトのゲノムには、細胞分裂を促進する”がん遺伝子”と細胞分裂を抑制する”がん抑制遺伝子”が存在し、この遺伝子機能のアンバランスががん細胞分裂を発現するのだそうです。ここでは、その仕組みに触れるのは、とても複雑巧妙な仕組みのでやめておきます。


☆ 2018年04月23日 : 我がログキャビンも春満開です

 20日(金)から22日(日)の3日間、山中湖も夏日に近い好天に恵まれました。我が家のフジザクラも満開となり、サクラのピンクとレンギョウのレモンイエローとが素敵なコラボレーションを見せてくれました。5月からの野菜の苗の植え付けあるいは種まきに備えて、先週に続いて畑の土起こしを行い、肥料を撒いて、畝を作りました。今年の作物の成長が楽しみです!そして、花壇の周りにはネットを張り、シカ君との戦いの準備をしました。更に、更に、恒例のログハウス壁面の塗装に向けて(GW始めにやる予定)、西壁の水洗いまでやってしまいました。いやー、3日間毎日朝から夕方まで作業したので、腰と腕が疲れ、へとへとになってしまいました。

 畑仕事ばかりでは何ですから、近くの春を探しに行ってきました。富士吉田のフジザクラまつりは21日スタートでしたが、中の茶屋付近はフジザクラはもう終わりで、少し上に行ったところで満開を迎えていました。やはり、1、2週間早いようです。次に、富士河口湖の創造の森のミツバツツジまつりに行きました。こちらはまつり自体がまだのようで、人は少なかったのですが、それをあざ笑うかのように?ミツバツツジ゙は大満開で、とっても素晴らしかったです。何か例年より花付きがよいように感じましたが、錯覚でしょうか?最後に鳴沢の道の駅に行きました。こちらは国道沿いにミツバツツジがこれが目に入らんかと言わんばかりに咲き誇っていました。道の駅は何度か行っているのですが、こんなに豪華に咲き誇っているミツバツツジを見たのは、”私の記憶の限りでは”初めてのような気がします。花の美しさにつられて、大金を払ってミツバツツジの木を2本買ってしまいました。

 東京の家の近くの雑木林では、イチリンソウとニリンソウが咲いています。毎年咲くのが楽しみで、今年も見ることができ感激しています。
我が家のフジザクラとレンギョウ 野菜畑の畝作り完了 河口湖創造の森のミツバツツジ 東京の雑木林のイチリンソウ

 大学生物学教科書は、第14章に入ります。遺伝子異常、異常タンパク質による疾患や癌に関する分子生物学的医学の話で、我々にとっても大変関心のある話です。

  第14章:分子生物学、ゲノムプロジェクト、医学 (その2)

 疾患について、異常タンパク質が原因の疾患とDNA異常による疾患とが述べられています。遺伝子変異は、しばしば正常(”野生型”ともいう)とは異なるタンパク質を産生し、生物にいろいろな影響を与えます。原則として、タンパク質をコードしている遺伝子の変異は、遺伝性疾患の原因となる可能性があることになります。タンパク質には、酵素、受容体タンパク質、輸送タンパク質、構造タンパク質、その他あらゆる種類のタンパク質が含まれます。詳細の記述は省略しますが、例として6つの遺伝子の変異が原因であるタンパク質異常とその疾患を記します。
 a.機能不全酵素:       フェニルケトン尿症(PKU) ・・・   フェニルアラニンヒドロキシラーゼというたった一つの酵素異常が原因
 b.異常ヘモグロビン:     鎌状摂家級貧血症 ・・・       βグロビンの146個のアミノ酸の6番目のグルタミン酸がバリンに置換されている
 c.膜タンパク質の変異:   家族性高コレステロール血症(FH) ・・・ 肝細胞の表面幕にある受容体タンパク質の840個のアミノ酸のうち
                                        1個のみが異常である
                   嚢胞(のうほう)性線維症    ・・・ 1アミノ酸置換のために膜タンパク質である塩化物イオンチャネルが欠損している
 d.構造タンパク質の異常: デュシェンヌ型筋ジストロフィー ・・・ 機能するジストロフィン遺伝子が存在しないため、骨格筋の正常構造が保てなくなる
                   血友病 ・・・               血液凝固タンパク質のいずれかが欠損している

 タンパク質の異常は遺伝子の変異だけが原因ではなく、その立体構造(コンフォメーション)が原因である場合があります。タンパク質が遺伝子をもとに産生されるときは、長いペプチドの鎖(ポリペプチド鎖)ですが、そのポリペプチドは複雑に折りたたまれ、正しい立体構造をとることによって、機能を発揮することになります。ところが、ポリペプチド鎖が正しく折りたたまれず、不正な立体構造をとると、それは正しく機能せず、疾患の原因になりえます。皆さんもよく知っている脳に穴が開いてすかすかになり、スポンジ状になる伝達性海綿状脳症(TSE)はタンパク質のコンフォメーション病の例です。1980年代、イギリスでTSEを発症したウシは、スクレイピー(ヒツジやヤギのTSE)のヒツジから作られた資料を食べたのが原因だと判明しました。牛海綿状脳症(BSE)の肉を接触したヒトも同様な疾患を発症し、”狂牛病”と恐れられたのは、皆さんの記憶にあると思います。その他に、クールーというTSE様疾患があり、これはニューギニアのフォア族がヒトの脳を食する習慣(弔いの儀式の一環)によって異常タンパク質を摂食したのが原因だったそうです。この異常タンパク質は、タンパク質性感染性粒子(プリオン)と命名されています。

 病因を単一タンパク質の異常、すなわち単一遺伝子の変異と特定されるヒト疾患は数千に及ぶと考えられているそうです。しかし、多くの疾患は、多数の遺伝子、数多くのタンパク質、そして環境との相互作用が原因と考えられるそうです(”多因子性”)。各個人を遺伝的に正常、あるいは異常(変異)と識別することがよくありますが、実は遺伝子の総合的な影響は、高脂食を続けて食べていても心筋梗塞にならない、逆に一生懸命節約してもたやすく心筋梗塞になってしまう、あるいは病原菌が感染すると重篤になる、軽症で済むというように、環境に対する応答性が個体によって大きく影響しているといえるそうです(私の糖尿病もそのとおりであると思います!!賛成!!)。

 ヒトの遺伝性疾患の遺伝様式は多様だそうです。遺伝性疾患をもたらす遺伝子座も、他の遺伝子座と同様に、常染色体か性染色体に存在し、優性遺伝または劣性遺伝の形式が考えられるそうです。詳細は記述できませんが、遺伝様式と疾病例を以下に記します。
 a.常染色体劣性遺伝: フェニルケトン尿証(PKU)、鎌状摂家級貧血症、嚢胞(のうほう)製線維症
 b.常染色体優性遺伝: 家族性高コレステロール血症
 c.X染色体劣性遺伝:  血友病
 d。染色体異常:      脆弱X症候群

 続いて、分子医学の重要な目標の一つである疾患の原因となる遺伝子変異を見いだす方法が述べられています。詳細を述べるのは無理なので、概要だけを列挙します。
 a.異常なタンパク質から遺伝子を特定する ・・・ 鎌状赤血球貧血症(βグロビン)
 b.染色体欠失から病因遺伝子とタンパク質を探す ・・・ デュシェンヌ型筋ジストロフィー症
 c.遺伝子マーカーにより病因遺伝子を探索する(ポジショナルクローニング) ・・・

 男性と女性ではDNA変異の影響が異なるそうです。哺乳類卵は、受精の直後、卵の核と精子の核が融合する前には、1つの細胞内に、それぞれ半数体の前核、すなわち卵由来の核と精子由来の核が存在します。この2種類の前核を識別することが可能なのだそうです。そして、マイクロピペットで前核を除去したり、別の卵に移植したりすることが可能になっているのだそうです。恐ろしい技術ですね!!研究室で2つの精子由来の前核、あるいは卵子由来の前核しか持たないマウス接合子(二倍体細胞)を実験的に作成することが可能ですが、この場合はその接合子は生体に達することはないそうです。雄と雌は基本的には必須ですが、雄と雌のゲノムは基本的に同等ではないということだそうです。その遺伝子が雄由来なのか、雌由来なのかによって、その表現型への影響が異なる場合があるそうです。この現象をゲノムプリンティング(刷り込み)というのだそうです。その典型例として、ヒト15番染色体の小欠失の遺伝による表現型が述べられています。
 a.母親由来の15番染色体の欠失 ・・・ エンジェルマン症候群(やせ、大きな句碑、下顎の突出などの特徴的な容貌と精神遅滞)
 b.父親由来の15番染色体の欠失 ・・・ プラーダー・ヴィリ症候群(背が低く肥満、手足が小さい)

 第14章は長いのですが、我々の関心のある医療に関することが多いので、まだ続けたいと思います。残りは次回に回します。


☆ 2018年04月15日 : 山中湖にも春がやってきた

 道志の道の桜前線は、最上部まであがってきました。道の駅のサクラは満開!きれいですね。

 山中湖の我がキャビンでは、生け垣のレンギョウとフジザクラが満開となりました。昨年より1週間ほど早いようです。いよいよ山中湖も春本番となりました。

 
道志の道の駅のサクラと道志川 山中湖にも春がやってきた 水彩画作品54:渡良瀬渓谷鉄道

 大学生物学教科書は、第14章に入ります。遺伝子異常、異常タンパク質による疾患や癌に関する分子生物学的医学の話で、我々にとっても大変関心のある話です。

  第14章:分子生物学、ゲノムプロジェクト、医学

 今回は14章の本論に入る前に、序文を紹介します。皆さんも多分知らないと思いますが、カナダケベック州の開拓者のゲノムの話です。

 1535年、フランス人探検家ジャック・カルティエがカナダのセント・ローレンス川を遡り、先住民のイコロイ族のスタダコナ町(現ケベック・シティ)に到着した。それから70年後に、サミュエル・ド・シャンプランは28人の農夫とともに、先住民のアルゴンキン族が「川が狭まるところ」という意味でケベックと呼んでいた地に到着した。

 それから150年のあいだに、1万5000人の人々が初期開拓者に合流していった。その半分は厳しい生活に耐えられずに帰国し、さらに何千もの人々はより肥沃な南部や西部の農地を求めて離れていった。結局、2600人ほどが残り、子供が生まれ、現在のカナダのケベック州という輝かしいフランス系カナダ社会の源になった。文化的および宗教的伝統が強く残り、フランス系カナダ人は自分たちの社会内で結婚する傾向が保たれた。今日でも600万人におよぶケベック系住民の約3分の2は先の2600人の初期開拓者まで祖先を遡ることができる。例えば、1657年に結婚したピエール・トランブレー、アン・トランブレー夫妻には12人の子供が誕生したが、その子孫28万人がケベック州に住んでいる。

 フランス系カナダ人は遺伝学の金鉱山と言える。巨大な集団のほとんどが限定的な祖先に由来することがはっきりしているため、創始者(一番初めのカップル)の父親と母親に存在していた遺伝子座は、創始者が多数存在する集団よりも、はるかに多く共有されている。さらに、ケベックには社会医療保険が確立しており、医療情報が集約化されているため、個人の医療情報を容易に得ることができる。

 母方および父方の祖父母ともフランス系である何千人ものフランス系カナダ人のゲノム・マッピングが行われた。このゲノム”金鉱探査”ではSNP(一塩基多型)の探索も行われた。創始者(祖先)から遺伝した可能性のある患者とSNP(一塩基多型)との関連づけが試みられた。そのような疾患には特定のSNPが高頻度で見られるだろう。遺伝子型と表現型(SNPと疾患)の連鎖は、その遺伝子が疾患の原因かあるいは発症促進と関係していることを示唆している。腸管の重篤な炎症性疾患であるクローン病や皮膚疾患の乾癬(かんせん)などと連鎖する遺伝子がいくつか特定されている。ある疾患に関連している遺伝子が特定されれば、次はその遺伝子の機能を明らかにし、治療法を探っていくことになる。

 現在までのところ(そして、これからも多くの場合)、疾患の治療は”トップダウン”である。疾患の症状をなくすことが最終的なゴールとなる。感染症の一部は、病原微生物についての知識や有効な抗生物質の開発により、比較的容易に治癒させることが可能になった。しかし、多くの複雑な疾患が人々を苦しめている。癌や心臓疾患の治療は未だ確立していない。分子医学は遺伝子、タンパク質、そして環境間の相互作用についての理解を深めることによって、疾患の原因を明らかにすることを目的としている。ケベックで行われた”ボトムアップ”アプローチは、まず遺伝子を特定して、それから病因を明らかにしようとするものであり、疾患の解明、予防、治療についての新しい時代を象徴している。 


☆ 2018年04月09日 : 上州、甲州は桜満開、山中湖は早春の花が咲く

 先週の桜ドライブに続いて、今週も桜を求めてドライブしました。まず最初は、群馬赤城山麓(南側)の千本桜、ちょうど桜が満開で、大勢の観光客が見物に来ていました。その次、群馬榛名山の麓の水沢観音に行きました。更に榛名山麓から妙義山へと向かいましたが、途中の道路脇はサクラやハナモモ、ミツバツツジがとてもきれいで、日本の里の春を満喫できました。妙義山では道の駅、サクラの里に寄りましたが、こちらも満開できれいでした。

 先週末に訪れたときは花が一輪も咲いていなかった北杜市の眞原(さねはら)の桜並木に再び行ってみました。今回はちょうど満開で、大勢の観光客が訪れていました。700m近くの並木道は圧巻でした。笛吹市の御坂桃源郷を通りましたが、こちらも先週末とは違い、モモの花がきれいに咲いていました。菜の花も満開で、モモとのコラボレーションがきれいでした。毎年、これが桜の見納めかと思いながら桜見物をしていますが、今年も何とか桜の季節を満喫できました。感謝感謝です。
上州・赤城山南面千本桜 上州・妙義さくらの里 甲州・眞原(さねはら)桜並木 甲州・御坂桃源郷

 一方、山中湖は春満開にはまだまだのようです。おれでも、庭にはヒュウガミズキ、トサミズキそれにダンコウバイが黄色の花をたくさんつけてくれました。本当に、春はもうすぐだよと言っているようです。花では、クリスマスローズ、ネコノメソウも咲き始めました。それにシイタケが大きくなって、収穫することができました。肉厚でとてもおいしかったです。2週間後には、フジザクラやミツバツツジ゙が咲くと思われます(富士吉田ではフジザクラが満開でした)。待ち遠しいですね。

 道志の道は、桜前線が上り始め、村の上部まで桜が満開となりました。村の下部はもう葉桜となっており、今年は2週間くらい早くなっているような気がします。
ヒュウガミズキ トサミズキ ダンコウバイ 豊作のシイタケ


☆ 2018年04月01日 : 甲府盆地は桜満開、山中湖は早春の芽吹き

 先週末は、春を求めて富士川町と石和町をドライブしましたが、今回は、甲府市の子供の国園と千代田湖、韮崎市のわに塚(桜)、北杜市のさね原(桜並木)と尾白の湯と、あちこち周回してきました。天候に恵まれ、春を満喫しました。

 甲府の市街地は、サクラはほぼ満開でしたが、少し高度が高い千代田湖は2、3分咲きといったところでした。
甲府市・子供の国のサクラ 韮崎市・わに塚のサクラ(1) 韮崎市・わに塚のサクラ(2)
 韮崎のわに塚の桜(エドヒガンで樹齢300年?)はちょうど満開で、八ヶ岳をバックにして、雄姿を披歴していました。多くの人が見学に来ていました。

 北斗の眞原(さねはら)の桜並木へ行ったのですが、韮崎の比べ標高が高いせいか、まったく咲いていませんでした。残念!近くの山高の神代桜は、昨年見学したので今回は素通りしてしまいましたが、やはり満開だったのかわかりません。

 帰りに通った笛吹市・御坂の桃が花をつけ始めていました。今週末には見ごろになるのではないでしょうか。

 我が家の庭にも早春の芽吹きが見られました。うれしいですね!
フキノトウ シイタケの子供?


☆ 2018年03月26日 : 山中湖は雪がいっぱいです

 お彼岸に降った雪が庭一面に積もっていました。キャビンに到着すると、道路から玄関までの通路と駐車スペースの確保で、雪かきに追われました。今年はこれを最後にしてほしいですね。

 雪で庭の作業ができないので、春を求めて富士川町と石和町へ行ってきました。富士川の大法師(おおぼし)公園のサクラは来週が見ごろのようです。石和町の桃源郷は、ところどころハナモモが咲いているだけでした(ホームページには25日から桃祭りとあったのですが)。ついでに、根津記念館にも立ち寄ってみました。

 25日(日)は、大菩薩ラインを通って柳沢峠越で東京に戻りました。峠は除雪されており、快適なドライブでした。途中、久しぶりに奥多摩周遊道路を通ってみましたが、スピードを出す車やバイクが多く、不愉快でした。危ないことはやらないでほしいですね。
水彩画作品53:雛あられ 山中湖は雪がいっぱいです

  第13章:組換えDNA技術とバイオテクノロジー

 巨大なDNA(デオキシリボ核酸)分子を解析するために、DNA分子を切断したり修復する操作技術が必須でした。DNAを断片に切断するには”制限酵素”という酵素が使われます。この酵素は細菌(原核生物)に備わっており、ウィルスが細菌細胞に入り込んできたとき、入ってきた2本鎖DNAを切断して、その感染性を失わせるのだそうです。機能的には、ヒトの免疫機能のようなものなのでしょうか。この制限酵素はむやみにDNAを切断するのではなく、ある特定の4〜6塩基の配列部位を認識して、特異的に切断するのだそうです。制限酵素は多くの種類があるそうです。驚きですね。大腸菌などの細菌がどうやってこのような仕組みを獲得したのでしょうか???

 制限酵素で切断された”制限断片”は、”ゲル電気泳動法”によって断片の長さごとに分類されます。続いて、そのDNA断片に存在するだろうと思われる塩基配列に相補的な1本鎖DNAプローブ(探査用DNA配列)を用いて、目的のDNA塩基配列を探し出します。この技術が、警察の犯人特定などに使われる”DNAフィンガープリンティング(指紋)”に応用されています。まいったなーです。一昔前までは想像のつかなかった技術ですね。具体的な例として、1918年のロシア革命で倒されたロマノフ王朝のニコライ二世の家族の埋葬遺体から、遺体を同定することができたことを記しています。また、アメリカで珍重され、非常に高価なシロチョウザメキャビア缶詰をDNA分析で調査したところ、シロチョウザメキャビアのラベルが貼られた缶詰の25%は偽物だったことがわかったそうです。

 生物学者にとってDNAテクノロジーの劇的な応用のひとつが、生物の種の網羅的同定だそうです。このプロジェクトは、”チトクロームオキシダーゼ”という遺伝子を比較して、あらゆる生物の種を特定し、”DNAバーコード”でカタログ化するとのことで、現実に進んでいるとのことです。

 生物学者にとって、DNAテクノロジーの醍醐味は、DNA断片を組み合わせて、自然界に存在しないような新しい遺伝子を作り出すことができる”組換えDNA技術”だといいます。すなわち、制限酵素で切断されたDNA断片を、制限酵素とは異なった種類の酵素”DNAリガーゼ”を用いて連結することができることがわかったのだそうです。1973年、アメリカのスタンレー・コーエンとハーバート・ボイヤーが2つの異なった大腸菌プラスミドを切断し、その断片を連結して、別のプラスミドを作るのに成功しました。これが、”組換えDNA時代”の夜明けとなりました。すなわち、制限酵素とDNAリガーゼという2つの酵素ツール(道具)によって、どの生物由来のDNAであっても切断し再連結して、ヒトの手でDNA(組換え遺伝子)を作製することが可能になったということです。

 しかし、組換えDNAは生きた細胞に導入されなければ、生物学的機能を発揮することができません。遺伝子操作(組換えDNAを宿主細胞内に導入)によって変化した宿主(細胞)のことをトランスジェニック(遺伝子導入)生物というそうです。組換えDNAテクノロジーは原核細菌(大腸菌)を宿主として始まり、輝かしい成功のスタートを切りました。しかし、細菌では、真核細胞の遺伝子転写や翻訳過程に大きな違いがあります(詳細はここでは説明できません)。研究のターゲットは、マウス、小麦、公募、そしてヒト(細胞)へと進展していきました。宿主にどれを選ぼうとも、DNA(遺伝子)を宿主の細胞に運び込む”運搬体(ベクター)”の開発がいつ様です。この遺伝子導入の仕組みはとても巧妙で、ヒトが生物をこんなにも物理的に捜査しても問題ないのかと疑問を生じさせるほどです。しかし、生物と言えども、生体分子による精緻な生化学反応の組み合わせでしかないようにも思えてしまいます。

 ところで、組換えDNAは、実際はどのようにして得るのか?それは、染色体DNAを適当な制限酵素でばらばらにし、それを”遺伝子ライブラリ”に整理保管し、必要に応じて取り出して使えるようになっているのだそうです。まあ、我々ヒトの23対の染色体全体もライブラリに保管されているということです。すごい図書館がありますね。したがって、研究対象のタンパク質のアミノ酸配列がわかっていれば、各アミノ酸の遺伝子コード(暗号)に基づいて、そのタンパク質をコードしているDNAの塩基配列を予想して人工的にDNAを合成することができるのだそうです。また、特異的な変異(塩基の変化)をもったDNA(遺伝子)を作製することができるので、その遺伝子変異の結果を観察し、病気の原因研究や薬の開発に役立てることもできるのだそうです。すばらしい???

 そのほかのDNA組換え技術として、”ノックアウト技術”、”ジーンサイレンシング”、”DNAチップ”などが挙げられ説明されていますが、ここでは省略します。

 最後に、バイオテクノロジーです。バイオテクノロジーとは、生体を利用して食物、薬物、生物材料など、我々が必要とするものを生産することです。バイオテクノロジーが化学として発展したきっかけは、100年ほど前に、ルイ・パスツールの研究によって、特別な種類の細菌、公募、その他の微生物がある種の産物を得るために「生物変換器」として利用できることが明らかになったことだそうです。アレキサンダー・フレミングがカビが抗生物質ペニシリンを産生することを発見し、抗生物質やその他の有用な化合物を生産するための微生物の興行的大規模培養へと発展したそうです。しかし、ホルモンや酵素などタンパク質の生産は、自然の生態からの抽出では非常に限定的であり、産生量は低く、純化するには困難で、費用が掛かります。しかし、”遺伝子クローニング”の登場によって革命がおこったのです。大腸菌や公募にさまざまな遺伝子を導入することが可能になり、その遺伝子を効率よく機能させて目的の産物を大量に産生させること、そして細胞から効率よく精製することも可能になり、微生物は必要な物質を生産する正に工場、多品目に対応できる設備になったと言えるそうです。

 この「遺伝子世代」バイオテクノロジーの成功の鍵は、遺伝子を効率よく細胞内に導入し、そして効率よく細胞に目的の物質を産生させることができる”ベクター”の開発にかかっているとのことです。この詳細な仕組みは巧妙かつ複雑で、ここでは記すことができません。バイオテクノロジーによって多くの医薬品も作られました。その例が掲げられています。
   コロニー刺激因子・・がんやエイズ(白血球の増加)、         エリスロポエチン・・透析やがん(貧血の改善)
   第[因子・・血友病A(欠損している血液病個因子の増加)、     成長ホルモン・・小人症(身長増加)
   インスリン・・糖尿病(血糖降下)、                     血小板由来増殖因子・・外傷(治療促進)
   組織プラスミノーゲンアクチベータ(tPA)・・心筋梗塞や脳梗塞(血栓溶解)
   ワクチン(抗原タンパク質)・・B型肝炎、ヘルペス、インフルエンザ、ライム病、髄膜炎、百日咳など(感染症の予防と治療)

 また、組換えDNAテクノロジーは、農業においても革命をもたらしたといえます。その例が掲げられています。
   作物の気候への帝王・・干ばつや塩害への耐性遺伝子、       栄養要素の工場・・高リシン種子
   収穫後の品質向上・・果実の熟成遅延、より糖度の高い野菜
   バイオリアクターとしての植物・・植物を利用したプラスチック、油、薬物の生産
   作物の病虫害のコントロール・・女装薬耐性、ウイルス、細菌、カビ、害虫への耐性

 最後に、一般の人々にも関心のある”バイオテクノロジーに関する大衆の不安と関心”について述べていますので、少し長くなりますが、全文を掲げます。

 「遺伝子改変作物の安全性と知識について大衆の不安と関心が増してきている。その不安は以下の3つにまとめられる。
   ・遺伝子操作は自然に対する不自然な干渉である。 ・遺伝子改変作物の摂取は危険である。 ・遺伝子改変作物は環境に危険である。
 バイオテクノロジー支持者も第1番目の危惧はおおかた認めている。しかし、本来、作物というものは農場という”操作”された環境で栽培され人為的に交配された植物であるということからすれば、すべての作物は不自然ということが指摘される。組換えDNA技術はこれらの従来の技術を少し洗練したに過ぎないのである。」

 「バイオテクノロジー支持者は、遺伝子改変作物の安全性については、単一の遺伝子を、しかも、植物にしか関係なく動物では機能しない遺伝子を導入したので、ヒトが摂食しても問題ないと主張する。例えば、トランスジェニック作物が産生するバチルス・チューリンゲンシス(昆虫病原細菌)の毒性タンパク質はヒトにはまったく作用しないはずであると言う。しかし、植物バイオテクノロジーが収穫向上のために遺伝子を単に加える段階から、ヒトの栄養摂取に影響を及ぼすようなさまざまな遺伝子操作を行う段階に至り、このような不安は日増しに強くなっている。」

 「環境への影響に関する3番目の危惧はトランスジーンが作物から別の種に”遺漏”する危険に関するものである。除草剤耐性遺伝子が作物から傍の雑草に意図せずして渡された場合は、その雑草も除草剤に耐性になってしまう。あるいは、バチルス・チューリンゲンシスの毒性タンパク質を発現する作物を益虫が食べて死滅することがあるかもしれない。遺伝子改変作物が市販を許可されるまでには十分な検証が現場で行われるが、生態系は著しく複雑なために、トランスジェニック生物がもたらし得るあらゆる環境への影響を予測することは不可能である。農業バイオテクノロジーには当然ながら有益性が認められるために、細心の注意を払いながら慎重に進めていくことが合理的かつ科学的判断で有ろう。」

 以上が、標準的?な生物学者のバイオテクノロジーについての一般的見解のようですね。でも我々は科学を単純に信じてはいけないと思います。原子力発電の安全性神話を忘れてはいけません。純粋で中立なな科学などはありません。背後には必ず”資本”が動いています。”資本”.の増大を求める人間は、何をするかわからないのです。一般の人が科学を判断する知識は持ち合わせていません。したがって、科学の名を借りて一般の人々をだますのは容易なことです。そして、何かが起こっても、だれも責任を取ろうとはしません。我々は東電の”原子力爆発”の件でよく思い知らされたはずですが、そろそろ記憶が遠ざかりつつあるようです。


☆ 2018年03月19日 : 春を告げるフクジュソウ(キンポウゲ科)の花

 山中湖は16日(金)夕方から翌朝にかけて雨が降りましたが、その後はおおむね晴れでした。朝の気温も0〜2度くらい、日中も穏やかでした。久しぶりに、荒れた庭を整備し、枯れ木などを焼却しました。これから農作業ができるかと思うと、心がワクワクしてきます???

 庭にフクジュソウ(キンポウゲ科)が一輪花を咲かせてくれました。17日(土)はつぼみだったので今週はだめかなと思っていたのですが、翌18日(日)、春の日差しに誘われたのか、金属的光沢の黄色の素敵な花を咲かせました。

 ”官僚の鏡”佐川が切り捨てられそうですね。国会で証人喚問されても、「捜査を受ける身なので答えられません」を連発するのでしょうか。真実をきちんと述べて、”真の悪玉=安倍”をあぶりだしてほしいのですが、やはり無理だろうね??
春を告げるフクジュソウ 水彩画作品52: 節分


☆ 2018年03月11日 : ”官僚栄誉大賞”に値する”官僚の鏡”佐川

 このところ、天気が不安定で大荒れが続いていますね。日本の政局も、それに負けず劣らず大荒れ状態が続いています。隠ぺい、嘘、誤魔化し、言い逃れ、忖度更には居直りに恫喝、こんなことが日中堂々と霞が関で行われているのには、憤りを超えてうんざり!情けないですね。

 佐川が辞任しましたが、彼は”官僚の鏡”のような人物ですね。安倍は”官僚栄誉大賞”でもあげなければならないのでは?それに比べ、犯罪者とはいえ、今だに拘留されている籠池夫妻はかわいそうですね。検察も安倍に忖度しすぎです。




 今回の大学生物学教科書の説明は、第12章の序文を紹介します。それは、脳を覚醒するコーヒーの話です。(一部省略しています)。
水彩画作品50:クリスマスリース 水彩画作品51: 花

第12章:細胞の情報伝達(続き)

 活気をみなぎらせるコーヒーの作用は、1000年ほど昔、現在のエチオピアあたりで最初に注目されたという伝説がある。カルジという羊飼いが、植物の実(ベリー:コーヒー豆)を羊が食べると、はしゃぎ始めることに気がついた。好奇心がわき上がり、カルジは自分自身でその実を食べて、大いにその効果を楽しんだ。この発見の噂は瞬く間に広がっていった。そばの修道院の僧は、好みが夜を徹しての祈りの際に眠りこけるのを防いでくれることを見いだした。修道僧たちは輸送と貯蔵のために身を乾燥させるように工夫していった。そして、乾燥した実を砕き、その粉を煮出すとすばらしい飲み物が得られた。やがてコーヒーショップが誕生することになった。

 北米では平均的に少なくとも90%の人々が毎日何らかの形でカフェインを摂取している。紅茶は一杯あたり90mg程度、コーラは50mg、コーヒーは180mg、ブラックの板チョコは1枚あたり20mgのカフェイン摂取となる。カフェインは大衆薬にも含まれる代表的な薬効成分であり、他の多くの薬物と同じようにシグナル分子である。カフェインの作用を理解するためには、環境からの情報(シグナル)に細胞が応答する経路をまず理解する必要がある。

 シグナル分子に対する細胞の応答には3つの段階が存在する。(1)シグナル分子が細胞受容体に結合する。多くの受容体は細胞膜の外側に存在する。(2)受容体にシグナル分子が結合すると、そ情報は増幅されながら細胞内へ伝達されていく。(3)シグナルに応じて細胞はその活動を変化させる。

 カフェインの作用は組織によって異なる。疲労した脳はアデノシンを産生し、それが特異的な受容体タンパク質に結合すると、脳の活動が低下し、眠気をもよおす。カフェインの分子構造はアデノシンと類似しており、競合性酵素阻害薬と同じようにアデノシン受容体に結合してアデノシンの作用を抑える(拮抗する)。その結果アデノシンの抑制効果が軽減され、脳の細胞機能が活性化されて眠気を覚ます。また、アデノシンは脳の供給血管を弛緩(血管内径の拡大)して頭痛をもたらす。そのため、その作用を阻害するカフェインは頭痛薬の多くに含まれている。

 心臓や肝臓の細胞では、カフェインは「闘争・逃走」ホルモンであるアドレナリン系シグナル伝達経路を間接的に活性化する。脈拍は増加し、筋肉収縮は増強され、肝臓はグリコーゲンを分解してブドウ糖(グルコース)として血中に放出する。このように下界の1種類の分子がどうして多彩な生物学的作用を発揮しうるのだろうか?


☆ 2018年03月06日 : レンタカーによるドライブ旅行

 今週末は、レンタカーによるドライブ旅行楽しんできました。周ったところは、出雲、赤穂、小豆島それに岡山です。さすがに出雲大社は立派ですね。でもこんな立派な建物や敷地はどうやって維持されているのか不思議でたまりません。オリーブの島小豆島では快晴に恵まれ、良かった下種。観光客も少なく(中国人は結構いましたが)、ゆったりとあちこち訪れることができました。岡山では、雨の中後楽園と岡山城を訪れました。後楽園は立派な庭園でした。

 「大学生物学の教科書」は、いよいよ第3巻”分子生物学”に入ります。最初の”第12章”は、細胞における情報の伝達(シグナルの受容から細胞の変化(応答))です。
水彩画作品49:清瀬市郊外(2) 出雲大社

  第12章:細胞の情報伝達

 第10章、第11章で、分子遺伝の仕組みと遺伝子発現を学びましたが、本章では、細胞に対する情報シグナルとそのシグナルの受容と伝達経路および細胞の変化(応答)が述べられます。

 細胞に影響を及ぼすシグナルには、他の細胞によるもの、外界からくるもの、また光のような物理的環境因子などがあります。細胞がそのようなシグナルに応答するためには、細胞はそれに応答できる受容体タンパク質が必要となります。そして、その応答は細胞機能に何らかの影響を及ぼすことになります(応答ができないときは、なんらかの障害が発生する可能性がでてきます)。シグナル分子が受容体に結合し、細胞質にメッセージが伝播され、そして」細胞の最終的応答が出現する過程を”シグナル伝達経路”と言い、シグナルと応答細胞ごとにとても複雑で巧妙なな手順をとります。ここでそれを述べることはとても不可能です。

 シグナル伝達経路の全体説明が難しいと言っておきながら、ここの機能を述べるのはいかがかと思うのですが、キーワードとして認識していもらうしかありません。先ずは”シグナル受容体”です。化学シグナルに結合する受容体タンパク質は、非常に高い特異性を持っています。この結合特異性のために、ある特異的な受容体を備えている細胞のみが、その化学シグナルに応答することになります。受容体は、イオンチャネル受容体、プロテインキナーゼ受容体、Gタンパク質共益受容体および細胞質受容体の4つにブンルイサレ、それぞれ化学シグナルに対して複雑巧妙な結合、反応をします。

 次に、化学シグナルを受け取った受容体は、そのシグナルをトランスデューサー(伝達因子)を介して、細胞応答機能に伝えます。このシグナル伝達は厳密に制御されているのだそうです。もちろん、ここでその仕組みを述べることはできませんが、伝達因子としてカルシウムイオンCa2+の話があり、ちょっと気をひかれました。というのは、私の母親が体調を崩し、病院に運ばれたとき、医者がカリウムイオンK+やカルシウムイオンCa2+の濃度が異常であったと私に説明してくれたことを思い出したからです。説明を受けたときは、なぜ病気と金属イオンが関係しているのかわからず、ああそうですかと聞き流すしかなかったのですが、今考えると生体内では金属イオンが重要な働きをしていて、生体系に何らかの狂いが生じていたということが納得できました。ただし、医者はイオン濃度がなぜ異常な値になったのかは不明であると言っていました・・・。

 シグナル伝達によって最終的に細胞が応答するわけですが、その変化は、イオンチャネルの開口、酵素活性の変化および遺伝子転写の変化の3種類があるそうです。例として幹細胞にアドレナリンが作用するケースが挙げられていました。アドレナリンが幹細胞に作用すると、結果としてグルコース(ブドウ糖)をグリコーゲンに返還して肝臓に貯蔵することが抑制され、過去に肝臓に貯蔵されたグリコーゲンをグルコース(ブドウ糖)として放出する細胞応答があるとのことです。この結果、遊離したブドウ糖が血中に放出され、いろいろな体の反応のエネルギーになるのだそうです。これで一つ分かりました。私の血糖値が高い理由の一つは、血液中に放出されたブドウ糖をエネルギー源として利用する能力が少ないということです。勉強になりました。

 これじゃあますます難しくなってきて、よくわからなくなってきましたね!!


☆ 2018年02月24日 : 久しぶりの山中湖、庭の残雪にびっくり?

 久しぶりに山中湖に入りました。道路そのものは雪はありませんでしたが、湖畔から山側に上がるにつれてy残雪が多くなり、我が家の庭は真っ白に雪に覆われていました。積雪は15〜20cm位でした。早速道路から玄関までとりあえず除雪をする羽目になってしまいました。

 24日(土)の朝の気温はー6度くらいで、それほどの冷え込みではありませんでした。久しぶりにハクチョウでも見ようと湖畔まで降りたところ、ハクチョウ2羽とたくさんのカモがおり、中国人の観光客が大騒ぎしながら写真を撮っていました。春節も終わったころなのに、スワンボートの客はほとんど中国からの観光客だったようです。本当に感謝ですね!!


残雪は15〜20cmありました スワンボート&中国人観光客


☆ 2018年02月11日 : 今年も厄年が続きそう??

 今年の年頭の”たわごと”で、2015年から3年続けて厄年が続いているようだと述べましたが、どうも今年も続いているようです。このところ、東京も厳しい寒波に襲われていますが、先月末我が家の水道管(外の立水栓)が破裂し、破損個所から水が吹き上げる事態が起こりました。破裂したときは私は不在だったのですが、近隣の方が水をかぶりながら水道の元栓を締めてくれ、何とか止まりました。家に戻ってきたところ、隣家の人は大変だったことを説明してくれ、お礼を言いました。水道管の破裂は初めての体験でした。

 さて、そこから大変です。東京ではあちこちで水道管の破裂が起きていたようで、いつもお世話になっている工務店に電話をして修理を依頼しましたが、翌日の午後までは職人を手配できないとのこと。やむを得ず、翌朝まで水が一切使えず、夕食も外食にせざるをえませんでした。幸いにも、どういうわけか翌日の10時に職人が来てくれて、応急処理(破れた個所は立水栓の水道管上部だったので、管の上部を切って、キャップで水を止めた)をしてもらい、何とか事態は収まりました(今後立水栓を修理して元に戻そうとすると、費用が相当掛かりそうです?とほほ・・・)。新年早々思いやられます。私と同じく老朽化した家と、今後とも付き合っていかないといけないようです。

水彩画作品48:フジアザミ 水彩画作品40:17.11.27.掲載

第11章:真核生物のゲノムと遺伝子発現(続き)

 今回は第11章の序文を紹介します。それは、絶滅を危惧される最速の動物チーターのゲノムの話です(一部省略しています)。

 「チーターは、流線型をしたたくましい体つきのネコ科の動物である。チーターは孤独なハンターであり、ガゼルや野ウサギなどの小動物を補食する。10mから30mほどまで獲物に忍び寄り、疾走する時間は通常1分かそこらで有るが、時速110km以上のスピードで獲物を追いかける。現在の総数は1万2000頭ほどで、そのほとんどがアフリカに生息している。チーターの個体数減少の一因は人間にあり、家畜の牛殺しを(間違って)疑い、数多くのチーターを殺した。しかし、個体数減少の原因は他にもある。数多くのチーターのDNA配列を比較したところ、非常に高い相同性が見られた。タンパク質をコードしている領域の配列は、同じ種ならほぼ同じであるが、それ以外の領域の配列は各個体で異なる。だからこそ遺伝子のDNA鑑定による個人識別が可能なのである。しかし、すべてのチーターが同じ親の兄弟姉妹であるかのように、遺伝子以外のDNA配列もほとんど同じであった。」

 「チーターやすでに絶滅したネコ科の動物の化石から、チーターの著しい遺伝的相同性を説明できる。現在のチーターの先祖は、約1500万年前にアフリカで現れ、アジアや北アメリカへと広がっていった。最後の氷河期が終わるまで(約1万年前)、チーターの分布は広がりつづけ、ある時、”何か”(その何かがわからないのだが)が起きた。多くのチーターに近い種(例えばサーベルタイガー)が絶滅したのだが、チーターは数少ないながらもなんとか生き残った。現在生きているチーターのゲノムは、その数少ない個体に由来すると推測されている。こうした出来事は、”ボトルネック”と呼ばれる。」

 「ゲノムが均一であるため、悪条件でも”どれかが”生き残れるような遺伝的多様性がチーターには欠けている。そのため、例えば、新規の病原体に抵抗できず、病気にかかりやすく全滅してしまう危険性がある。大多数はその病原体に著しく弱いかもしれないが、遺伝的多様性があれば、なかには”へそ曲がり”で生き残るやつがいるのだ。画一社会が崩壊するのと同じである。雑多な集団が強いのである。」

 「遺伝子が均一な種はチーターだけではない。フロリダパンサーのDNA配列も同じように相同性が高く、病気や遺伝的欠損によって、一族郎等党がすべてやられてしまう危険がある。しかし、フロリダパンサーの個体数減少は最近のことであり、その原因は完全に人間にある。フロリダパンサーは、19世紀に乱獲され、20世紀にはアメリカ合衆国東部の生息場所が人間によってどんどん狭められ、ほとんどない状態になってしまった。」

 「遺伝子に多様性があると、遺伝子産物であるタンパク質にも多様性が生まれる。遺伝子からタンパク質までの複雑な過程が、本章の主題である。」


☆ 2018年02月04日 : NHK、関東軍第731部隊(悪魔の細菌部隊)を再放送

 昨年2017年8月21日付けで、「NHK終戦記念?報道番組(悪魔の第731部隊)」というタイトルで”たわごと”を記しましたが、今年2月の6日か7日、NHKは再度「関東軍第731部隊」の放送を行いました。前回は見逃していたので、毎日NHK番組をチェックしていたところ、幸いにも気付くことができ、見ることができました。

 森村誠一著の「悪魔の飽食:「関東軍細菌戦部隊」恐怖の全貌!」光文社、1981年 の内容に比べれば掘り下げ方が足りないというか、真実の一部それも表面だけを報じていたという感はしましたが、それでも映像を突き付けてくるため、リアリティーはあったと思います。ソ連によるハバロフスクでの戦争犯罪人裁判があったことは知りません(忘れていた)でしたが、法廷で12人の高級将校が証言しているところも放映されていました。この裁判は、アメリカ帝国を始め多くの追随諸国が無視した裁判だそうで、もちろん日本もほとんど報じられていないように思います。その裁判の膨大な記録とフィルムが残されているとのことでした。

 日本のマスコミは、安倍に忖度して北朝鮮の脅威を煽り、韓国文政権の慰安婦問題提起の真実に目を背け、戦争する国へと変貌しつつある実態を容認しているように思います。
水彩画作品47:下駄と扇子

 日本人すべてが、他国から指摘される前に、過去の日本帝国主義の侵略戦争の歴史を正直に見直し、それを真摯に反省し、二度と同じ過ちを繰り返さないよう決意することが一番大事なことではないでしょうか。日本のマスコミには、事実を深く掘り下げて、歴史の真実を報道をしてもらいたいものです(まあ、独占企業から金をもらっているようでは無理でしょうね)。今回のNHKの報道には、経緯を表したいと思います(普段はあまり内容のない報道が多いのですが)。


☆ 2018年01月28日 : 東京が大寒波に襲われています

 東京は21日(日)夜から雪が降り、翌22日(月)の朝には20〜25cmほどの積雪となりました。その後の一週間、かなり寒い日が続いています。山中湖に比べればどうってことはない寒さなのですが、さすがにマイナス温度が続くと、寒さが少し身に沁みます。まあ、あと1か月もすれば、春の足音が聞こえてくるでしょうから、じっと我慢、我慢ですね。







水彩画作品46:ポインセチアとカボチャ 武蔵野の朝霧(2018.01.18)

  第11章:真核生物のゲノムと遺伝子発現

 前章(第10章)で、ウイルスと原核生物の分子遺伝の仕組みを学びましたが、本章では、ヒトを含む真核生物の分子遺伝の仕組みを対象とします。前章でも述べたように、原核生物(真正細菌、古細菌)も、遺伝子(DNA)を持ち、DNAから遺伝情報(コドン)を読み取り、mRNA(メッセンジャーRNA)に転写し、リボソームがそれをもとにポリペプチド鎖(タンパク質)を産生します。すなわち、原核生物には、真核生物と同様な生命に必要な基本的機能が備わっているということができます。

 しかし、遺伝子発現が研究され、タンパク質の生物学的意味付けが明らかになるにつれて、真核生物と原核生物のゲノムには数多くの大きな相違があることが明らかになってきました。その差異について、次のようにまとめられています。

1.真核生物のゲノムは、原核生物のものよりもはるかに大きい。例えば、原核生物である大腸菌は数千個のタンパク質をコードするのに充分なDNA(460万塩基対以上)を持っているが、ヒトははるかに多くの遺伝子と”調節配列”(遺伝子とは異なる)を持っており、60億個の塩基対が細胞に2倍体として詰め込まれている(直線にすると2mになる)。

2・真核生物のゲノムには、原核生物よりもずっと多くの”調節配列”があり、複雑な制御機構を持っている。

3.真核生物のゲノムの大半は非コード領域である。すなわち、真核生物のゲノムには、mRNAへと転写されない様々なDNA配列が散在しており、さらにmRNAに転写されたコード領域にも、タンパク質に翻訳されない配列が存在する。

4.真核生物は複数本の染色体を持つ。各染色体には、3種類のDNA配列、すなわち@複製起点(ori)、A体細胞分裂の際必要になる動原体、B染色体の端のテロメア配列がある。

5.真核生物では、転写と翻訳の場所は物理的に離れている。DNAが核膜内に存在するので転写は核内で行われ、翻訳は細胞質内のリボソームによって行われる。また、転写直後のmRNAは前駆体mRNAであり、そこから成熟したmRNAへとプロセッシングされる。

6.真核生物では、翻訳される前に多くの過程を経るので、そこで様々な調節を行うことができる。

 真核生物(ヒトを含む)のゲノムに関する知識は、単純なモデル生物の研究から多く得られたのだそうです。モデル生物としては、酵母、線虫、ショウジョウバエ、シロイヌナズナなどがあるそうです。大腸菌のゲノムは、460万塩基対の1本の環状染色体であるのに対し、出芽酵母のゲノムは16本の線状染色体であり、半数体分が1200万塩基対以上になるそうです。線虫は透明な体をしているので、受精後3日目から細胞1000個ほどの大人の線虫になるまでのすべての過程を観察することが可能なのだそうです。そのゲノムサイズは、酵母の8倍ほど(9700万塩基対)です。ショウジョウバエのゲノム数は1奥8000万塩基対で遺伝子数は1万3449個で、線虫より若干少ないのだそうです。比較ゲノム学により、種を超えて似ているタンパク質をコードする多くの塩基配列(遺伝子)が明らかになりました。驚くことには、ヒトの病気に関する遺伝子の半分ほどもショウジョウバエのものと似ているそうです。

 この後、真核生物のゲノムにある”反復配列”や、”転移因子”、”トランスポゾン”、”エキソン”と”イントロン”、”遺伝子ファミリー”、”mRNAのプロセッシング”などの話がありますが、とても複雑でかつ専門的な話なので省略します。

 最後に、真核生物の遺伝子発現がどのように調節されているかが述べられています。多細胞生物(真核生物の多く)で正常に発生が行われ、適切な機能を細胞が維持されるためには、タンパク質は正しい時期に正しい細胞でのみ合成されなければなりません。そのために、真核生物の遺伝子発現は正確にコントロールされていて、DNA複製のようにすべての細胞ですべてか無かの法則で調節されるのではなく、非常に選択的になっているそうです。すなわち、遺伝子発現は、遺伝子が転写、翻訳されてタンパク質になる多くの過程で調節されるとのことです。遺伝子の翻訳(タンパク質産生)後に、タンパク質の寿命を調節する仕組みまで用意されているとのことです。これらの仕組みもとても複雑、巧妙で、誰がこんなシステムを考え、構築したのかと、ついつい思い悩んでしまいます。


☆ 2018年01月21日 : 山中湖は暖かいです

 東京で薪の材料が手に入ったので、山中湖へ運び始めました。山中湖の薪棚がだいぶ空白が目立つようになってきており、あと2、3年で尽きてしまうのではないかと心配していたのですが、何とか1年ほど延命できそうです。今冬は山中湖へ行くのも少し間引いて、牧野節約もしています。

 山中湖にはまったく雪がありませんし、雪が降った痕跡もありませんでした。全般的に暖かいようで、外で作業をしてもぜんぜん寒くありませんでした。ただ、大雨が降ったのか、畑の黒土がかなり流され、砂利の通路を埋めながら流れ下っていました。

 午後別荘近辺を散策していたところ、久しぶりに憎らしいシカさん2グループ、計7、8頭に出合うことができました。一つのグループ3頭は、こちらをずっと見つめたまま動こうともしませんでした。こんにちはと言っても微動だにしません。間合いを取っているのでしょうか?

水彩画作品45:裁縫箱とハサミ


☆ 2018年01月14日 : 現代資本主義とマルクス思想

 1月9日(火)夜7時から、NHKTVで”欲望の資本主義2018 (成長なき時代を生きる世界の知性のシナリオ)”という番組が放映されていました。私は映像から何かの主張や意見を理解するのは苦手で、また理解のための基礎知識、能力が不足していたので、番組の主張はよくわかりませんでしたが、マルクスやケインズ、ガルブレイス、シュンペーターなどの経済学者の名前や映像が出てきて、現代資本主義の繁栄、滅亡やグローバリズムの問題などが議論されていました。

 この番組がちょっと気になったのは、私が最近マルクス経済学、マルクス思想の勉強を始めており、そしてちょうど9日に、的場昭弘著「マルクスを再読する」を読み終えたばかりだったからです。本書はあの有名な?佐藤優が解説を書いていますが、彼はマルクスのシンパだったのかなと疑ってしまいました。

 マルクス思想と絡めて、大成功を収めている?現代資本主義(言い換えると国家独占資本主義)についてこれから少し勉強するつもりですが、政治、経済、産業、歴史、文化、哲学、思想等々について不案内な私にとって、理解はほぼ絶望的かと思っています。いつか何かをレポートできればなと思っています。
水彩画作品44:カキとレンゲショウマ

  第10章:ウイルスと原核生物の遺伝学(続き)

 今回は10章の序文を紹介します。近年よく話題に上るトリインフルエンザの話です。身近な話なので、興味を覚えるのではないでしょうか。

 香港のある3歳の男児が咳と熱を発症したのは1997年5月9日のことだった。抗生物質とアスピリンを飲んでも熱は高くなる一方で、5月15日には入院したものの、不幸なことにその6日後に呼吸器不全で死亡した。

 死亡前に肺から~採取した検体を哺乳類の腎臓由来の培養細胞に添加したところ、2日後にその培養細胞は死滅し、細胞からは大量のインフルエンザウイルスが放出されていた。香港病院の公衆衛生チームは、男児のインフルエンザウイルスは前年の冬に流行した株の一つであると考えて、ウイルスがヒトの細胞に吸着するためのウイルス表面の糖タンパク質を探した。しかし、何も見つからず、ヒトに感染する典型的なウイルスではないとしかわからなかった。

 8月には、それまでニワトリにしか感染が知られていなかったH5N1型ウイルスであることが判明した。少年の保育園では子供の遊び相手として飼っていたニワトリも数羽死んでおり、そのウイルスと少年のウイルスのDNAが一致した。さらにウイルス表面の糖タンパク質の遺伝子に突然変異が見つかり、ヒトの細胞に吸着し感染できるようになっていた。

 香港のトリインフルエンザ患者はその後も増え続け、12月までに18人が感染し6人が死亡した。患者とトリインフルエンザを結びつけるものがはっきりしなかったが、犠牲者全員が、発症前に家畜用鳥の市場に出かけていた。そこで市場のニワトリを調査したところ、高い割合でH5N1型インフルエンザウイルスに感染していた。香港衛生局は、ただちに中国本土との境界を閉鎖し、すべてのニワトリの処分を指示した。数日のうちに、150万羽のニワトリが処分され、おかげで大規模な感染をなんとかまぬかれることができた。

 しかし、鳥インフルエンザウイルスは沈静化していなかった。H5N1型はアジア以外の大陸でニワトリ以外の鳥類からも見つかり、ヒトへの感染例もある。しかし、今のところ感染した鳥を迅速に処分することで、広範囲な感染の発生は防がれている。

 人類は、いつも幸運なわけではない。1918年に流行した”スペイン風邪”は1人の兵士から始まり第一次世界大戦を戦っていたアメリカ軍によりヨーロッパに広がった。その結果、全世界で大流行し4000万人が死亡した。1857年と1968年のインフルエンザ大流行では、それぞれ100万人が死亡した。これらはどれも、インフルエンザウイルス遺伝子に起きたたった1つの変異が原因である。インフルエンザの世界的流行は、今度は一体いつ起きるのだろうか?その答えは、ウイルスの遺伝子変異とその進化次第である。


☆ 2018年01月08日 : 謹賀新年2

 1月2日、ロシア国立サンクトペテルブルグ(旧レニングラード)アカデミー・バレエによるバレエ白鳥の湖(全3幕)を観劇しました。バレエを生で観るのはどうも初めてのような気がしています(記憶にないということ)。あらすじがほとんどわからないために、内容はほとんど理解できませんでしたが、素晴らしい芸術のようで、飽きずに観ることはできました。

 4日、5日と三島&箱根を観光したのですが、三嶋神社は車が渋滞で引き返し、箱根も渋滞でUターン、スカイラインで迂回しました。それから大涌谷に向かったのですが、ここも車が大渋滞。正月は出歩くものではありませんね。それで、最後は海賊船で芦ノ湖を遊覧しました(途中下船し、箱根神社にも行ってきました)。今までは遊覧船などは馬鹿にしていたのですが、足腰が衰えた身では、これもまあいいかという思いです。

 今年最初の「大学生物学の教科書」を掲載します。いよいよ分子遺伝学に入ります。  
水彩画作品43:富士山と山中湖

  第10章:ウイルスと原核生物の遺伝学

 本書が取り扱う対象は、ウイルスと原核生物で、ヒトを含む真核生物はこの後の章で取り扱います。ウイルスの名は誰もが知っていますが、ウィルスは”非細胞体”で、いわゆる生物ではありません。しかし、小さいながらも、ヒトと同様にDNA(核酸)やタンパク質をもっています。また、原核生物はもちろん”細胞生物”で、古細菌と真正細菌に分類されます。皆さんもよく知っている大腸菌は真正細菌に分類されます。ウイルスや細菌はゲノムサイズが小さく(すなわち、比較的単純である)、増殖のスピードも速い(大腸菌は20分ごとに2倍となる)ため、遺伝子の研究では遺伝子の構造や機能、伝達方法を研究するモデルとなってきたそうです。

 本章では、このウイルスが”宿主(細胞)”へどのように感染し、増殖、遺伝子発現するかが述べられています。続いて、細菌(原核生物)は通常無性生殖によって増殖しますが、そこでどのように遺伝子組み換えを行い、遺伝子発現をするのかが述べられています。内容はとても難しいのですが、要点を記してみたいと思います。

 冒頭でも述べたようにウイルスは細胞からできているのではなく、したがって細胞生物ではありませんが、核酸と数種類のタンパク質からできています。ウイルスは、細胞にとって基本的な機能、栄養を摂取して老廃物を排出するといった機能はありません。そして、ウイルスは自己のみでは増殖できず、特定の宿主細胞の中でしか増殖することができません。すなわち、ウイルスは宿主細胞の”助け”なしでは増殖することができないのです。ところが、ウイルスは、その”自己増殖”のために、驚くべき方法で巧妙に、宿主細胞の”DNA複製機構”と”mRNAタンパク質合成機構”を利用するのです。

 バクテリオファージ(細胞に感染するウイルス、単に”ファージ”とも言う)は、宿主細胞の細胞膜表面にあるタンパク質か糖鎖に結合し、細胞内部へファージの核酸を注入し、宿主細胞のに入り込むそうです。細胞に入ったのちは、1)直ちに増殖し、宿主細胞(細菌)を殺すか、2)宿主細胞(細菌)のゲノムにウイルスの核酸を挿入したままになる、という二つの経路をとるのだそうです。2)の場合、挿入されたウイルスのゲノムは、宿主細胞のゲノムと一緒に複製されていきます。そして、ある環境の変化があると、挿入されたウイルスのゲノムが分離されて、1)と同じようにゲノムを増殖し、宿主細胞(細菌)を殺すことになるのだそうです。面白いですが、空恐ろしいシステムですね。1)の経路をとるファージは、細菌感染症の治療に使われるそうです。また、ファージは細菌(原核生物)に感染するウイルスですが、ヒトなどの真核生物に感染するウィルス研究の突破口となったそうです。ウイルスも医療に大貢献しているのですね。

 脊椎動物のほとんどはウイルス感染を受けますが、無脊椎動物では昆虫や甲殻類の節足動物だけだとされているそうです。動物に感染するウイルスは、非常に多様性に富んでいるそうです。遺伝物質がDNAの場合とRNAの場合とがあるそうです。多くの場合、ウイルスのゲノムは小さく、数種類のタンパク質をコード(対応付け)しているだけだそうです。ウイルスの増殖サイクルは、とても巧妙かつ複雑な方法で真核生物の細胞増殖機能を借用?していますが、ここでは述べることが不可能です(本書では、インフルエンザ・ウイルスとHIVウイルス(エイズ原因ウイルス)について、図を用いて説明している)。

 原核生物(古細菌、真正細菌)は、ウイルスとは違って、生命に基本的な機能が備わっていて、それのみで生存して増殖することができます。原核生物は真核生物と違って無性生殖的で、多くの場合1つの細胞が分裂して2つの細胞に分かれます。換言すれば、元の細胞のクローン(遺伝的にはまったく同一の個体の集団)を作り出しています。しかし、原核生物も自己の遺伝子を組み換えする方法を持っているのだそうです。すなわち、原核生物の場合は、真核生物のように細胞核の減数分裂時に相同染色体の間で遺伝子組み換えが起こるのではなく、他の細胞由来の小型の部分遺伝子(DNA断片)とゲノムの間で起こるのだそうです。その仕組みは複雑で説明困難です。

 原核生物は、遺伝子の交換を行うだけでなく、遺伝子の発現を調節する能力もあるのだそうです。すなわち、必要な時のみタンパク質を合成し、エネルギーや栄養を節約し、周囲の環境が保証されているあいだにすばやく細菌内のタンパク質の量を変化させることができるということです。また、不必要なタンパク質の供給を止める手立ても複数持っているのだそうです。細菌といえども侮れない?ですね。生命の神秘がうかがわれます。済みませんが、これも巧妙かつ複雑怪奇?なシステムをもっており、ここでは具体的に説明することは不可能です。

 1970年代後半からウイルスのゲノム解読が行われてきましたが、このときは手動の解読だったそうです。しかし、原核生物や真核生物のゲノムの場合、小さいものでもファージの100倍以上あり、自動のDNA配列解読技術の開発によってようやく可能になったのだそうです。以下に、我々ヒトに馴染み?の病気に関係する細菌(病原菌)のゲノムについて、記述します。

1.インフルエンザ菌: この細菌はヒトが唯一の宿主である。上気道に常在するが、耳に感染して中耳炎を起こすこともある。ひどいときは、小児の髄膜炎を引き起こす。183万137塩基対の環状染色体をもち、1743個のタンパク質をコード(対応付け)する遺伝子がある。

2.トラコーマ・クラミジア: アメリカでもっとも一般的な性感染症の病原菌である。この病原菌は細胞内に共生するので、研究することが非常に難しい。

3.発疹チフスリケッチア: チフスを引き起こす病原菌であり、媒介動物であるシラミに噛まれると感染する。634個の遺伝子のうち、病原性に重要なものは6個であり、ワクチン開発に使われている。

4.結核菌: 結核を引き起こす結核菌である。原核生物にしては大きなゲノムを持ち、4000個のタンパク質をコード(対応付け)している。そのうち250個以上が脂質代謝に関するものであり、脂質代謝が結核菌の主要なエネルギー産生経路なのかもしれない。まだ同定されていない細胞表面のタンパク質をコードしていると考えられる遺伝子もあり、ワクチンのターゲットとなるかもしれない。

5.ストレプトマイセス属細菌: 現在臨床で使われている抗生物質(ストレプトマイシンなど)の3分の2を作ることができる。ゲノム解読から、抗生物質産生に関与する遺伝子が22種類あり、そのうち以前から知られているのはたったの4種類であることが明らかになった。これらの情報を生かせば、耐性病原菌に対するもっと強力な抗生物質を発見することができるかもしれない。

6.メタノコッカス、メチロコッカスなどの細菌: メタノコッカスなどは牛の胃の中で地球温暖化の原因のひとつであるメタンガスを作り出す。一方で、メチロコッカスなどはメタンガスをエネルギー源として使用し、空気中から除去する。両方の細菌のゲノムはすでに解読されていて、メタンガスを産生したり酸化したりする遺伝子の情報は、地球温暖化対策に役立つかもしれない。

7.腸間出血性大腸菌(O157、H7): これらは食べ物から感染し深刻な病気を引き起こす。アメリカでは年間7万人以上が発症している。そのゲノムには5416個の遺伝子があり、そのうち1387個は研究室レベルで使われる無毒な菌株の遺伝子とのあいだに違いがみられる。この遺伝子の多くは、サルモネラ菌や赤痢菌など他の病原性細菌にもある。これらの種間で広範にわたって遺伝子の交換が行われているのかもしれず、近い将来に超強力な細菌が出現するかもしれない。

 最後は身近な病原菌の話となりましたが、大変長くなってしまいました。第10章はこれで終わります。


☆ 2018年01月01日 : 謹賀新年

 明けましておめでとうございます。本年も、”わんだふる山中湖”をよろしくお願いします。

 最近は、私は毎年厄年が続いているように思ってます。その惨状を以下に記してみます。

1)2015年: 山中湖陶芸クラブで4人組による騒動勃発、女Zによる”婦女暴行”謝罪要求、そしてクラブ退会、
        ジバチに刺される(2回目)、歯処置1

2)2016年: 山中湖村陶芸クラブの瓦解、糖尿病薬”ネシーナ”副作用障害、アシナガバチに刺される(3回目)、
        糖尿病検査入院(2回目)、歯処置2、愛車”フォレスター”不調(原因不明)、東京給湯器配管漏水

3)2017年: 山中湖トイレ凍結破損、東京水道管水漏れとトイレ漏水騒ぎ、台風による東京給湯器破損、
        糖尿病薬”メトグルコ”副作用障害、前立腺炎治療、前立腺ガン検査入院、歯処置3&抜歯、
        フォレスター修理(ATオイル温度センサー故障&エンジンオイル漏れ)、海外旅行時に転んでカメラ破損
        安倍自民(+付録)の総選挙圧勝と憲法9条改悪&軍事国家への進展
        
 とほほほ・・・ですね。今年は、無神論者の私も神様、仏様に何事もなく、安心して生活できることを祈念するばかりです。


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